第3話 今度の方針?
誤字報告いつもありがとうございます。
「よし! 今日だけでかなり検証できたし、なによりゴブリンを15体も狩れたぜ!」
ゴブリンの魔石は銅貨1枚で買い取ってもらえるからな、全部で大銅貨1枚と銅貨5枚になる。
ちなみに通貨は4種類あってそれぞれに大中小と小分けされている。お金の単位はギルと呼ばれ、小銅貨1枚が1ギル。小銅貨10枚で普通の銅貨と同等になり10ギル、銅貨が10枚で大銅貨となり100ギル。
大銅貨10枚と同等なのが小銀貨で1000ギル、銀貨が10000ギル、大銀貨が10万ギルとなり大体平民が使うのはここまでの貨幣だね。
あとはもうね、俺には縁が無いだろうけど100万ギル相当の小金貨、1000万ギル相当の金貨、1億ギル相当の大金貨がある。これは大商人とか王侯貴族が使うやつだね。
残る1種類は国家間でやり取りされているという白金貨、まぁ10億ギル相当という事だね。こればかりは一生見る事も無いだろうな。
まぁそんな訳で今日の売り上げは150ギルになる。これだけあれば1回の食事代には十分なる、もちろん安いパンとスープ程度だけどね。そして宿泊費には全然足りない… まぁこの町はそこそこ治安はいいから野宿でも構わないし、飯さえ食えれば明日への活力になる。空腹で戦う事ほど危険なことはないからな… そこだけは妥協しないように考えている。
さぁギルドに行って魔石を売り、ご飯を食べよう! もう腹減って倒れそうだよ。
「はい、ゴブリンの魔石15個確認しました。150ギルとなりますが…」
「ん? なんですか?」
「本当にあなたが倒したんですか? あなたが結界師だという事はすでに聞いているのですが」
「ああなるほど、結界師に戦闘なんて出来る訳が無い、だからどこかから盗んできたんじゃないかって言いたい訳ですね?」
「い、いえそういうわけではないんですが」
「小さい頃から訓練していましたし、別に結界を使わなくたってゴブリンくらい倒せますがね」
「そ、そうですよね! ただちょっと気になっただけなんです、不躾ですいませんでした」
まぁ分かるよ。
結界師の張る結界はゴブリンの攻撃すら止められないからね、それを使って戦うとなればゴブリンにだって苦戦するはずだから。
だけどちょっと先入観にとらわれ過ぎだよね? 普通に戦ったってゴブリンに勝つことは難しい事じゃない、ただ単独だと複数のゴブリンに囲まれたら不覚を取って殺されるってだけで。
でもまぁ謝ってくれたし、この受付嬢のお姉さんは悪い人ではないんだな。
でもまぁとりあえずは気にしないでおこう、そんな事よりもご飯が先だ! 明日のために体力を回復させないといけないから、今日は串肉でも食べるかな!
宿代はないから野宿になるが、人気の無い場所があればそれでいい。もちろん犯罪者が誰もいないってことは無いから、何か陰になる物があれば良いね。
鐘の音で目が覚めた、空が白んでいるから今の鐘は朝5の鐘だな。
よし、今日は朝からじっくりと結界を試しつつ魔石を貯めて行こう。今日の目標は昨日の倍、30個だな! それだけあれば食事も取れて動けるだろう。
今日も夕方まで元気に動けるよう朝飯を食べなきゃ!
こんな早朝から屋台を出している店に立ち寄り、串肉とスープを買う。野宿で冷え切った体が一気に温まる。
昨日は空腹で気づかなかったけどゴブリンを15体も倒したんだ、もしかしたらレベルが上がっているかもしれないよな。ギルドで鑑定するにはお金がかかる、現状を把握するためには鑑定してもらった方が良いんだろうけど… その前に冒険者登録をしないといけないんだよな。
この町に住む者であれば、12歳になって神託を受けていれば誰でもダンジョンに入る事が出来る。まぁこれは孤児とか浮浪者とかに対する救済措置だと謳っているが、実際はスラムやなんかに住む人間の排除がメインだ。
食うためには稼がなくてはいけない、そんな思いを持った者がダンジョンへと入っていき、才能があれば稼げるようになって宿に泊まるようになり、稼ぐスキルが無いんだったらそのままダンジョンで死に絶えていく…
もちろん俺はそうなるつもりは無いし、今にがっぽり稼いでやる気は満々だ。お世話になった孤児院に寄付もしたいしな!
しかし、それはあくまでもこの町に限った話であり、どこか拠点を変えるとなれば身分証の無い俺には冒険者登録をしてギルドカードを手に入れるしかない。
身分証として使えるんだから当然だけど無料じゃない、銀貨5枚… 50000ギルも必要になるのだ、これはなかなかすぐに稼げる金額ではないんだよな。鑑定に至ってはギルド登録したうえで更に銀貨1枚必要になったはずだ。
「つまり、1日のノルマをゴブリン30体に設定した場合、1日の食事代を150ギルから200ギルに抑えて生活し… 最短400日、最長600日かかるのか。もちろんそれは毎日が健康での話だからな、そう考えると果てしなく遠い未来に感じるな」
まぁアレだ、1日30体のノルマはレベルが上がったら増やせるだろうからな、悲観的にならないでもっと陽気で気長に行こうじゃないか。そうしよう!
そんな訳でデビュー2日目、今日も元気にゴブリンを相手に戦っています。
腹時計の具合だとそろそろ昼を過ぎた頃だと思うが、今日はもうすでに20体もゴブリンを狩っている! ノルマ達成は楽勝だな!
ゴブリンが3体で組んでいてもなんとか倒せるようになったし、やっぱり昨日レベルが上がっていたのかもしれないな。良い調子だぜ。
………とまぁ、そんな感じで盛大に油断しておりました。
「グハッ! 痛ってぇなこんにゃろー!」
2体のゴブリンに待ち伏せされていて、どうにか対応していたら3体目が背後からやって来たのだ。ゴブリンの癖に連携なんかしやがって生意気だぞ! 俺には連携をする相手すらいないというのに!
「結界!」
背後から殴りかかって来るゴブリンに、縦にした結界で何とか防ぐ。その隙に正面にいる2体を始末しないと…
結界が殴られ、割れていく音に驚いたゴブリン目がけてナイフを突き出す。ちょうどあんぐりと口を開けていたのでその中に差し込み、1体を倒す事が出来た。しかしその隣にいた2体目のゴブリンが俺に向かって棍棒を振りかぶっているのが見える。
「うわっ、危ない!」