第33話 ノーガード戦法
誤字報告いつもありがとうございます。
朝になりました、今日は曇りです…
ふぅ、昨日は色々とひどい目に遭ったよ。
オニキスさん宅に戻ったらすでにオニキスさんは帰宅していて、建物についてはなかなか難しいけどちょっと手を尽くしているからと言われた。
まぁ話を聞くと確かにその通りなんだよね… この街って安全のために防壁で囲われているから土地の自由度って非常に低いんだよ。いろんな場所に広場はあるものの、そういった場所には商業ギルドの仕切りで露店が出回るし、空いている場所は割とすぐに買い手がつくという事だ。
そしてオニキスさんの案として、防壁の外に建造しようと考えているんだけど……。ここの領主が素直に良しと判断してくれないだろうとの事。
なんでもダンジョン都市として栄えているのに、無駄な死人を出して街の評判を落とすようなことはするなと言いたいらしいのだ。非常に保守的で頭が固いと言われているそうだ。
「まぁそれは分かったけどお風呂に乱入してくるのは反則だよねぇ… しかもノーガードで来るから恥かしいったらなかったし」
ねぇ? 普通20代前半の女性だったらいくら俺が12歳だからといっても隠す所は隠すよね? それをノーガードって… なんか逆に男らしいって感じだったけどな。
まぁそれはともかく、土地建物はまだまだ時間がかかりそうだとの事。俺もできれば参加したいんだけど… 「いいから任せて!」なんてゴリ押しされてしまい、結局お任せする事になった… 残念。
そういったわけだから、今俺がやらなければいけない事は結界師としての能力の使い方を習熟させることと開発する事。要するにいつもと変わらないって事だね。
「でも確かに次元断以外にも何か手札はあった方が良いよね! 次元断しかないとなれば、対人間で何かあった時には手加減のしようがないし、手足を切断する事しか出来ませんっていうのはちょっとアレだ、心許ない」
なんかこう、衝撃を与えて怯ませるとか気絶させるとかできたら良いよね。なんだったら張った結界を手裏剣のようにぶん投げて、逃げる相手を転ばせるとかできたら面白いかもしれないね。
でもそうか、結界を投げる… それも回転させて手裏剣とかブーメランのように投げてやれば、当たって結界が壊れるにしても結構痛いかもしれないな。
よし! じゃあ今日は結界を投げられるかどうかの検証をしていくとするかな! 椅子にするのは強度的にちょっと怖かったけど、壊れる前提の飛び道具に早変わりするんだったら牽制として手が増えるのは間違いない。
あ、でも椅子はともかくテーブルにするのは結構使えたよな… そんな重いもの置かなければだけど。
さて、今のネタがはたして使えるのかどうかの検証をしておくかな。
現状一度に2枚しか結界が張れないから、ブーメランのように結界を放り投げられたとしたら武器になる結界は1枚しか残らない。まぁこれも状況によるんだろうけどフルサイズの次元断なら間合い次第では一撃で2体は倒せるからよしとするか? まぁそれ以前に投げられる物かどうかの検証だな… 一度も試していない事をするんだから油断はしないよう気をつけないと。
やってきましたジェードダンジョン5階層です。ゴブリンキングを倒す前にブーメランを試してみようと思う… これもアレだな、なんか格好の良い名前を考えないとダメだよな。少なくともこの世界に生まれて12年、一度もブーメランを見たことも聞いた事も無いから存在するのかどうかも分からない。ブーメランだと言いながら放り投げて、誰かに「ブーメランってなんだ?」とか聞かれても答えようがないからね… まぁ他の名前にしても同様なんだろうけど。
とりあえず先に練習しておくか。結界をこう… 回転させながらビューンって感じで、とりゃー!
ヒュンヒュンヒュン… パキィィィン!
Oh… 壁に当たって結界が割れてしまったよ。でもとりあえず投げられる事は分かったから良し。次はゴブリン目がけて投げてみて、どれだけ怯んでくれるかの確認だな。まぁほんの少しでも足を止めてくれたら儲けもんだし、早速試そうか。ゴブリンや、出ておいで~。
検証結果発表~!
結論から言おう… これは使える!
何が良いって、投げつける速度がものすごい速いのよ。ある程度の調整ができるんだけど、最速で投げた場合はきっと165㎞/hは出てるんじゃないかな… 多分だけど。
ぶつかってしまえばすぐに割れるんだけど、勢いだけでゴブリン程度なら昏倒するするんだよ! もう接敵前であればこの技で十分迎撃可能だという事が分かったんだ。もちろんゴブリンに対してね。
それでついさっきゴブリンキングの部屋に入った時試してみたのさ、入室後に速攻でゴブリンアーチャーとゴブリンシャーマンを昏倒させ、その後ゆっくりとゴブリンナイトとキングをさくっと次元断で討伐。最後に昏倒したまま動けなくなっていたゴブリンアーチャーとシャーマンにトドメって感じでかなり安全に終了した。うんうんいいねいいね!
いよいよもってソロ活動が捗る仕様になりつつあるのは気のせいだろうか… これであればある程度経験を積んだらパーティとか組まずにソロ活動できるかもしれないな。毎日5階層まで来て、ゴブリンキングをメインに魔石を集めて余力で他のゴブリンを狩っていれば普通に暮らせるんじゃないかな。
「自分以外の結界師なら戦闘する事に不安があるだろうからパーティ推奨で考えていたけれど、パーティで狩るならどうしても収入を増やさないとって考えちゃってたね。でもこれなら魔石だけで事足りるからマジックバッグは無くても問題は無いし、良いんじゃないかな?」
しかしまぁ欲を言えば、投げつけた結界の攻撃で仕留められれば言う事無しだったんだけどな~。さすがにそれは贅沢かね、まぁこれでも十分脅威になるだろうし立ち回りがずっと楽になるのは間違いない。
よし、早速この方法がゴブリン以外にも有効かどうか7階層まで降りて試してみよう! 移動中に技の名前を決めておくかね!
結局ネーミングセンスの無さが災いし、納得のいく名前が決められなかったよ… がっかり。
しかし、この高速で放たれる結界のブーメラン? 距離にもよるけどブラッドウルフには回避されてしまったね。まぁそれでも回避行動を取らせられるだけ隙ができるので、やはり十分に役に立つことが分かった。
よし、今日はここまでにして地上に戻ろう!




