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第11話 新友。

タイトルの字が違うのは、わざとですよ〜。    またぐだぐだ感が・・・。





街中を猫耳のメイドを連れて歩く俺はいったい何なんだろうか。



これ、ある種の罰ゲームだろ・・・・。



さっきから精神がすごい勢いで削られていて、そろそろ限界に近い。



「ママ、あのメイドさん、猫耳つけてるよ?」



「シッ、見ちゃいけません!」



獣人のメイドはそんなに珍しいのか。先程から奇異の視線がブスブスと刺さって痛い。・・・・・・なぜか俺に。



当の本人である馬鹿力猫耳メイドより、俺の方に視線が集中しているのはなぜだろうか。



「・・・・・ここが泊まってる宿ね」



「はいっ!ご主人様のお師匠様に許可をもらうんですよねっ!」



「・・・・・・うん」



俺たちが泊まってる宿、『夢の揺りかご』の前に到着した時には、俺の精神ライフゲージは、既にレッドゾーンに突入していた。






☆☆☆☆






「実は私、勇者を守護する一族なんですけど・・・・」



馬鹿力猫耳メイドの彼女・・・・・・名前はユウリと言ったか。



裏路地から脱出してすぐに、ユウリはそんなことを言い出した。



「あなたからは、勇者の波動を感じます。だから・・・・・私をあなたに仕えさせて下さいっ!」



「・・・・・・・勇者の波動?」



「はいっ!もうそれは、他の勇者様たちに負けないくらいの波動を!」



やばい。突然の電波発言に、俺はどう対処したらいいのか・・・・。



よし、ここは逃げよ『ガシッ』・・・・・・・。しっかりと手を掴まれました。



「い、いきなりどうした・・・・・?」



「いえ、なんとなく」



そんな満面の笑みで答えられても・・・・。



コイツは、人の心でも読めるのか?



「はぁ・・・・・・・一つ言っとくけど、俺は勇者なんて大それたものじゃないからな?」



諭すように、はっきりと言ってやる。



「・・・・・・・そう、ですか・・・・」



俺の言葉に、見るからにガックリと肩を落とすユウリ。



「・・・・でも、最終的には勇者と同じかもな」



「・・・・・・・??」



頭に?を浮かべながら、首を傾げるユウリ。



「いや、俺たちが目指すものも魔王を倒すことだからさ。結局は他の勇者たちと同じことやってるんじゃないかなぁって」



悲しそうなユウリの顔を見てたら、知らず知らずの内にそんな言葉が口から出ていた。



「・・・・じゃあ、やっぱり勇者様なんですね!?」


そんなユウリの言葉に、俺は苦笑する。



「だから違うって。・・・・・俺はただ、友達を護りたいだけなんだよ」



「友達を、護る?」



「うん。第一、勇者って呼ばれるほど正義感があるってわけでもないしね。それに俺、強くもないし、格好よくもないし」



俺の知識の中にある、勇者のイメージを口にしてみて、改めて理解した。



自分のちっぽけさに。



そんな自分が、魔王という大きな存在を倒そうなどと思っている愚かさに。



でも、それでも、初めて出来た友達との約束くらい守ってみせようと思う。



俺の友達を脅かすかもしれない存在から、あの二人を護ってみせようと思う。



それだけが、俺に出来る“全て”なのだから。



「そう、ですか・・・・・・・・」



突然、ピタッと立ち止まるユウリ。



「だからさ。俺なんかじゃなくて、本物の勇者を手助けしてやってよ。きっと、その方がユウリの為でもあるからさ」



俺がそう言うと、ユウリはコクッと頷いた。



わかってくれたみたいだな。そう思いかけたのも束の間・・・。



「・・・・決めました。私、ご主人様に一生仕えます!」



ユウリは大声でそう宣言しやがった。



・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと待て。今、なんて言ったんだおい。



俺は、頬を引きつらせながら、「念のためにもう一度言ってみてくれ」、と質問する。



「・・・・?ご主人様に一生仕えます・・・って、何度も言わせないで下さいよぉ!」



そんなに言いたくないなら、何故言ったし・・・・・。



「は、話が唐突すぎて・・・・・・・」



「だって、ご主人様、優しいです。私の為を思って、勇者じゃない、なんて言ったんですよね?」



「いや、だから俺は勇者なんかじゃ・・・・」



「そんなことはありません」



・・・・・やばい。なんか話が噛み合わない・・・・・・。



「少なくとも、私はご主人様を勇者だと思っています」



「・・・・なんで、そこまで俺にこだわるんだ?」



「そうですね・・・・・実は、自分でもよくわからないんです」



クスクスッと笑うユウリ。


そんなユウリの態度に、俺は大きくため息をついた。


そんな風に笑われたら、無下に断ることができないじゃないか・・・・。



「でも、一つだけはっきりとしていることがあります」



ユウリはそう言って、すぅ、と何度か深呼吸を繰り返した。



気のせいか、ユウリの頬がほんのり赤くなっているきがする。



「私はご主人様の側にいたい。ただ、そう思ったんです」



街中の喧騒が一気に消え去った。



まるで告白じみたことを言われて、俺の頭のなかは真っ白になっている。



何を隠そう、彼女いない暦=年齢のリョウはとてつもない衝撃を受けていた。



顔はまるで茹で上がったタコのように赤くなり、胸の鼓動は、どんどんスピードを上げていく。



(お、落ち着け、落ち着くんだ俺・・・・)



なんとか落ち着いてはきたものの、頬はまだ熱を持っている。



「だから、主従関係がいやなら友達とかでも構いませんから、側にいさせてくださいっ!」



なるほど、友達とかとして、ね。



あははは、と乾いた笑いが口から出た。



まったく、俺は何を期待してたんだろうか。



ふぅ、と息をついて、今すぐ布団か何かに潜り込みたい気持ちを抑えつつ、ユウリの言葉に返答する。



「友達、ってことならいいけど」



俺がそう言うと、ユウリは顔一杯に笑顔の花を咲かせた。



「本当ですかっ!私、とっても嬉しいですっ!」



そんなユウリの笑顔を見ながら、フィオやリリアにはなんて説明しようか、と考えはじめたリョウ。



(まぁ、新しい女友達が増えるわけだし、二人としても嬉しいだろ)



勝手にそう決めつけ、一人頷く。



ユウリに、これから他の旅仲間を紹介する旨を伝え、宿に向かおうとした時、初めて気付いた。



自分達を野次馬が囲っていることに。



たぶんだが、一連の出来事は、野次馬たちの記憶に刻まれ、酒の肴になるだろう。



俺はユウリの手を掴み、逃げるようにその場を去ったのだった。






☆☆☆☆






「と、いうわけで・・・・・・」



「な、に、が、というわけなのじゃ?もっと詳しく説明せんか!」



「・・・・・・」



ブンッ、ブンッ!



・・・・フィオが意味ありげに屶を素振りしているのはなぜだろうか。しかも、無言ってのは滅茶苦茶怖い。



なぜかわからないが、俺がユウリを連れてきた途端、部屋の空気が重くなった。


街に来る前より状況は悪くなっている。一人で買い物に行ったのがダメだったのだろうか。



「二人とも、リョウ様を困らせるのはやめてくださいっ!」



ギロッ!



リリアとフィオから睨まれたせいか、ジトッと嫌な汗が出てくる。



今なら、蛇に睨まれたカエルの気持ちがわかる気がするな・・・・・。



てゆうか、二人はなぜ俺を睨むんだ?意味がわからん・・・・。



「リョウ、つまりなんだの。これから、コヤツも交えて旅をするってことでいいんじゃな?」



「・・・・・そう、なるな」



一応端的な説明はしたのだ。



ユウリが俺を勇者と間違えて、それから色々あっていまに至る、と。



リリアはそれをやっと理解してくれたらしい。



「んじゃあユウリ、自己紹介」



いまさらだが、ユウリには自己紹介をしてもらおう。


「皆さん、先程リョウ様と友達になったユウリ・ルヴ・ブルネーイという者です。特技は、料理と家事全般です!これから、よろしくお願いしますねっ!」



そう言ってユウリが頭を下げると、二人は渋々といった感じで「よろしく」と返事をした。



・・・・二人がユウリに嫉妬しているように見えるのは、俺の気のせいだろうか。



確かにユウリは、二人と違って料理は出来るし家事も出来るし、猫耳だし、巨乳だ「あ、手が滑りました」『ストンッ! 』・・・・・・・・・あ、危ねぇ・・・・。



突然、フィオの手から屶がすっぽ抜けて俺の方に飛んできた。



ギリギリで避けれたものの、直撃していたら、俺の後ろの壁のように屶がサックリと刺さっていたに違いない。



「い、いきなり何するんだよっ!」



「ごめんなさい。何かリョウが失礼なことを考えていた気がしたんですけど」



そんなフィオの言葉に、「そ、そんなわけないだろ?」と反論する。



(こ、コイツ、人の心が読めるのか?・・・・・ま、まさかな・・・・でも、念の為・・・・・・訂正。“フィオは”貧乳ではないっと)



「さて、と。フィオと・・・・・ユウリ、だったかの。何か食べ物を買ってきてくれんか?今日はこの部屋でパァッとやろうと思うとるからの」



「はい、マスター」



「え、えっと、リリアさん・・・・でいいんですよね?わかりましたっ!」



リリアの一言で、ササッと部屋から出ていく二人。



「あ、荷物あるだろうし俺も」



ガシッ!



二人を追い掛けようと足を踏み出すと、リリアから手を掴まれた。



「誰が、貧乳かのぉ?・・・・・・リョウ、少しばかり、お話し、しようか?」


その日、リョウの心の中にある決意が生まれた。



嘘でも、女の人の悪口(特にリリアとフィオの)は絶対に考えないようにしよう、と。




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