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第八話 異世界での村づくりを始める


 さて、図書館を中心地として村を作ることが決まった。

 とはいえ、村づくりはすぐにできるわけではない。

 家の建築の方法などを調べて書いていくが、問題はそれがすぐに実践できるか? である。何しろ、やり方がわかったらすぐにできるならば修行も人間国宝も存在しない。

 熟練の技というのが存在しているし、経験というのもあるのだ。

 なので、どちらかというと町の区画や木の切り方などだ。

 家の建て方などは、彼らに任せる。

 俺はというと、知識を伝授するだけだ。

 食料を保存するための蔵などを作ったりする。

 出来ることなら、冷蔵庫が欲しいがそれはやはり専門の技術者が必要だ。あいにくと、あそこまでのものになると、本を読んだ程度で理解はできない。

「やっぱり、人手が欲しいよな」

 と、町を作っているのをみながら俺は料理を保存していく。

 塩漬けによる贖罪の保存。

 魚をさばいて内臓を取り出して塩もみして天日干しする。

 塩は岩塩がとれる場所が見つかったので助かっている。

 とはいえ、知識があってもその知識を生かせない。

 掛け算がわからない人間に割り算ができるわけがないようなものだ。

「どこかに、何かのやつとかいないか?

 お前らみたいに集団じゃなくて、単身のやつとかさ」

 そういうやつらなら、スカウトもしやすいはずだ。

 と、俺は言う。

 ちなみに、俺は必要そうなというか今でも可能そうな技術などを口伝で伝えて、それをユキノたちが文字に変えている。

 ユキノたちは、文字がある文化だったようだ。

 おかげで説明は楽だ。

 また、写真の図解入りの説明を印刷して見せている。

「我等だけでは不満か?」

「これじゃ、まだ人手が足りないし……。

 本の中には、本に書かれないような常識というのがあるんだよ。

 例えば、そうだな……火に触れると火傷する。と、いうのは常識だ」

 ユキノの言葉に俺は考えるように言う。

 これは、説明がちょっと難しいのだ。

「また、大半の生物は水の中では呼吸ができない。

 羽がない生き物は空を飛べない。

 そういった常識をいちいち、本に書いて説明をしているか?」

「なるほどな。

 つまり、わざわざ知識として伝える必要もないほど基礎的な事ということか」

「ああ。だが、それはあくまでもその世界でだ。

 ユキノたちは俺たちの世界では、わざわざ知識として伝える必要もないほど、まず存在しない連中だったからな」

「なるほどな」

 俺の言葉にユキノは納得した様子だった。

「それに、専門分野。知識があっても実行が可能かどうかの技術もあるからな。

 例えば、狩りの仕方。知識としてそれを得たとしても、すぐに狩りの名人になるわけじゃないだろ」

「なるほどな。

 その理屈を聞けば、反論はできんな」

 俺の言葉にユキノも納得してくれたようだ。

「たくさんの知人がいて、困ることはないということだよ。

 それに……右も左もわからないまま、この世界に来て戸惑っているやつはたくさん、いるはずだ」

 俺はそういう。

「俺は、この力と最初にライラに出会えた。

 そのことから、孤独に襲われることもできずに苦労もだいぶ、楽になったはずだ。

 けれど、この世界ではもっと苦労しているやつもいるだろうな。

 言葉も通じず、常識も通じず、たった一人のやつもいるかもしれない。

 俺は、そいつらと言葉を交わすことができるなら……。

 少しでもいいから、助けてやりたいと思う。

 一人じゃなく、みんなでこの世界で着ていたとしても……。

 お前らみたいに、どうしようもなく困っているやつもいるかもしれないだろ」

「……そうだな」

 俺の言葉にユキノはうなずく。

「大丈夫。ライラ。トーヤを守ってあげる。

 トーヤ。頭はよいけれど、弱い。

 ライラ。頭、悪い。けれど、強い」

 ふんす。と、胸を張って言うライラ。

「なら、私も一緒に同行しよう」

「へ?」

 ライラがついていくといったのは、俺が考えて相談を持ち掛けたときだ。

 何しろ、ライラは、この村ではよそ者だ。心配なのもあり相談したのだ。ついてくるのも予想通りだった。ライラの環境を考えると、俺とついていくのは賛成だった。

 だが、まさかユキノまで言うとは予想外だった。

 とはいえ、案内役が欲しかった。

 適当に一人、頼んで借りようと思っていたのだが……。

「あんた、族長の娘だろ。

 時期族長じゃないのか?」

「何しろ、娘なんでな。

 正確に言えば、婿を取る形になるだろうな。

 それに、この状況だ。

 外聞を知るのも長になるうえでも大切な知識だ」

「まあ、たしかに……。

 経験も大切だが、長が許可をしないとだめだからな」

 と、俺は言う。

 勝手についてきて、リザードマン達と喧嘩をするわけにはいかない。

「わかっている。

 いつ頃、出発する予定だ」

「まあ、保存食などを作るから一週間後……七日後ぐらいかな」

 と、俺は言ったのだった。

 保存食として、とった魚を天日干しする。

 さらに、飲み水を狩りで手に入れた動物の皮を本を元に鞣して、水袋にする。

 それと、サバイバル知識が書かれている本を何冊か選んでカバンに入れる。

 植物図鑑や動物図鑑などもある。

 なるべく現地調達をしておきたいのだ。

 ちなみに、水袋やカバンはなめし皮を作る技術をどうにかして、実現可能とした。

 どうも、リザードマンは服を着る。と、いう文化がなかったらしい。

 ちなみに、ライラが着ている服はどういうわけだが勝手に修復されて勝手にサイズがあっていくという品だ。

 魔法のアイテムなのか超化学の技術なのかは謎だ。

 だが、それが珍しい品ならライラはおそらく良いところの出身。もしも、それが標準の世界ならば、そういう世界の技術が混じっている世界の場所に行きチア。

 と、俺は思った。

 とにかく、俺としてはまっとうな服が手に入る手段が欲しいという望みがある。

 そろそろ、学校の学ランでは不安が見えてきている。

 毎日、学校に行き来するときに着る服ということもありある程度は大丈夫だ。

 だが、俺は高校生だ。

 言ってしまえば成長期。

 いずれ、サイズが合わなくなる可能性もあるし着替えたい。

 今は、たまに洗って図書館にあった乾燥機でどうにかごまかしている。

 とはいえ、いい加減にそのままだといずれは着れなくなるのは必然だ。

 使える品が見つかれば、それを運ぶことも考えている。

 そうしながら、いろいろと俺たちは準備をした。

 ユキノも長からの許可をもらい、俺たちは旅に出ることになったのだった。

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