2話 ウラヌスリターンと謎の男
☆〈蒼のウィザードリィー〉02
2話 ウラヌスリターンと謎の男
◆篠崎タケル 水無月花林
・タケルは、
その夜不思議な夢を見た。
自分の住む町が、
紫の焔で燃え、自宅も近隣も、
激しく熱く燃え、
人々も逃げ惑っていた。
なぜか北海道の街も同様に、
燃えていた。
タケルは目を覚ますと、
寝汗をぐっしょりとかいて、
有り得ない悪夢の、
余韻から震えていた。
夢が現実になるのでは…、
と疑念と妄想がつきまとい、
不安と焦燥が、
一日を通してタケルの心に、
張り付いた。
朝食を食べ朝8:00頃に、
自転車に乗って、
地元の駅に着き快速電車に、
乗った。
いつも通りぼんやりと、
車窓を眺めたが、
自分がおかしな世界に、
一人だけ迷い込んでしまった、
気がして、
目的駅に着くまで、
不安から心ここに非ずで、
流れる景色を見ていた。
専門学校に着くと、
教室内に、
不思議な男がいた。
その男は灌木のブレスレットを、
両手にはめ、
沢山のピアスを両耳に、
つけていた。
そして一番印象に残ったのは、
目に群青のアイシャドウを、
つけていたことだった。
その男は、
一限目の授業が始まる前に、
タケルに絡んできた。
右手を挙げて、
タケルの名前を呼び、
水無月と同様に気安く、
話しかけた。
「篠崎タケル君。
急に話しかけて申し訳ないが、
君は逃れられない、
魔障を受けてしまった。
我々の仲間の、
水無月と出会ったことで、
君の生命は現実世界で生きる、
一切の保証を、
次第になくしてゆく、
だろう。
君と我々はつながりは、
もう二度と離れることはない。
一生君につきまとうし、
君の死後も他の者に影響を、
与え続けるだろう。
我々と君は、
言わば運命共同体として、
好まざるに関わらず、
ずっと続くだろう。
君は我々の仲間になったんだ。
これは我が組織の名刺だ」
と言うと男は、
着ていた黒いジャケットの、
内ポケットからインディゴブルーの、
黄色のゴシックで書かれた、
一枚の名刺を取り出した。
手に取った名刺には、
──財団法人 ウラヌスリターン 小暮犀太
と書いてあった。
謎の男、小暮犀太は別れ際に、
タケルに、「我々とは端末とか無くても、
会おうと思えばいつでも会えるから」
と謎の不気味な一言を残し、
去って行った。
その日のタケルは、
自分がハッキリとおかしな、
怪奇世界へと、
迷い込んだのを悟った。
(俺、頭おかしくなったのかな……)
タケルの住む現実世界が、
未知の漆黒のunknownによって、
新しい色に、
塗りあげられていく。
タケルは、
不安がいっぱいのまま、
この日の授業を受け、
何も頭に入らないまま、
呆然自失の状態で、
帰宅の途に就いたのだった。
…………(続く)
以前書いた小説は半年以上放置していたので投稿できなくなっていました(´・ω・`)