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5 リバーシ

たぶん、ここからが書きたかったもの。

こんな感じでのほほんとなる予定。

予定は未定だよ。

だってプロットなんて存在しないし。

「シンク、おまえは何を作っているんだ」


 僕のまえに薄い板に8×8のマスがあり、そのマスに合わせる大きさの丸い板がある。


「ゲームですよ」

「これがゲーム?」


 とりあえず、小さな丸い厚みが1cmほどある板の裏側?を黒く塗る作業をしている。


「クレアに面白い物はないかと聞かれたのでリバーシでも作ってみようと思いまして」

「リバーシ? 面白いのか」

「さあ、どうでしょうか」

「さあって、分からずに作っているのか」


 元の世界では日本人なら誰しもが一度はやったことがある国民的ゲームだ。

 それがこの異世界で受け入れられるかは分からない。


「だから、完成したら感想聞かせてください」

「仕方無いのう」


 イリスはジッと僕の作業をみている。

 お姫様だから遊戯とかやれないのかな。

 段々と待ちきれないのかそわそわし始める。


「手伝ってくれると早く完成しますよ」


 手伝ってもらえると僕も助かるので聞いてみる。


「何をすればいいんだ」

「この丸い板の片方だけを黒く塗って下さい」

「こうか?」


 イリスは丸い板を持ち、筆で黒く塗っていく。


「はいそうです。でも、手は汚さないで下さいね。僕がメイドさんに怒られますから」


 メイドさんはイリスが帰るときに迎えに来る人だ。

 平民の僕がイリスのそばにいるのが気にくわないのか、姫様に近づかないでくださいとか言われた。

 でも、イリスが庇ってくれたのでしぶしぶ側にいることを許してもらっている状態だ。


 それから二人でもくもくと色塗り作業が続く。

 二人で作業したため予定よりも早く完成してしまった。

 頼んだ本人のクレアがまだ来ていない。


「これで完成なのか」

「はい。後は二人で遊ぶだけになります」

「どうやって遊ぶんだ?」

「その前に手の汚れを落としましょう」


 イリスの手は黒く汚れている。

 このままではメイドさんに怒られてしまう。

 魔術で水球を作り出す。


「ここに手を入れて下さいね」


 イリスは素直に水球の中に手を入れる。

 僕も水球に手を入れ、イリスの小さな手を綺麗に洗ってあげる。

 このまま汚れた手でイリスを返したらメイドさんに叱られてしまう。

 ごしごしと汚れを落とす。

 水球から手を取り出すと二人とも綺麗な手になった。


「それじゃゲームをやりましょうか。やり方はゲームをしながら説明しますね」

「分かった」


 イリスは僕の正面に笑顔で座る。

 そんなに楽しみなのかな。これでつまらなかったら他のゲームも考えてあげないと可愛そうだな。


「まず、中央に表と裏にしてこんな感じで駒を置きます」


 僕は中央に4つ駒を置く。


「これが僕とイリス姫の駒になります。イリス姫は黒と木目どっちがいいですか」

「黒がいい」


 多分、一生懸命に塗った黒に愛着があるんだろう。


「それじゃ、僕が木目でイリス姫は黒で。次にコインでも何でもいいので先攻、後攻を決めます。とりあえず最初は僕から始めますね」


 僕は木目を一つ置き、黒の駒を挟む感じで置き挟まれた黒の駒をひっくり返して木目にする。

 これで盤の上は木目4つ、黒が1つになる。


「妾の黒に何をする」

「そう言うゲームですよ。相手の駒を挟むと自分の色に変えることが出来ます。イリス姫も黒と黒の間に木目の駒を挟むように駒を置いて下さい」


 パチン


 駒を置き挟んだ場所をひっくり返して黒に変える。


「こんな感じでお互いに交互にやって最後に自分の駒の色が多かった方が勝ちになります」


 僕は続きで駒を置く。

 つぎにイリスが置く。


「駆け引きではありませんが、いかに角を取るかが勝負なります。角の4つは絶対に取られない場所になります。ここをとることで大逆転することも可能になります」

「そうなのか」

「まあ、角を取らなくても勝てますが初心者にはオススメです」

「なるほど、それならここに置けばいいんだな」


 イリスは僕が角を取りやすいように駒を置くと角に黒の駒を置く。

 すると多くの駒が黒にひっくり返る。


「はいこれでこの端の列は絶対にひっくり返すことは出来なくなります」


 パチン、パチン、パチン、パチン。


 駒をお互いに置いていき最後の駒を置いてゲームが終了する。


「数えるまでもなくイリス姫の勝ちですね」


 盤の上は黒が多いのがはっきりと分かる。


「シンク、手加減したな」

「手加減っていうよりも説明かな。これはお互いの実力が同じくらいだと楽しいですよ。だから、イリス姫も頑張って強くなって下さい」

「なら、もう一度勝負だ」


 僕たちもう一度リバーシを始める。

 今度は僕が勝った。

 次の勝負を始めようとしたとき部屋に入ってくる者がいる。


「遅くなった」


 クレアが僕たち二人のところにやってくる。


「おや、これはなんだい」

「こないだ、クレアが言っていた楽しいものだよ。作ったはいいけど、楽しいか分からないから、イリス姫に遊んでもらって面白いか確かめてもらっているところだよ」

「そうなのかい。イリス、楽しいのかい」

「まだ、分からない。でも、面白かも」

「なら、僕が横で見ているから二人でやって感想を聞かせてよ」


 クレアに席を譲り、リバーシのやり方を説明をする。


「ほう、これはシンプルだけど、頭を使って面白いかも」


 パチン、パチン、パチン、パチン、


 駒が置かれて、何度も裏返ったりしている。


「なるほど、ああ、そうなるのか」


 ゲームが終了する。

 盤の上は黒が少し多いのが分かる。


「妾の勝ちじゃのう」

「イリス、もう一度いいですか」

「もちろんじゃ」


 二人は再度ゲームを再開する。

 今度は接近戦になるがイリス姫が勝つ。


「表と裏のゲームだけなのに奥が深いな」

「面白い?」

「うん、シンプルだけど面白いよ。子供も大人も楽しめるね」

「イリス姫はどうですか」

「面白い。だから、クレアもう一回だ!」

「もちろんですよ。次はうちが勝たせてもらいますよ」


 二人が何度目かのゲームを楽しんでいると、エリナとナズナが部屋に入ってくる。


「あ~、なにをしているですか?」


 ナズナが駆け寄ってくる。


「僕が作ったゲームですよ。前にクレアに頼まれたので作ってみたんです。あとで二人もやってみて感想を聞かせてください」


 イリスとクレアのゲームが終わり、二人がエリナとナズナにルールを説明している。

 ゲームが始まると、イリスがとんでもないことを言い出した。


「シンク、もう一つ作れ」

「えっ」

「もう一つあれば4人で出来るじゃろ」


 そんな言葉で僕はもう1セット、リバーシを作ることになった。

 でも、イリスが手伝ってくれて、それを見た他のメンバーも手伝うことになり、早くもう1セットが完成するころになった。


 もちろんイリスの手を洗うのは忘れないよ。


石の事を駒として言い換えてあります。


オセロの表現をリバーシに変更しました。


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