第12話 「小さい子がいっぱいいるのね?」
誤字報告いつもありがとうございます。
「ああなるほど、いや実はですね… 例の初心者狩り? その内の1人を俺のスキルで攻撃してしまったんですよ。多分その経験値が入ったんじゃないでしょうか」
「ええ? でもあの2人ってどっちもCランクだったはずよ? 低く見積もってもレベル10から15はあったと思うんだけど」
「いやぁ… 笑えるくらい油断して迫って来ていたから、しかもオニキスさんの攻撃と偶然被っちゃって」
「なるほど… 偶然とはいえ一撃を入れたからって事なのね。でも新人でレベル9なんて良いじゃない、これで安全度も高まると思うわ。
でも一気に上がったばかりなら今までと体の動き方が急激に変わっていると思うから、まずはゴブリンを相手に自分の身体能力をしっかり把握することが大事よ? 一気に深い階層まで行ったりしないようにね?」
「もちろん分かっています。安全第一ですから!」
そしてとうとう… ギルドから冒険者証のプレートをもらいガチの冒険者になれたのだった。しかもこの冒険者証は身分証明にもなるから良いんだよね、いやぁ長くなると思っていたけど、ある意味棚ぼただったかもしれないな! 怖かったのは確かだけど。
ギルドでの用事を終えて受付に戻ると、不機嫌そうな顔をしたオニキスさんが待っていた。これは遅くなって怒っているのか? よしすぐに謝ろう!
「すいませんお待たせしちゃって」
「いえ、大丈夫よ。それじゃあ今度こそ行きましょうか。武器はどういう物が良いとか考えはあるの?」
「そうですね… やっぱり体が小さいからリーチのある槍かなんかをって考えています。孤児院出身の冒険者の人に色々と教えてもらっているので」
「なるほど… でもあまり長いのはダンジョンではお勧めできないわね。せめてショートスピア程度じゃないと」
「そうなんですよね。俺の腕力の事もあるからどっちにしてもショートスピアになると思っています」
そんなこんなで無事に買い物が終了した。
出費としては、貴族のお坊ちゃん用に作ったのに突然いらないと断られたという練習用のショートスピア、220万ゼニー。練習用とあって、無駄な装飾が一切無かったから買う事にした。子供用のショートスピアなんて普段探しても見つからないものだし、オニキスさん曰く練習用とは言っても上等な部類になるとの事。そしてオニキスさんが一緒だったという事でぼったくられることも無かったのは良い事だ。
防具に関しては今回は見送る事にした。しかしまぁ見送るといっても最低限のものは装備しておかないとという事で… やや厚底の靴と指ぬきのグローブを購入。これだけでも気分的にアガるよね!
「そういえば、持ち込んだ奴らの装備品はいくらになったの?」
「ああアレですか… 剣についてはあまり良い物じゃなかったらしくて2本で300万ゼニーでしたね。小銭袋の中身も銀貨2枚と銅貨しか無くて」
「なるほど、そろそろ金策をってタイミングだったのね。じゃあちょうど今日の出費はそれで賄えたって感じ?」
「そうですね、装備品と登録料と鑑定料… 報奨金は全部丸々残っている感じです。後はこれを使ってお肉と野菜を買い込んで、孤児院に持っていくだけですね。お金も多少寄付しようと思っていますし、残りはギルドに預けるって感じかと」
「そう… 孤児院に行くのね。小さい子がいっぱいいるのね?」
「そうですね… 10人ほどいるはずです」
「なるほど! じゃあ買い物とかしたら荷物がいっぱいになって重くなりそうだし、私がそっちも手伝ってあげるわ! それに私も多少寄付もさせてもらうわ」
「ええ? いやいやいや、さすがにそこまでお願いできませんよ」
「いいのよ、私… 子供が好きだから」
おおお… なんて良い人なんだ。そうか、子供好きだったのか。だから俺のようなやつにも色々と手を貸してくれたって事なんだな…
いやぁ今日は色々とあったけど、やりたかったことが一気にできて良かったな! お金の問題が無くなったっていう事がやはりでかい。
そう、お金… あれ、そういえば俺… 今日人を殺したよな。
「ちょっとどうしたのショウ君、急に顔色が悪くなって」
「いえ、ちょっと思い出しちゃって。今日俺… 人を殺したんだなって」
「大丈夫よ、あいつらははっきりいってゴブリン以下の存在で、生きているだけで罪な連中なの。あんな連中の事で気に病む必要なんて一切無いわ、じゃあ落ち着くまで私が抱きしめていてあげる」
「いえいえいえいえいえ! 大丈夫です! 買い物の続きを済ませちゃいましょう!」
「あら惜しかったわ」
孤児10人分プラス職員であるシスターさん5人分、大人5人に子供10人分のお肉を購入。ダンジョンでオーク肉が獲れるのでそれを… まぁ少々高価だけど、今回の稼ぎはそれくらいじゃビクともしない! 当然お肉と同じ量野菜も食べないとね! 後は塩も少し買っておくか、塩さえあれば味付けなんてどうにかなっちゃうからね、そうしよう。
「それにしてもショウ君… そんな華奢なのに結構力があるのね」
「え? ああそういえばそうですね… そうだ、さっき鑑定した時になぜかレベル9になってたんですよね。多分それのせいかと」
「なるほど、ヘマタイトをやった分経験値が入ったのね。しかし良いじゃない、レベル9の結界師なんてもしかしたら居ないんじゃない?」
「そうなんですかね… まぁ分からないですけど」
「さ、買い物はこんなものでいいかな? 早く孤児院に行きましょうよ」
「はい! 今から行けばお昼に少し食べて、夕食の仕込みの時間もたっぷりですからね」
買い物を済ませると、街の外れにある教会へと向かって行く。この街はダンジョン産業で栄えているせいか、子連れの冒険者でも安心してダンジョンアタックが出来るよう孤児院は託児所を兼ねて領主が主導して運営されている。
とはいえ、さすがに毎日お腹いっぱい食べられる程の資金は無いので、院にいる子供はすっかり痩せてしまっているのが現状だ。
教会のシスター達が色々と割り振りをして、節約に節約を重ねてなんとか回している。ただ領主以外の寄付というのは大体孤児院の卒業生で成功できた者だけなので、時々ではあるが美味しい物を食べる機会はあったりするんだ。
ふっふっふ… まさか後輩共も俺がこんなに早く寄付しに来るとは思っていないだろう。美味しいオーク肉で泣かせてやるぜ!
そろそろ毎日投稿がきつくなってきました… 出来る限り続けますが、隔日更新になる可能性特大です┏oペコッ




