第37話 差別主義者?
誤字報告いつもありがとうございます。
SIDE:冒険者パーティ、ブラックジュエリーズ リーダーマグネタイト
「ねぇちょっと聞いた? 最近調子に乗っているって噂の結界師の事」
「聞いた聞いた。なんでも噂を確かめに王都のギルドから人が来てたんでしょ? 結界師の癖に生意気よね」
「本当よ。あんな奴がいるから私達がいつまで経っても輝けないのよ!」
「悔しくて泣けてきて怒りで震えて涙が止まらないわ! それに… オニキス様を使い走りのようにしてるって話もあるし、ちょっと身の程を分からせてやろうよ」
「まぁ1人でダンジョンに入っているという事だから、ちょっと囲んで脅しを入れておきましょうか。それとオニキス様から離れるようにってね」
「そうね! 結界師の癖に毎日2~3000ギルも稼いでいるって話だし、授業料として回収してあげなきゃね」
「よし、じゃあスピネルとセレンディバイトは軽く水と非常食を、私とオブシディアンは装備の点検をして明日の朝に備えましょう」
私達は3年前に神託を受け、その時から一緒にパーティを組んでダンジョンに入っているブラックジュエリーズ。剣士の職を持つ私、マグネタイトがリーダーを務めていて他にはシーフの職を持つスピネル、弓師の職を持つセレンディバイト、魔法使いの職を持つオブシディアンの4人で編成されている。
憧れだったAランク冒険者であるオニキス様と同じ地に立つため、遠く離れた領地からわざわざガーネット子爵領までやって来たのだ。
このガーネット子爵領を繫栄に導いていると言われているジェードダンジョン、そこでオニキス様の目にいつか留まるだろうと頑張り続けて活動をしてきたというのに… 今年神託を受けたばかりのぽっと出の結界師がいつの間にか接近していた。
悔しい事に何やら仲が良さげで、いつもクールなオニキス様が笑顔を見せるくらいだ… そんなの絶対に許せないわ! あの結界師の男もさっさと身の程を知って離れればいいのにそれもしない、全く男は男同士でダンジョンアタックでも何でもやればいいのよ! オニキス様の笑顔を見るなんて、それは男による性的搾取に違いないわ!
イライラしながらパーティで借りている借家に戻って来る、ここで普段使っている装備品の点検をしなくちゃね。自分の剣、それにセレンディバイトが使う矢も見ておかなくちゃ。剣はともかく矢は高いからかなりの頻度で再利用しているからね… 曲がっていたり矢じりが破損していたりすると命中率や攻撃力に大きく関わってくる、毎回無事に地上に帰ってくるためには疎かには出来ない事よ。
まぁダンジョン内に出る魔物は討伐されると消えてしまうから、矢の回収は非常に楽でいいのよね。まぁ矢じりが毎回無事かというと、そう上手くはいかないけれど。
点検を終え、買い物に行っていたメンバーも戻ってきたので夕食にする。結界師の悪口大会に花を咲かせながら夜も更けてきて就寝。
そして翌朝…
「さぁ行くわよ! 聞いた話だとあの結界師は毎日ダンジョンに入っているとの事、大体朝一からって事までは把握しているわ。顔も見たことあるから間違える事も無いだろうし、すぐ後ろをついて行くわよ」
「最初だけは他の冒険者達で混み合うから、結界師が狩っている狩場に着くまでは手は出せないかもしれないね。でも朝一でダンジョンに入るのはちょっと嫌だけど」
「本当そうよね。朝一でいけばむさくるしい男どもがいっぱい群がっているから、臭くてしょうがないのよね。いやらしい目で見てくる奴ばかりだし」
「確かにそうだけど、今日は我慢しましょう。これもオニキス様が今まで通りに輝くために必要な処置なのよ、いつか私達のパーティに迎えるために頑張りましょう!」
「「「おー!!」」」
そう、私達が4人パーティのまま増員しないのはそういう事なの。いつかオニキス様を私達のパーティ『ブラックジュエリーズ』に入っていただくため。オニキス様のために私達はパーティを組んだといっても過言ではないわ!
見ていなさいクソオスの結界師よ… 私達がしっかりと躾けてあげるわ!
SIDE:ショウ
「うむ、今日はなんかすっきりと目が覚めたな。なんか分からないけど良い日になりそうな予感がするよ」
ベッドからもそもそと這い出て朝の支度をする、まぁ支度といっても着替えて顔を洗うだけなんだけどね! それが済んだら朝食を食べに食堂に行く… ここ数日のルーティンだ。
通いのメイドさんは毎朝猛烈に早く来ており、俺が起きて食堂に行く頃には毎回しっかりと焼き立てのパンが用意されている… この時間でパンが焼き終わるって何時から働いているんだろうね、なんか怖い。
「おはようショウ君、昨日は大変だったみたいね」
「おはようございますオニキスさん。昨日の事はもう聞いたんですか?」
「ええ、抜き打ちの視察が突然やってきて、あげくにショウ君の戦闘スタイルを見たいだなんて… 職権乱用も良いところよね。話を聞いた時には監査官を追いかけてお仕置きをしたくなったわ」
「ええ… ま、まぁ別に問題は無かったですよ。それに王都のギルド職員であれば、結界師がどれだけ戦闘できるのかを知ってもらうにはちょうど良かったし、俺も宣伝に使えればいいなって思ってましたよ」
「そう、なら良いわ。今日はどうするの?」
「今日は昨日開発した新技の練習を兼ねて7階層でウリボア狩りですかね… お肉も美味しいし稼ぎも良いしで悪いところが無いですから」
「新技? それはちょっと気になるわね。まぁいつも言っている事だけど気をつけてね、特に怪我をしないように!」
「わ、分かりました」
朝食も終えたので今日もダンジョンに向けて歩き出す。
近頃忙しそうにしていたオニキスさんの顔を見れたのも良かったな… 特に疲れた感じではなかったようだし、俺の事で忙しそうにしているってだけで罪悪感もある訳だしね。まぁ元気が一番! 健康に勝る宝は無しって事で!
今日もいつも通りにダンジョンの中を歩いて行く。朝一番は大勢の冒険者で行列ができるからね、ある意味5階層までは一番安全な時間だと言える。俺が動く前に出てくるゴブリンなんぞあっさりとやっつけられてるからね。
それにしても… どうも俺の後ろに並んでいる女性パーティが俺を睨んでいるような…? 睨むというか殺気まで感じるくらいなんだけど! 俺、何かやっちゃいました?




