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閑話
すごく短いです。
ザァァァと、冷たい雨がコンクリートを打つ。
少年は、橋の下に座り込んだ。
湿った土が上質なズボンを汚すけど、それすら気にならないほど、少年は疲弊していた。
橋の下は静まっていて、すぐそこを走っているはずの自動車のエンジン音がやけに遠くから聞こえるように思える。
少年は静かに目を閉じた。
このまま、体温がなくなって死ぬのも別にいいか、と。
不意に、フワッと柔らかいものが体にかかった。
タオル…?
少年が目を開くと、自分にはオレンジ色のタオルが掛けられていた。
驚き、その持ち主を少年は目で探す。
橋の下から、空色の傘を差した少女が出ていくのが見えた。
眠っているとでも思われたのだろうか…。
大きめのオレンジのタオルは柔らかくて、ほのかに柔軟剤のにおいがする。
少女も同じ香りをまとっているのかと思うと、なぜか少し心臓がはねた。
ゆっくりと、立ち上がる。
オレンジ色のタオルをしっかり握り締めて、少年は橋の下から出ていく。
少年の瞳には、強い光が宿っていた。
ありがとうございました( *´艸`)