絵本の真実2
私は絵本の真実とオーナーさんに起きた悲劇をスタッフさんに教えてもらった。
「絵本の内容は(この国に住んでいた女の子は毎日近所の子供達にいつもいじめられていた。
女の子はいつもの様に夜な夜な泣いていると、窓から入ってきた見ず知らずの花に魅了し、次の日にはいじめられていた事を忘れて近所の子供達にその花をに見せると皆その花に魅了され今までの事を忘れみんなで遊ぶようなった。)
という話だったわね?」
「はい。それで(女の子が大きくなった後その時に一緒に遊んでいた男の子と結婚して平和に暮らしました。)で終わったはずです。」
「ええ。それで合っているわ。その絵本を書いた作者が絵本を書くきっかけになったのは作中にも出てくる『花』をみたからなのよ。
この国に来る途中に花畑を見かけたでしょ?」
「はい。でも花畑が幾つもあってどれがその花畑なのか分かりませんでした。」
「分からないのも無理ないわ。だって私達もどの花畑が絵本の元になったか分からないもの。でもその花畑の中に一つだけ『花を体内に摂取すると幻覚、記憶障害など体に異常をきたす花』があったのよ。それを知らないまま作者はこの絵本を書いたのよ。」
知らなかったのも無理はない。私が持ってるガイドブックにすらも書いてなかったのだから(体内に摂取すると幻覚、記憶障害など体に異常をきたす花があります。)なんて地元の人しか知るはずがない。
「なるほど。さっきオーナーさんがおすすめしてきた紅茶がその花だったんですね。でも何でそんな危険な物をオーナーさんはおすすめしてきたんですか?」
体内に採取するのが危険だと分かっているならそもそも、おすすめなんてしないはずなのにおすすめにしてくるのは不自然に感じるほかない。
「彼女は知らないのよ。その事を…それに彼女は…数年前にその花を体内に摂取したのよ。紅茶として飲んでね。それから毎日その紅茶を飲んでいるわ。」
「え!?でも幻覚、記憶障害がでるはずじゃないんですか?」
「出ているわよ。さっきもぬいぐるみに向かって話していたでしょ?」
「あぁ…でもお父さんとお母さんと言っていましたが、オーナーさんのご家族はいらっしゃるんですよね?」
私がオーナーさんの家族の事を聞いた途端にスタッフさんが黙り込んでしまった。
しばらく沈黙が続いた後、スタッフさんは話を続けた。
「あの子の両親は数年前に事故で亡くなったのよ。そして両親の遺品整理をしていた時にあの絵本を見つけたのよ。それであの子は生前両親とこの絵本を読んだ時に『いつかこの花畑を一緒に見に行こうね!』という約束を思い出したらしく、両親の遺影を持ってその花畑を探しに行ったわ。」
「オーナーさんが向かった花畑がその『幻覚、記憶障害など体に異常をきたす花』だった訳ですね。」
「そう。さらにあの子は『体に異常をきたす花』がある事を知らなかったのよ。」
知らなかった?そしたらなぜこのスタッフさんはしているのだろうか。
「何で彼女だけ知らなかったんですか?」
「どうやら両親は伝えていなかったのよ。おそらく伝える前に亡くなってしまったのよね。それであの子はそのことを知らないまま花畑に行き、花を持って帰っていたのよ。」
「でも絵本には紅茶にして飲むなんて話書いてなかったじゃないですか?」
「仏壇に飾るために大量に持って帰って来てね。飾れない分は紅茶にして飲んじゃったのよ…紅茶を飲んでからはあの通り。両親はまだ生きていると思い込み始めたのよ。」
「なるほど…でも仏壇とかを見て思い出したりしないんですか?」
「仏壇はあの子の部屋にあるんだけどね…あの子には見えてないみたいで。」
スタッフさんはそう言いながら私をオーナーさんの部屋に連れて行ってもらった。
彼女の部屋に行くと部屋の角に仏壇が置いてあったが、仏壇は手入れがされていなく誇りが被っており遺影は雨が降っていているせいで水滴がついていた。
まるで写真に写っている両親が泣いているように。