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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第2章
9/65

ギルドメンバー 1

公式イベントが終わってから、最初にログイン出来たのは、6日後だった。プライベートが忙しく纏まったログイン時間が取れなかったからだ。まぁ、プライベートが忙しいと言っても溜まっていた家の事なんだがな。姉が頼りないから…………


久々のログインでやる事は1つ。ホームでの紅茶を楽しむ事だ。アキラも部活が忙しくログインは夜になるそうだ。

それなので、今日はこの前のイベントで上限まで成長したジョブの変更やスキルの進化や慣らし運転に時間を取る予定にしている。



えっと………上限まで成長したのは、


《銃士》Lv60※上限

《短銃》Lv60※上限

《探索》Lv50※上限


の3つ。《銃士》の方は上限まで成長させる事で中級のジョブが新しく現れている。|《双銃士》《ダブルガンナー》念願だった2丁持ちでの攻撃が出来るようだ。これが分かった時、僕はどんなに喜んだ事だろう。創造出来るか?


まぁ、ジョブは問題では無いんだよな。


問題は《短銃》と《探索》の派生スキルや進化スキルが複数有る事だ。


複数有るがSPの方は、都合良くそんなに多く残らない。現在のSPが42P。ジョブチェンジに20P使う予定なので残るのは22P。


ジョブチェンジは下級から下級は10Pで済むのだが、下級から中級は20P、中級から上級は30P必要になる。今後の事を考えると、どっかで纏めて貯めておく必要があるよな。まぁ、今は使っちゃううんだけどな。


僕が迷っている《短銃》の候補は、スキルLv40以上かつ魔銃系統武器の所持が派生条件の《魔銃》必要SP15と上限まで成長させる事が進化条件の《短銃技》必要SP10


《探索》の候補は、上限まで成長させる事が条件の《見破》必要SP10と《索敵》必要SP10と《隠密》必要SP20


・《見破》は、ステータスや弱点属性、急所を視えるが《探索》効果は無くなる。

・《索敵》は、《探索》の強化版。

・《隠密》は、《探索》効果は弱くなるが魔物に見付かりにくくなる。


それに《隠密》は、まだ発見されていないジョブ《忍者》になる為に必要なのでは………とか言われていて、かなりの人気を見せているんだよな。


僕的に、《魔銃》の取得は条件的にレアだと思い、出来るなら取得したいのだが、それを取得すると他が残りSP的に取得出来なくなる。誠にもって悩ましいよな。




暫く悩んだ結果、ジョブチェンジしてから《魔銃》を取得する。その後にスキルLvを上げて他を取得する事にした。


まずは、ジョブチェンジの為に神殿を目指す。神殿の受付で届け出をすると言う、現実世界で役場に申請をするような感じになっている。この辺りは全くファンタジーじゃない。しかも、リアルに待ち時間まで有った。リアル過ぎて若干引いたよな。


まぁ、これで晴れて《双銃士》だ。2丁持ちも出来る。ちょっと感動だな。続いてメニュー画面から《魔銃》スキルを取得………


『マジか!?』

ここで完全に予定外な事が起って思わず声が上がる。


新たに進化先に《双銃》が現れていたからだ。必要SPは5P。必要SPは低いのだが、《双銃士》にジョブチェンジをしないと取得出来ない事を考えると高いのかも知れないな。


だが、これで迷いは無くなったな。まずは《魔銃》を派生で取得して、その後で《短銃》を《双銃》に進化させる。《短銃技》は完全に諦めた。《探索》はSPが貯まってからだ。



早速慣らし運転にでるか。場所は湖の近くで、相手はホワイトタイガやリザード系が良いかな。湖に近寄らなければ、ソロでも狩りやすい魔物だからな。まぁ、狩りを始める前に練習だな。


始めは《魔銃》オンリーだよな。トリガーを引くとまるで弱い魔法を使ったような消耗感が有る。実際にMPも減っているのだが………


『消費具合は10発で〈ウインドカッター〉1発ぐらい?か、割は良いかも知れないな』


射撃しながら一人で納得する。しかも、今までと違い距離で威力も変わらないようだ。これはかなり嬉しい仕様だな。


しかし、当然メリットだけでは無い。魔銃では〈跳弾〉〈零距離射撃〉のアーツは効果が無かった。〈曲射〉〈必射〉は効果が有る。どうやらアーツに依存する様だな。詳細な仕様が知りたいが、そもそも銃を使うプレイヤーが少なく検証が難しいんだよな。こう言う時は不遇職って感じるんだよな。


うん!?《付与銃》の扱いは、どうなるんだ?まぁ、試してみれば分かるか………


『………これは良いのか?』


結論から言うと《付与銃》は使える。しかも、消費は《付与魔法》と変わらない。【魔銃】って《付与銃》と相性良すぎないか?もう《付与銃》専用でも良いんじゃないかと思うよな。更に、魔銃弾の色で付与の種類が判るようになったし、至れり尽くせりだな。


次は2丁で射撃してみる。今までと違って多方向に同時に撃ちが出来る。だが、1番大きかったのは20連射まで出来た事だろうな。今までは、銃を持ち変えたり、リロードしないと10連射までしか出来なかった。なので捌ける範囲や選択出来る行動も格段に広がる。


当然だが【魔銃】と【デルタシーク・短銃】の2丁持ちも可能だった。2丁持ちでも《短銃》のアーツは使う事が出来た。特に〈曲射〉〈跳弾〉の同時仕様がヤバかったよな。


『これ、回避するの無理じゃないか』

ヤバイな、僕の中で銃の評価がうなぎ登りです。



そろそろ、実戦でテストをしてみる事に。まずは、ホワイトタイガ単体を探す。まぁ、そう都合良く単体って言うのは見つからないよな。ホワイトタイガ2体のパーティーで手を打つ事に、自分に〈攻撃力上昇〉を掛け、右手に【デルタシーク】、左手に【魔銃】を持つ。


〈防御力減少〉〈回避減少〉を射撃していく。2丁持つ事で1人で牽制と攻撃が出来る。素早く1体を倒して、残り1体には【デルタシーク】2丁で同じ箇所への〈零距離射撃〉同時撃ちを試す。


これは、予想以上に酷い結果になったな。以前は、ただ単にぶっ飛んだだけだったが………今回は貫通。これ、仲間内以外では見せられないよな。


午前中は、いろいろなパターンで戦闘を試す事が出来たし、午後からは生産でスキルLvを上げようかな。《探索》の方もスキルを新しくしたいからな。装備も見直した方が良いだろうし、魔銃用のホルスターも必要になるよな。ホワイトタイガを狩りながら、そんな事を考えていた。





午後からは、馴れた手付きで皮の鞣し作業をこなしていく。メニューから一括作業で鞣す事も可能だが、1個1個手作業でやる方が仕上がりも良く、スキルLvも上がり易い。それに、地味でコツコツとか僕に向いてるからな。


当然、知り合いの鞄は全て手作業で作った鞣し皮を使用している。さて、そろそろ気分が乗ってきたし、試作品でも作ろうかと思ったのだが………コールだ。


一体誰だ?僕の邪魔をするのは…………コールは便利な機能だが、同時に相手にログインしているのが伝わるので、居留守が使えないのが欠点だな。


『こんにちは、リツです。今日はログインされているんですね。今、お時間有りますか?』


『………こんにちは、夕方までならホームにいるぞ』

一瞬、答えに迷ったがそう答える。多分、この前に約束した依頼の件だろう。約束は、約束だから仕方ないよな。


『では、後程ガイアと伺わさせて頂きます』

ガイアも一緒なのか、それは聞いて無いし、予定にも無いぞ。


『あぁ、わかった』

今日の予定が半分、いや、殆どが潰れたな。仕方ない他の素材の下処理でもして待つ事にするか。


なかなか来ないな。持っていた鉱石類の下処理は終わってしまったぞ。これなら時間を決めとけば良かったよな。




『お待たせいたしました。リツです』

入口で声がする。しかも、紅茶を入れ終わったタイミングで………どこかで見てたのか?


『許可をしたから、もう入れるぞ』


『…………このホーム、外から見ても規格外でしたが、中は非常識ですね』

失礼な。サポートギルド的には必要な物ばかりだ。まぁ、初見の反応にはもう馴れていたが、そこまでなのか?


『まぁ、そこに座って紅茶でもどうだ?』

ソファーと紅茶を薦める。紅茶好きを増やすのは、僕の密かな野望だからな。


2人が紅茶に口をつけたのを確認して、


『で、今日は何の用だ?』

依頼だと思うが確認は必要だろう。


『この前の件で、依頼をお願いしにきました』


『………弓か?どんなのが良いんだ?』


『素材は、これでお願いします。足りなければ言って下さい。弓の形状は、私が使っている物と同じで、金属と木のハイブリッドにして下さい。色は薄い緑色、私が《風魔法》を使うので風属性が付いていたら嬉しいです』

身近に《風魔法》仲間がいたのは嬉しく感じるんたが、かなり難度の高い事をサラッと言われた気がするよな。


それよりも、気になるのは………


『この素材は、銀か?』

品質は高くなさそうだが、間違いなく銀。今まで見付かってていない素材だよな。少なくとも僕周りでは………


『そうです。先日イベントで入賞した20パーティーに送られたイベント報酬が、ダンジョンへの先行挑戦権だったので、南の川を越えた所に有る鉱山でダンジョンを見付けて、そこで採掘出来ました。まだ攻略は全然出来て無いですけどね』

鉱山とか有るんだな。全く知らなかった。アクアも入賞してたよな。知ってるんだったら教えて欲しかったな。それよりも、


『ダンジョンって?』

鉱山よりも気になるフレーズが有ったな。


『はい、次のバージョンアップで正式に開放されるそうです。今は20パーティーだけの限定開放らしいですが』

それは少し羨ましいな。銀は個人的に加工してみたいし。


『MVPの報酬には、有りませんでしたか?』

そう言えば、僕は何を貰ったのだろうか?


『いや、確認するのを忘れていたな。ちょっと、倉庫を見てくる』

倉庫を確認すると、新規で未鑑定素材が5個あった。今は鑑定すら出来ないようだ。他にはアキラが受け取って来たと思われる見た事もないレア素材が8個あった。スキルLvの低間今は使いたくないがな。


『お待たせ、ダンジョンの挑戦権は無かったな。未鑑定の素材が5個有ったが、僕では鑑定出来ない』

内容も気になるが、どのスキルで鑑定出来るのかも気になるな。


『未鑑定の素材ですか、レアっぽいですね』

ガイアの目が輝いている。あっ!!リツもだったか。多分、自分で分からないだけで僕もだろうけどな。


『リツの用は分かったんだが、ガイアは何しに来たんだ?』

さっきまで、挨拶以外は話して無かったからな。


『私はギルドのメンバーで共通のアイテムを持つ事になったのでそれの依頼に参りました』

僕に依頼すると言う事は………


『鞄か革製品か?ロゴやマークの刺繍とかは出来ないぞ』

まぁ、この際に《裁縫》も取得しても良いかも知れないが、今はSPが残ってないからな。


『ご想像の通りで、鞄の製作をお願い致します。今のギルドメンバー分、プラス今後も増える事を加味した分の合計100個。今、シュン達が使っている性能でお願いしたいです』

性能面での差は、やはりバレていたか。それにしても100個は多いよな。皮を鞣す作業に時間が掛かりそうだな。


『分かった。ギルド【noir】として依頼は受けようと思う。まずガイアだが、あの性能の鞄100個になると全て手作業になるから時間が掛かるぞ。あと素材は自分達で用意して欲しい。それにリツの弓が先だからな。次にリツだが、僕が銀鉱石の加工をした事がないから今の素材の量だと練習する分が無いのが問題だ。もう少し用意して欲しい。それと、これは2人共にだが、まず1回試作品を作るので形状等を確認して欲しい』

等、こちらからの要望を伝えていく。


『分かりました。それで結構です。報酬の方は幾らになるでしょうか?』

それが問題なんだよな。基本的に仲間内には物々交換が殆んどだからな。お金以の報酬って、あまり貰ってないんだよな。


『それが問題なんだよな。僕自身では相場が分からないんだよ。弓はともかく、鞄の方がな………まぁ、以前にかなり儲かったからお金に困って無いからか。報酬は、おいおい考えるわ』

以前の儲けは、いずれ違う形で皆に還元したいからな。


『では、よろしくお願いします』


『素材を持って来てくれるまでには、試作品を作っておくわ。来週の土曜日のこの時間で良いか?都合が悪くて駄目ならメールかコールで連絡してくれ』

鞄と弓を請け負う事にする。リツからは、弓のスペアをサンプルとして受け取った。ギルドとしての始めての依頼だからな。頑張らなければならないよな。





まずは、弓から考えるとするか。


【霧弓】攻撃力50〈特殊効果:命中上昇・少〉


サンプルの弓は、店売りの武器らしいがアキラに作った弓よりも性能が低いな。


弓の長さは1m。握りの部分を真ん中として上下が3:2くらいの比率になっている。形状は普通の弓よりも和弓に近いのかも知れないな。これを金属と木で作るのか?かなり試作をする必要が有りそうだな。


取り敢えずは、ベースを木で作り握る部分以外を金属で補強する形にしてみるか。金属は、攻撃を受け止めれる強度も付ける為に銀を使った合金をメインにするとして、問題は、風属性なのだが対応する宝石がない事だな。


『フレイさん、今時間有りますか?』

《鍛冶》の事ならフレイさんに相談するのが早いからな。


『シュンくん、この前はごちそうさまや。旨かったで。また呼んでな。うん、今は時間あるで』

喜んでくれてなによりだな。また必ず呼びますよ。


『相談したい事が有るんで、何処かで会えませんか?』


『変わった事なん?ならシュンくんとこのホームでどないや?』


『良いんですか?』


『かまへん、かまへん。ほな、10分後な』


『じゃあ、ホームの工房部分に入れるように許可出しておくので来てもらえますか?入口入って右手の奥になります』






『シュンくんお待たせ………って言うか中は、こないな事になっとたんかいな。ほんまに面白いわ』

関西人を笑わせるホームって何なんだろうな。


『来てくれてありがとうございます。相談と言うのはこれの事なんですが………』

銀鉱石を取り出してみせると、フレイさんの目の色が変わる。


『自分、これどないしたんや?』


『実は………』

銀鉱石がこの場に有る経緯を話す。


『なるほど、鉱山出来るんやな。それは職人としては楽しみやな。悪いんやけどウチも銀鉱石は使った事が無いんやわ』

まぁ、それは仕方が無い事かも知れないな。鉱山以外での採掘情報はまだ無いし。


『練習用にも多目の素材が有れば、塊にしたり加工したり出来ますか?それとは別にしなる合金とか可能ですか?』


『やってみないと分からんけど………多分、ウチが見たところ素材としては、鉄の1つ上って感じやな。ならいけると思うけど。加工する場所がな………新素材を工房で加工するのは問題が有るお思うわ。職人としては、是が非でも加工してみたいんやけどな』

確かにそうだろうな。目立つし、質問攻めにあうことは間違い無いからな。


『そうですよね。あっ!!もし良かったらなんですが、ここ使いませんか?僕も指導して貰いたいし。当然、報酬もお支払いしますよ』

依頼を受けた以上は、結果を出さなければならないからな。当然、依頼の積み重ねでギルドのランクも上がる。


ランクはE・D・C・B・A・S・SS・SSSの8段階ある。僕ら【noir】は、現在最低のEランクだ。


『良いんか?ウチは、お願いしてでもやりたいんやけど』


『まぁ、先にアキラに相談してからになりますから、今すぐにとはいきませんが。明日、必ず連絡させて頂きます』

フレイさんと別れて、今度は《木工》で木材の下処理をしてアキラのログインを待つ事に。


アキラのログイン予定まで時間があった為、晩御飯を食べてログインし直すぐらいの時間は有った。





『こんばんは、ちょっと待たせたかな?』


『大丈夫。ギルドに依頼が来て、それの生産してたからな』


『初依頼?やったね!!もしかしてリツさんの弓?』

まぁ、アキラから聞いたとリツも言ってたし知っていても当然か。


『そう、ただ内容が難しそうで、今の現状だと僕1人では無理っぽいな』

アキラに一連のやり取りを話す。


『うん、良いよ。フレイさんには私の扇作って貰ってるし、それに、もしフレイさんさえ良かったら、ギルドにも勧誘しちゃおうか?』

アキラとフレイさんは初対面の時から気が合って、お互いにフレンド登録も済んでいる。その為、この考えに至るのは必然かもな。


『それは、有りかもな』


『じゃあ、早速コールするね』

行動が早いな。もう、コールで話し始めている。まぁ、フレイさんなら、ギルドの仲間が増えるのは大歓迎だけどな。


『10分ぐらいで来るって』

速攻で交渉は纏まったようだな。実際に、測っては無かったが1分かかって無いんじゃないか?


『了解だ』

紅茶の準備に入る。最近は、毎日の様に紅茶のお世話になっているからな。この際、茶葉からオリジナルの紅茶を作りたいよな。

まぁ、OOOの中だけでなく、現実でも飲んでるんだけどな。


しかし、残念ながら現在は農業系のスキルは存在しない。是非とも増やして欲しいよな。





『お待たせ、アキラちゃん。遠慮なく工房を使わして貰うわ』


『フレイさん、いらっしゃい。もう1つ相談が有るんですけど、少し良いですか?』

アキラが工房の方に進むフレイさんを引き止める。


『なんか有るんか?ウチはかまへんで』

僕の前のソファーに座り、僕の出した紅茶を一口飲む。


『もし良かったらなんですが、ギルド【noir】に入って頂けませんか?』

アキラは、どストレートに切り出した。


『なんや、ギルドの事かいな………ウチが入ってもええんか?シュンくんと2人きりになれへんようになるで』

フレイさんは、アキラに何か耳打ちしているが、僕には聞こえない。まぁ、女の子同士の会話は聞こえ無い方が良いだろうな。僕の身の安全の為にも………


『きっと大丈夫です。頑張りますから』

フレイさんが何を言ったのか知らない僕には、アキラが何を頑張るか分からないよな。ただ、分かるのはアキラの顔が赤い事と何を頑張るにしても頑張るって事は素敵だと言う事くらいだよな。


『それなら、ウチが断る理由はあらへんな。2人ともヨロシク頼むわ』


フレイさんのギルドの加入が決定した。3人でお互いのスキルを話していく。どうやらフレイさんは《鍛冶職人》だけでなく《細工》の上位スキル《細工職人》も取得しているようだ。


他にも、生産の補助的な役割として《火魔法》を取得しているらしい。火力の調節をする事で生産品に付加価値が付くらしい。知らなかったよな。《風魔法》でも有るかも知れないな。


『じゃあ《鍛冶》《細工》の工房も中級にランクアップしなきゃだね』

後で、フレイさんとアキラが工房に発注に行くらしい。


『それじゃあ、ウチからも1つお願いや。もう仲間なんやから、敬語とさん付け無しにしてくれへんか?敬語ってむず痒いねん。それにウチも自分等と同じ高1やで』

大人っぽいから20歳は越えていると思っていた僕らは、思わず顔を見合わせる。


『ウチ、そんなに老けて見えるか?ショックやわ』

違う、違う、と首を振り。もっと大人っぽく見えていたと伝える。


『まぁ、敬語の件は了解だ。フレイも呼び捨てで呼んでくれよ』

僕らからも念を押しておく事に。


『私も《革職人》以外の生産系が欲しくなってきたよ。2人が持ってない生産系を取ろうかな?』


『じゃあ《裁縫》とかどないや?服系を作れるし、革製品に刺繍できるみたいやで、下級の生産系のメインどころは、シュンが殆んど持っとるからな』

まぁ、確かに、さりげなく取得して工房を拡張しているからな。


『服系は絶体必要だよね。シュン《裁縫》は取らないでね』

困った事になったぞ。早々と僕の小さな野望が潰えそうなんだが………


『いや、ガイアからのギルドメンバー専用の鞄依頼も有って、刺繍がしたいのだが………そうですね。アキラさんに全てお願いします』

アキラのこちらを見る希望の眼差しに耐えれませんでした。


『アキラ、シュンに刺繍を教わったら2人きりになれるで』

フレイがアキラにまた何か囁いた。


『やっぱりシュンも《裁縫》取得して、それで私に刺繍教えて下さい』

フレイは一体何をアキラに吹き込んだんだ?身の翻し方が半端無いのだが………


『すぐには無理だな。さっきも話したがジョブチェンジしたせいでSPが無い。進化させたいスキルも有るし。まぁ、SP貯まったら取得するわ』

落ちたり上がったり今日のアキラは忙しそうだな。


『あっ!!そうだ、フレイも倉庫を自由に使ってくれ。ギルド共通の倉庫と個人用と別々に有るからな。個人用は好きな場所を選んで良いからな』





話し合いを終え、各々で決めた作業に入る。アキラとフレイは工房の拡張に、僕は《木工》の続きを始める。


リツの弓は上下で長さの比率が違う為、重さでバランスを取る事にした。金属も多目に使用したいし、ジュネの杖の様に水晶で金属部分を強調するデザインを考える。


完成したデザイン案は、ベースに木材を使用して反の部分に銀を使った合金を軸に補強する。中心から端にいくほど風をデザインした金属と水晶で形成して、下の部分に重さ調節と風属性付与の為に宝石を2個付ける。握りの部分だけが木製に見える薄い緑のグラデーションの弓になる予定だ。


今回は金属の加工と水晶の《細工》はフレイに任せようかな。僕自身はベースの弓と組み立てを担当するか。


戻ってきたフレイとデザイン案を見せて相談して担当や細かい仕様を話し合った。暫くは試作品にかかりきりになるだろうな。






『こんにちは、試作品を見せて貰いに来ました』

約束通り1週間後、リツが大量の銀鉱石と共にホームにやって来た。


新しくフレイがギルドに入って、試作品の製作に携わっていることを説明して弓を渡す。ただし、試作品では貴重な水晶や宝石は使っておらず、同じ重さの小石を加工して付けている。



『これが試作品だ、金属と木材は質の悪い物を使っている。デザインや形状と持ちやすさの確認をしてくれ』

リツは弓を引いたり、振り回したり?して感触を確かめている。


『そうですね、持ち手の部分をもう少し広くして下さい。それ以外は問題ありません』

良かった。デザイン等は問題無さそうだな。


『では、明日の今ぐらいに取りに来てくれ。価格は時価だ。リツに任せる。この銀鉱石を大量に貰うからな、気持ち程度でOKだぞ』

サンプルで借りた弓を返す。


『明日!?出来るのですか?』

リツは急に不安になったようだ。


『大丈夫だ。銀鉱石の加工は心配していた程難しくなかったから。楽しみにしてくれて良いぞ』

既に、水晶部分の《細工》は終わっている。風属性の宝石の翡翠は、フレイさんが持っていたので買い取らせて貰ったからな。




リツが帰った後で2人で仕上げて行く。アキラは、僕らの隣で、出来上がった鞄の試作品にギルド【ワールド】のマークを刺繍をしている。


ちなみに、工房は拡張されたり新しく設置されているが1つのフロアにまとめられている。まぁ、滅茶苦茶広いんだがな。


『これはヤバイね』

また美しい物を作ってしまったみたいだ。


『最高やな、ほんまにシュンのデザイン通りやわ。付属の方の感じもエエな。ウチにも作ってくれへんか?』

フレイも気に入ってくれた様だな。


『フレイの分は、近接用で強度を増やして作ってある。良かったら使ってくれ』



【フレイムガントレット】攻撃力40/防御力30〈特殊効果:強度上昇・少〉〈製作ボーナス:速度上昇・中/耐火〉



『おぉ!!シュン、ありがと。良く気の効く男はモテるで、めっちゃウチの好みやわ。いつの間に作ったんや?』


『今までのお礼とギルド加入のお祝いかな。作ったのは昨日だ。少し時間有ったから。好みの方は1週間一緒にて、色々と見させて貰ったからな。装備に金属製を使って無い事には気付いたぞ』


『ウチは《鍛冶職人》やけど金属製の装備はカチャカチャ音がして苦手やねん。重いし、《鍛冶》してたら暑いし。ウチは作るのが好きやねん』

フレイらしい理由だな。多少、予想外だったけど。


『耐火を付けてるから多分、暑さも多少はマシになると思うぞ。何か有ったらまた言ってくれ、改良する』




翌日………


『こんにちは、リツです』


『いらっしゃい。これが弓と籠手だ、サンプルで借りた弓とは少し形が違うかな』

依頼の品を手渡す。



【翡翠・弓】攻撃力62〈特殊効果:風属性付与〉〈製作ボーナス:命中+15%〉


【翡翠・籠手】防御力15〈特殊効果:弓の攻撃力+10〉〈製作ボーナス:命中+10%〉


※セットボーナス:飛距離延長




『えっ!?えっ~~~~~!!』

あれ、失敗だったか?出来は気に入っているのだがな。


『何か不味かったか?』

返事が無いな。どうしようかと3人で顔を見合わせる。


『………失礼しました。予想外の見た目と性能で………しかもセットボーナスの有る籠手までって、私は幾ら払えば良いか検討がつきません』


『銀鉱石を大量に貰ってるし、経験値的にも美味しかったから、本当に気持ち程度で良いぞ。それと良かったら、後日のバージョンアップ後に鉱山まで案内して欲しい。ただ余り、ギルドの情報は流さないで欲しいかな。オリジナル品は製作に時間が掛かり過ぎるみたいだ。あと、これはガイアに渡しておいてくれ』

試作品の鞄もリツに手渡す。


『鞄の方の返事は、コールかメールで頼むと伝えて欲しい。し暫くは、3人で店舗用の商品製作してるから。ホームは立ち入り禁止だ』


『分かりました。弓、本当にありがとうございました。報酬は案内の時にお支払いします』

リツは、これから弓のテストに行くらしい。リツには特殊矢を作れる事は秘密にしてある。毎回、頼まれたら、流石に面倒くさいからな。


僕とアキラは冒険者の鞄を量産していく、以前のような事は出来るだけ回避したいからだ。


今度の製作品は、値段も低価格の2,000フォルムに設定している。その代わりに、性能も落としているのだが………


フレイは様々な金属製装備の製作を始めた。初心者用の物はメニューから一括で作れるが、銀塊を使った物は1から創作していくらしい。《細工》も施していくので市販の物とは輝きが違うよか。


僕もフレイの合間をみて銀鉱石の加工法や《細工》の技術も習おうかな。


アキラはガイア達みたいにギルド共通の装備品が欲しいようで、ギルドメンバーの証として黒のリストバンドを縫ってくれた。


【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉※ギルド【noir】の全施設使用許可証/譲渡不可/シリアルナンバー入り



これを作ったのでホームのセキュリティ設定を少し変更している。


ちなみに、シリアルナンバーは僕が0で、アキラが1、フレイが2になっている。


各々が各々にバージョンアップに対する準備をして、バージョンアップ期間が過ぎるのを待っている。


今回は、バージョンアップが行われるのは告知されていたが、内容は事前に情報が公開され無かった。新規のプレイヤーも増えるし、少し嫌な予感もするのな。噂では、イベントとか新しいスキルやジョブの開放とかも上がっているからな。


まぁ、1つだけ正確に分かっているのは、鉱山ダンジョンの追加ぐらいかな。本当に楽しみだな。








装備

武器

【デルタシーク】攻撃力30〈特殊効果:なし〉×2丁

【銃弾Lv2】攻撃力+10〈特殊効果:なし〉

【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉

【銃弾・毒Lv2】攻撃力+10〈特殊効果:毒Lv2〉

【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉

防具

【ゴーグル】防御力3〈特殊効果:命中補正・微〉

【レザーブレスト】防御力15〈特殊効果:なし〉

【冒険者の服】防御力10〈特殊効果:なし〉

【メタルバングル】攻撃力+5/防御力+15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:軽量化〉

【レザーブーツ】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールローブ】防御力15/魔法防御力10〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中/重量軽減〉

アクセサリー

【ウルフダブルホルスター】防御力5〈特殊効果:速度上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉

【左狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉

【右狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



《双銃士》Lv5

《魔銃》Lv4《双銃》Lv3《拳》Lv31《速度強化》Lv48《回避強化》Lv45《風魔法》Lv43《魔力回復補助》Lv48《付与魔法》Lv52《付与銃》Lv22《探索》Lv50※上限


サブ

《調合》Lv14《鍛冶》Lv24《家事》Lv38《革職人》Lv41《木工》Lv21《料理》Lv21《鞄職人》Lv45《細工》Lv16《錬金》Lv16


SP 13


称号

〈もたざる者〉〈トラウマを乗り越えし者リターンズ〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉

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