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第79話  結界師が不遇職? へ~そうなんだ。

誤字報告いつもありがとうございます。

「さて… ルビー殿下?」

「あらショウ、久しぶりだというのにどうしたのかしら… 何か文句でもあるのかしら?」


 何をシレっと言っているんだこのお姫様は! 文句があるに決まっているだろう! いくらなんでも一国の王女殿下がダンジョンに? 訓練してるといっても実戦経験は皆無でしょ! そんなの絶対後から俺のせいにされるだけでしょう!


「皇帝陛下が言っていた「ルビー王女の参戦」とはどういう事でしょうか?」

「その言葉の通りよ。わたくしも護衛騎士と共にダンジョンに入り、次元断で魔物を倒すのですわ。もちろん皇帝陛下が仰っていたようにショウ達は下層に向かい討伐をし、わたくし達は上層部で魔物を削りますわ」

「ですがルビー殿下は実戦経験がありませんよね? それなのにいきなりダンジョンに入って殺意と共に襲ってくる魔物を前にしてちゃんと行動できますか? 殺意を受けると訓練通りに体は動かないものですよ? 護衛の方だってそう思いますよね?」

「ふふっ、貴方の言う事は確かに正論であり、至極尤もな事です。しかし残念ですけどこれはもう決定事項なの、これはわたくしにとってやらなければいけない事なのですわ! 師匠からの諫言として聞き入れたいのですが、王家として… わたくし個人としてここで引き下がる訳にはいきませんの。

 だけど心配を無用よ、功を焦り命を失うなんて愚の骨頂! そのような愚かな真似は致しませんわ!」

「ええ? ですが殿下、女性というのは基本的に虫が嫌いなのではありませんか? その虫が巨大化してうようよいるんですよ?」

「巨大化してうようよ? うう… それでも引き下がれません!」


 うーん、何と言うか意志は硬そうだ。これは平民である俺にはこれ以上何も言えないんだけどオニキスさんなら言えるのでは? 貴族ですもんね?

 そう思って振り返ってみたが、オニキスさんはフイっと横を向いてしまった… オニキスさんでも言えないのか、まぁ王女殿下ですもんね、無理ですか。


「それはそうと、ショウ… 貴方はエメラルド帝国皇帝の血筋なのですか? あまりに皇帝陛下に似ていたもので驚きましたわ。むしろあれだけ似ていて血筋では無いと言われたら、嘘を吐くなと怒鳴ってしまいますわよ?」


 周囲を見るとオニキスさんだけじゃなく、メラナイトさんや護衛の騎士も殿下専属の侍女さんまでうんうんと頷いている。

 いやでもね…


「そんな言うほど似ていましたか? おr… ぼくにはそうは思えないんですけど」

「ぼく!? ああいえ… それこそ何を言っているんですの? 普通に親子だと言われても納得できるほど似ていましたが?」

「そうですかねぇ… とはいえ、仮に親子だったとしても今更? としか感じないですかね。もうぼくにはジェードに帰る家がありますから」

「っ! そうですわよね? いえいえ、別に心配していたわけではありませんのよ? 新築の訓練場をどうするのかと思っただけですわ」


 おっとー、こんなところで王女殿下のツンデレですか? でもまぁ確かに新築の訓練場… 自宅兼だけど、見捨てるわけないじゃないか!


 道端でルビー殿下と話をしていたんだけど、ふと振り返って見るとギルドから皇帝陛下とヒスイ皇女が出てくる姿が見えた。さすがにもう帝都に帰るのかな? 立場上多分忙しいだろうしね、気を付けてお帰り下さいね! 出来ればもう会わない事を祈ります。

 って、ヒスイ皇女と目が合ってしまった! え? なんか手を振られたんですけど?


 思わず目を逸らして下を向いてしまった…

 ん? 足元に大きな影が? 誰か前に立っているのかな?


「おい小僧! 先ほどから黙って聞いていれば、王女殿下に向かってなんだその口の利き方は! 平民なのだから黙って膝をついておれ!」

「ええ?」


 なんだよ急に… ってこの人、確かアズライト王国から来たという使者って人だよね? ええと… ああ、名前忘れちゃったけど確か子爵とか言ってたっけ。


「大体なんだ? その恰好は。皇帝陛下とお会いになる事は通達していたはずなのになぜそんな見すぼらしい格好で来るのだ、我が国の品位を貶めたいのか? 全くこれだから無能の結界師は… 不遇職らしく地べたを這いずっていればいいものを。それにちょっと皇帝陛下に良いように言われただけで調子に乗りおって… そもそも貴様のような小僧が我が国の代表などと認めてはおらんからな! ただ言われるがまま馬車馬のように黙って働けばいいのだ! 口答えする事など貴様にそのような権利など無いわ! 全くこの平民は… ああ、しかも孤児だったな、教養も何もあった物じゃないな」


 なんだこのおっさん… 顔真っ赤にして怒鳴り散らしてきたけど。しかしその言い方が気に入らないな… 文句を言いたいけど貴族だから後々面倒になるんだろうな。


 俺がむっつりしているのが顔に出ていたのだろうか、ルビー殿下がニヤリとしながら顎をクイっと子爵の方にやった。なにそれ? 文句言っちゃっても良いって事? ちゃんとフォローしてくれるんでしょうね?

 疑心暗鬼になったのがまた顔に出ていたのか、今度は大きく頷いて見せた。やれって事だと解釈しますよ? よーし! それじゃいっちょ盛大にやってやりますか! ダンジョン攻略の弾みになるしね!


「平民? 孤児? だから何だと言うんです? 平民がいなければ生きていく事も出来ないくせに。それに結界師が無能? ルビー殿下の前でよくそんな事が言えますね、結界師が不遇職? へ~そうなんだ。その割には一番槍として国王陛下から直々に依頼が来たんですけどね、それは王家の判断に対して文句があるという事ですか?


 大体ですね、そもそも神託で授かる職業に不遇も無能もないんですよ。要は使い方次第、使い方を追求する前に無能だとか不遇だとかと決めつけて、検証をしなかったからこうなっているんでしょう? 残念ですけど結界師は無能でも不遇でもありませんよ、それをこれからこのダンジョンで証明してみせます。それこそ馬車馬のように働いて見せつけてやりますよ!」

「なっ!? 小僧が…」


「良く言いましたわショウ! 今のパイロープ子爵の発言はまさしく王家の判断に対する不敬発言、この事はしっかりと陛下にお伝えしますわ。

 それよりも今は時間が惜しいので、すぐにダンジョンへと向かいましょう。ああパイロープ子爵はこのまま帰国してくださいね、これ以上の醜態を皇帝陛下や皇女殿下にお見せする訳にはいきませんので」

「え? なななにをっ!?」


 良く見ると… 先ほどギルドから出て来ていた皇帝陛下とヒスイ皇女、ずっとこっちを見ているね。これは確かに失態もいいところだ、さっさと帰れと言われるのも頷ける。


 まぁ俺は俺でやる事があるから退散させてもらうね、苦情は一切受け付けませんのでご了承を!

次回は最終話となります、普段よりも1500文字ほど多くなっていますがよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 終わっちゃうの残念です。
[良い点] タイトル回収してからの最終回ですか!毎回楽しみにしていたので残念ですがしっかりと終わりを見れることもまたうれしいです! [一言] 書いてくれてありがとうございました!最終回も楽しみにしてい…
[良い点] 更新お疲れ様です。 タイトル回収乙です!と思ったら、次回で最終回ですと!?そんな、ひどい···(ドラクエⅠローラ姫並感 [一言] 最終回なのは非常に残念では有りますが、ジャン○の打ち切り…
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