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聖女じゃないのに正常じゃない毎日

聖女じゃないのに正常じゃない日常-聖女じゃない私と黒い森の謎

作者: サッカ9
掲載日:2024/11/26

私はレイラ。

聖女じゃないけど、なんか最近「聖女扱い」されることが増えている。

魔法が少しだけ使えるだけの田舎の平民なのに、なんでだろうね?

私はレイラ。

聖女じゃないけど、なんか最近「聖女扱い」されることが増えている。

魔法が少しだけ使えるだけの田舎の平民なのに、なんでだろうね?


そんな私、今日も畑で働いていた。

冬の間に溜め込んだ土を耕し、夏の準備をする大事な日。


「レイラ! 領主様が呼んでるぞ!」


村の青年が走ってきて、私を呼ぶ。

領主様が呼ぶって、嫌な予感しかしない。


領主館に向かうと、領主様が眉をひそめながら私を迎える。

なんでも、村の近くにある「黒い森」で奇妙な事件が起きているらしい。


「森に入った家畜が戻らないんだ。それに、人も数人行方不明になっている」


「私に何をしろって言うんですか?」


「聖女なら呪いを解けるかもしれない、と思ってな」


聖女じゃないって言ってるのに…。


しかし、村人が困っているのを放っておけないのが私の性格だ。


「分かりました、行きます。でも危険なら逃げますよ!」


翌日、森の入り口で村の猟師ジミーと合流。彼が案内役だ。


「レイラ、あまり奥に行かないほうがいいぞ。

この森は呪われているって昔から言われてる」


「でも原因が分からないと困るんでしょ?」


「そうだけどな…」


森の中は湿っぽく、異様な静けさが漂っている。葉の揺れる音ひとつ聞こえない。


しばらく進むと、地面に散らばった動物の骨を見つけた。

何か大きな捕食者がいるのか?と思った瞬間、背後から低い唸り声が聞こえた。


「ジミー! 後ろ!」


振り返ると、漆黒の毛皮を持つ巨大な狼が私たちを睨んでいた。

その目は血のように赤く、普通の動物とは明らかに違う。



ジミーが弓を構えるが、狼は驚異的な速さで襲いかかる。

私は反射的に魔法を使い、狼の動きを一瞬止めた。

その隙にジミーが矢を放ち、狼を追い払う。


「レイラ、今の魔法、すごかったな」


「ただの気まぐれだよ。それより、あの狼は普通じゃない…」


さらに奥へ進むと、森の中心に不気味な古い祠が現れる。

その周囲には、黒い霧が漂い、生き物が寄り付けない空気が漂っていた。


「ここが原因だな…でも、どうやってこれを解くんだ?」



祠の中を調べると、古びた石板が見つかる。

そこには「森を守るための契約」のようなものが書かれていた。


かつてこの森は精霊たちが住む場所で、村人たちはその恩恵を受けていた。

しかし、精霊との契約を破ったために呪いが生じたらしい。


「これ、どうすればいいの?」


その時、黒い霧が形を変え、人の姿となった。

長い白髪と透けるような体を持つ女性が、私を見下ろしていた。


「契約を破った者たちがこの森を汚した。我々の怒りを鎮めるには…」


精霊は、呪いを解くためには「精霊の心を繋ぎ止める存在」が必要だと言う。

それができるのは「聖女」の力だというのだ。


「いやいや、だから私、聖女じゃないんですよ!」


「だが、お前は他者を想う力を持っている。それが精霊の心を動かすかもしれぬ」


仕方なく、私は精霊たちに語りかけることにした。

森を守りたい、村を救いたい、そして自分にできることはしたいと願いを込める。


精霊たちは静かに耳を傾け、最後に一言だけ呟いた。


「お前の願いを聞き入れよう。ただし、再び契約を破れば次は無い」


精霊が消えると同時に、森を覆っていた黒い霧が晴れる。

先ほどの狼も姿を消し、祠の中の空気が温かく感じられた。


「レイラ、お前、本当に聖女なんじゃないか?」


「違うってば! ただ、精霊が優しかっただけだよ」




村に戻ると、行方不明だった村人たちも無事に帰還していた。

みんなから「聖女様!」と呼ばれたけど、やっぱり違うんだよな…。


「レイラ、お前がいてくれて本当に助かった」


「もう、こういうの勘弁してほしいんだけど」


それでも、困った人を見て見ぬふりができない自分がいる。

だから私は、またどこかで「聖女じゃないけど頑張る」んだろうな。

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