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第59話  荒っぽい来客

誤字報告いつもありがとうございます。

 あれから半月が経ったが訓練は順調に進み、ルビー殿下に限ってはまだまだ体力が足りていないけど結界の扱いだけは物凄い進捗を見せていた。

 訓練自体は2日やって1日休みというペースだったんだけど、もう俺の目で見ても『免許皆伝!』と太鼓判を押しても良いくらいな練度となっている。


 ちなみに… ルビー殿下が休みの日にニッケルさんの訓練をしているが、やはり2枚張りで苦戦をしていたな。あれはそうだね、どう例えればいいんだろうか難しいけど同時に2人を相手にキャッチボールをしていると言えばいいんだろうか、2枚の結界両方に意識を集中しないといけないからコツを掴むまでは大変かもしれないな。そんな訳でニッケルさんはまだまだ次元断の訓練には入っていない。


 しかしたった半月とはいえ毎日基礎訓練をし、毎日きちんとした食事をしているせいなのか体つきは随分と逞しくなってきている。もう骨と皮だけかよってくらい痩せていたのにね…

 体力の方もついてきているようで、初めて持ったという槍の扱いもそこそこ見れるものとなっている。まぁまだまだ実戦とは程遠いという判断をフォーカラットのメンバーからは出されているんだけど、ニッケルさんは先にダンジョンで槍を使った討伐を経験させても良いかもしれないね… 後でアゲートさんに相談してみよう。



 そして今日、ルビー殿下は休養日でありニッケルさんはフォーカラットと槍の訓練中… うむ! 久々にダンジョンに行けそうだね! さすがにいつまでも王族を訓練場に留めておくと、防犯上の理由で人の出入りにはかなりの制限がかけられてしまうから、もうそろそろ卒業してほしいんだけどなかなか終わろうとしない。そうなると俺も落ち着いてダンジョンに入ったりできない訳なのよ! 今日くらい俺も休日って事でダンジョンに行ってもいいよね? よし、行こう!


 ルンルン気分でダンジョン仕様に着替えをし、装備よーしマジックバッグよーし、お昼ご飯はダンジョンに行く途中で串肉でも買っていこう。あ、買った串肉を入れる弁当箱を忘れずに! 直接マジックバッグに入れるなんてちょっと衛生的に気になるもんで、さすがにやらないよ。


「準備完了! 前回は欲張って依頼があればとギルドに行ったから騒動に巻き込まれたから、今日は直接ダンジョンに直行だね!」


 自室を出て階段に向かう。今日はクレイジーチャボのお肉をある程度集めたら9階層に行ってみようかな? それよりも先に10階層まで行ってボスを倒し、転移陣を使えるようにした方がいいかな? うーん悩ましい問題だ。

 まだ早いと思いながら先に進む事をしていなかったけど、いい加減10階層の転移陣を使えるようにしておきたいっていうのはすごくある。8階層で狩るにしてもそっちの方が遥かに速いからね! 移動時間というのは案外馬鹿にならないから… って、あれ? なんか階下で騒いでるやつがいるのか? ちょっと騒がしい感じがするんだけど… えー面倒なことは止めて欲しいんだけど?


 嫌な予感がしてきたので階段の途中で足を止め、1階の様子を窺ってみる…


「ちょっと! ここが結界師の訓練場だという事は分かっているのよ? 用事があるんだから早く所長を呼びなさいな!」

「確かにここは結界師の訓練場ですけど、まだ正式オープンしておりません。それに所長との面会を希望されるのでしたら一度冒険者ギルドに行って予約をしていただきたいのですが…」

「そんな悠長なことをしている時間は無いのよ! 私を誰だと思っているの? 後悔しても知らないわよ?」



 うわぁなんだあれ、多分貴族の令嬢なんだろうけど何様のつもりなんだか… ここの訓練場の関係を知らないのかな? 冒険者ギルドに王家までついているというのに、後から後悔するのはそっちだと思うんだけど?

 しかしどうしようかな… この様子だと通り抜けるのは無理っぽいしあきらめて帰る気配も無いし、困っちゃうな。


「あら、こんな所でどうかしたんですの?」

「うわっ!? ああルビー殿下でしたか、おはようございます」

「はいおはようございます。それでこんな場所で何をしているんですの?」

「いえ、なんか受付に貴族令嬢と見られる方が何か騒いでいまして、行きたくないなぁと思っていたんですが」

「まぁ、どこの家の方でしょう? わたくしがちょっと行ってみますわ、この国の貴族令嬢であれば何を騒いでいるのか教えてくれるでしょうから」

「えっと、じゃあお願いします」


 あーあー、あの騒いでいる令嬢さん… 王女殿下に怒られちゃうのかな、まぁ仕方ないかもしれないけど。

 ルビー殿下と護衛の騎士、侍女の3人は俺の横を通り抜けて1階へと降りていく。よし、ちょっと距離を置いて俺も降りて行ってみよう、隙があれば外に行けるかもしれないからね!


「私はね、エメラルド帝国第1皇女のヒスイ・ユークレース・エメラルドよ! 外交問題に発展させたくないのなら早急に所長を出しなさい! 全くこんな辺境までわざわざ来てあげたというのに、なんでこんな手間ばかり…」

「あら、ヒスイ様ですか? これはこれはお久しぶりですわね、尤も前回お会いになったのはかなり前でしたけど」

「え? ちょっと貴女、どこかで見た顔ね。どこだったかしら?」

「ルビー・ローズクォーツ・アズライトですわ、確か10歳くらいの時に我が国の王城での晩餐で…」

「ルビー王女? どうしてここに?」

「それはもうここの訓練場は王家が後ろ盾についておりますし、なによりわたくしも神託で得た職業が結界師ですから… ここで技術を学んでいるのですが?」

「ああ、そういえばそんな噂があったわね」

「それでヒスイ様、この訓練場にどのようなご用件で? なにやら外交問題などと聞こえていましたが、それはこちらも同じですよ?」


 おおう、ルビー殿下… こうしてみるとやっぱり王家の貫禄というか、そういった雰囲気が出ているね。それに対してエメラルド帝国の皇女殿下? 言葉が少し荒っぽい感じがするしせいぜい男爵とか子爵とかの令嬢かと思っていたけどまさか皇女だったとはね… 見た目は美人さんだけどもしかして残念美人なのかもしれないね。

 よし、ちょっとこのまま階段に座り込んで会話を盗み聞きしようかな。外国の皇女がわざわざこんな所に来るなんて気になるしね、多分その辺の事をルビー殿下は聞き出してくれると思うし。

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― 新着の感想 ―
[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★  何か主人公氏の周りの女性陣ってカタギの人が 殆ど居ない気がしますf(^_^;)
[良い点] 更新お疲れ様です。 ニッケルさんが一般的結界師な基準(?)を見せてくれたおかげで、やはりルビー王女は才女だったというのが良く解る回ですね。 こうなるとショウとは後々何かしらの差異···例…
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