プロローグ
今、まさに滅びの危機に陥っている世界があった。
突如として現れた魔王が率いる魔王軍。
それによって、人類は未曾有の危機に陥っていた。
邪悪な魔王と魔族により、数多あった国は滅びかけていた。
もちろん、人類もなすすべ無く倒されないように対抗した。
だが、人類を遙かに超える強力な魔力と力に生命力。
それらを持つ魔族を相手にするには、人類はあまりにも貧弱すぎた。
人類は、最後の希望として古の予言に記された勇者を異界より召喚する事を決める。
古の予言……、邪悪なる闇より産まれ出た魔の王。そして、魔の王により生み出されし闇の眷属。その存在によって世界は滅びへの道へと向かうだろう。
だが、人類を希望を捨ててはならぬ。ここに、異界より魔の王を滅ぼす一筋の光を持つ勇気ある者を喚び出す秘術を記す。
この秘術によって召喚される存在は、小さな光であろう。
だが、その光は成長して行きそしてその光にそなえられて、共に輝き出す光が産まれる。
そして、その光は世界を包み込もうとする滅びの闇を照らすであろう。
と、言う予言であった。
それと、共にあったのは複雑な術式であった。
人類は、それを希望にして術式を大急ぎで書き出していた。
なぜならば、その王国に魔王軍が迫ってきていたのである。
三日三晩、不眠復旧で書き続けていた魔法陣。
そして、今まさにその努力の結晶が完成していた。
だが、それと同時に魔王軍による王国の侵略が始まっていた。
侵略が行われ、沢山の血が流れる中で勇者の召喚が始まる。
そして、魔法陣が輝き始める。
その頃、一人の少年の足下に魔法陣が現れる。
「ふえ?」
と、少年が途惑う中で魔法陣が最後の輝きを放つ。そして、光が消えた時には少年は、その世界から居なくなっていた。だが、
「おい。勇者が召喚されないぞ」
「なぜだ? 術式は完璧……あ、文字が間違えて居た」
「なにぃぃぃぃ!」
絶叫が響く中で、魔王軍が襲ってきてその王国は滅びた。
ある王国で勇者が召喚されようとしていた……のであるが、それは魔王軍に知られることもなく、そしてその世界の人類は滅び去ったのであった。
そして、召喚されるはずだった……勇者になるはずであった少年。
彼は、どの世界でもない場所へと……まさしく迷い人となったのであった。