1 学園
新作です。よろしくお願いします。
とりあえず、3話まで投稿予定になります。
小さい王女様が椅子に座って我が儘を言い出す。
「待ってくださいね。今作ってますから」
「どうして、あんな簡単に作れる食べ物がこんなに美味しいのだ」
じゃがいも薄くスライスして油で揚げるだけ。
揚げたてのポテトチップスに塩を掛けてイリスに渡す。
「食べ過ぎると太りますよ」
「貴様、女の子に向かって太るとか言うと、女にもてないぞ」
「はいはい。でも、油で揚げてますから、お腹が脂肪でぶくぶく膨らみますよ」
イリスは頬を膨らませながらもポテトチップスを食べる。
そして、自分のお腹を見る。
でも、食べるのは止めない。
「貴様が作るポテトが美味しいからいけないんだ」
「ありがとうございます」
一応、礼をいっておく。
元日本人の記憶を持つ僕は、この異世界に生を受けて15年が過ぎた。
この世界には科学が存在しない代わりに魔法が存在していた。
平民に生まれた僕は日本の知識を奮ってハーレムを作るわけでも無く。チート能力で無双するわけでも無く。普通に生きてきた。
魔力は意外と多い方になっている。
魔術の使い方は具現化。
イメージ力に反映される。
小説、漫画、アニメ、映画などの存在する世界の知識を持つ僕にとっては容易いことだった。
小さいときから上級魔法もオリジナル魔法も使えた。
あまり、目立つことをすると両親に迷惑がかかるので、隠れて魔法の練習を行った。
普通の良い人生を送るには学園を卒業するのが一番良いことを知った僕は15歳ときに王都にある学園に入学をした。
入学テストは学力、魔術、剣術の3つの試験で行われる。
学力は生まれたときから、大人の知識を持つ僕には簡単なことだった。
算術に関しては、中学生問題だ。魔術と剣術はチートがある。
問題は目立つこと無く入学することだった。
正解率を少し抑え、何問か白紙にする。
魔術、剣術も周りを見てそれに合わせる。
そんな、感じで学園の合格をもぎ取った。
そのテストの日に出会ったのが4人の天才どもだった。
その一人がポテトチップスを美味しく食べているイリス姫。この王家の正統な血筋を持つ。
第7王女になる。
「おい、何を作っているんだ」
「今度はフライドポテトを作っているんだよ。これも美味しいよ」
「なんだ。それは」
「ポテトチップスの仲間だよ」
「貴様、太るとか言ったくせにこれ以上美味しい物を食べさせるつもりか」
「別にイリス姫の分じゃありませんよ。僕が食べたいから作っているんですよ」
「貴様が美味しそうに食べているのを黙って見ていろと言うのか」
「食べても良いですけど太ってもしりませんよ」
出来上がったホクホクのフライドポテトに塩をふり掛けてイリス姫の前に置く。
僕がどうぞって言う前にすでに口に運んでいる。
「なんだ。ポテトチップスも美味しかったけど。これも旨いぞ。どうして、家の者はじゃがいもを食べないのだ」
「まあ、毒があるからね」
イリスの手が止まる。
「大丈夫だよ。毒があるのは芽の部分だから」
「そうか、シンクは変なことを知っているな」
「僕は何でも知っているわけじゃないよ。知っていることだけ・・・・・」
これ以上はよそう。
「みんなの分もあるから、全部は食べないでよ」
「それは無理な注文だな」
お皿の上は空っぽだった。
「本当に太りますよ」
「そしたら、シンクに責任を取ってもらうからな」
「はいはい。誰も貰い手が無かったら僕が貰って差し上げますよ」
「シンク、妾がもてるの知らないのか」
「知っているから、言っているんですよ。イリス姫」
「シンクはイジワルだ」
イリス姫は見た目は12歳ぐらいの女の子。
綺麗な金髪が腰まで伸びている。
そして、僕の同級生だ。
「おお、なんだ。何を食べているんだ」
部屋に僕よりも少し身長が高い女性が入ってくる。
赤毛の長い髪をした女の子。
目が少し釣り上がり、カッコいい系の女の子だ。
実際に男性よりも女性に人気がある。
「今、新しく作るから待っててエリナ」
新しく、フライドポテトを作り、エリナに渡す。
「なんだ。これ美味いぞ」
「わたしの分は無いのか」
「本当に太りますから、姫は駄目です」
太ったイリスは見たくない。
「横暴だ。国王に言いつけるぞ」
「そんなことで、国王に言わないでください」
実際に父親が国王だから、言えなくないから怖い。
「なら、妾の分も作れ」
「僕は太ったイリス姫を見たくありません」
「うう、なら、仕方ないの。今日は我慢してやる」
「ありがとうございます」
「これ太るのか」
フライドポテトを食べながらエリナが尋ねてくる。
「食べ過ぎなければ大丈夫ですよ。それにエリナは毎日運動をしているから大丈夫ですよ」
僕の実力を見抜いた一人。
剣の達人。
父親がこの国の軍事部門の最高に偉い人だと聞いた。
雲の上の人なのでよくわからない。
そして、本人は16歳にして学園一の剣士。
国に仕えている剣士にも引けを取らないほどの腕を持っている。
女性のくせにと言う者もいるが、卒業後はイリスの直属の護衛をすることになっている。
「そうか、なら、ありがたく頂こう」
「ううう」
「姫は駄目ですよ」
「わかっておる」
エリナを羨ましそうに見ている。
「あーーー、何か美味しそうなもの食べている」
次に部屋に入ってきたのは少し小柄の女の子。
赤いマントを揺らしながら入ってくる。
「ナズナ。遅かったな」
「少し、後輩に捕まって」
ナズナ。僕と同い年の女の子。
僕の魔術の力を見抜いた一人。
家が優秀な魔術師を輩出している名家。
銀色の髪が神秘的な女の子だ。
日本にはいなかったので余計に綺麗に見えてくる。
「ナズナも食べる?」
「もらおうかな」
出来上がりのフライドポテトをナズナに渡す。
「ありがとう」
ポテトを食べる。
「おお、美味しい」
「でも、食べ過ぎると太るらしいぞ」
「そうなの」
「食べ過ぎないで、運動をすれば大丈夫だよ」
「妾も運動する。だから、シンク、妾しの分を作れ!」
みんなが食べているのを見て我慢が出来なくなったらしい
「本当に少しだけですよ」
「わかった」
イリスは嬉しそうにする。
フライドポテトを作っていると、この部屋の最後の住人が入ってくる。
僕と同じ黒髪をした女の子。
名前はクレア。
「おや、みんなで何を食べているんだね」
「ポテトだよ」
「でも、薄くないではないか」
「それはフライドポテトだよ。前回作ったポテトチップスの仲間だよ」
出来上がったフライドポテトを渡す
「なんだ。これ美味いぞ。これ商売にすれば一儲けができるぞ」
この子は大商人の娘。
僕が学問、算術のテストを手を抜いているのを見破った女の子。
「シンクは本当にいろんな事をしっているな。本当にどうだい。うちと結婚して新しい商売をするのは」
「それは駄目だ」
「駄目だな」
「駄目よ」
僕が断る前に全員から駄目だしをされた。
シンク 平民 元日本人 黒髪 呼び方 僕、イリス姫、エリナ、ナズナ、クレア
イリス 姫様 小さい 可愛い 金髪 呼び方 妾、シンク、エレナ、ナズナ、クレア
エリナ 貴族 剣士 主人公より少し大きい カッコいい 赤髪 呼び方 私、シンク、イリス様、ナズナ、クレア
ナズナ 貴族 魔術師 普通 おっとり系 銀髪美人 呼び方 わたし、シンク君、イリスちゃん、エリナちゃん、クレアちゃん
クレア 大商人 普通 黒髪美人 呼び方、うち、シンク、イリス様、エリナ、ナズナ