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十五話 異世界にて魔女と会う

お久しぶりです。遅れたのは年末年始が忙しいはつわりはあるはといろいろとです。

多分、更新スピードはゆっくりのままです。


 ネージュさんは魔女であった。

 元の世界では魔女が集う塔にて研究をしている魔女だった。

 若くて才能のある人物でありそれなりの地位にいた。どのくらいの地位かというと自分がしたい研究を人員を集めて研究ができるぐらいの制限を持つ地位だ。

 彼女がしていた研究は召喚魔法だ。召喚して使役したりという魔法を得意としていた。この雪だるまも彼女が作り出したものだ。

「この世界じゃわたしがいた世界の生き物を全て召喚できるわけじゃないみたいでね。少なくともこの環境で召喚できるのはいなかったわ」

 ちなみに彼女が得意としているのは召喚魔法と使役魔法だ。使役魔法の中にはゴーレムのように無生物に疑似的な魂と人格を与える。それと氷系の魔法も得意としているそうだ。

「おかげで触媒がなくてもこれだけの疑似生命を生み出せたわ」

 そういう。それとこの極寒の地で生きていけたのは氷雪族という種族の血だそうだ。氷雪族は体温が低く暖かい場所を苦手としている。そのために主に雪山や雪国、北国と言った地域で暮らしているそうだ。

 ネージュさんは父親は人間であった。人間が生きていけないような極寒の地でも氷雪族は生きていくことは可能だ。けれども人間が生きていける環境でも生きていける。

 ネージュさんの両親のなれそめは詳しくは話してくれなかった。

 まあ。気持ちはわかる。

 俺だって両親のなれそめ話なんて他人に話したくない。

 そもそも両親のなれそめなんて聞きたくない。これがお見合いで結婚した。あるいは婚活で出会ったとかならばまだよい。

 その後にドラマや漫画や小説のようなストーリーがないならば恥ずかしくもない。話す方も短いような話だろう。

 けれども劇的なドラマチックな展開となるとそれで自分が生まれた。そう思うと妙に生々しく感じて恥ずかしく感じるというのが人情だ。

 とにかく彼女は魔法の才能を持った。人間の血も流れているために暑い場所や時期は苦手でばてやすいが、死ぬほどではない。そのために魔法使いとして研磨を重ねて塔でも名のある魔法使いとして成功した。

 彼女はそこで召喚魔法により異なる世界からの召喚を考えていたそうだ。

「つまり異世界召喚ね。

 なんか目的とかあったのか?」

 異世界召喚。まあ。この世界にいるやつは何かしらにつけて関係をしているのだ。とはいえふと気になった。俺やユキノは偶発的な事故。フレアルドさんはどちらかというと封印という意味合いだ。ライラは当人が良く分かっていないので不明。レナードは異世界ではなく空間移動をしようとしていたが失敗による事故だった。

「単なる好奇心よ。

 異世界の存在はわりと前から語られていた。けれど本当にあるのかはわからない。

 その真実を判明したいと思っただけよ」

「なるほど」

 ある意味、すがすがしい知的好奇心だ。

 とはいえそれが本当ならば仲良くなれる。

 たとえ異世界への召喚で異世界がどんな場所かを知る。それによって知識を得てその世界を侵略しようと企んでいた。そんなことを言われたら正直な話、そんなやつは信用ができないというのが本音だ。少なくともすぐに信用は難しい。

 とにかく彼女は異世界の存在を確信した。

 ただし、元の世界に帰ることはできなかった。

「元々、召喚魔法と言って呼び出す魔法はあるけれど呼び返す。

 元居た場所に返す魔法というのはあまり研究されていないのよ」

 まあ。話は理解できる。

 送還というやつらしいが召喚というのはよく聞くが送還はきかない。魔法の中には召喚した術者が帰れと念じれば帰る。という設定という物語は多い。

 けれど実際問題は簡単じゃないのだろう。

 しかも研究したくても魔法に必要な媒体がないそうだ。

 媒体がなくても魔法が使えるが大きな魔法となると触媒は必要だそうだ。

 まあ。科学だって何か大きな装置を作るならばいろいろと準備が必要だもんな。世界を超えるような魔法なんて使うならばそれ相応に準備が必要に決まっている。

「山を下りることを考えなかったんですか?」

「山を下りて生きていける環境があるという保証はどこにもなかったわ。

 とにきあく状況を入念に調べていたのよ。

 あたしはか弱いからね」

「…………」

 ネージュさんの言葉に俺は沈黙する。

 女性の自分はか弱いは信用できない。

 祖父の口癖である。 

 祖母は何かにつけて自分はか弱い。そう言っていたが後妻の子供が入るような大鍋に群がるこわもての男性をしかりつけて手綱を握る祖母。

 か弱いという言葉は似あわなかった。

 そもそも祖母はわりとたくましく一袋で一キロはある米袋を五つも抱えていた。

 考えるとその重さは五キロ。

 祖母曰く、生まれた俺だってすぐにこれよりも重かったそうだ。

 とにかく女性が自分で自分をか弱いというのは信用できないのだ。

 ただし、そのことを口に出して指摘してもいけない。それも常識のようなものだ。

「なら俺たちと一緒に来ませんか?

 住んでいる場所ややや熱帯のジャングルですが住居の一部は冷房が効いています」

 これは本当だ。

 俺が主に住居としている図書館。

 図書館なだけあって書物に良い温度と湿度を常に一定に保っている。

 雪山よりは寒くないだろうが、研究に必要な器具はある程度は用意できる。

「それであたしにメリットは? あなたたちにメリットは?」

「元の世界に帰る方法が見つかる可能性が高まります。

 そして俺たちとしてはあなたの魔法の技術が欲しい。

 俺たちだって元の世界に帰りたいと願っている者たちもいます。

 いなくても生活環境を整えたい者たちもいます。魔法の知識や技術を教えてほしい。それがお願いです」

 俺は静かにそう言う。

「質問。その街はどの程度の規模なの?」

「街と呼ぶのもおこがましい……せいぜいが集落という程度ですね。

 大半は魔法も科学……魔法とは違う理論で動く技術のことです。その技術を知らないものばかりです。一人だけ科学技術が存在しております。

 ですが図書館があります」

「図書館?」

「はい。あらゆる世界のあらゆる技術や知識が集まっている知識が集まっております。

 その世界の文字で書いてありますが俺はすべての世界の言葉が話せます。そしてすべての世界の文字が読むことができます。

 あなたの知らない世界のあなたの知らない魔法。

 それを手に入れることができます」

 その言葉にようやっとネージュさんが反応をした。

「へえ」

「俺もいろいろと学んでいますが、俺の世界には魔法もありませんでした。

 何しろ俺はあまり勉学は得意ではないので」

 田舎育ちの田舎の学校だ。

 塾もないので教科書ぐらいで図書館すらなかった始末だ。

 そのために人並み程度の成績だとしてもきわめて優秀ではない。

 むしろ凡人よりややしたかもしれない。

 どうでもよい雑学はあるが魔法の方はろくにない。

「どうか来てくれないでしょうか?

 もちろん断ってもかまいません。何でしたら交易も考えます。

 ですがここに行き来するのはかなり難しいのが現状です」

「でしょうね。

 普通の人間がここで生活は不可能だしね。よく来れたものよ」

 俺の言葉にネージュさんはうなずく。

 理解してくれたようだ。

 理解してくれたならうれしい。

「もちろんすぐに答えは求めたりしません。

 俺たちも次にどこへ行くかを考えます。

 ほかにもあなたのように高い技術や知識を持っている人がいるかもしれない。

 あるいは幼い子供でありながらこの世界にいて今も困っている人もいるかもしれない」

「危険な存在もいるかもしれないわよ」

「なら改めて知っておいて対策を立てる。

 そういうこともできるはずです。

 まあ。すべてを理解してほしいとも使えてほしいともいわない。

 助け合いたいと思っています。……俺たちを殺したり道具扱いしないならば利用する程度でも構いませんよ」

 俺がそういえば、

「……少し考えさせて頂戴」

 そうネージュさんは言ったのだった。

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