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かつての英雄の正体

最近、一話の量が少なくなってしまって申し訳ないです。キリがいいところが多くてw

その代わり、週一更新しているのでお許しくださいorz

「いらっしゃい。でももう閉めようと思ってたんだがな」


 見上げるほどの高身長。細く黒い縁の四角い眼鏡。真っ白なシャツに真っ黒なエプロンを合わせたワイルドな男性が私が振り向いた先には立っていた。


「まぁ、それでも営業時間内だ。歓迎するよ」


 そう言って巧みに私をあしらい、店内へ誘導する。私はされるがままだ。


「それじゃ、ここへでも座ってくれ」


 彼はカウンター中央の席を引いてくれた。私はその前に立つと私が座るのに合わせて椅子を押して、イギリス紳士のようなエスコートをしてくれた。そして、カウンターの向かいへ回る。


「見慣れない顔だね。初めてだろう? うちは一見さんお断りなんだがな」


 雰囲気的にそんな感じはしてたけどやっぱりそうだったのか!?


「……すいません」


 するとクールな仏頂面がフッと綻んだ。


「冗談だ」


 この人、クールな癖に茶目っ気あるドSタイプか? だとしたらワイルド系イケメンドS紳士とか属性付けすぎだろ……。


「それでご注文は? ちなみにオススメはオリジナルブレンドコーヒーだ」


 そう言ってメニューを私の目の前に差し出した。それじゃあそのオリジナル──じゃない!


「そうじゃなくて!」


「あ? 喫茶店来て注文しないってどういうことだ? 冷やかしならお断りだぞ」


 うん、至極正論なのだが今回はそういうことじゃない!


「冷やかしに来たわけじゃなくて、ナカケンさんが警察に捕まって助けて欲しくって──」

 

「なるほど、あの人絡みか」


 すると、「はぁ……」とため息をつくとクイクイと指でこちらに寄れと指示してくる。

 私が顔を近づけると後ろに手を回し、肩を強く抱き寄せた。そして、私の顔に彼自身の顔を寄せる。

 近い近い近い! 何なんだこのイケメンは!? いくら私が可愛いからって突然、キスでもする気なの!?

 と、思ったのだが、わざわざ鼓動まで速めてしまったのだが、そういう事ではないようで熱を測る時のように彼と私のおでこをくっつけた。

 彼はそっと目を閉じる。その直後、彼から大きなドクンという大きな拍動が一つ、聞こえた。それは普通の鼓動とは違う。何かを一気に送り出すような尋常ならざる拍動であった。

 そして、しばらくの静寂の後、そっと彼は目を開き、顔を離した。


「なるほど、そういうことか。ならば早速警察署へ行こう」


 彼は私がまだ話してない事まで理解したかのような口ぶりでそんなことを言い出した。


「どうやって解決するんですか!?」


 すると、彼は振り向き、少しイタズラめいた目で見つめた。


「やはり、君はナカケンさんから何も聞いていないのか」


「何のことですか?」


「まぁいい。それは車内ででも追々話していこう」


 


       ×  ×  ×



 その後、店を出て、私の乗ってきた覆面パトカーに二人で乗ると警察署へ向けて走らせた。


「そう言えば──」


 彼はそう言って二人きりの車内での会話を切り出した。


「自己紹介がまだだったね。俺は湯上ゆがみそう。まだ27歳だが『Cafe Vardzia』で店長をしている。だから皆、マスターとよく呼ぶ。君もそう呼ぶといい」


 これまたずいぶんカッコイイ名前だ。ルックスが名前負けしていないからいい。


「えっと、私は──」


「いや、それはもう知っている」


 私も自己紹介をしようとすると彼はこんなことを言った。なんかデジャブだ……。


「そうですか……」


 たぶん、警視長さんが連絡でも入れて伝えたんだろう。あの人はこの人を知ってる感じだったし。


「それで、マスターさんはどうやってナカケンさんを助けるつもりですか?」


「なんだ、やっぱり君はなんにも知らないのか、俺達のことを」


 俺達? そりゃあ、マスターさんのことはさっき会ったばっかだから知らないけど達ってどういうことなのだろうか?

 すると、マスターさんは心を読んだように私の疑問に答える。


「俺とナカケンさんの事だよ」


「……どんな事ですか?」


 まぁ私が知らない彼の秘密などいくらでもある、のだろうと思う。おそらくその一端がこれから明かされるのだろう。


「知らないなら知らないでいいのかもしれないが、これからあの人と行動を共にするのなら知っていたほうがいいだろう。あの人も告げるつもりだったらしいしな」


 そして、彼は淡々と語り出した。


「俺とナカケンさんという人間は人間であって人間ではない。君も疑問に思ったことがあるだろう。彼の圧倒的な力や人智を超えた現象の数々。これらは鍛錬やら経験などで得られるものでは無い。まぁ彼の戦闘の中にはもちろんそれらで可能にしている業も多いけれど」


 そして、彼は私の瞳をじっと見つめ、真剣な面持ちで言葉を続けた。


「彼の起こす説明のつかない現象。その理由は彼が超能力者だからだ」


 マスターさんはそう言った。

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