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9話 悪魔との対話

9話 悪魔との対話


・目の前に現れた悪魔は長身でとても大きく3メートル以上の高さがあった。

海外の人間で言うところのギガントに見えた。タケルは海外の都市伝説の〈スレンダーマン〉を、

思い出しかなり動揺したが、小暮犀太と目を合わせると、彼は言った。


「タケル君、どうやらこの悪魔には〈知性がある〉ようだ。私たちに近づいたのにも、

もしかしたら理由があるのかも知れない。今回は〈金の焔〉の出番はなさそうだ。

しかしまだ油断すべきではないだろう。」


犀太は言うと悪魔に話しかけた。


「あなたは何の目的があって、私たちにtを取ったのですか?私たちの組織は、

悪魔とは取引していないし、むしろ組織全体で嫌っているような団体なのですが」


生まれた初めて見る長身の悪魔は、まるで仏陀や半跏思惟像のような涼しげで不思議な、

高貴な身分を思わせる思慮深げな表情をしていた。


(えっ全然悪魔に見えない。寧ろ神々しいような尊いような……)


悪魔は言った。


「いや今回君たち二人にコンタクトを取ったのは、君たちの組織がちゃんと、

〈上位次元の高次存在〉との交流に理解を示していたからだ。実はrealを超えた、

上位存在には明確な寿命がない。言ってみれば不死だ。インドの神々のように、

ある物語では死にまた別の物語では生き続け姿を変えて生まれ続ける……、

ある程度詳しく知る人の間では、RPGや人間のように一定の寿命やHPで規定できる、

ような底の浅い存在ではないのだよ。我々悪魔は」


悪魔はインド神話の話をしているらしかった。人には誰にでも〈死の恐怖〉があるが、

彼ら悪魔にはそれらの概念はないように見えた。悪魔には〈──捧げる〉と言う、

意味合いがあるが……


悪魔は言った。

「私がここに来て君たち二人と話し合いに来た本当の理由は、明確に世界の基軸が、

違う分岐点に立つ、言わば〈日本神話で言うところの坂道・逢魔が時〉に来ていると、

言うことなのだよ。今まで私たちは〈物質文明を謳歌していた〉。realとその二つ上の、

上位存在である〈火の元素・passion/energy〉……、この二つの力だけが人類皆のreal、

において力を持ってきた。Jesus=キリストとBuddha=仏陀は共に金星と火星を象徴している、

らしい。金星=Venusには〈目立ちたい=starになりたい〉という欲求が有り、火星=Mars、

には単純に〈楽しみたい・お喋りしたい〉という欲求があるそうだ。人類の多くはreal、

を誤解・捏造して現代に至っている。〈共通理解・共通認識〉これらの人としては普通に、

持つべき資質をあまりにいい加減に扱ってきた。今社会はinternetによって情報化された、

言わば〈angelの情報化社会〉への流れを一層強くしている。今時代はpowerではなく、

言えば分かる〈information優位世界線〉へと移ろうとしている。今世界は明確に、

Tarot cardの〈13/Death〉の時代に入った。人間は今体を動かす高揚感を捨て話せば、

分かる誰でも出来るの〈MarsのGEAM世界、すぐに伝わる情報化社会〉へと世界の位相を、

替えるべき時代に来ている。自分たちが何か特別な〈Venusのsuper starの力を〉持って、

いるという誤解を解き、キチンと論理立てて事に当たれば〈誰でもひとかどの者に〉、

なれると言う《誤解・無理解の○○の壁》──、ここを越えるため、私の一心の世界を、

救いたい気持ちの受け皿として君たち二人に私はコンタクトしに来たんだ」


犀太は黙って冷静に聞いていたが、こんなこともあるのか……と感心したように、

首を少し下に傾けると、言った。


「そうですか確かに今時代は変わりつつありますね。しかし私は建前上あなたと交渉、

するような行為には手を貸せませんね」


すると悪魔の顔は少し陰りを見せた。タケルにはこの悪魔の言っていることの意味が、

分かったし、組織に入った以上二重交渉はすべきではないのだろうが勇気を出して、

悪魔に話しかけた。


「あの、俺あなたの気持ち分かります。今世の中がおかしいことは自分も重々承知して、

います。coronaで世界中おかしなことになっているし米国の経済状況も安心できるもの、

とは言えません。考えずに生きていける時代は終わったと思います。自分はあなたと、

交渉したいです。一緒に世の中をよい方向に変えていきたいです」


悪魔は涼しげな優しい笑みをつくると、言った。


「良かった。私たち悪魔が人と交渉するときそれは人間の寿命と波長を合わせることに、

なるから実質私たちは不死の存在から有限の寿命を持った存在にランクダウンすること、

になるんだ。これから私は君たちの前から消えるが、その繋がりは死の瞬間まで消える、

ことなく続く。感謝する」


すると悪魔のまとっていた暗い闇の煙る煙のようなオーラは一瞬で霧散し、後には、

構成員の犀太とタケルのみが夕暮れ時の公園に残された。


犀太はしばらく黙っていたが口を開いた。


「君は二重交渉をしてしまったんだよ。明らかに組織を裏切ったことになるが私もあの、

悪魔の話した事実には関われないが一定の理解はある。……君は孤独になるだろう。

今回のことは特別に誰にも報告しないことにするよ。ではまたね」


犀太は背後を見せ片手を上に上げてゆっくりと去って行った。タケルは二重交渉の意味、

について深く考えなかったことを不安に思うのだった。


(……彼は正論を言っていた)


心には暗い影が宿ったが思いのほか正義感の強かったタケルは自分は間違っていないと、

二重交渉の規約違反の意味を考えるのを辞め駅へと帰り不安の抱えながら帰宅の途を、

急ぐのだった。


…………(続く)


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