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第16話  ゴブリンアーチャー戦

誤字報告いつもありがとうございます。

 そして次に考えなければいけない事は、ゴブリンアーチャーやシャーマンの持つ遠距離攻撃の対処方法だな。でもこれは… 実は考えがあったりするんだよ。

 棍棒の攻撃をいなすときにも使ったが、平面で受けるんじゃなくて角度をつけて受けてやれば、結界が割れる前に矢や魔法の方向をずらせるんじゃないかってね。


 つまり、ゴブリンアーチャーやシャーマンに出会った場合、自分を取り囲むように鋭角な三角形… 底辺の無いやつを張っていけば良いんじゃないかと。もちろんアーチャーもシャーマンもそれぞれ単独でうろついている訳じゃないだろうから、防御に結界を2枚使う以上他のゴブリンには槍で対抗しなければいけない。


「槍の修行も頑張れって事ですよね… うん分かってた」


 要するに、この階層にいるゴブリンに手ごたえが感じられないからといって先に進むんじゃなく、槍をメインに戦闘訓練をしろという事だな? よーし、やってやろうじゃないか! ガンガンいくぞー!



 なんて事を思ってた時がありました。


 パキィィン!


「うおっ! 危ないし!」


 只今俺は、ゴブリンアーチャー1体とゴブリンリーダー2体の集団と戦闘中だ。

 いやマジでゴブリンアーチャーってうざいよな! 当たり前だけど全然俺に近づいてこないし、ゴブリンリーダーを前線に出しての遠距離攻撃をチマチマと…


 まぁ矢の速度が思ったよりも速くなかったって事が分かったのはいいけれど、ちゃんと射線の事を理解していて、ゴブリンリーダーと重ならないように位置取りをしつつ射ってくるのがうざい。


 常にアーチャー相手に鋭角三角形の頂点を向けているけど、ゴブリンリーダーの攻撃が時々結界に当たって割られてしまうんだよ…

 そうそう、やっぱり思っていた通り角度をつけた結界だと、アーチャーの矢の方向を変える事が出来たんだ。しかも割れないで… これは良い事だ。


「それっ!」


 槍をゴブリンリーダーに突き刺し、ようやくゴブリンアーチャーとの1対1に持ち込めた。ふぅ、ここまで来れば一気に行けるぜ!


 結界で作った三角形の頂点を、更に角度をつけてからゴブリンアーチャーに向かって走り出す。ゴブリンアーチャーは焦ったような動きを見せていたが、すぐに俺に狙いを定めて矢を射ってくる…


 ギィン!


 まるで金属同士が打ちあったかのような音が響くが俺の結界は無傷だぜ! このまま槍で突き刺してやんよ!


「グギャァァ!」

「おろ?」


 そうだった… ゴブリンアーチャーに向かって結界三角形を作っていたんだった。槍の間合いに入る前に、結界の方が先にゴブリンアーチャーに当たってしまった… なんてこったい。


「グギャァ…」

「おや? なんかダメージを受けている?でもチャンスだから一気に行く!」


 結界を解き、転がっているゴブリンアーチャーに対して槍を突き出していく… 連撃ってやつだ。

 3発ほど当たったところでゴブリンアーチャーはバタリと倒れ、魔石を残して消えていった。


 無事に戦闘が終了したので魔石を拾い、今の戦闘について考えてみる。


「いきなりだったから焦ったけど、どうにかなるもんだな。それに矢がそれほど速くなかったのもラッキーだった。そして…」


 そう、最後にゴブリンアーチャーに突撃した時にぶつかった結界… 割れなかったんだよね。ゴブリンアーチャーを押し倒すほどの勢いだったのに。

 つまりなんだ? 2枚の結界がちょうど合わさっていた場所だったから強度が通常の結界よりもあったって事か? でも普通に受けたら2枚重ねでも割られたんだけどなぁ。


 まぁアレか、接触した時の角度が鋭角だったからっていうのもあるんだろうな。なんか前世の記憶にそういった強度計算の方法があったような気がするんだけど、いまいち思い出せないんだよな… まぁいいや、とにかく当てるんなら鋭角にって事で覚えておこう。


 さて、空腹具合から察するにそろそろ午後も中盤といったところかな? 今日は宿を取らないといけないから早めに地上に戻らないとな、部屋が取れませんでしたってオチだけは回避しないと。


 今日の収穫はゴブリンリーダーの魔石が11個、ホブゴブリンの魔石が6個、ゴブリンアーチャーの魔石が1個で710ギルだな。1階層で狩ってた時の倍以上になった、やっぱり階層を変えると利益も変わる… まぁ当然危険度もだけどね。


 お金に関しては昨日の臨時収入があったから余裕があるけど、やっぱり予備の武器とかって考えるともっともっと稼がないといけないよね。

 それに噂のマジックバッグ… 異世界で冒険者といえばこれを買わないとダメだよな! まぁ安い物でも金貨10枚以上… 1億ギル以上必要だって言うんだから見通しは立たないけれどね。


 よし、それはそれ。今は自身のレベル上げとスキルの熟練度上げに集中しよう。



 地上に戻り、先に宿を取ってからギルドで換金してご飯にしようかな。

 しかし初めての宿… なんか緊張するな。そうだ、やっぱり順番を変えてギルドを先にして、お勧めの宿を聞いてみた方が安全かもしれないな。そうしよう!


 まだ早い時間だからか、ギルドにはあまり冒険者は戻ってきていないようだね。まぁ混んでいないならむしろ歓迎だけどね。

 受付に向かうと、いつもは2人待ち受けているんだけど1人しかいないな… ああ、フローライトさんがいないのか。1人残っている受付さんは、俺が初めて換金した時の人だ… 今回はリーダーにホブ、アーチャーの魔石があるからまた疑惑の目で見られてしまうのかな…


「あ、換金お願いします」

「はいお帰りなさい。少し待っていてね」


 お帰りなさい… か、 孤児院以外では初めて言われたかも。


「あら、今日は4階層? 君の話は聞いているけれど無茶してない?」

「大丈夫です。それにしばらくは4~5階層で練習する意味でも留まろうと思ってます」

「そう… じゃあ今日は710ギルね、確認してね」

「はい… 間違いなく」

「今日は早いけど、何か用事でもあるの?」

「ああそうだ、どこか安すぎないほどほどの宿なんか教えてもらえたらって思ってたんですけど、どこか知っていますか?」

「安すぎないほどほどの宿… まぁ選択肢としては悪くはないと思うわ。安すぎる宿だと安全性に問題があったりするから、君のような小さな子だと侮られてしまうものね。

 ええと、そうね… そういう条件なら『天上の土モグラ亭』が良いと思うわ。確か1泊食事無しで300ギルから部屋があったはずよ」

「1泊300ギルですか… ありがとうございます、そこに行ってみます!」



 しかし… 天上なのに土モグラなんだ… そんなどうでも良い事を考えてしまうのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「棍棒の攻撃をいなすときにも使ったが、平面で受けるんじゃなくて角度をつけて受けてやれば、結界が割れる前に矢や魔法の方向をずらせるんじゃないかってね」 隠れたところから、知らないうちに弓矢で…
[一言] 一泊300円…
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