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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第131話 まさかの伏兵

~スプルーアンス本隊~




 レイモンド・スプルーアンスは史上最大の危機に瀕した。




「ミッチャー艦隊から合流を願う旨の連絡が!」




「どこへ行ったと返せ。我々は空襲を受けている!」




「どうして空母艦載機がいる。敵空母は少なくとも4隻であり、残りは整備中かインド、マダガスカル島に行ったのでは…」




「情報戦に負けた。トラックが手薄だと言う情報は罠だった」




 スプルーアンスの本隊はミッチャー艦隊の救援要請に応える余裕がない。ミッチャーが恨み節を吐くと同時に彼も情報部門に悪態を吐きたかった。彼らも艦載機による攻撃を受けている。トラック島の基地航空隊はミッチャー艦隊が空襲を通じて抑えた。攻撃を現在進行形で受けているため、基地航空隊のものとは思えず、単発機の艦載機が多い。別働隊がいることが確定した。




 しかし、事前の情報では日本海軍の空母は「本土で整備中」や「インド洋に展開」、「マダガスカル島攻撃」など、仮に出張っても4隻が精々である。トラック島は手薄で好機と見ていたが、大量の空母が展開していると考えざるを得なかった。




「護衛空母コレヒドール爆沈! 弾薬庫に誘爆!」




「トリポリ被弾! 推定して大破!」




「マニラも被弾! 炎上!」




「ハルゼーの言う通りだったな。護衛空母は連れるものではなかった…」




「今なら空母を切り離して退避できます。戦艦だけでも残しましょう」




「リーがいればな…」




 スプルーアンス本隊に空母がゼロとは一言も言っていない。エセックス級とインディペンデンス級の真っ当に動けるものをミッチャーに預けた。その代わりに大量の護衛空母を携える。護衛空母の決定版たるカサブランカ級を艦隊直掩と対潜警戒に限定した。したがって、艦載機はヘルキャットを基本に少量のアヴェンジャーを積載する。




 ハルゼーは低速の護衛空母を主力艦隊に付けることに反対した。主力艦隊が30ノットを発揮できる中で20ノットにも満たない。これは足手纏い以外の何ものでもなく、護衛空母を守ろうとすれば主力級艦艇が犠牲になった。護衛空母を見捨てることを承知ならば構わない。スプルーアンスができるわけもなかった。




 現に艦載機空襲を受けて護衛空母が次々と被弾している。ヘルキャットは奮闘しているが、日本海軍の新型機に性能から負けているようであり、各パイロットも未熟が否めなかった。ヘルキャットは素晴らしい戦闘機だが、爆撃機と攻撃機に噛み付く余裕がなく、戦艦の対空砲火も期待できない。




「護衛空母はいくらでもつくれます。戦艦はそうもいきません。今は逃げましょう」




「飛んでいるパイロットはどうする…」




「駆逐艦を派遣して洋上から回収します」




「わかった。そうしよう…」




 すでにカサブランカ級の欠陥が露呈して3隻が無力化された。この中で戦い続けることは自滅に等しい。参謀の力強い進言から一時的な退避を認めた。護衛空母とヘルキャットを見捨てることになるが、戦艦部隊から駆逐艦を切り離して救助に向かわせ、兵士だけでも回収できればよかろう。




 上空の攻撃機は戦艦が急速に旋回している様子を眺めていた。急降下爆撃を回避する機動としてはやけに整い過ぎている。戦艦だけでも逃げようとしていることは素人目でもわかった。すぐに隊長機から母艦へ報告を入れる。ここで逃せば次の機会は無いと切羽詰まった調子で綴った。




 その報告は数百キロと離れた先の大空母艦隊に届けられる。その大型空母は日米開戦から日本海軍を支えて来た。空母黎明期から最前線で戦い続けたが、新造組に追いやられてしまい、調整と称して本土で訓練用に用いられる。しかし、日米最終決戦に向けて再度前線に赴いた。




「赤城と加賀を擁するのに戦艦の相手はつまらん。やはり空母は空母を食わねば意味が無い」




「そう仰りますが角田中将の艦隊は決死の突撃を敢行しています。角田中将が踏ん張っている間に敵戦艦を削りませんと」




「そうです。小型空母多数を連れているので我慢してください」




「ふん。夜戦は連合艦隊に任せるが、夜間攻撃隊を組織し、角田が逃した獲物を撃つ。この方針に変更はない」




「わかっています。よく、わかっていますから」




「どうせだ。残りの攻撃隊を出せ。予備機は残さなくていい」




「聞いたな。第三次攻撃隊だ! 急げよ!」




 山口多聞率いる一航戦と二航戦はつまらない戦いに従事している。彼らは角田中将の新造艦中心の空母部隊と協同して米艦隊を撃滅するはずだった。角田艦隊が先に接敵して空母決戦に突入すると支援に入るところ、自前の偵察機が米戦艦多数を報告しており、どちらを叩くか議論の末に戦艦を叩くことに決まっている。角田艦隊の状況によっては支援に入れるよう予備を残しておいた。基地航空隊が健在で直掩機を派遣している。戦況も悪くないようで安心して米戦艦を沈めることができた。しかし、米戦艦を守るように小型空母が展開している。まずは空母を討たんと攻撃機と雷撃機が殺到した。




「第三次攻撃隊は戦艦を叩く。100番を持っていけ」




「温存せずによいのですか」




「使える時に使っておくが吉だ。弾薬庫は空にしておきたい」




「わかりました」




 あまりにも簡単に小型空母を無力化できている。米国製にしては粗悪だなと聞かれた。護衛空母の中でもカサブランカ級は簡略化が徹底される。短期間で建造できる点では最高だ。ダメージコントロールは機能せず、最も肝心な弾薬庫も装甲が薄くあり、雷撃を受ければ忽ち爆沈するような有様である。戦艦がそんな護衛空母を見捨てて当然かもしれなかった。




「連合艦隊に怒られそうだが構うものか。大和には撃たせん」




 よくわからない意気込みである。第三次攻撃隊が急ピッチで組織されては発艦していった。この絶好機を逃さんと予備機放出を決断する。あと少しで第一次攻撃隊が戻るはずだ。搭乗員たちは酷であるが夕方の日没まで攻撃を予定する。さらに、深夜には角田艦隊が逃すであろう、空母を討つべく少数精鋭の夜間攻撃隊も計画していた。




「空母の使い方は連撃だ。彼らの帰還は夕方を超える。誘導灯を点ける。対潜警戒を厳にせい」




 第三次攻撃隊は直掩担当の千歳と千代田から零戦五四型を抽出する。赤城と加賀から艦攻兼艦爆の予備機を出した。米戦艦に目に物を食らわせてやると言わんばかりに意気揚々と飛び立つ。新型艦戦は在庫切れだが零戦は未だに通用した。艦爆兼艦攻は頑強な戦艦に致命傷を負わせられる100番こと1000kg徹甲爆弾を吊架する。




「今のうちに夜間攻撃隊の目星を付けておけ」




「はい。機材は九六式艦攻で決まっています。千代田と千歳の対潜組から融通してもらいました。搭乗員は選定を進めているところです。その時の体調もあるため…」




「わかっている。グアムかマリアナからも陸攻が飛ぶらしい。負けるなよ」




「厳命します」




 山口多聞の攻撃精神は後世に「最高の提督」と評された。昼間の飽和攻撃だけでは飽き足らない。夜間の攻撃まで計画するとは恐れ入った。米海軍のハルゼーを上回る。しかし、それは米海軍と真っ向から戦って勝利するためには無茶を犯さなければならないことの証明でもあった。




 あれだけ空母を叩いて来たにもかかわらず、赤城と加賀に匹敵する正規空母を拵え、補助でも小型空母も大量に投じる。したがって、不完全燃焼で勝利を収めることは限りなく敗北に近いのだ。完全燃焼を目指して手段は全て使い果たし、爆弾も使い切る勢いであり、ひたすら攻撃に徹することで完勝を目指す。




「敵将の首を取るまでは帰れないぞ」




続く

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