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第22話 守護者。

20話を越えたら、無性に新しい小説を書きたくなるのは何でだろ・・・・。



「くらえッ!!」



三人の魔法が、再び俺とカナデちゃんを襲った。



「瞬転!!」



ギリギリの所でそれを回避する俺たち。



「はぁ・・・・はぁ・・・・・」



三人はそれに舌打ちしながらも、まるで勝ちを悟ったように余裕の表情を見せた。



「さすがのカナデといえど、瞬転の使いすぎだよね」


「そうですわね。固有魔法は、それの魔力消費量はかなりのもののはずですから」



「・・・・・・これで終わり」



そんな三人の言葉に、カナデちゃんは悔しそうに唇を噛んだ。



「・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・・まだ、大丈夫だもん」



強がってはいるが、俺から見てもカナデちゃんに相当の負担がかかっていることは分かる。



固有魔法ーーーー確か、生まれつき、その人しか使えない特別な魔法だったはず。



火を起こす魔法が1とするならば、この固有魔法というのは100も消費してしまう、いわば諸刃の剣のようなものだ・・・・・・と、本で読んだ。



カナデちゃんは、今日少なくとも4回はそれを使っているはずだから、体にかかる負担は相当なものであろう。



これ以上、カナデちゃんに負担をかけたくない。



俺は軽く息をはいて、先ほど頭の中に響いた言葉に従うことにした。



その間にも三人は魔法の矢を形成しながら、それをこちらに向けてくる。



「・・・・・俺たちをッ!!」



それを、横に飛び、瞬転の魔法なしでなんとか回避した。



もちろん、カナデちゃんを片手に抱えて。



「・・・・・守れッ!!」


言葉とともに、櫃が震え、凄まじい光を放った。



『さすがだね。君なら、私の作ったものを扱えると思ったけどこうも相性がいいなんて・・・・・まぁ、とりあえず適当に頑張ってね〜』



そんな声が頭に響く。



それが誰かなんて考える前に、光は止み、気がつくと俺の右手の中指には金色〈こんじき〉の指輪がはまっていた。






☆☆☆☆






「なッ!?・・・・・あれは・・・・」



俺の指に突如出現したものを見て、ボーイッシュガールは目を丸くした。



「リョウ・・・・・それってまさか・・・・至高の魔具〈アルテマウェポン〉?」



カナデちゃんも、驚いたように俺の指にはまっているそれを凝視する。



「・・・・・・・形、放たれる魔力から見ても、間違いない」



「ふんッ!上等ですわ。わたくしの力をもってすれば、そんなもの!」



「ッッ!?レイカ、やめろ!!」



ボーイッシュガールが金髪を止めようとするが、猪突猛進な性格なのか、それを無視して俺たちの方に突撃してくる金髪。



全身に強化の魔法でもかけているのか、かなりのスピードでこちらに向かってくる。



このままタックルでもされたら、間違いなく俺とカナデちゃんは気絶するだろう。



特に、体を鍛えていた俺ならともかく、カナデちゃんの体では、どんな怪我をしてしまうかわからない。



俺はカナデちゃんを背中に庇いながら、腕を交差させて守りの体勢に入る。



『威力、A級の攻撃を確認。カウンターを発動します』



すると、指輪から声のようなものが聞こえた。



瞬間、俺とカナデちゃんを中心に、薄い膜のようなものが展開される。



まるで、大きなシャボン玉の中にいるような感じだ。


「・・・・・・!!?きゃぁっ!!」



それを思い切り殴った金髪は、弾かれたように吹き飛ばされた。



それを見た残りの二人は、悔しそうな顔をして、呪文詠唱を始めた。



「「意志は火に、熱く、ただ熱く。燃えたぎる業火となれ!」」



今、彼女たちが唱えた魔法は俺でも知っている。



最高位の火の呪文、獄炎。


それは上位種の、龍の息吹〈ドラゴンブレス〉に勝とも劣らない究極呪文の一つ。



「ちょっ!?こんなとこでそんなもんーーーーー」



突っ込む間もなく、俺とカナデちゃんを大きな火の塊が襲う。



『SS級の魔力を感知。魔力無効〈マジックキャンセラー〉を実行します』



しかし、俺の心配も杞憂で終わった。


あれほど大きかった火の塊が、指輪から展開された蒼白く透明な壁によって“かき消された”のだ。



「くっ・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」



ボーイッシュガールは息を荒げながら、床に膝をついた。



どうやら今ので魔力をかなり消費したらしい。



「ホッホッホ、そこまでじゃ若いの」



すると、魔方陣の上に新たな人影が。



四人分のその人影の内、一人は見覚えがある。



「・・・・・・ムーたん遅い」



それを見たカナデちゃんが、安堵したように呟いた。


「ほれ見ろはねっかえり三人娘。このザマじゃねぇか」



他の三人は初めて見る人物だ。



老婆が三人。たぶんだが、彼女たちが他の“七人”であるのは間違いないと思う。



なんせ纏っている雰囲気が、その辺の人と全然違う。


てか、三人とも顔そっくりだな。姉妹か?



「それにしても、至高の魔具〈アルテマウェポン〉とはのぉ。しかも、一番厄介な守護の指輪ときた」



「まぁ、姉ちゃん。バカな三人娘にいいお灸になったんだ。厄介とは言うまい」


「ホッホッホ、そうじゃな」



さて、ここからは老人特有の長い長い話になるので、俺が簡単にまとめてみよう。



まず、この老婆たちの正体。



それは、俺が思った通り七人の内の三人であった。



なんと、その年齢425歳。


まさに化け物である。



ちなみに三人は三つ子なんだとか。顔が似ていたのはそのせいだった。



とりあえず、三人の老婆は俺の実力を計るために三人娘を差し向けたんだとか。


結果、予想外なことに至高の魔具〈アルテマウェポン〉が出てきて、三人娘にはかなりきついだろうということで、その姿を現したそうだ。



まぁ、つまり。俺たちは、この老婆たちの手の上で踊ってたということだ。



意外ととフレンドリーで、なかなか憎めないキャラを持っていたので、俺はどうこう考えるのを止めた。



あと、この指輪についても教えてもらった。



この指輪の名は、守護者〈ガーディアン〉。



ありとあらゆるものから、指輪の所有者と、その仲間を守る最強の盾らしい。



俺はそんな凄いものを金貨5枚と、ちょっとした情報で手に入れたのだ。



かなり運がいいな。



何か、運を使いきった感は否めないが・・・・・仕方ないだろ。



「ところでお主・・・・・いや、今は語るまい。どうせ近い未来に出会うであろう」



最後に、そんなとても気になる言葉を残していった老婆。



この時はさすがにイラッとしたね。



「・・・・・・・・」



で、部屋に残された俺たちではあったが、俺とカナデちゃんを襲撃した三人のせいでとても空気が悪い。



早く出ていってくれないかなぁ。



「・・・・ねぇ」



と、突然ボーイッシュガールが口を開いた。



「なんで、カナデなんかとそんなに仲良くしてるの?」



仲良く・・・・?



あぁ、カナデは疲れ切ったのか、今は俺の膝枕で熟睡中である。



「友達だから、仲良くして当たり前だろ?」



俺がそう言うと、ボーイッシュガールは悲しそうに俯いた。



「私、この塔から出たことないし。友達なんかいない」



・・・・・何言ってんだ、コイツ。



「じゃあ、君の両隣にいる二人は何なんだ?友達じゃないのか?」



ハッと左右を見るボーイッシュガール。



いまさら気づいたのか・・・・・。



「私には、友達がいたの?」



「いや、いるじゃん。なんだ、横の二人も。そんな驚いたような顔をして」



こいつら三人は揃いも揃って・・・・・お互いのことを何だと思っていたんだろうか。



まぁ、雰囲気もなかなか柔らかくなったし、時間的にそろそろ帰らないとまずいな。



「ムーたん。俺、そろそろ帰りたいんだけど」



「・・・・・・・・わかりました。お見送りさせていただきます」



そんなあからさまに悲しそうな顔しないでくれよ・・・・・。



「別に、もう二度と会えなくなるわけじゃないんだしさ」



俺はカナデの頭をそっと膝から降ろし、立ち上がった。



「では、こちらへ」



ムーたんのあとに続きながら、俺は魔方陣の上に足を乗せる。



「あ、あのっ!!」



そんな俺に、ボーイッシュガールが声をかけてきた。


「き、気づかせてくれてありがとう。私のまわりには、二人も友達がいることに」



「・・・・・・気がすんだなら、もうカナデちゃんを虐めたりすんなよ?」



「うん。わかった」



「仕方ないですわね。これからは、気がむいた時には一緒に遊んであげますわ」


「・・・・・・・同じく」


俺は三人の言葉を聞いて、一つ頷く。



きっと、友達がいないと思っていた三人は、仲のいいメイドのムーたんがいるカナデちゃんが羨ましかったに違いない。



それでカナデを虐めたりしてさ。



まぁ、同じ人として、その気持ちはわからないこともない。



「んじゃあ、元気でな」



俺は笑いながら、三人に手を振った。



やっぱり、友達がいるかいないかでかなり違ってくるんだなと改めて実感しながら、その場を後にした。






☆☆☆☆






Side 三人娘



「な・・・・なんですの・・・今の笑顔は」



「もしかして、二人とも同じこと感じた?」



「・・・・・・・(コクッ)」



三人は、異様な頬の熱さに、わけがわからなくなる。


初めて出会った男性。



そんな男性の笑顔に、まったく免疫がない三人は、一目惚れという名の恋に落ちた。



彼女たちがその気持ちに気づくのには、まだ少しばかりの時間がかかるのであった 。




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