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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第110話 インド解放の槍

第110話 インド解放の槍


「自由インド樹立のため大日本機甲部隊は突撃を開始する!」




 つい先日の話である。




 自由インド政府は「英領インド帝国を正式なインドと認めない」と発表した。それと同時に大日本帝国と合わせて連合国に宣戦を布告する。インドの戦いは日本と連合国の戦争という認識が一般的だが、あくまでも、インドの内戦である旨を主張することで有耶無耶を敷いた。仮に大日本帝国の戦車が大量に流れ込んでも内戦なのだから。




 それはさておき、石原莞爾の一声で動いた。




 快速戦車と自走砲の群れがインドの高地になだれ込む。彼は戦車など機械化を軽視していたと言われるが全くの誤りと断じた。国産戦車開発に固執するようであり、ドイツ製品の輸入から複製、日本のお家芸である独自の国産化を図る。日本の工業力では難しいところも中華民国の工場化改造で解決を試みた。ドイツの工業力にして芸術品は無理に模倣せず日本に適合する形の独自品を組み込む。




 日本戦車がブリキの玩具でないことを知らしめるがイギリス軍も愚かでなかった。




 敵もまた学習している。




「火力の集中! 砲撃と銃撃は止めるな! 足も止めるな!」




「対戦車砲陣地! 衝撃に備え! 弾は榴弾!」




「装甲を張れ!」




「四号車が行動不能!」




「追加装甲を張ってもダメか。脱出しろ!」




「敵機関銃陣地があって離れることが!」




「砲撃を要請! 繰り返す! 砲撃を要請する! 座標は!」




 イギリス軍はフランス解放からドイツ直接侵攻の切り札とする17ポンド対戦車砲を持ち出した。これは2ポンド砲や6ポンド砲の威力不足が顕著とドイツ軍の新型戦車に対抗すべく開発される。北アフリカ戦線にティーガーⅠが出現すると大量生産に入った。新型徹甲弾の登場から本領発揮であるが既に高い貫徹力を有する。日本軍の中戦車を撃破するに十分すぎる威力を発揮した。現場改造の追加装甲を張っても焼け石に水である。




 日本軍の主力中戦車はドイツ軍四号戦車を倣った。砲戦車から発展する格好でマイナーチェンジを繰り返している。現在は最終生産型と長砲身75mm戦車砲を備え、装甲は最大75mmであり、統制エンジンから最高時速45キロを発揮した。攻撃と防御を両立して走力も確保した優れたバランスだが、同世代の四号戦車後期型やT-34、M4と比べて突出はしていない。オーストラリアにてM4と戦闘した車両は互角を見せたが被害は少なくなかった。今日の戦闘では17ポンド砲に滅多打ちにされている。




「世話の焼ける中戦車たちだ。ここは新型に任せな」




「なんだ。ありゃ、見たことが無い」




「そりゃそうだ。六号戦車に隠れていたからな。これこそ大日本帝国の重戦車!」




「中戦車隊は重戦車に道を譲れ。我々が穴を開ける。あとは分かっているな」




「さっさと来てくれたら…反撃だ!」




「四式重戦車チリ見参!」




 ここで救世主登場と言わんばかりだ。中戦車隊の突破が進んでいないことに業を煮やしたのか切り札に対抗する切り札が投じられる。切り札というのは出さなければ意味を為さなかった。17ポンド砲を受け付けぬ装甲と敵陣に穴を開けられる火砲が求められる。彼らの要求に対する答えは国産の重戦車が与えられた。




 日本陸軍において重戦車は不要と言う論調が多数派である。中戦車の快速を以て迅速に突破して食い広がるだけだ。仮に強力な敵戦車や敵陣地が阻んでくる場合は自走砲の出番である。野砲と重砲の機械化を推し進めたことで砲撃支援を直ぐに受けられた。重戦車が大火力と重装甲を押し立てるまでもない。日本陸軍が仮想敵国としたソ連のKV重戦車やIS重戦車と対照的だった。とはいえ、ドイツ軍のティーガーⅠやソ連軍のKV-1とKV-2の活躍は無視できない。




 したがって、研究用と称してティーガーⅠの試作型を割安で購入した。これから技術を吸収して次世代型に活用する。88mm戦車砲は当たり前と置き、トーションバー式サスペンション、ガソリンエンジン、変速機など学ぶ点は多かった。ティーガーⅠは意外と古典的な設計だが目新しい部分もあり教材としては素晴らしい。遂には模倣と言いながら独自開発の六号戦車『皇虎』を送り出した。ティーガーⅠ同様に足回りに弱点を抱える。多少は改善しているがインドの大地を走破するに不安は拭えなかった。




「俺たちの頭は鋳造されている。どんなに強力な徹甲弾も弾いてやる」




「弾は?」




「榴弾。この距離なら榴弾で押し潰せる」




「了解しました」




「目標は対戦車砲陣地だ。あれだけの威力だ。よく見える」




「チハやチヘとは違うんだよ。ジョンブルさん」




 既存の中戦車を拡大する方向より事実上の重戦車が新造される。日本陸軍の伝統に則れば重戦車の「ジ」が付くはずだ。重戦車不要論の中で捻じ込むべく、中戦車の枠組みに含めようと知恵を働かせ、小賢しくも中戦車の「チ」の系譜にある。しかし、大口径砲と重装甲、強力なエンジンから車体はティーガーⅠに匹敵した。砲塔は半自動装填装置の搭載から肥大化を余儀なくされる。その見た目は十分に重戦車と言って差し支えなかった。




「撃て!」




「ひゃ~元がカノン砲だから反動が凄まじい」




「無駄口を叩くな。さっさと込めろ」




「半自動装填装置のおかげですわ。軽口が止まりません。こいつの速射と一緒!」




「まったく、車内だけにしておけ」




「えぇえぇ。ホントに楽しい職場です!」




 四式重戦車(又は中戦車)ことチリ車は新機軸の詰め合わせ。特徴的な大型砲塔は曲面を多用して空気抵抗でも意識しているのか問いたくなった。その答えは全面的な鋳造砲塔の採用である。鋳造の利点は安価で大量生産に適する上に被弾経始を確保できた。ソ連製戦車の大半が鋳造砲塔を採用して丸みを帯びた形状をしている。




 そんな鋳造砲塔の中には新式の試製10cm戦車砲が込められた。九二式十糎加農砲を素体に戦車砲改造が行われ、良好な低伸弾頭に長射程は戦車砲に丁度良い。88mm高射砲を採用する案も存在した。六号戦車と差別化するため大口径砲を志向する。カノン砲のため装填作業は重労働を極めた。日本人の体格もあって努力や精神力ではどうにもならない。




 半自動装填装置の開発が試みられた。装填作業の一部簡略化に成功する。半自動のため装填手は常駐して砲塔も大型化するなど完成度は高くなかった。将来的には完全なる自動装填を目指しベルト式やリボルバー式を研究している。チリは105mm弾を三連射する威力を秘めた。三連射しかできないと見るか三連射もできると見るかの視点が分かれるところ。




「小気味いい音がする。傾斜装甲に鋳造砲塔は楽器だな」




「敵が撃って来ないと鳴りませんがね。ガンガンゆすられては堪りません」




「今までは被弾が命取りだった。技術の進歩ってのはすごい」




「感嘆している暇はない。三連射を叩き込んだらすぐに突貫だ」




「うるさくなりますがご勘弁を」




 先述した鋳造砲塔は敵砲弾を滑らせることで防御力を発揮した。その一方で車体は曲面を施すことが難しい。ティーガーⅠでさえ垂直面を多用した代わりに100mmと厚みを施した。チリは開発者が欧州情勢をよく観察したことでT-34やパンター、M4と似た傾斜装甲を採用する。その装甲厚は80mmだが傾斜のおかげで高い防御力を有した。さらに、ドイツ仕込みの焼入れ処理を加えることで数値以上に堅牢である。鋳造砲塔と同じく被弾経始を活かして17ポンド砲から放たれた徹甲弾を次々と弾き返した。




「アクセルを踏み抜きますよ。しっかりと捕まってください」




 日本最強の戦車と誕生した故にエンジンも相応に強力でなければ動かない。これまで日本戦車はガソリンエンジンとディーゼルエンジンを併用せざるを得なかった。チリは大出力の700馬力ガソリンエンジンを採用する。元々は航空機用の液冷V型12気筒エンジンを戦車用に直した。エンジンの大出力に加えて懸架装置は改良型のダブルトーションバーを採用して非常に優秀な地形追従能力を得ている。インドの荒地を迅速に突破できるが整備性や生産性に難が残った。




「震えろ! 竦め! 性能を活かせず死んでいけ!」




 日本がティーガーⅠを上回る重戦車を送り出す。




 戦車後進国はもういなかった。




続く

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