テストの内容と見てはいけないもの
短めです。
「つ、疲れた…」
全速力で会社(大鷲社長)から逃げて、公園にやってきました。
お昼も近づいた今、公園にはピクニックに来た親子やランニングをしてたらしき人達がベンチでおいしそうなお弁当を食べてる…。
お、お腹空いた。
…ああ、私の愛する紅屋の常連限定特製好み弁当。
社長室に置いて来ちゃったな…。
お財布だけは持ってきたけど、下手にお店で買うと目撃情報が出来てしまう…。
って、私は一体何から逃げているのだ。
まるでマフィアか取り立て屋からでも逃げているのだろうか?
ああ、目の前で手作り弁当食いながらイチャイチャしているカップルが爆ぜればいいのに…。
「…おい。」
イチャイチャしててお腹いっぱいなら弁当くれないかな…。
「おい。聞こえてないのか?」
ほら、食ってないじゃん。
彼女が一口口に入れたらキスして彼氏も食べるとかお弁当二つある意味ないでしょ?
「…っおい!」
肩を掴まれた。
ハイ。そろそろ現実逃避はやめますね。
もうここで誰だかわかってないほうが不思議だけど一応振り返って確認してみます。
私がギギギと首を回した先に居たのは…
ナントビックリオオタカシャチョウデハナイデスカー
「…なんですか?」
もう営業スマイルなんて貼り付けない。
この人は私の大切なさぼr…げふげふ、いきぬ…げふ、流行調査を邪魔する人は例え取引先の社長だとしても敵である!
私は譲らんぞ!!
「お前が急にえらい速さで逃げるからだろう!社員に泣き付かれて追いかけてやったんだ!」
…え、マジ?
そんな事頼んだの?うちの子。
大鷹社長、怒って…はいるけど、取引取りやめとか言わないよね…?
「そ、それは大変申し訳ございませんでした…?」
「ああ。こっちは本当にいい迷惑だ。」
グサッと言葉が突き刺さりました。
酷い。
あーもう猫被るのも疲れた。
営業スマイルは無料でお届けしていますが提供元にはそれなりに負担がかかっているのです。
これ、テストに出ますよ。
「おい、何を意味の分からんことをブツブツ呟いてるんだ。」
あ、ごめんなさい。
「弁当を買って来てやったけど、食うか?」
ま・ぢ・か
この俺様社長、なんとびっくり気を使えると言う事が判明しました!
うん!私、何気に失礼だね!
「…いただきます。」
私は大鷹社長からお弁当を受け取る。
コンビニ弁当がなんだ。立派な食事だろう。
蓋を開けると、日の丸ご飯に生姜焼きにきんぴら。
蓋のラベルには生姜焼き弁当と書いてありました。
「いただきます!」
パチン、と手を合わせてパチン、と割り箸を割る。
ふぉぉ。空腹は最高のスパイス。
質素なのにクオリティが高いコンビニ弁当×空腹=最高の食事
この公式もテストに出ますよ。
みなさん、今日は大事な所ばかりですね。
頑張って覚えてください。
「…うまいか?」
私がしばらく最高の昼食に当たっていたら、もうすっかり空気と化していた大鷹社長から質問が。
「美味しいです!」
あ、待って。
思わず笑顔のオプション(営業じゃないお)付きで答えちゃったけど、結構いっぱいご飯を頬張ったままだった。
お行儀悪いですね。すみません。
いちおー謝っとこう!
と、思ったら。
「それならよかった。」
私、見てはいけないものを見たかもしれません。
いつも無表情俺様仮面被ってるくせに、いつぞやぞやのびっくり☆寝落ちからの起床の日みたく、素の表情なんです!
明日は槍でも…じゃなくて!
素の、微笑ともいえるその表情をじっとながめる。
やっぱイケメンだなぁ…。
「私の顔に何かついているか?」
あ、じっと見つめてたらまた無表情俺様仮面に戻っちゃった。残念。
まあいっか。私は引き続きランチタイムを楽しむことにしよう。
お、きんぴらうま。
生姜焼きもイケる。
「それで、告白の返事はないのか。」
ブフォ。
「げほっごほっ」
いきなりタイムリーな話題を出さないでください!
一人突っ込みは虚しく…。
「何をむせている。返事を考えておけと言ったぞ。俺は。」
大鷹社長には通じませんでした。
大鷹社長ではなくて、俺様社長ですね。
…って、告白についてグルグル考えてるけど、単刀直入に本心を言えばいいじゃないの!
仕事的メリットとか、顔はタイプとか、そういう理由はいけないとおもいます!
「わ、私は、今は仕事に集中したいので、そういう事は考えていません!」
よし、言い切った。
言い切ったぞ志織ちゃん!!
「…なるほどな。」
お…?
以外に大鷹社長は聞き分けがよかったフラグ!?
「なら、そんな建前が言えないようにしてやろう。」
いや、普通に本音なんですが。
てゆか言い方が怖い。
「お前を、俺に惚れさせてやる。」
ハイ、頭のネジぶっ飛んでるーー。
おかしい。絶対おかしい。
もし私が関西人だったらソッコー「なんでやねん!」って言ってる。
関西人の皆様が必ずしも「なんでやねん!」と言うとは限りませんが!
「え…?」
私はとりあえず疑問の姿勢を貫こうと思います。
「だから、仕事だのなんだの言ってられないぐらい、俺に惚れさせてやる。」
まぢか。
この人それだけの自信を持ってるんですか?逆にすごいデスネ(半ギレ)
てゆか、惚れさせる…?
なんですか、その上から目線は!!
乙女の純粋な心を………
「もて遊ぶんじゃなーーーーーい!」
気付けば怒鳴っていた私。
もう怒りました!!
人の心を操るような言い方は気に入らない!ほんとに気に入らない!
大鷹社長も二回言ったしなにより大事なことなんで二回言いました!!
「…」
ポカンとしてるような無表情俺様仮面を付けている社長さんなんて置いていく!
私は我が城に戻る!
さっそうと、歩いて会社まで戻りました。
ありがとうございました( *´艸`)