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第10話  ぎゅぅぅぅぅぅ!

誤字報告いつもありがとうございます。

 ふむ、ギルドマスターの依頼を受けるくらいだから信用できる人なのかな? しっかりと使いこなしてから公表しようと思っていた次元断だけど、こうなっては教えない訳にもいかないよね。むしろうまく説明できるかの方が心配だ。


「えっとこれは、結界師としての能力で、自分で開発した必殺技です!」

「必殺技? ……を、開発した? すごいわね。まぁともかくアレよ、ちょっとこっちにいらっしゃい」

「は、はい?」

「ぎゅぅぅぅぅ!」

「うぐっ! ちょっ、息が!」


 突然抱きしめられてしまった…! どゆこと? それになんだか息が荒いし… いや、それよりも!


「そういえばもう1人は生きているんですよね? ギルドに連れて行くんですか?」

「ハァハァ… はっ!? そ、そうね、もちろん連れて行くわ。それとそっちの奴、放っておくと死体がダンジョンに吸収されちゃうから持ち物とか取っておいた方が良いわね」

「え…、死体から漁るって事ですか?」

「そうよ、こいつは犯罪者。しかももう死んでいるからこれ以上罪の償いが出来ないでしょう? だから持ち物ですらかき集めて賠償の足しにするのよ。

 この街のダンジョンですらかなりの件数の被害があるのよ、恐らく他の街でも同様の事をしてきたはず。これは今頃ギルドマスターが余罪を調べているはずだから帰れば分かるかもしれないわね」

「そ、そうですか…」


 そりゃそうか、噂が立つって事はそれなりに被害者がいたって事なんだからな。まぁもっと強引に取り押さえて自白させるとか権力者ならやりそうだけど、そこら辺の法は整っているって事なのかな。まぁ俺だってこの街以外は知らないから何とも言えないけどね。


「それじゃあ一緒にギルドに行くわよ」

「え? いやでも… 今日はまだ3体しか狩っていなくて、ご飯代が…」

「それは大丈夫よ、ギルドから初心者狩りの対する報奨金が出ているから、それを私と半分ずつ分けたら良いわ。それでも結構な額になるはずよ… 確かこの街だけでも金貨5~6枚にはなっていたはずだから」

「き、金貨ですか!?」

「そうよ、それだけあればもう少しまともな装備が買えるでしょう? 今日はその辺の買い物に時間を使えば良いと思うわ。もちろん私が案内してあげる」

「いえ、そんな悪いですよ」

「良いのよ、むしろ私がついて行きたいくらいだから」


 しかしそうか… 金貨5~6枚も。半分にしたって2枚は確定だしな、それなら確かにもう少しいい武器に変えられる。どうしよっかな… やっぱりリーチのある槍かな? 大人用のショートスピアにすれば俺にはちょうど良いかもしれないし、まぁとにかく! 武器屋って初めて行くから興奮するよな!

 ん? でも本当に半分ももらえるのか? 確かに1人は倒したかもしれないけど、俺の記憶では次元断よりも先にナイフが刺さっていたような… 聞いてみるか。それにそろそろ離してもらわないとな、こんな綺麗な人に抱きしめられるのは嫌いじゃないけどここはダンジョン内、さすがにちょっとって思うしな。


「でも本当に半分ずつになるんですか? 俺はそれほど役に立ったとは思えないんですけど」

「いえ、十分すぎる程役に立ったわ。私がこうしてギルドの依頼で護衛についているという事は、ギルド側はショウ君を囮にしたということなのよ。それにショウ君がいなければあの2人も動かなかっただろうしね」

「ああなるほど… 囮だったんだ…」


 確かにそういう事だとすれば、俺にも貢献度はあるな。でもそういうのって先に言っておいてほしかったな… まぁ終わった事だから仕方がないけど。


 ふと気づくと、オニキスさんは俺から離れて死んでいる方の冒険者… 名前なんだっけ、まぁいいか。そいつから装備品と腰から下げていた袋を剥ぎ取り始めた。

 良く見ると剣も良品に見えるし稼いでいたんだな… まぁその金が真っ当な手段で手に入れたのかどうかは現状を見る限り怪しいものだが。


「これは討伐者の権利よ、持って帰って使うなり売るなり好きにして良いわ。まぁこんな奴が使っていた装備なんて気持ち悪いだろうから、売却一択よね」

「そうですね… でも俺が手を出す前にナイフが刺さっていたように見えたんですけど?」

「ナイフ? そんなの知らないわね。だからこれは君の物よ」


 これは… 孤児である俺に譲ってくれるって事なのかな? まぁあまりしつこく断るのもなんだし、ここは素直に受け取っておくかな。


「さて、不本意だけどこいつを引きずっていかなくては… 本当に不本意だけど」

「そうですね… 俺じゃ引きずる事も出来なさそうです」

「ショウ君は武器だけ持っていけば良いわ、じゃあ行きましょう」


 オニキスさんは手早く手足を縛りつけると、本当に引きずって歩き始めた。おっと俺も急いでついて行かなくちゃね!



 そしてギルドに到着。

 途中冒険者を引きずって歩くオニキスさんは恐ろしい程視線を集めたが、当のオニキスさんはまるで気にするようなそぶりも見せずに歩いていた… ものすごいメンタルだよな。


「おうオニキス、ご苦労だった。そしてお前が結界師のショウだな? 俺がギルドマスターをしているクォーツだ。まぁなんだ、無事で何よりだ」

「あ、どうも」

「1人は殺したけどこいつは失神しているだけ、後の尋問は好きにしてちょうだい」

「ああ分かった。それと懸賞金なんだが… やはり他の街でも相当やらかしているようでな、他の街でも懸賞金が掛けられていたからその分も後日になるが入ってくる事になる」

「そう、それと死んだほう… ヘマタイトなんだけどやったのはショウ君よ、報酬は半分ずつにしてちょうだいね」

「なに? しかしこいつは結界師じゃなかったのか? ヘソナイトとヘマタイトはこれでもCランクだったんだぞ?」

「私がこの目で確認したのよ、もうバッサリと切り裂くところを。もちろん襲われてからの抵抗だったから正当な防衛になるわ」

「本当なのか? 一体どうやってそんな事が」

「それは個人の秘密に該当するわね、いくらギルドマスターでも不用意に聞き出せる事ではないと思うけど?」

「いや、そりゃそうだが結界師がCランクをやったとなれば気になるだろ?」

「まぁ普通はそうでしょうね、私は自分の目で見たから納得しているけど」


 そうだよね、普通結界師が対人戦闘で… それも登録すらまだの新人がCランクに勝ったなんて言っても誰も信じられないよな。

 でもまぁアレだ、ここは説明しておく方が今後の立ち回り的に良いかもしれない。まぁ実演しないとダメだろうけど教えておくか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 転生の記憶(知識)を使い、結界師で無双する予感 [気になる点] ギルドマスターの要望に対し、主人公の危機意識欠如 [一言] ●ギルドマスター 「いや、そりゃそうだが結界師がCランクをやった…
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