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ロマンス満喫中少女  作者: キラオっち
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プロローグ

 都市ネーディリア。

 一年前まで私が楽しく平和に暮らしていた場所だ。

 今はネーディリアの殆どが血で真っ赤である。

 理由はたくさんのアガインが死んだから。

 アガインはいろいろなものに姿を変え、人類を襲ってくる悪い奴ら。

 なぜ人類を襲うのかなんて今はアガインしか知らない。

 アガインは巨大だ。姿によって違うが、大きいものだと三十メートルを超える。

 人間に力では太刀打ち出来ないし、況して勝てるはずもない。

 こう大多数は思った。

 だが無謀とも思える五人の少年少女がいた。

 彼らは選ばれし者。自分たちなら勝てる、と確信しているのだ。実績ならちゃんとある。

 だから今もアガインと戦っている。

 「何コイツ。息臭い! 納豆みたいにネバーッとしてる。私のキャノンちゃんがかわいそうだよ」

 アガインに対して暴言を吐いているのは私。池田杏。静寂や沈黙が嫌いだ。暇さえあれば喋ってる。

 今私はアガインの目の前にいるので、もう口臭がプンプン匂ってくる。顔を顰めずにはいられない。

 「喋ってる暇があるならアガインの動きを封じてくれ」

 彼は林田玲。今は私と一緒に戦闘中。

 狼型アガインは口を大きく開き、火球を吐いてくる。

 こちらは暴言を吐いていたので回避が間に合わなかった。私はキャノン片手に吹っ飛ぶ。

 自称デブの私でも簡単に吹き飛んでしまうのだから相当な威力なのだろう。

 でもスーツ(ゲームで言うにモビルスーツ)のおかげで大分痛みは軽減されている。

 私はゆっくり立ち上がるとキャノンに拡散ネット弾を入れ、思いっきり撃つ。

 アガインはネットに絡まったが、鋭い爪で切り裂こうと足掻く。

 切り裂かれては困るので、通常弾に切り替え爪を狙って撃つ。

 「動くな口臭ヤロウ!」

 アガインがあまりにも動くので舌打ちをしてしまう。ちなみに通常弾は当たらなかった。私のいらつきに満ちた声を聞いてレイが動き出す。

 突如ボンッ、と言う爆発音と共にネーディリアは光に包まれる。

 私は閃光弾だと確信する。

 閃光弾。発射してから五秒後に強力な閃光を放つ弾だ。

 アガインの目が眩み、動きが止まる。その隙に再び通常弾を撃つ。

 バキィッ、と左手の爪が砕ける。アガインは奇声を上げながら体を大きく反る。

 口臭ヤロウ(空からの侵略者。通称アガイン)の弱点は人間と同じで、脳や心臓。撃ち抜かれれば、弱るか死ぬかの二択。

 「これで決めるよ!」

 「決めれるもんならな」

 私は笑みを浮かべながら、爆発弾を撃つ。

 爆発弾は着弾してから十秒後に爆発する高威力な弾だ。

 軽い血しぶきと共にアガインの胸に命中した。

 あと十、九、八・・・・・・。

 ネットが切れてアガインが私に駆けてくる。その姿はまさに獣。右手の爪はいつの間にか鉄のように固くなっていた。確実に狙われている。

 あっ、私死ぬ? 怖くなって手を強く握る。

 右手のひらに何かある。手を広げて見ると、そこには・・・・・・。

 ヤバい。一か八か撃つ!

 アガインはもう間近。迷ってる暇なんか無かった。

 三、二、一。ドンッ。

 爆発した。爆風での砂埃で、レイの視線からアガインとアンが消える。

 レイは深刻な顔をする。すると、顎に手を当てて自問自答し始めた。

 『アンは死んでしまったのか?』

 『否、死んではいないはずだ。アガインの爪が迫っている時アンは笑っていた』

 『でも先程から動かないな。やはり・・・・・・』

 だが、幸いレイの自問自答での答えは外れる。

 私はゆっくり立ち上がると、レイに向かってピースと笑顔を贈る。

 「痛ててて。教官に感謝だなー」

 なぜ私が生きているのかと言うと、教官が事前に渡してくれていたニ個目の拡散ネット弾を使ったからだ。一か八か撃ってみるとかなり爪の勢いが弱まっていたので、後は回避行動をとった。

 生きてて本当に良かった。教官がいなければ、今頃私は天国だ。

 レイは建物の屋上から降りてくるとこう話しかけてきた。

 「大丈夫か? 特にけがは無し、みたいだな。良かった」

 優しい。心配してもらえるだなんて。

 出会った当初は堅苦しそうな人だなー、とあまり親しくするつもりは無かった。でも一回くらいは話しておこう。そう思って話しかけたっけ。

 するとびっくり。人を見た目で判断してはいけないとはこのこと。楽しく話せた。アガインはかっこよくてロマンがある、だなんて言う共通の考え方もあった。息が合うというか・・・・・・。

 運命を感じた。好きになってしまったのだ。そして心に芽が出始めた。その芽はレイと話すごとに成長していって、今は子葉が出来始めている。きっとこの子葉も何か新しい気持ちなのだ。

すると急に拍手の音が響く。音源は教官だった。

 「さすがね。素晴らしいわ! こんなにも簡単にアガインを倒すなんて」

 「簡単じゃないよー。ねっ、レイ」

 「いい加減敬語を使ったらどうだ? 教官、それより。三人の容体はどうですか? さすがに二人だときついです」

 レイにしては珍しい弱音だ。以前アガインが出現した時は、僕一人で十分ですよ、とか言って飛び出していった。優しいけど強気。

 「私は二人で十分だけどね」

 「そうよねー。でも三人の容体は回復してきてるの。あと一週間もすれば五人での戦闘は可能よ」

 教官はにっこり笑って見せる。

 「さっ、戻りましょう」

 教官が指差す先にはヘリコプター。何か軍隊っぽくてかっこいい。

 軽くジャンプして乗り込む。ヘリはすぐに飛び立つ。

 ネーディリアを上空から眺めると悲しくなる。

 血塗れの建物。

 一年前はこんなんじゃなかったのに。

 涙がポロリ。頬を伝った。

 「お父さん・・・・・・」

 思いっきり泣いた。教官が背中に手を当ててくれる。その手はとても温かかった。

 私が泣いているのに誰も驚かない。

 私はふと、一年前のあの日を思い出す。

キラッキです。連載中小説に「ロマンス満喫中少女」のプロローグとプロローグ2が単独で存在していますが、あれはミスです。無視してください。

最後に僕の作品を読んでくれた方に史上最大級の感謝を。



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