虐めを行っている君へ
早く帰らなくちゃ。
くまたんは急いでいた。
親にないしょで街に遊びに行き遊んでいたら決められた帰宅時間を過ぎていたからだ。
お腹がグーグー鳴っている。
お腹が空いてるけどお母さんと約束した帰宅時間を過ぎて帰宅したら、ごはん抜きの罰を与えられるかも知れない。
人気の無い道の脇から突然くまたんに声が掛けられた。
「こんばんわ。
君、熊五郎さんのお孫さんかな?」
くまたんが道の脇に目をやると年寄りのうさぎが立っていた。
「うん、そうだけど、おじさん誰?」
「私はうさたん、君ぐらいの歳のころ熊五郎さんに色々お世話になった者さ」
「ふーん」
お腹がまたグーグー鳴った。
「おや? お腹空いているのかい?
家に新鮮な蜂蜜があるから良かったらご馳走するよ」
くまたんは迷った、だけどお腹が空いているし此れから帰ってもごはん抜きの罰を受ける可能性が高い事もあって、ご馳走になることを選択する。
うさたんはくまたんの前に大きなマグカップに入った蜂蜜のお湯割りを置く。
「いただきます」
くまたんはお腹が空いていたこともあり一息で飲み干した。
「お代わりいるかい?」
うさたんの問いかけにくまたんは頷く。
またくまたんの前に大きなマグカップが置かれる。
30分後くまたんはテーブルに突っ伏して、グォーグォーと鼾をかきながら眠りこけていた。
うさたんはくまたんが睡眠薬入りの蜂蜜のお湯割りを飲んで完全に寝ている事を確かめると、くまたんに罵声を浴びせる。
「お前の祖父熊五郎には、昔虐められたんだ!
口で言い表せない程色々虐められた。
だから此れは熊五郎に対する復讐だよ。
熊五郎の孫に生まれた事を悔やむんだな!
もう遅いけどな、ハハハハハハ」
うさたんはくまたんに罵声を浴びせた後、スマホを取りだし電話を掛け話始めた。
「あ、ハンターさん? 私うさたんです。
実は私の目の前に罠にかけて眠らせた熊がいるんですが、駆除していただけませんか?
直ぐ来てくれる?
お願いします。
ええ、儲けは折半で、では、お待ちしてます」
今虐めを行っている君、読んでくれたかな? 私うさたんの体験談を。
君のような虐めっ子は学校を卒業し社会人になると虐めを行っていた事なんて忘れ去るらしいのだ。
だから君も忘れると思うよ。
でもね、虐められた方は50年経っても60年経っても覚えているんだよ虐められた事を、虐めた奴の事を恨みながらね。
合法非合法を問わず何時までも復讐するチャンスを待ち続けてるのさ。
そのとき復讐される者は君自身とは限らない、私が行ったように君の子供や孫が復讐の対象になるかも知れないよ。
虐めを行うなら何時か復讐されるかも知れないって事を頭に入れて置くんだね。
クク……クククククク…………、アハハハハハハハハハハ!