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十一話 異世界で文明開拓


「もうやだ。疲れた」

 と、俺はうめきながら書類仕事をしていた。

 いや、書類仕事というのは正確ではないかもしれない。だが、計画の立案とそれを説明するための翻訳作業。これが、疲れるのだ。

「ノートパソコンが欲しい」

 と、つぶやく。とはいえ、パソコンはその作った世界の文字しか基本的に生み出せない。そのために、全ての世界の文字で翻訳はされないのだ。

 ついでに、俺はパソコン操作がそれほど上手というわけではない。

 そりゃ、多少のパソコン操作……文字をうちこむことぐらいはできる。だが、異世界の文字が生じされるとなると違う。

 勝手が違って時間がかかるので、筆記が基本となる。

 だが、鉛筆がないのでインクに羽ペンで書いている。万年筆なら何度か使ったことがあるが、しっかりと使い慣れているわけではない。

 どちらかというと、ボールペンしか使ったことがない。

 あそこの都市でボールペンや鉛筆を持ってくればよかった。と、俺は後悔をしながらも書類を書く。ちなみに、紙きれならば山のようにあった。

 俺は書類などを書いて、いろいろとやっている。

 文字の読み書きのための教科書の作成。更に、住民のリスト。

 その役職や仕事の役割。そして、新しい技術だ。

 下水道を作ったり、井戸やため池の製造。さらに、食糧庫のぶんや食料の保存方法。すべて、本で調べてそれを翻訳してまとめ上げているのだが、大変だ。

 それに、調べるのも大変なのだ。

 調べれば、それこそ冷蔵庫の作り方から氷室の作成、普通の干物の作り方など多種多様にある。だが、それを現在の技術で作れる代物をチョイスして判断するのだ。

「王様とか政治家って大変なんだな」

 と、俺はつぶやく。

 ゲームの王様は、勇者に魔王討伐を始めとした仕事を依頼する。そして、所持金を渡すのだがこれがべらぼうに安い。しかも、与える武器も防具も最下級だ。

 まあ、ゲームの最初から上等な武器や防具を渡されたら面白くないんだろうが……。だからと言って、リアルで考えると命がけの魔王討伐。

 それを、軍資金はせいぜい最下級の回復薬が片手で数える程度しか買えない金額。用意される武器は、最弱の武器。

 王様なんだから、騎士団ぐらいあるんだからその騎士団の武器をよこせよ! と、突っ込みたくなる話である。

 話がそれている。まあ、現実はゲームと違う。ゲームの町づくりならば、一定の経験値と条件さえ整えば、一定の時間で勝手に建築物が出来上がる。だが、実際のところはそういうことは起きないのだ。

 俺たちは、森林を伐採して家を建てたり、建物を建てている。

 とりあえずは、一台しかないが車が通れるようにと道路を作りながらの伐採。そして、伐採した木々での家づくりだ。

「あー。なんというか、王様とか街づくりにたけた能力を持った奴がいないかな?」

 と、俺はうめく。

「可能性としてはゼロじゃありません。

 けれど、必ず王が良いように導いてくれる。

 と、いう保証もないと思われます」

「それだ」

 と、マーレファの言葉に俺はうなずく。

 マーレファだが、どうやら学習機能が高いらしく最近では、簡単な会話だがユキノたちやライラにレナードと会話が可能となっている。

 特にレナードとは研究者というか頭脳派ということから、仲良くなっている。

 とにかく、マーレファの言葉は正論だ。

 いつの世だって、反乱、革命という言葉があるし、独裁者、暴君という言葉だって存在がしているのだ。もちろん、歴史というのはその歴史書を書く人間の都合によって捻じ曲げられるものである。

 歴史研究者などが、その時代の書記などを読み進めていけば、抱いていた今までの歴史のイメージとは違いのちの世の人達が自分に都合の良いように歴史の都合を捻じ曲げた。と、いうことはある。

 だからこそ、歴史などを調べる学者などが存在するのだが今はさておいておく。

 だが、だからと言って悪政をする人間が居ないわけじゃない。

 貴族や王族として、国民や国のために最後まで戦って努力して奉仕する存在。それが、いるかと思えば苦労も世間も世の中も知れない。ただ、偉そうにふんぞり返って血税で贅沢三昧をする。と、いう人間だっているわけだ。

「しかも、この世界にいるのは何等かの形で元居た世界にいられなくなったやつだもんな」

 と、俺はつぶやく。

 異世界に行く可能性というのは、大きく分けて三つある。

 まずは事故である。俺は、レナードにユキノはこの分類だ。この事故が偶発的な事故か、はたまた人為的な事故なのかでさらに分かれるが事故というのだ。

 たまたま、名君の王様がこの事故に巻き込まれてこの世界に来る。と、いう可能性は低い。王様となれば、まずそんな事故にあうような危険な場所にない。偶発的な事故なら話は別かもしれないが、偶発的な事故が起きる確率は天文学的に低いそうだ。

 その低い可能性にぶち当たった俺としては嘆きたいものである。

 二つ目が、何等かの形で異世界へと飛ばされた場合だ。たとえば、どうやっても倒せない相手。その相手をどうするか? ゲームでは封印する。と、いう方法もあるが、その封印方法の中に異次元へと飛ばす。と、いうのがある。

 異次元というのが異世界であり、どこの世界へと飛ばすのかが決まっていない。その場合ならば、こうして俺たちの世界に来る場合だ。この場合、俺の脳裏に浮かぶのはやってくる王様というのは、王は王でも魔王だったり悪逆非道な存在だったりする。

 二つ目は、異世界から来た。と、いう場合だ。つまり、元から異世界へと行く場合だ。この場合は、王様が何らかの形で逃げるということだ。逃げる。つまり、逃げなくてはいけないような状況になった。悪政をしいて革命を起こされたのか。はたまた、何等かの悪事を働く存在から逃げたのか……。どちらにしても、統治能力に若干の不安がある。

 つまり、理想的な王様に会えるという保証もない。

 幸いにも村長であるユキノの父親がいる。父親が代理をしているが、問題は言葉の壁であったり、知識だったりする。

 知識の補佐などをするのは、俺となるのでどちらにしても俺は忙しいのだ。

「トーヤ殿。

 下水道の設備というのが終わりました」

「おお。ありがとうな」

 現代日本で育った俺としては、やっぱり気になるのは衛生面だ。

 具体的に言うと、排水が混ざった水を飲んだりお風呂にするのは嫌だ。と、いうのが本音だったりする。水などの分をきちんと分ける。

 もちろん、衛生面の清潔さが必要なのだ。

「あと、お風呂ですが……。

 本当に必要なんですか?

 体を洗うなら水浴びで十分だと思いますが」

「お風呂と水浴びは全然、違うんだよ。

 第一、夏ならともかく冬になるとどうするんだよ?」

 と、村長の言葉に俺はあきれたように言う。

 夏は暑いので水浴びは気持ちがよいだろう。

 だが、寒くなれば話は別だ。寒い中で川で水浴びをしたいと思わない。

「それに、お湯に入る。と、いうのは段違いなんだよ。

 せっかく、近くに温泉があるんだし」

 と、俺は言う。

 そう。なんと、ここら辺の近くに温泉があるのだ。

 なので、温泉の源泉を流して集める。そこに、川の水を合わせてちょうどよいようにした自然の温泉である。

 もちろん、室内であり男女別に分かれている。

 まあ、大半がリザードマンという環境で裸体を見たところでどうなる? と、言われそうだが、一応だがライラがいるのだ。

 ライラが素っ裸でお風呂に入るのをしげしげとみるつもりはない。

 そう俺は思いながら、俺は風呂の建設現場を見る。

 お風呂の良さを知っているのは、俺とレナードだけだ。

 レナードは風呂好きではないらしく、あればよいな。と、いう程度なので強く渇望したのは俺だけだったが、強く主張したので受け入れられた。

 俺は作成中の石鹸とシャンプーとリンスを作る。日本人は、お風呂が好きなのである。どこかの本で読んだのだが、日本人が豪華客船への特徴は年齢層が高い事とお風呂のお湯の消費量が多いことだそうである。

 まあ、水が基本として無料で使える。温泉が大量にある。と、いうのが日本である。そのためか、温泉やお風呂というのは大量にあるのだ。

 まあ、一応だがシャワーがあるのだが……。

 せっかく近場に温泉があるなら、温泉に入りたい。と、思うのが日本人だ。と、俺は思うわけだった。

「それに、種族によったらお風呂を好むやつもいるはずだしな。

 交渉材料は多いほうが良い。

 別に、無理に風呂に入れ。と、言っているわけじゃないんだ」

 と、俺は言う。

 まあ、大きな温泉に毎日入るのが、俺一人だけというのは中々な贅沢だ。

 だが、こっちは毎日のように汗水流して働いているのだ。

 そう、汗水を流してだ。

 書類仕事が終われば、今度は植物調査や地形や建物の開発。さらに、農業などもしている。どちらかというと、文系というか文官の仕事をしている俺だが、圧倒的に人では足りないのだ。日中に、仕事は山積みだから一つの仕事が終われば別の仕事をしろ。と、いうのは暗黙の了解となっていた。

 日本人として、汗に土だらけの体を洗わない。と、いうのは耐えられない。ちなみに、今使っている石鹸とシャンプーなどは、都市から持ってきたものだ。

 個人的な願望なので、俺が行く機会があった時にわずかにだ。早くシャンプーとリンスに石鹸が完成するのを願う。

 とにかく、料理を食べる。

 料理の方も、俺が料理本を見ている。

 リザードマンも人間と大して味覚が違わないようで幸いである。

 これで、火を通した食べ物が食べれない。とか、種族的な慣習で食べない。と、言われたら困っていた。とはいえ、村長によると、

「突如として異世界に来て、そんな食べる。食べたくない。

 の、わがままが言えるわけないでしょう」

 だそうだ。

 正論である。

 だとすると、宗教で牛肉を食べない。あるいは、豚肉を食べない。と、いうような国はある意味では豊と言えるのかもしれない。

 牛肉だって豚肉だって、おいしいのだ。

 まあ、それは食に豊かな現代だからだなんだよな。と、俺は歴史書をみながら思う。歴史書をみながら、俺は食事をする。

 俺は知識を得るのが役目なので、役に立ちそうな情報をこうして探している。古い歴史の手段でも、今の俺たちが再現可能な技術かもしれないのだ。

 その中では、牛肉や鶏肉がおいしく食べられるようになったのはつい最近。と、いうことが書かれていた。牛はミルクを出したり、農作業の労働力となる。鶏肉は、時を告げるしなによりも、卵を産む。主に、食肉へと回されていたのは、ミルクを出さなくなり年老いて労働力じゃなくなった痩せこけて年老いて肉も固くなった牛。あるいは、痩せこけて卵を産まなくなった年老いた鶏だ。

 年取ったことや、労働力に使っていたことからストレスなどから肉のうまみはない。そのために、ただ食用として育てられていた豚がとでもおいしかったそうである。

 まあ、家畜も欲しいな。と、いうのが俺の結論である。食用に出来なくても労働力にはなるはずだ。と、俺は思うのだった。

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