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3 研究室

 それから、学園からの呼び出しもなく無事に入学が出来た。

 クラスはEクラスになっている。

 Eクラスは平民の子が多くいるクラスだ。

 なのに、なぜ、この人たちがいるんだろう。

 教室に入ると自分の席に向かうと自分の席の後ろには赤髪のエリナが座っている。

 右の席には銀髪が綺麗なナズナが笑顔で座っている。

 左に席には僕と同じ黒髪のクレアが本を読んでいる。

 

「どうして3人ともいるの」


 あれから3人のことは調べてみた。

 エリスは学園最強剣士と本当に呼ばれ、家も貴族でこのクラスにいるような人物ではない。

 ナズナは優秀な魔術師を輩出する家系に生まれ彼女も貴族だ。

 クレアは貴族ではないが、王族や貴族に関わりを持ち、経済に大きな力を持っている大商人の娘。

 3人ともにEクラスにいるような子たちではない。

 だからこそ、学園では会うことも無いと思っていた。


「ここEクラスだよ」

「知っている。おまえと剣の試合をしたかったから、同じクラスにしてもらった。本当はおまえをAクラスに入れさせようと思ったけど無理だったからな。だから、私がこのクラスに来た。そしたら、こいつらまでいるから驚いたよ」


 二人を見る。


「約束したよね。入学したら友達になるって、だから、シンク君と同じクラスにしてもらったの」


 それだけの理由ですか。

 別に友達なら他のクラスでもいいのでは。


「うちは言ったはずや。うちは学力で一番になると、そして、世界で一番の商人なるんや。それにはライバルが近くにいた方が張り合いがある。だから、シンクと同じクラスにしてもらった」


 と言い放った。

 クラスを見渡すと好奇な視線を独り占めしていた。

 そんな視線は丸めてゴミ箱に捨てたい。

 思い描いていた僕の平穏な学園生活が雪崩のように崩れていく。

 いや、まだ、わからない。

 この3人が僕のことをたいしたことがないと思えば平穏な学園生活が戻って来るかもしれない。

 そう心を固めたとき、教室の入り口が騒がしくなる。


「この教室だな」


 聞き覚えのある声が聞こえる。


「なんで、お姫様がこの教室にいるんだ」

「しらねえよ」

「わたし、もしかして、クラス間違えた?」

「入ってくるぞ」


 なんか、不吉な言葉が聞こえたんだけど。

 お姫様・・・・・

 教室の入り口はモーゼのように人が分かれる。


「おお、そこにいたかシンク」


その言葉が、淡い期待を抱いていた僕の平穏な学生生活が完全に終わった瞬間だった。

 そこには試験の帰り道に助けた金髪の少女がいた。

 そして、クラスメイトは少女のことをお姫様と呼んでいた。

 完全に平穏な生活が無くなった。


 そのお姫様は僕の前の席に座っている。


「あのう、どうしてあなたがここにいるのでしょうか」

「おまえを捜したらここの入学者だと分かったから、妾も入ることにした」

「僕、内緒にしてと頼んだよね」

「妾の命を救ってくれたんだ。お礼をしないといけないだろう」

「そのお礼が黙って欲しいってお願いしたよね」

「何か、お主は妾が助けてくれた恩人に礼もしない人間だと思うのか」

「わかりました。御礼は受け取ります。でも、なんでこの教室にいるんですか。お姫様ならAクラスではないでしょうか」

「それはエリナとシンクがいるためじゃ」

「エリナ?」


 どうして、ここでエリナの名前が出てくる。


「将来、わたしはイリス様の専属護衛になるからだ」

「エリナがお主と同じクラスのEクラスとなるなら、必然とわたしもEクラスになるだろう」


 エリナ、僕よりもお姫様を優先してAクラスに行こうよ。

 そんなことで僕の平穏な学園生活は初日で崩れ去っていった。



---------



「あのう、なぜ、僕はここに連れて来られたのでしょうか」


 今、僕は研究棟の部屋にいる。

 周りを美人や可愛い子に囲まれているのに、恐怖しか感じないのはなぜだろうか。

 それは間違いなくそのメンバーのせいだろう。

 金色の長い髪を持つ可愛らしい少女はこの国のお姫様。

 赤い綺麗な髪を持つ美人は有名な剣士の貴族様。

 銀色の長い髪を輝かせているほんわかとした可愛い女の子は魔術が有名な貴族様。

 黒い髪を持つ美人は国に影響を持つほどの力を持っている大商人の娘。


 僕が逆らえば家族が路頭に迷うのはの簡単なことだ。

 もしかすると、土の中に入ることになるかもしれない。

 家族のために発言は注意してしないといけない。


「ここは生徒に貸し出される研究室よ」


 イリスは小さな胸を突き出すように自慢げに言う。


「どうして僕はその部屋にいるのでしょか」

「そんなの決まっているじゃろう。シンクもこの研究会に入ったからじゃ」

「そんな話聞いてませんよ」

「いま、話しただろう」

「僕入るなんて言ってないですよ」

「なんじゃ、お主は妾ほどの美人が誘っている断るのか」

「もう少し、ボリュームがあれば」

「なんじゃと、貴様。もう一度言ってみろ」

「冗談です。嘘です。イリス姫は巨乳です」

「よし、今決めろ。今、すぐ死ぬか。数分後に死ぬか。あるいは研究会に入るか」

「それって選択肢ないじゃないですか。わかりました。入ります。それで、なにを研究するんですか」

「しいて言うならシンクを研究する研究室だ」

「・・・・・・えーと聞き間違いじゃなければ僕を研究すると聞こえたんですけど」

「大丈夫じゃ。合っておる」

「合ってるじゃありませんよ。何ですかそれは」

「なに、妾たちの間でいざこざがあってな。それでシンクを妾たちの共通財産にするこにした」

「本人の了承は」

「そんなもの必要なのか? 王族が平民の了承を取るとか聞いたことがないぞ。それにこんな美人4人に囲まれて断る男はいないだろう」


 周りにいる4人の美人、可愛らしい女の子を見る。

 言っていることは正しいけど、正しいけど、納得はいかない。


「ちなみに、皆さんはどんな研究をするのでしょうか」

「私は剣の研究をしてもらう。主に剣の相手をしてもらう」

 

 とエリナ。


「わたしは魔術ですね」


 とナズナ。


「わたしは商人としての勉強や」


 とクリス。


「そして、妾は平民のことを教えてもらう」


 とイリス。


「なんですか。その平民のことって」

「妾も王族の一員だ。平民のことも学ばなければならない。それにシンクが選ばれたのじゃ。他の奴はエリナを始め、貴族ばかりで話にならん」

「申し訳ありません」

「だから、シンクなのじゃ。それにシンクは強いし護衛にもなる」


 そんな感じで僕はこの研究室に入ることになった。


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