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最終回  ジェードへ…

文字数多くなりましたがこれにて完結となります。短い間でしたがご愛読ありがとうございました┏oペコッ

 SIDE:ルビー王女殿下


 いやいや、さすがはわたくしの師匠ですわね… 本当に良い事を言いましたわ。これほど気分がスッキリしたのは過去にあったかしら、それくらいスッキリしましたわ!


 今はダンジョンに向かって移動中なんですけど、先頭のショウ達の後を追うように歩いているのですが… うーん、やはりショウは小柄ですわね。これで12歳とは信じ難いほどですけど… それにしても「ぼく」ですか、なんて言いますか、とてもしっくりくる言い方でしたわね。やはり俺などと背伸びしたかのような言い方よりも遥かに似合っていて可愛いと思いますわ。


 しかし先ほどの皇帝陛下とヒスイ皇女の顔… 我が国の見せたくない部分を見られたと思って気にしていましたが、とてもそんな事を気にしていた顔ではありませんでしたわね。あれはまさしく家族に向ける親愛の情が見受けられる顔… 似すぎているショウの顔といいどうやら血は繋がっているものと考えて良いでしょう。さすがに孤児として我が国で生活していた事実がある以上、公の場で公言する訳にはいかないというところでしょうか? 会談の場での会話は最終確認をした感じですかね。

 まぁショウに全然その気が無いようですから、わたくしがしっかりと守ってあげないといけませんわね。それにショウには今後も訓練場の所長として活躍してもらわなければいけない… 結界師が不遇扱いされている現状を恐らく変えてしまう事でしょう。それこそ我が国の切り札と言っても間違いない攻撃力、すでにそれをこのダンジョンで証明しているのだから帝国側も欲しているのでしょうね。

 帝国騎士団が過去何年かけても進めなかったダンジョン… 初めてのダンジョン攻略で、すでにそれを越えての10階層到達を果たしているのですから帝国側の面子にも関わる事でしょう。


 ですが、後の事も大事ですが今はこのダンジョンに居る魔物をしっかりと間引きし、スタンピードの発生を止めることが先決… ここの魔物が溢れてしまえば我が国にも多大なる被害が出る事は明白なのですから。


 初めての実戦ですが、焦らず慎重にやらないといけませんね… 自分から出張っておいて大怪我なんてしようものならただ恥を掻きに来ただけになってしまいます、訓練通り護衛の動きを見ながら正確に次元断を放つ… ついでにレベルも上がれば良いですわね! 検証中とはいえ次元断の間合いはレベルで伸びるような事を言っていましたし、わたくしも勝手にエメラルド帝国に来ている以上それなりな戦果を出さなければお父様に怒られてしまいますわ!







 SIDE:ショウ


 さぁダンジョンに到着だ! あれだけ大口を叩いた以上がっつり結果を出さないとね、あのなんちゃら子爵に突っ込まれてしまいそうだし!


 出入り口の前に立っている帝国の騎士に挨拶し、ダンジョンに入る前に振り返る。

 ルビー殿下に護衛の騎士が2名、専属侍女さんも2名? え? 侍女さんもダンジョンに入るの? いやまぁこっちのパーティもメラナイトさんがいるから強くは言えないけど、メラナイトさんですらメイド服じゃなくて冒険者風な服装をしてるよ? どうしてあなた達はメイド服なの?


「あの… ルビー殿下」

「なにかしら? 打ち合わせはここでするのかしら?」

「あ、いえそうではなくて、侍女さんもそのままダンジョンに入るのですか?」

「もちろんよ。わたくしの専属侍女なのですからそこら辺の者と一緒にされては困りますわ、当然戦闘だってできますわよ」

「あ、そうですか」


 ルビー殿下の言葉に誇らしげな顔をしている2人の侍女さん… そうですか。


「では打ち合わせの方を済ませましょう。ギルドで聞いたかもしれませんが、1階層から3階層までは柔らかい魔物が出てきます。ここまでの階層であれば帝国に所属する冒険者や騎士団に任せて対処可能です。しかし4階層からは黒い甲殻を持った虫がシャカシャカと素早い動きで攻撃してきます。

 ここからは剣での攻撃では非常に大変で、Aランク冒険者であるオニキスさんですら大したダメージは与えられませんでした。なのでここからが次元断の出番だと思ってください」

「4階層以降ね? 承知したわ」

「騎士や侍女さんで魔物を陽動し、次元断で片付けるというパターンになりますので連携に集中し、間違っても仲間に当てないよう気を付けてください」

「ええ、その辺の打ち合わせは済ませてあるので大丈夫だわ。心配しなくても無茶はしませんし、怪我一つする気もないわ。ショウも10階層以降へと進むのでしょう? ショウこそ気をつけなさいよね」

「もちろんです、ガッツリと間引きをしてきますよ」



 騎士の人も大きめの盾を持って壁役に徹するつもりなのか、剣では大変だという情報をちゃんと収集しているみたいだね。侍女の人は… うーん? なんとなくイメージだけどスカートの中に短剣でも仕込んでいるのかな? 姿勢良く佇んでいるからどんな武装をしているか分からない。でもまぁルビー殿下が信頼しているみたいだから大丈夫なんだろう。


「では、ぼく達は転移陣で10階層に行きますのでここで… どうかご武運を」

「ショウもね、無傷で戻ってこなければ許しませんからね?」

「はいっ!」



 1階層でルビー殿下達と別れ、入り口のすぐ脇にある転移陣の部屋に移動する。


「じゃあショウ君、さっきのゴミ貴族に引導を渡すわよ。大量に魔物を狩り、間引きを済ませてスタンピードを収めて凱旋ね!」

「はいっ! あんな貴族に良い顔はさせません!」

「メイトも魔物素材の回収しっかり頼むわね、その売り上げがゲッキョウでの活動資金になるのだから」

「お任せください」


「じゃあ行きますか!」






 この後、15日かけて35階層に到着。そこで『モンスターハウス』と呼ばれるダンジョンにおける異変の一つを発見する。

 モンスターハウスにいる数十… もしかしたら百数十ともいえるような大量の魔物を狭い通路におびき寄せ、ひたすら次元断を撃ち続ける。そして2時間ほどかけて殲滅する事に成功、効率よく大量の魔物を殲滅できるという事で、ここを狩場にする事に決定。

 持ち込んだ食糧が尽きるまでの約1ヶ月間狩り続け、魔物の出現率が大幅に減ったことを確認してから30階層の転移陣から地上に戻った。


 地上に戻るとヒスイ皇女の兄だというテンラン皇太子殿下がいて、ダンジョン内部を確認し、エメラルド帝国が持つ記録に従いスタンピードの兆候が消え去った事が宣言されたのだった。



 ゲッキョウダンジョンの攻略を始めてから1ヶ月と少し… 思えば随分と長居していた気がするね。1ヵ月ぶりの太陽はとても眩しかったよ!

 ちなみにルビー殿下… ゴッキーのような魔物を100体以上倒したんだそうだ。魔力が切れるまで次元断を撃ちまくり、魔力切れと共に地上に戻って休息を… なんて戦い方をしていたんだって。全く無茶しやがって…


 スタンピードの兆候を見せていたもう一つのダンジョンだったコウギョクダンジョン、こちらは帝国にいる冒険者による集中殲滅により5日ほど前に兆候が消えたんだとか… これで今回の任務は完了って事かな?


 任務完了に伴い祝賀をするとの事で帝都に呼ばれ、皇城に初めて入ったけれど… やっぱりどうにもお城の空気は合わないと感じた。

 ヒスイ皇女殿下がやたらとお姉ちゃんアピールをしてきたが、どうやらオニキスさんに甘やかされたぼくには耐性ができていたようで、あまり効果はなかったようだ。オニキスさんと一緒にいる方が安心感が違うからね!



 とにかく引き留めてくる皇族だったけど、ルビー殿下が何とか場を収めてくれたのでようやくアズライト王国へと帰国する事になる。

 本来であれば、王都までの通り道にあるジェードでそのまま落ち着きたかったんだけど、やはりルビー殿下と共に王都に向かう事に… まぁ凱旋ってやつですね、アズライト王国内では帝国ダンジョン事情は知らされていなかったから何のことか分からないと思うけど。




「よくぞ無事に戻ってきてくれた、其方の働きに労いの言葉を贈ろう」

「………」

「そして褒美だが… どうだ? 我が娘を嫁にしないか?」


 ぐはっ!? ルビー殿下のお父さん… この国の国王陛下なんだけど、お茶目さんなのか? そもそも平民のぼくがお姫様を嫁に出来る訳無いじゃないか!

 しかし無駄口を叩かないよう言い含められて謁見の場にいるけれど、これはどうやって断ればいいんだ?


「ふっ、まぁ戯言だ、気にするな。ルビーも良くやった、本来であれば勝手な行動に対して罰をと思っていたんだが、これだけ結果を出されては称賛するしかあるまいて」

「ありがとうございますお父様」


 ふぉぉぉぉ! やっぱりお茶目さんだったのね! そもそも嫁とかまだまだ早いから!


「帝国からも感謝の言葉が届いておる、それと其方の身元の事もな。報酬に関しては少し待つがよい、帝国から届くのは少しばかり先になるとの事だから、後日ギルドを通して通知を出そう。

 此度の働き、見事であった。これまで不遇と言われた結界師に新たな未来と可能性を見出した功績を讃えるものとする。今後も我が国の繁栄のため、訓練場の所長として励むがよい」




 移動も含めて2ヶ月弱… 非常に長く感じたけど王家の依頼はなんとか達成し、ジェードに帰る事になった。


「ようやく帰れるわね、それにしても陛下… まさかルビー殿下を押し込んでこようとは思わなかったわ。戯言とか言っていたけど、アレはショウ君のうんざりした顔を見たから変更したに違いないわね」

「え? ぼくそんな顔をしていました?」

「していたわ、それはもう。まぁ帝国から身元についての話が来ていたみたいだから、あまり無茶を言って帝国に逃げられたらとでも思ったんじゃないかしら。まぁ私としては上々の結果になったわ」

「上々ですか…」

「そうよ! 何度も言ってるでしょう? 私が訓練場の女将だって、ショウ君の隣にいるのは私なんだから!」

「もちろん私もオニキス様と同じようにお仕えしますよ。あの訓練場は居心地良いですからね」


 そっか、あの訓練場は居心地良いのか! まぁ僕の訓練場だからね、それは仕方がないね。一から全てぼくが作ったわけではないけれど、それでもぼくが胸を張って生きていける居場所なんだから!


「じゃあジェードに、あの訓練場に帰りましょうか!」





 あ、そういえば訓練場の名前、まだ決めていなかった!

誤字報告いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後が慌ただしくなっていたのが残念でしたが、全体的にテンポよく楽しく読ませていただきました。
[一言] 雑でてきとうな終わり方。 全然話も広がらず、つまらなかった。
2023/03/04 22:30 退会済み
管理
[一言]  作者様の作品は他を含め、読み心地が良いです。  番外編、その後など、宜しくお願いします。
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