第34話 ギルド監査官到着!
誤字報告いつもありがとうございます。
「あ、ショウ君お帰りなさい。疲れているところ悪いんだけどギルドマスターの部屋に来てもらえるかな? ギルドの王都支部から視察が来ていてその者がショウ君に会いたいっていうのよ」
「ええ? なんでまた俺なんかに? ああ、結界師の癖にダンジョン入りやがってとか小言を言うためかな?」
「なんかね、王都の方でも噂になってるみたいなのよ… ショウ君の事」
「ふぇ!?」
「護衛依頼とかで王都に行った冒険者がね、「うちのギルドにはゴブリンキングをソロで倒せる結界師がいるんだぜ~」みたいに吹聴しちゃったみたいなのよね… 王都支部でもその噂が本当なのかどうか知りたいって事らしいわ。まぁ嫌だろうけどちょっと来てもらえる? 視察の担当者も若い女性だから怖くないよ」
「いやいやいや、若い女性なのに視察の担当者になれるってだけで十分怖いと思いますが? でも分かりました、ギルドマスターの部屋ですね?」
「ええ、私が案内するからついてきてね」
しかしどうしてこうなった? 別に他所の地方で活動している冒険者の事なんてどうだっていいだろうに。今の世の中ではなんぼ噂が広まったところで「結界師がダンジョンで活躍」なんて聞かされたって誰も信じないだろうにね… わざわざやってきて確認する程のものなのかな、俺には良く分からないね。
コンコン
「ギルドマスター、結界師のショウ君が戻ってきました」
「おう、入ってくれ」
「はい。じゃあショウ君、後はギルマスの指示を聞いてね」
「分かりました。失礼します」
フローライトさんは業務に戻ってしまったので、ちょっと怖いけど意を決して部屋の中へと入っていく。
中に入ると… うん、確かに20代半ばくらいの女性が2人いるね。なんというか、1人は几帳面そうで苦手なタイプとお見受けするが…
「おう来たか、疲れているところ悪かったな。こっちの2人はギルド王都支部の職員であるショールとトルマリンだ、この街には各地にあるギルドが職務を全うしているかを確認するために抜き打ちでやって来た監査官として来たそうだ」
「はぁ… どうもショウと言います」
抜き打ちの監査官… 何とも怖いイメージのお仕事ですね! そんな人たちがどうして俺なんかを?
「冒険者ギルド王都支部勤務のショールよ、こちらは助手のトルマリン。君が噂のショウ君ね?」
「噂についてはついさっき聞かされたばかりなんで、正直どんな話が伝わっているのか知らないんですけど」
「結界師なのにダンジョンアタックをしている神託を終えたばかりの子がいるって噂があるのよ、それで実際にどうやって魔物を倒しているのか興味があってね… 良ければ明日にでも君の戦闘を見てみたいのだけど良いかな?」
「はぁ、まぁ後ろからついてくるくらいなら問題はありませんが、前に出られると怪我をするかもしれませんよ?」
「それは大丈夫よ。君の素の力が見たいだけだから、戦闘の邪魔にならないよう距離を置く事を約束するわ」
「そういう事でしたら構いません」
「そう、ありがとね。じゃあ明日の朝、ダンジョンに入る前にギルドに寄ってもらえるかな? 驚くほど早朝から入るって訳じゃないんでしょう?」
「そうですね、大体ギルドの受付が始まるくらいの時間に入ってますので。じゃあ明日の朝に寄らせてもらいます」
「ショウ、呼び出した用件はこれだけだ。帰って明日に備えてゆっくり休むと良い」
「分かりました、お疲れ様です」
ふぅ~、几帳面そうで苦手なタイプだと思っていた人が助手で良かったよ… あのショールって人ならなんとか普通に話せる感じだったからね。
しかしまぁ結界師の戦闘に興味がある… か。まぁ今までの歴史上満足に戦闘できた人なんて数が少ないからね、それに戦闘できたといっても結界師としてじゃなく剣などの武器を持って、普通に戦士として戦っていたとかなんとか。
まぁそんな歴史を知っているんなら確かに興味は出るのかもしれない。なんせ俺はまだ12歳、剣技を覚えるにしても若輩すぎて当てにならないだろうから結界師としてのスキルを使って戦っているんだと思ってるんだろう。
「これはアレか? もしかして結界師でもやれるんだアピールする大チャンスなのか? いいね、なんだか燃えてきたよ!」
よし、なんだか知らないけど無駄に士気が上がった気がするから明日のために今日はしっかりと休んでおこう。あっと帰る前に魔石とお肉の換金を忘れないように!
SIDE:冒険者ギルドジェード支部ギルドマスター
「今のが結界師のショウだ、12歳にしては瘦せていて小柄だが孤児院出身だからそこはしょうがないと思ってくれ」
「それは分かりましたけど… 本当にあんな子が1人でダンジョンに入って大丈夫なんですか? 別の仕事をやらせた方が良いんじゃないかと思いますがね」
「それは監査官としての意見か? ギルドとしてはダンジョンに入らないように止めてやれとかそういった話か?」
「まぁギルドには特定の職業の者をダンジョンから排除する法はありませんが、あれだけ綺麗な顔をしているなら他の仕事もできるんじゃないかと思いましてね。ただのお節介かもしれませんが」
「まぁ言いたい事は理解できる。だけどな、あいつはAランク冒険者のオニキスが低階層であれば何も問題は無いと報告してくるくらいの力はあるんだぞ? それにあのくらいの年頃の少年に「見た目が問題だからダンジョンは止めた方が良い」なんて言ったりしたら… 男子としての小さな誇りが砕け散る事だろうな」
「いや、さすがにそんな事は言いませんよ? ですがAランクのオニキスが保証した… ですか。まぁ明日には分かる事です、自分の目で見てみますよ」
「ああ、そうしてくれ」
そんな話をして監査官の2人は視察の続きをしに行った。
まぁこのギルドは俺が目を光らせているからな、おかしな職員もアホな冒険者もいない! いや、これはさすがに言い過ぎだな。アホな冒険者は結構いるからな… 悪い奴ではないんだが。
まぁともかくだ、俺もオニキスからの報告でしか知らないんだが、せいぜい驚いて帰るがいいさ。不意打ちとはいえCランク冒険者を一撃で仕留められる攻撃力、5階層ボスでの1対多人数でも無傷で進んで行く今までにないタイプの結界師の力を。
ま、それを見て何かに利用するなんて考えたら… オニキスを敵に回す事になるだろうがな。もちろん俺もだが。




