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第39話  ブラックジュエリーズ、転落への道筋1

活動報告に年末年始の投稿予定について書いてあります、よろしくお願いいたします。

 SIDE:ブラックジュエリーズ


「ちょっと! すっかり見えなくなっちゃったじゃないの!」

「私達に尾行されている事に気づくなんて… 子供だと思って侮っていたわ…」

「どうする? さすがに結界師が単独でこれ以上深くは入れるとは思えないんだけど」

「そうね、私達の尾行に気づいたから逃げるためにここまで誘導してきたのかもしれないわ。8階層だなんて私達でも安定した狩りは出来ない場所だから結界師が狩りなんて出来るはずはないわ」

「それもそうね… 一応もう少しだけ調べてから7階層に戻りましょう。7階層ならなんとか狩りができる階層だから、そこからまた探していきましょう」

「そうだね、ウリボアとか見つけられたらついでに狩っていけば良いしね」



 せっかく追い詰めたと思っていた結界師のクソオスが、突然逃げ出す行動を取ってしまったため、それを追いかけてきた私達の疲労はピークに達していた。

 そして8階層は、7階層に出てくる魔物とは変化してくるのでちょっと対応するのは面倒なところ… ウリボアやブラッドウルフ程度ならなんとかなるけれど、この階層から出現するようになるクレイジーチャボのような耐久力の高い魔物を相手にするのは損耗が激しいからやりたくない。

 結構素早くて避けられない攻撃も多いから、せっかく整えた防具がボロボロにされてしまうのよね… そんな美しくない姿で地上に戻るなんて事はごめんだわ。


「どう? 少しは移動できるくらい回復できた?」

「まぁ歩いて行くんなら…」

「そうね、出来れば戦闘は避けたいところよね」

「うんうん」

「じゃあスピネル、ゆっくりでいいから索敵しながら先頭を行ってもらえる?」

「了解よ、このシーフのスピネルさんに任せてよ」



 スピネルが良い仕事をしたおかげで、一度もエンカウントしないで7階層まで戻ってくる事が出来たわ。こういうところはさすがシーフといった感じね、途中で気配を感じて方向転換する事があったけど、戦闘するよりも回避して遠回りする方がずっと楽だわ。


 そして7階層に戻ってきたけれど… 私達も遊んでばかりいると食べていけなくなるから少しは狩っていかないとね、結界師のクソオスに鉄槌を下したいのは山々だけど、そればかりを追いかけて私達が困窮するなんて意味が無い。なので7階層でウリボアを探そうということになった。


「ん… あっちの方に気配があるね。魔物だけじゃない、人間の気配も」

「なるほど、つまりそこに結界師のクソオスがいるかもしれないという事ね?」

「さすがに誰かまでは断定できないからなんとも言えないけど」

「いえ、いいわ。ちょっとその人間とやらを見に行きましょう、クソオスなら作戦続行でいいし違うなら違うで索敵に戻るという事で」

「「「了解!」」」


 すでに体力も回復しているので私達の動きも素早いわ、スピネルを先頭に歩かせながら静かに移動を開始。

 徐々に近づいてきてるのか、時折何か、焼き物の食器か何かを割るような音がちょいちょい聞こえてくる… 一体何をしているのかしら。


「ブモォォォォ!」


「あら、この声はウリボア? やっぱり誰かが戦闘をしているようね、一応確認だけしてみましょうか、あの結界師かもしれないし」

「そうだね! しかも結界師だとすれば、ウリボア相手に勝てないんじゃない? いい感じでやられてるんだと思うけど」

「とにかく行ってみましょう」


 なるべく足音を消しながら、それでいてスムーズに音のする方へと進んで行く。すると…


「あ、やっぱりあの結界師のクソオスだわ。何をやっているの?」

「なんだかウリボア相手に遊んでいるみたいに見えるんだけど… 何かスキルかなんかの検証をしてる?」

「そう見えるけど… でも結界師ごときがウリボアを相手に余裕な姿を見せているなんて癪に障るわね」

「じゃあここからやっちゃう? 私の魔法ならもう届くよ?」

「そうね、じゃあオブシディアン、魔力を溜めて攻撃用意! セレンディバイトも一応弓の準備を、魔法を外した場合は弓で追撃ね」

「「了解!」」


 オブシディアンが魔法を撃つための詠唱に入り、セレンディバイトも遠距離攻撃用の矢を取り出して弓につがえて待機する。

 長距離用の矢は少し長めに出来ていて飛距離が伸びるよう設計されているとの事だけど、いかんせん命中率が悪いのよね。もちろんコストも馬鹿にならないので余程の事が無い限り使うことは無いんだけど、今回の相手はオニキスさんにまとわりつく憎らしい結界師だ、ただのクソオスなのだ。魔法が当たろうと矢が刺さろうと知った事ではない!


「よし、準備完了。じゃあ撃つよ!」

「ちゃんと狙ってね、間違ってもウリボアに当ててはダメよ」

「分かってるよ!」


 オブシディアンの構えた杖の先から魔力が迸り始める… 得意のファイヤーボールを使うのね、速度はそれほど速くはないけれど、地面に着弾したら少しの間だけその範囲が火の海になるのよね… 慌てふためく結界師の姿が見れるんだから楽しみでしょうがないわ。


「そこまでよ」

「え?」


 急に後ろから声が聞こえ… たかと思ったら、魔法を発射寸前だったオブシディアンが蹴られてうつ伏せに倒れ込むのが見えた。え? 一体何が?


「さすがに今のは看過できないわね、貴女達は少しやりすぎよ」

「誰? あ… オニキス様?」

「ダンジョン内での私的な戦闘、しかも完全なる私怨であり視覚の外からの不意打ち… これはもう冒険者登録抹消も免れない重罪よ」

「いえ、あの…」

「しかも何? あの純真無垢なショウ君を相手にクソオス? ふざけてるの? それだけで十分私に対する宣戦布告となるけれど、今ここで殺されたい?」

「「「「……………」」」」

「全く… まぁ私がいなくてもショウ君なら貴女達程度であれば問題は無かったと思うけど、あの子は優しいから手が出せなくて困ってしまったでしょうね。本当によかったわ、たまたまダンジョンに来ていて」



 まずいまずいまずいまずいまずい。

 よりにもよってオニキス様に見つかってしまうなんて、しかも冒険者資格剥奪? そんな事になってしまったらすぐにでも悪評が立ち実家の方にも迷惑がかかってしまう。


 どうする、どうすれば、どうしたら正解なのか… あ、そんな事よりも、今がオニキス様をこのパーティに勧誘する絶好のチャンスなのでは? 同じパーティメンバーとなればギルドに報告とかしないでくれるかも?

誤字報告いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんなパーティーを放置してるギルドってクズですねぇ。 まぁ主人公を囮にした時点でクズってのは分かってましたが、それを利用して近づこうとしたオニキスもクズだから、そんなオニキスを崇拝してるこ…
[一言] (*ゝω・*)つ★★★★★
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