第44話 鶏肉と訓練場
誤字報告いつもありがとうございます。
今日は8階層にやって来た、ここにいるクレイジーチャボという魔物のお肉がとても美味しいらしいのだ! そしてチャボというだけあってたまに卵もドロップするという… いいじゃないか! クレイジーチャボで親子丼がっ! ああ、お米はこの世界でまだ見た事無いから親子とじになるけど作れるんじゃないか? そう思ったわけですハイ。
しかもダンジョン上層階では最大級の防御力を誇るんだとか… 次元断の真価を知る良い機会だと思ったこともあり、今日から7階層のウリボアは卒業としたのだ。
「ウリボアも稼げるしお肉も美味しいんだけど、やっぱり卵の誘惑には勝てないよね。何なら持ち帰ってメイドさんに渡したら、すぐにでも食卓に並べてくれそうだし!」
いやぁなんというか、孤児院を卒業して冒険者になってから食生活がものすごく充実してきたよね。1本100ギルの串肉だけで食事を済ませていた初期の頃が懐かしいぜ…
ちなみにクレイジーチャボの魔石の売り値は180ギルでお肉が450ギル、ウリボアよりも少しだけ高値なんだよ。そしてなんと、稀にドロップするという卵の値段は1個1000ギルだ! まぁ希少品らしいからポコポコとドロップする訳ではないという事だが、それでもドロップが楽しみで狩りも捗るってもんだ。
そして遭遇しました第1クレイジーチャボ!
体高は1メートル無いくらいで色は茶色、見事な鶏冠をお持ちのどう見ても間違いなく前世の記憶にあるチャボを巨大化させた姿! アレはもうチャボで間違いないね!
「しかし防御力が… あの羽毛がものすごく硬いという事だけど、それほどのもんか早速試してみようか」
ダンジョン通路の離れた場所を闊歩するクレイジーチャボ、単独でうろついているのは非常に都合が良いね。そしてクレイジーチャボが俺の姿を確認したようだ…
「クエー!」
「おおう、耳が痛くなりそうな鳴き声だな! だけど先制攻撃は譲らない! 気円斬!」
俺に向かってズドドドッと走ってくるクレイジーチャボに向かって気円斬を2枚投げつける。さぁこの軌道では避けることはできないけどどうする?
「クエッ!」
クレイジーチャボは羽ばたきながら急ブレーキをし、速度を落としてその胴体… 胸のあたりで自分から気円斬を受け止めた。
パキィィィン!
投げつけた2枚の気円斬は砕け散り、どうやら無傷っぽいクレイジーチャボがふんぞり返った感じの姿勢で俺を見ている…
「お、なんだその態度は? 気円斬を止めただけでいい気になるなよ? 気円斬はただの足止めなんだよ!」
その行動が俺を煽っているかのような気がしたので、ついついノって言葉を口にする。足が止まって立ち止まっているクレイジーチャボに向かって走り出し、槍を突き付けながら接敵する。
クレイジーチャボは俺の槍をも胸元で受けようとしたのか、大きく胸を張ってドヤ顔しているから…
「槍で突くと見せかけて次元断!」
パキィィィン!
「ク…エー」
何とも情けない断末魔を残してダンジョンに吸収されていくクレイジーチャボ、どうやら防御力が高いと評判のクレイジーチャボだが一撃で倒せたようだ。
それにしてもこのクレイジーチャボ、自分の防御力に相当自信があったんだな… まるで「どんと来いや!」みたいな態度で胸を張っていたし。
でもまぁ次元断であれば一撃で倒す事は可能であることが分かったのは良い事だね、次は複数が相手だった場合と挟まれたりした場合を想定して立ち回ってみるか。
そして今の戦闘でのドロップはっと… お肉でした! 鳥の形がそのままのお肉! まさに肉塊!
これを見てたら鳥の唐揚げが食べたくなってきたなぁ… でもぶっちゃけ前世の俺って食べる専門であって作る事には無頓着だったんだよね、残念だがレシピなんて全然知らないぜ!
確か小麦粉で揚げるんだっけ? そのくらいしか知らないんだよなぁ… もっと作ることにも積極的であるべきだったね。
それはともかく! 次行ってみよう!
そんなこんなでそろそろ戻らなきゃいけない時間帯かな? なんせ日帰りしなきゃだから夕方には地上に着くように行動しないといけないからな… 8階層から戻るとなると結構な時間がかかってしまう。
今日の稼ぎはクレイジーチャボのお肉が8個と魔石が12個、卵は無し! これは残念だったが出ないものは仕方がない、明日に期待だな。
そして色々と試してみた結果、どうやらクレイジーチャボは単体でうろつく習性のようで複数体で現れる事が無かった。なので想定していた複数体を相手取る行動についてや挟まれた場合の対処方法などは実践検証は出来なかった… まぁこればかりは仕方がないから良いとして、そのクレイジーチャボも自身の防御に自信があるらしく、回避行動を一切取らないですべて胸元で受けようと動いてくるんだよね。ウリボアもそうだったけどクレイジーチャボも俺にとっては良いカモだと思う、相性が抜群だよ! マジで。
そして日が暮れる前に地上に到着し、売却のためにギルドに入る。お肉の1個は孤児院に持っていきたいから7個と魔石を売り、本日の営業は終了だ。
「あ、ショウ君お疲れ様。ギルマスからショウ君が戻ってきたら連れてくるように言われているんだけどいいかな?」
「ギルドマスターがですか? なんだろ… 訓練場の事かな?」
「そうそう、なんでも建設の目途が立ったから開始したいようなこと言ってたよ」
「そうなんですか! わかりました!」
「じゃあ一緒に行きましょうね」
売却を終えるとフローライトさんにそう聞かされてギルド内部へと入っていき、いつもの執務室へとやって来た。
「おう戻ってきたか、今日は稼げたのか?」
「お疲れ様です、今日はまぁまぁですね」
中に入るとギルドマスターだけじゃなくオニキスさんも待っていた。やっぱり建設の事なんだね?
「それでだ、オニキスが土魔法使いをあちこちから引っ張ってきたから明日から工事が開始できるんだが… もう始めても良いよな? 一応お前が訓練場の主… まぁ所長的な立場になる訳だから確認だけはしておこうと思ってな」
「もちろん構いません。だけど間取りとかはどうなっているんです? 何も聞いていないんですけど」
「ああそれはオニキスから説明させよう」
「図面はこれよ、一応屋内と屋外の両方で訓練できるように考えてみたわ。間取りについてはギルドの訓練場を参考にしているから問題無いと思うけど… 何か付け足したい事とかある?」
「そうですねぇ…」




