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親友をとられた

作者: 千福千結

 親友とは、いつからこんなに違う風景を見ていたのだろう。

最初は些細な違和感だった。

高校に入学したばかりの頃、私たちはいつも一緒だった。

クラスが始まる前、休み時間、帰り道一まるでその時間が当然のもののように、私たちは一緒に過ごした。

親友と私は、何も言わなくてもお互いの考えていることが分かる、そんな関係だとじていた。


 けれど、最近になって少しずつ、その「当たり前」が崩れ始めた。

クラスで席替えをし、親友の隣にあの子が座るようになった。

あの子は明るくて、誰とでもすぐに仲良くなれ

る。

私にないものをたくさん持っている子だ。最初は何も気にしていなかった。

親友が誰と話しても、それは自然なことだと思っていた。


 でも、ある日、ふと気づいた。

親友が私の方を見ていないことに。私たちがー緒に笑い合う回数が減り、代わりにあの子と過ごす時間が増えていく。

気づくと、親友と私の間に無言の隙間が生まれていた。


 頭ではわかっている。

親友は私の「所有物」ではない。

誰と仲良くしようと、それは親友の自由だし、私がそれに干渉する権利なんてない。

それでも、心が追いつかない。

親友とあの子が並んで楽しそうに話している姿を見るたび、胸がきゅつと締め付けられる。

これが「嫉妬」だと、自分でも分かっている。

だけど、その感情をどうすればいいのか分からない。

親友は変わらず、私に優しく接してくれる。

私と話すとき、以前と同じ笑顔を見せてくれる。でも、あの子と話すときの親友は、私が知らない表情をしている。

まるで、親友の世界に私の知らない何かが入り込んでしまったような気がして、居心地が悪い。

怖い。正直、この気持ちを伝えるのは怖い。

それでも、このまま自分の中に押し込めておく方が、もっと怖い気がする。

勇気を出して、親友に話してみよう。

そうすれば、きっと私たちはまた、あの頃のように素直に笑い合えるはずだ。

もしかしたら、今よりもつと強い絆を作ることができるかもしれない。


壁は自分の中にある。それを壊すのは、私自身の役目だ。

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