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5 アビリティ

パーティーを結成した翌日、俺とリゼリアは特訓のため町の外に来ていた。


「今日からハジメが戦えるように特訓をするよ」

「はい、先生お願いします」

「ふふ、学校みたいだね」

「ゼロから教えてもらうからな、先生呼びが一番しっくりくるんだよな」

「では、ハジメさんこれからアビリティを習得するための特訓を始めます」


こうして少しふざけながら特訓が始まった。


「アビリティはね、強い思いを持った時に目覚める人が多いんだ。だからね、ハジメが強くなりたいと本気で思えばすぐに手に入ると思う」

「強い思いか......」


元の世界でも俺は、ずっと流されて生きてきた。だから、強い思いなんて持ってなかったんだよなぁ。何も考えずに生きていけたからな、あの世界。


「で、どんなトレーニングをすればいいんだ?」

「それはね、戦闘訓練だよ」


すごく単純な答えだった。いや、わかるけどさ。強くなりたいと思うんだから、その思いに直結する戦闘訓練なのは当然の答えだと思う。でもその程度だったら、金持ちになりたいとかでも獲得できそうだけどな。

こうして、俺とリゼリアは木刀を使った模擬戦をすることになった。


「ケガしても、ポーション買ってきてあるから安心してね」

「安心できねーよ」

「ふふ、それじゃあ始めるよ」


リゼリアのその言葉を聞いた瞬間、リゼリアは俺の視界から消えた。そして俺は宙を舞っていた。五メートルは横に飛んだと思う。これは、死ぬと思う。あまりの痛さに視界が明滅してうまく見えない。絶対、あばら折れてるわ。


「まって......これは......特訓になってないと思うんだけど......」

「大丈夫だよ。昔、騎士団の人に稽古つけた時この方法でアビリティを使えるようになってたから」


こんな特訓、続けたい奴はいないと思う。俺には無理だ。今すぐやめて別の特訓に変えるべきだ。


「さぁ、立って。まだ始まったばかりだよ」

「無理だ。こんな特訓続けれねぇよ」

「大丈夫。辛いのは最初だけだから。ほら、行くよ」


人の話聞いてないよ、この子。嫌だ、あんな痛みはもう味わいたくない。

そう思った時だった、背中に凄まじい違和感を感じた。何か、背中に危険があるかのような悪寒にも似た違和感。それを感じると同時に俺は、前に飛び込んだ。


「え、どうしてわかったの?」


俺がさっきまで立って居た場所にはリゼリアが立っていた。


「なんかさ、前に飛び込まないとやばいって感じがしたんだ」

「たぶん、アビリティじゃないかな」

「そうなのか。実感ないけどな」

「えっとね、目をつぶって思い浮かべてみて。自分の中に感じるアビリティを」


リゼリアに言われた通りに目をつぶった。


--アビリティ--

『危険予知』 自身に迫る致命的な危機を察知する

『確率操作』 確率を操作する。

『--------』



なんか頭に浮かんできた。違和感がすごいな、これ。ゲームのステータスが頭の中に入ってるみたいだな。


「どう、アビリティ獲得できてる?」

「ああ、獲得したみたいだ。頭の中に浮かんできて違和感がすごい」

「すぐに慣れるよ。あ、アビリティは絶対に言わないでね。ほかの人に知られると利用されたりするから」


まぁ、そうだよな。善人ばかりじゃないんだ、悪用するやつもいるよな。にしても、最後のはなんだ。空欄だと思うんだけど。


「アビリティの所に一個空きがあるんだけど、これは?」

「それはまだ目覚めてないアビリティだね。たまにそうゆうことがあるみたい」


二つあるし、目覚めてないなら焦ることもないな。危険予知と確率操作か......もしかして結構いいアビリティなんじゃないか?。危険予知は戦闘で役立ちそうだし、確率操作はギャンブルで勝ち放題じゃないか。まぁ、しないけどね。すぐばれそうだし。でも、アビリティは何個持ってるもんなんだろ。


「アビリティって普通は何個持ってるものなんだ」

「ほとんどの人は一つだよ。上級冒険者でも、たまに二つ持ってる人がいるぐらいじゃないかな。隠してる人もいるだろうけどね」


上級冒険者でも一個なら、おれ最強なんじゃないか?。


「リゼリアは何個持ってるんだ?」

「私は五個持ってるよ」


そうでもない気がしてきた。五個ってチートだろ。


「ハジメは、何個持ってるの?」

「空欄も併せて三個だな」

「三個持ってるなんてすごいことだよ。私の知ってる人でも三個持ってる人はいないんだよ」


こうして俺は、アビリティをを獲得した。これで特訓も受けなくて済むと思ったが......


「じゃあ、続きを始めようか」

「え......」

「え、じゃないよ。アビリティが使えるようになったんだから、今度はそれを使いこなさないといけないでしょ」


俺の地獄はまだ終わってなかった。

リゼリアの特訓は日が暮れるまで続いた。



夜になり、俺は明日受けるクエストを冒険者協会に見に来ていた。なぜかって、それはクエストを受けてればリゼリアの特訓を受けずに済むからだよ。俺の持ってるアビリティを使っても、なぜかリゼリアの攻撃を避けることが出来なかった。なんでだろうな。確率操作を使ってる感覚はあったんだけどな。

そんなことを考えながら掲示板を見る俺に、セラが声をかけてきた。


「おい、ハジメ。お前のパーティーに入りたいってやつが来てるぞ」

「セラが仕向けたんじゃないのか?」

「今回は、なにもやってねぇよ。嫌なら断っとくが、どうする?」


今まで来なかったのに来たってことはリゼリア目当てか?。気持ちはわかるけどな。とりあえず会ってから決めるかな。


「会ってから決めるわ」

「そうか。じゃあ、呼んでくるからそこで待っててくれ」


俺は、近くの席に着き相手を待った。すぐに相手は訪れた。


「初めまして。わたしはユーゼ・メルディア。緑の勇者と呼ばれています」


俺の前に二人目の勇者が現れたのだった。

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