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第7話  奢りで肉!

誤字報告いつもありがとうございます。

「ふぅ~、そろそろ夕方くらいかな? 今日はそこそこ倒せたし早めに終わらせようかね、ぶっちゃけ水浴びしたいし」


 前回水浴びしてからもう3日経っている… まぁこの世界の人々はお風呂の習慣は無いのでこれが普通なんだが、さすがにこれ以上は日本人の感性が許さないぜ。

 とはいえ、水浴びと言っても近くを流れている川でするので非常に水が冷たい… 季節的に初夏だけど、野宿状態では正直日が暮れる直前に体を冷やしたくはないというのはあるんだが仕方がないのだ。


「でも、そろそろ頭も痒くなってきたし、やらないとダメだよな」


 ギルドに行って臭いとか言われたらショックだしな、まぁ他にも臭い奴はいっぱいいるけれど一緒にされたくないっていうのが本音だったりする。

 まぁそんなわけで戻るとしましょうかね、今日の結果はゴブリンリーダー8体に通常ゴブリン16体。しめて400ギルの稼ぎだ、まぁ昨日よりも上回っているから問題無しとしよう。


 しかしなんでゴブリンリーダーは必ず2体のお供を連れているんだろ、単独で歩けや!


 1階層へと続く階段近くで狩っていたため、とりあえずメイン通りに出てから階段へと向かう。すると、昨日ギルドで話しかけてきたアゲートさんのパーティと遭遇した。


「おう坊主、もう戻るのか?」

「あ、アゲートさん! お疲れ様です。今日は戻って水浴びでもしようかと思って」

「そうかそうか、今日は2階で狩るとは聞いていたが怪我はないか?」

「大丈夫ですよ! 返り血も浴びなかったし順調です!」

「そうかそうか。俺達も今日はあがりなんだ、飯でも食いに行くか?」

「あ~、せっかくなんですけど今はお金を貯めているので…」

「なんだおい、こんな小さなガキに食わせられないほど稼ぎが悪い訳じゃないんだぜ、たまにはまともなもん食って体力つけろや」

「え… はい! ありがとうございます!」


 うわぁラッキー! やっぱりこの人、強面だけど面倒見の良い人なんだな~。他のパーティメンバーも「よっしゃ行くぞ」なんて言ってきて嫌そうな顔をしていないし、まともなご飯というのも久しぶりだ!


 それからダンジョン内に出る魔物について話をしながら1階層を歩いていると、2人組の冒険者とすれ違った。こんな夕方からダンジョンに入るなんて、昼夜逆転してる人なのかね…


「チッ」


 ええ? すれ違いざまに舌打ちされたぞ? 見た事無い人だけどどこかで会った事でもあるのかな? それとも俺に舌打ちをしたんじゃなくてアゲートさんのパーティと過去に何かあったとか…


「おい、今すれ違った2人… 舌打ちしていきやがったな、誰か揉め事でも起こしたのか?」


 アゲートさんが振り向いて2人組を睨みつけながら言ってくるが、俺もパーティメンバーの人達も首を横に振っている。


「揉め事は起こしていないけど、あいつら悪評の多い連中だろ? もしかしてショウのことでも狙って来てたんじゃねーか?」

「ああ、今時初心者狩りをしているとか噂があったな… それがあいつらなのか?」

「かもしれん。ショウ、あいつらには気をつけろよ? 身ぐるみはがされた挙句に犯して殺すって噂だぜ」

「ええ? でも俺、男ですよ?」

「そういうのが趣味ってやつもいるって事だよ。お前は小柄だし顔も悪くないからな… 最悪は拉致されて売られるかもしれないぞ?」

「うへぇ、全力でお断りします!」


 おお怖い怖い、これって今日アゲートさん達と合流していなかったら襲われてたって事なのかな? そして犯されるって… うへぇ寒気がしてきたよ。

 しかし逆に考えれば、アゲートさん達のおかげで気を付けるのはゴブリンだけじゃないっていうのを再確認できた。まぁ初心者狩りがいないって訳じゃないのは理解していたけど、こうしてリアルな話を聞くとゾっとするよね…



 そんな訳で、ギルドで魔石を換金後に走って川に行き、最速で水浴びを済ませる。そしてまたギルドに戻ってきて飲食スペースでアゲートさん達と再び合流。


「おう、俺が人に飯を奢るなんて滅多に無い事だからな、今日は腹一杯食って行けよ」

「はい! ご馳走になります!」


 うひゃぁ! 熱々の具沢山スープに肉の山! 野菜もあるし健康的過ぎるだろう!

 塩だけで味付けされた、何の肉かも分からない串肉とは匂いからして全然違うぜ。


 アゲートさん達は酒も注文し、ものすごい勢いで飲んで食べていく。まぁ体つきも良いし燃費が悪いんだろうな。しかしすげぇ筋肉だよな…


 ちなみにアゲートさんのパーティは『フォーカラット』というらしく、前衛剣士のアゲートさんに遊撃槍士のジェットさん、後衛魔法師のトリフェンさんに治癒師のパールさん… 全員男性の4人パーティだ。

 見ての通りパーティ内での職業バランスが良く、かなり安定した戦闘が出来るとの事だ。まぁ治癒師がいるっていうのは大きいよね、多少の怪我なら無理を通せるし、特に失血死はかなりの確率で回避できるだろう。何とも羨ましい。


 治癒師というのはその性質上どのパーティでも引く手は数多、余程魔力が弱いとかでもないと食いっぱぐれることは無いとさえ言われているからな。俺も治癒師なら良かったのになぁ… そうしたら仮にボッチだったとしても自分で怪我は治せるし。


 まぁいい! 俺はもう結界師で生きていくしかないんだ、だからこそ色々と可能性を探しているんじゃないか。それに新たに発見した次元断、これこそ切り札とも言うべき攻撃方法だったじゃないか! まだ検証中だけど、まだゴブリンにしか試していないけど…


 よし、ここは奢りなんだ、肉を食おう!



「あら、珍しい組み合わせで食事なんだね」

「もぐ?」

「おお? なんだフローライトか、酒場に来るなんてそっちこそ珍しいじゃないか」


 ほほぅ、あの砕けた口調の方の受付さん… フローライトっていう名前なんだ。もう一人の方が深窓の令嬢的な雰囲気に対してフローライトさんは体育会系な美人さんなんだよね。


「ちょっとショウ君に興味があってね… 今日はゴブリンリーダーの魔石が混ざっていたけど大丈夫なの? 無理してない?」


 やべぇ、慌てて肉を飲み込んで返事をしないと!


「ゴブリンリーダーくらいならなんとかなっていますね、もう少し慣らしたら3階層に行こうかと思って」

「そうなんだ? でもソロなんでしょう? 無理は禁物だよ」

「もちろんです、死にたくないですし世話になった孤児院にもいっぱい寄付したいですからね!」

「ふふっ、やっぱりショウ君って12歳にはとても見えないね。なんか光るものがあるというか… とにかく気をつけてね?」

「はいっ!」

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