Case1:プロローグ “出会いはふとしたきっかけから”
初めての小説です。変な所もあるかもしれないですが、読んでくれたら嬉しいです。
2019年4月某日、それは私がこの大明学園高等部1年生になって数日のことだった。
私が通う大明学園は、そこそこ人気のある私立の中高一貫校である。都心部からのアクセスも良く、何より自由な校風で、中高一貫校のため同級生の仲が良く、子供たちが少ないこのご時世でも、受験者数が多いのでそれなりに頭も良い。
そんな学校に通う私は大澤三奈、東京都に住む女子高校生である。家族は四人、親が二人と中二の弟が一人いる。親の稼ぎはそれなりに良いらしい。家族の仲はそんなに悪くないが、中二の弟とは気恥ずかしいのであまり話さない。クラスは一年B組で普通科に所属している。
そんな私に同級生の女の子が話しかけてきた。
「ねえ、三奈。私のシューズが見つからないんだけど、一緒に探してくれない?」
「ああ、いいよ。」
彼女の名前は川原彩希。私と同じく一年B組で普通科。中等部1年生の頃からの友達で、なかなかの美人である(私目線)。運動部に所属しており、運動神経がいい。フランクな人柄で、女友達が多いが、男が苦手なので彼氏はいない。
彼女に連れられて一緒にシューズを探すことになった。彼女のロッカーや落し物箱、自分たちの教室、女子更衣室など色々な所を見て回った。
一時間経ってもまだ見つからない。
「最後に見たのはいつなの?」
「昨日の部活の後、ロッカーにしまったと思うけど…。」
「部室とかは?」
「昨日は遅れていったから、更衣室で着替えたんだ。だから部室にはないと思う。」
「う~ん…。どうすればいいのかな?」
そこで私は、あることを思いついた。
『じゃあ、巧視君に相談してみれば?』
巧視君は、うちの学校では有名な人だ。私たちの同級生で、困ったことを解決したり、なくしものを見つけたりするのが得意らしい。実際に会ったことはないが、話は聞いたことがある。確か、今は一年C組で、普通科だったはずだ。
「一人じゃ恥ずかしいから、三奈も一緒にきて。」彩希はそう言った。
翌朝、私は彩希と一緒に、彼の居る一年C組に行った。
巧視君としっかりと話すのは初めてなので、少し緊張した。彼は切れ目長でとても綺麗で吸い込まれそうな黒い目、日本人でも珍しいぐらいの黒い髪で、中性的な印象の美人だった。しかし、その雰囲気には強い孤独感があり、他の人を近寄らせないようにしているようだった。
「あの、巧視君、ちょっとだけいい?」
「隣の彼女が失くしものでもしたんだろ。いいぜ、見つけてやるよ。」
思っていたのと違いかなりのぶっきらぼうな態度だったせいもあるが、私たちを見ただけで失くしものをしたということを見抜いたことに私は驚いた。
「君たちの名前は?」
「三奈です。」
「さっ、彩希です。」
彼は幾つかの質問を彩希にすると、
「多分、君の部室の中にあるね。」そうとだけ言って教室に戻っていった。
昼休み、私たちは言われた通り、彩希の部室を探してみた。
「昨日は部室に行ってないんだからあるわけないよ。」と彩希がぼやいていたが、色々な所をあさっていると、
『あった!』
彩希のシューズはすぐに見つかった。
彩希「嘘でしょ!?」
私たちはお礼を言うために彼の教室に向かい、彼の前に立ち声をそろえて「「ありがとうございます?」」というと、しばらくしてから彼は無表情にこう言った。
「三奈っていったっけ?ちょっと放課後にまた来てくれないかな。」
私はとても戸惑った。「どっ、どうしてですか?」
「詳しいことは二人きりの時に話す。」
後で彩希にこう言われた。「彼は三奈に気があるんじゃない?」(食い気味)
一体、なぜ巧視君は私をよんだのだろうか?
更新のペースは遅いので期待しすぎないで下さい。






