第46話 訓練場完成式!
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あれから何事も無く5日が経ち、現在大工さんが最後の調整を行っている俺の訓練場の完成式が行われる事となった。もちろん俺は、先日購入したフォーマルな服を着て参加の予定なのだが… 当然のように王家の方からこの完成式に参加する人が来るという事だ。
「はぁ、やっぱり憂鬱だなぁ。王家の人って俺みたいな平民の孤児に対して威圧的な雰囲気でくるんだろうね… はぁ憂鬱だ」
「おいおい、これからだっていうのにしけた面してんじゃねーぞ?」
「あ、アゲートさんおはようございます。今日はこれからダンジョンですか?」
「何言ってんだ? 俺も参加するんだよ、完成式にな」
「ええ? マジですか?」
「マジマジ、実はギルドから指名依頼が来ててな… これから始まる結界師の訓練で体力作りなんかの指導は俺達『フォーカラット』が指導員としてやる事になってるからよ、これからよろしく頼むぜ? 所長さんよ」
「ガハッ! 俺は何も聞いてないんですけど! 所長なのに!」
「あははは! 多分ギルマスがお前を驚かそうとでもしてたんじゃないか? まぁ指導員とはいえ体力作りの訓練に立ち会うのは週に1日程度だ、それ以外の日は各自で復習するようにって感じになるはずだ。さすがに指導員の報酬だけじゃパーティの運営は出来ないからな」
「そうですよね… なんだかすいません、そしてありがとうございます」
「おう! 良いって事よ! 知った顔の結界師の小僧が訓練場の所長だなんて、なんだかすっかり面白くなっちゃってるし、これに絡まないとダメだろ? 先輩として」
「そんなもんですか…」
「そんなもんだ!」
なんという事でしょう、アゲートさん率いるフォーカラットがまさかの指導員だなんて… あ! でもそういう事だったらもしかして俺も指導してもらえるって事じゃないか? 最近槍を使う機会が多いからその辺の知識が欲しいと思っていたんだよね、やっぱり独学だけじゃ限界もあるし。一応遠距離攻撃の手段は手に入れてあるけれど、アレはアレで攻撃力が足りない足止めの攻撃だから結局は接近戦で… 次元断の届く間合いでのやり取りがメインになってしまう。そうなるとどうしても接近戦での技量がモノを言う訳で… うん、これは俺にもお得な事かもしれないな。
ちなみにご会計の方はというと、最終的にやって来た土魔法師5名で日当が1人10万ギル。1日50万×5日で250万ギルとの事。大工さんもベッドなど建具に使った材料費が50万ギルで技術料も50万、計100万ギルとなった。
合計で350万ギルと想像していたものよりは安くなったと思うけど、それでも350万ギルというのはそうそう貯めれる金額じゃないので家を持つというのは大変だと感じたね。
最初の約束通り、俺が4割で140万ギルを出してギルドとオニキスさんが105万ギルずつ出し合ってお支払いは完了。しかし良いのかね? ギルドは俺と訓練場を利用しようとしているから出資してくれるというのは分かるけど、オニキスさんにとっては不要な出費だったんじゃないかな?
いつも良くしてくれるのは間違いなく助かっているけど、ちょっと甘え過ぎというか甘やかされ過ぎというか… うーん微妙。
時間になり、いよいよ完成式が始まろうとしている。俺もギルドマスターとオニキスさん、フォーカラットの4名と共に新築の訓練場に入っていく。
屋内訓練場の広間には立食形式というやつだろうテーブルと料理が置かれており、良い匂いが立ち込めている。早く俺も食べたいね!
それで今日の完成式には地元領主のガーネット子爵一家とこの街の代官、それと王都から来ている王家の使者… うん、人選は豪華だけど人数的にはこじんまりとした会食形式という事だね。この辺の仕切りには俺は知識が無いため参加はせず、ギルド関係者にすっかりお任せとなっていたけどこれなら落ち着いて式典ができそうだね。
そして現れる賓客の皆様…
まず最初に現れたのはガーネット子爵家の面々だ。子爵様はオニキスさんの顔を見るなりげっそりとした雰囲気を醸し出し、どんだけごり押しで進めていたのかが良く分かった。
後ついでに、子爵家の嫡男と言われる男性… 見た感じ16~7歳くらいだろうか、なぜか俺の事を睨みつけてきてるんだよね。やはり平民の孤児が~みたいな偏見で見られているんだろうな。
そして次に現れた人… はっきり言って何も聞いていなかった俺にとって驚愕としか言えないような人物がいたのだ。アズライト王国第2王女、ルビー様だ。
ルビー様の登場に、俺を睨みつけていた子爵家の嫡男も驚いた表情を隠しもしないで固まってしまい、ようやく視線攻撃から解放されたのだった。
「貴方がこの街の結界師の… ええと、ショウだったわね? 本日は訓練場の開設にあたり、王族を代表して賛辞を贈ります」
「あ、ありがとうございます。結界師のショウと言います」
王族の対応の仕方なんて知りませんよ? いいの? 俺が王女様とお話なんかしちゃって!
そうは思っても、王女であるルビー様はなぜか俺の事をじっと見つめている… やばい、もうすでに何かやらかした?
「それにしても貴方… ショウの顔はどこかで見た顔に似ていますね、孤児との事でしたが両親の事は何か覚えている事はありますか?」
「いいえ、気がついたらこの街の孤児院にいましたから。ショウという名前も孤児院でつけられたものだと聞いています」
「そう…ですか、まぁ分かりました。ではそろそろ始めましょうか、完成式を」
ルビー様の言葉により、完成式が幕を開けた。
祈祷師の職を持つ者が安全を祈願する儀式が始まる… これって日本で見た神社とかで見るやつと随分似ているね、既視感というか懐かしさというかそんな気持ちがこみあげてくる。
だけど日本で見たそれと違い、この世界では加護の力を持つ職業なのだ。祈祷師というからには何かしらの能力があり、本当に安全になるような何かが籠められているのだろう。
小難しい儀式が終わり、ようやく立食パーティへと進んで行った。
オニキスさんはまるで俺の護衛かのように隣に立ち、なぜかルビー様を警戒している様子… 王女様を警戒するってどういう事? でもオニキスさんのおかげで子爵家嫡男も容易に近づけないらしく、そこには感謝感激ですね!




