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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第129話 弾薬箱を空に

古賀は意外にも無表情である。




「そうか…特殊潜航艇も帰らないか」




「はい…」




「ならば弔い合戦だ。噴龍は行けるな?」




「もちろんです。すでに基地航空隊の陸攻隊が進出して空襲を行っている頃です。模擬弾は暴露されました。徹甲爆弾を不発化の上で発信機を潜ませています」




「わかった。噴龍は切り札ではない。全弾を撃ち尽くせ。誘爆が怖い」




「承知いたしました」




 特殊潜航艇による飽和雷撃こと帝国の剣作戦は成功とも失敗とも言えなかった。特殊潜航艇数十隻の学徒兵60名弱は全員が帰還しない。当面の間は受け入れを構えるが敵艦が跋扈している中を戻ることは到底不可能だ。しかし、彼らの挙げた戦果は十分に大戦果を誇る。司令部偵察機が確認した限りでは駆逐艦と巡洋艦が複数被雷して陣形が崩れていた。空母への直撃は見られなかったが護衛艦という壁を取り壊す。




 大量の魚雷を消費しても軽量級が複数とはだが、それだけで決めてはならず、そのあとに続く基地航空隊の空襲に繋がった。米艦隊の強烈な対空砲火を支えることの一つに陣形がある。米艦隊が丸ごと城砦を為したが、砦の一つ一つを潰していき、本丸の空母を丸裸にしてやった。




 トラック島が空襲されることを見越して空中退避と称した攻撃隊を発進させている。一式陸攻後期型と銀河陸攻、艦爆と艦上が空母機動部隊攻撃に向かった。敵戦艦部隊が発見できていないが、今は空母を無力化することが先であり、戦艦部隊の艦砲射撃はさほど怖くない。




「連合機動艦隊より連絡! 敵戦艦部隊発見! 敵戦艦部隊発見!」




「この時機でか。基地航空隊を割くことはできない。山本さんを信じる」




「連合機動艦隊は大和を含みます。砲撃戦になっても勝てます!」




「弾着観測機の提供ぐらいはできる。予備機をおくれ。いいか? トラック島から全ての弾薬を消費するんだ。弾薬箱は空にする」




 こういう時に戦艦部隊が見つかるんだ。山本大将が自ら指揮する連合機動艦隊が米戦艦部隊と接触している。手短な報告のため電探や肉眼の捕捉又は水偵の捕捉かわからないが任せることしかできなかった。トラック島基地航空隊は空母撃滅に総力を注いでいる。予備の偵察機は弾着観測機や連絡機に割けるため、将兵と機材に暇を許さなかった。古賀はトラック島を空っぽにせよと総力戦の構えを徹底する。




「噴龍連続発射を開始! 飛んでいきます!」




「一号と二号、四号か。いくつ当たるか…」




「この戦争で航空機が爆弾と魚雷を運ぶようになりました。しかし、次の戦争には無人の航空機が自動的に運ぶのでしょう」




「私はそのころには隠居か墓の中だな」




 彼らの視線の先で島の一画から猛烈な煙が上がった。目にもとまらぬ速さで飛び立っていくは飛行爆弾や噴進弾と呼ばれる『噴龍』である。地対艦ミサイルの始祖と誕生した。日本の管轄する遠洋の島嶼部防衛に適した兵器だが、目標への誘導方式が確立されておらず、偵察機の無線誘導や模擬弾の信号誘導、赤外線誘導、逆探知誘導と多種多様である。これらを敢えて複雑に組み合わせることで妨害策を封じて命中率の底上げを図った。




 しかし、彼らが日米決戦を始めたころは爆撃機が爆弾と魚雷を運んで直撃させることが一般的になったばかり。それが無人の航空機が自動的に標的へ向かって突っ込むというのだ。わずか数年で戦争のあり方が一変することに胸中は複雑が否めない。今までのことが否定されるように思われたが同時に期待感も存在した。




「敵空襲に備えよ。高射砲は高空を睨め」




「はい」




 トラック島からの距離は約300kmである。噴龍の射程距離は短くても300kmのため射程圏内に収まった。一号と二号、四号の三種が一緒に発射される。一号は初期型の電波誘導型だ。パルスジェットエンジンの低速ながら安価でコストパフォーマンスに優れる。二号と四号に注意を向けさせないための囮役が与えられた。電波誘導は標的に電波発信装置を付ける必要がある。したがって、基地航空隊の陸攻が爆撃と称して徹甲爆弾を不発化の上で発信機を仕込んだ。模擬弾を用いるのが手っ取り早いが同じ手は二度も通用しない。リアリティを上げて排除される可能性を減らした。




 地対艦ミサイルの完成形として二号と四号が放たれる。これらは完全な誘導が与えられた。二号は赤外線シーカーを搭載して赤外線による索敵を行う。電波誘導は不要だが精度は荒かった。空母や戦艦の大型艦はキャッチできるが巡洋艦と駆逐艦の小型艦は難しい。さらに、火災が発生していると吸い込まれることが多々見受けられた。ここで四号の出番だろう。四号は小型の逆探を積載して敵艦が発するレーダー波をキャッチすると発信源に向かった。こちらも大型艦を優先的にキャッチするが巡洋艦と駆逐艦も狙うことができる。誘導が上手くいけばレーダーを破壊でき電子の目を奪えた。




「空襲は芳しくありません。雷撃を封じられてはどうしようもなく」




「仕方ない。急降下爆撃も簡単じゃないんだ。水平爆撃は博打だしな」




「練度でしょうか」




「いや、彼らの練度は十分だよ。ただ米艦隊の防空が進化している。グラマンの群れも厄介だ」




「烈風と零戦じゃ…」




「きっと空母の艦載機に道を開けているんだ。彼らが粘れば粘るほどに艦隊と敵機は疲弊する。戦闘に疲れたところに友軍空母の攻撃隊が殺到して本格的な攻撃を敢行する」




「は、はぁ。よくわかりません」




「俺もわかってない。なに、適当を吹いただけ…」




 正確な戦果確認などリアルタイムの生きた情報を得るべく百式司令部偵察機が飛行する。グラマンの群れに飲み込まれないか不安だが、友軍の陸攻隊と艦載機の迎撃に集中しており、高高度の百式司偵にかみつく余裕はなかった。航空雷撃を封じられた中で有効打を与えることは難しい。駆逐艦と巡洋艦の陣形が崩れたと雖も5インチ砲と40mmボフォース、20mmエリコン、12.7ブローニングは厄介だ。それ以前にグラマンの群れは護衛戦闘機を振り切って陸攻や艦攻に食らいついている。




「一式陸攻が行ったぞ! メモと写真だ!」




「あ、あれを…」




「早くしろ! 私的な感情は捨てろ!」




 彼らは被弾により炎上中の一式陸攻が爆撃を諦めて急降下爆撃の姿勢に入る様子を見た。一式陸攻に急降下爆撃能力は無いはず、いや、覚悟の肉弾攻撃を敢行している。一式陸攻は頑丈に変わって戦闘機の護衛を得てもパーフェクトゲームはあり得なかった。




「敵空母炎上! 飛行甲板が燃えています!」




「ガソリンが広がったか。あれならば…」




「後方より! 高速で接近中の飛翔物体! あれが例の新兵器!?」




「目をかっぴらけ! 手を動かせ! ライカを持ち出せ!」




 敵空母の飛行甲板で大火災が発生した直後にトラック島の方角から謎の高速飛翔物体が接近する。地対空ミサイルは開発中のため噂の新兵器こと地対艦ミサイルのはずだ。一号は最速600km/hだが二号と四号はロケットのため最速1000km/hに達したが誘導の都合で最速850km/hに抑えられる。これでもいかなる戦闘機よりも高速だった。




 米艦隊からすれば正体不明の飛行物体が迫ってくる。恐怖以外のなにでもなかった。特に肉弾攻撃を被って飛行甲板が大炎上中の空母ベロー・ウッドは作業の手が止まる。米海軍のダメージコントロールは洗練されているが、結局のところ、人の手に依るため、ショッキングな出来事を目の当たりにして硬直を強いられた。




「謎の航空機が突っ込んでくる!」




「迎撃しろ!」




「ダメです! 速すぎて照準が追いつきません!」




「信管も機能せず!」




「あ、あれは。聞いたことがある。高速で突っ込んでくる…爆弾だ!」




 ベロー・ウッドの燃え盛る様子が引き寄せてしまう。飛行甲板と銃座にかけて集中的かつ連続的に被弾した。内部から膨張するように炸裂して聞くに堪えたない金属の軋む音が支配する。彼女は内部から破滅的な大爆発を引き起こして沈黙した。




「やったぞ! 空母1隻を無力化した!」




「どんどん行け! 血祭りだ!」




続く

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