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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第6章
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サラベール山脈 閑話

『皆、すまない。少し待たせたかな?アキラ達が何を疑問に思って、何を聞きたいかは分かってるつもりなのだけど、僕は何処から話した方が良いのかな?』

あの場にいたアキラ達には、白の《蘇生》スキルとそのあとに使ったカゲロウ印のイオン水の説明だけで事足りると思うけど、あの場に居なかったフレイ、カゲロウ、ケイトには、それだけでは伝わらないだろうからな。


『そやな………ウチらはレイドバトル2連戦に絡んだ大まかな経緯までは、アキラに聞いてるからな。2戦目のドラゴンゾンビの最後からでどないや?』

なるほどな。僕がティータイムの準備をしている間に、ある程度の概要説明は終わってると言うことかな。ちょっとした手間だが、省けて助かったかもな。この点もアキラに感謝だな。


当然、最初から全てを説明する予定でフレイ達を集めているので、説明するのが面倒とか説明する気が端から無いとか言う訳では無いが、省ける事ならそれに越した事はないからな。


『カゲロウとケイトも、それで大丈夫か?』


『私も、特に問題有りませんです。それよりも、この苺のタルトタタン美味しいです』


『俺も同じで問題無いぞ』

2人共、この件については、あまり興味が無いようだな。


まぁ、何が有ったのかを実際に見てないのだから、興味が薄くても仕方ないのかも知れないけどな。それとも、他に興味の有る事でも有るのか?…………と言うか、ケイトに至っては完全に興味がスイーツに移っている気がするよな。まぁ、新作スイーツを気に入ってくれたのなら嬉しいけどな。


それでも、ケイトはともかく、カゲロウはある意味で当事者(ただし、本人に自覚は全くない)だからな。このまま逃亡(スルー)させる気は無い。どうにかしてでも巻き込んで説明に加わって貰う予定だ。まぁ、現時点のカゲロウは全く知らない事なので油断してるのも仕方のない事だけど…………アレについては、誰も予想が出来るはずも無いけどな。


『じゃあ、ドラゴンゾンビ戦に参戦してからだな。まず、ドラゴンゾンビが名前の通りゾンビ系と言う事で、僕達はブレッドからの提案を受けて回復系のアーツや魔法で攻める事にしたんだ。その時には、既に地元のプレイヤー達も同じ様に回復魔法主体になってからな。皆は、そこにいる白の回復能力は皆が知ってるだろう?』

皆が、チラッと飲み食いを続ける白を見てから一斉に頷いたので、僕は話を続ける。


本音を言うとだが、あの出来事に関しては白が主犯なのだから、もう少し協力的でも良いと思うのだがな。


〔『主よ、その事に関しては、全くの誤解なのじゃ。あの一連の出来事の主犯は主自身なのじゃ。それに、ワシらがした事は主に比べると些細な事なのじゃ。どんなに悪くてもワシらは共犯者じゃ』〕


〔『…………白、違う。黒は完全に無関係』〕


〔『白、黒、僕の前で、そんな主張をしても無駄だ。アキラ達から見れば、僕達は四位一体(一蓮托生)だからな。見逃してくれるはずも無いぞ。そして、当然の事だが、そこで我関せずと食べ続けているファミリアの王様もだからな』〕


〔『なぬぬっ!!今回に限っては、完全に我は無関係なのだ。変な言い掛かりは止めて欲しいのだ』〕


〔『……………』〕

今の説明では省いた事だが、マザードラゴン戦での功労者(やらかした者)は完全にシヴァなんだけどな。まぁ、良いか。そう言ってられるのも今の内だと思うしな。話を進めさせて貰おうかな。


『ただ、ここからが重要な話だ。悪目立ちすのは嫌だから、当分の間はオフレコ(秘密)で頼みたいのだけど…………』

知り合ってから長くない期間だが、ここにいる【noir】のメンバーが、何も言わなくても仲間のスキル構成や性能を他人に話さない事を信じられるくらいの付き合いは有るのだが、事が事だけに念を押しておきたい。


僕的には、色々と公開しても良い事柄も数多く有るのだが、アクアやジュネ、ガイア達に止められている。まぁ、βからの先駆者達の意見は無下にしない方が良いと思うんだよな。


僕は、皆が頷くのを確認して続きを話始める。


『白には、回復の他に《吸収》や《結界》のスキルも有る。まぁ、これらは最初から有った訳では無くて、Lvが上がった(成長した)事で追加されたスキルなんだけどな』


『《吸収》《結界》やと…………』

また、皆が一斉に白を見る。今回は白だけでなく黒やシヴァを見る者もいる。まぁ、当の本人達は知らぬ存ぜぬと言った感じで飲み食いを続けているけど、いつまでその態度がもつのか気になるところだな。


どちらにしても、ファミリア達には、ちょっとした教育は必要かも知れないな。


『まぁ、それはひとまず置いといてだな。白に最近追加されたスキルが…………』


『ちょ、ちょっと待ちいやシュン、この流れから言って…………それってまさか?いや、いや、いや、アカンやろ、それは………』


皆が一斉に唾を飲み込んだのが分かる。それに、少しだけ空気も変わったか?


『多分、フレイの………いや、皆の想像通り《蘇生》だ』


『『『『『『『……………』』』』』』』

この固まる感じ(現実逃避)も久しぶりだよな。まぁ、声を出して驚かなかったところだけは、進化してるのかも知れないけどな。


このまま続けて一気に話を進めたいところだが、この調子なら暫くは無理かな。今の内に紅茶でも淹れ直してくるかな。


『白、黒、シヴァ、紅茶のおかわりいるよな?』


『勿論、欲しいのじゃ。他のお茶菓子も有ると更に嬉しいのじゃ』

他の2匹も同じ様だな。スイーツを食べる手を止める気配は無いけどな。いったいその身体の何処にそんな容量が有るんだ?


『了解だ。少し待ってて』






『シュン、お待たせや。本当に待たせて悪かったな。ようやく皆の思考が追い付いたみたいやわ。話を続けてくれるか?』

あれから5分か、思ったよりも早かったかも知れないな。


《蘇生》を使った現場に居た組は1分程度で戻って来たのだが、現場に居なかった組は、1番早く戻って来たフレイで3分弱。1番戻って来るのが遅かったカゲロウで、現実逃避を終えるのに5分掛かっている。まぁ、《調合》系の職人達が我先にと目指していた事を、真っ先にスキルで達成されたら、仕方の無い事かも知れないけどな。しかも、それがプレイヤーじゃないファミリアのスキルなら、尚更だよな。


『了解。そこからは皆も既に分かったと思うけど、ドラゴンゾンビ相手に特攻して《蘇生》を使ったんだよ。白が言うには《蘇生》スキルは使用条件が厳しくて、滅多に使えないみたいだけど。まぁ、試し撃ちの相手となったドラゴンゾンビも、流石はレイドボスってところで《蘇生》1発では倒しきれなかったんだけどな』


『シュン、そこだよ。そこ!!もしかしたら、シュンがドラゴンゾンビ戦で《蘇生》スキルを使ったのかも知れないなとは私達も思ってたんだ。事前の打ち合わせで、他のゲームでは、そう言う事も出来る話も出てからね。でも、初めは本当に信じられなかったけどね。それでも、私達は現場で一部始終見てたし、シュンにも少なからずの自信が有ったみたいだから…………でも、そのあとの出来事は一体何だったの?』


『ちょ、ちょっと待ちいや、そのあとって何の事や?今の話のオチは、シュンがOOO初の《蘇生》スキルを使ったところで終わりとちゃうんか?』


『いや、フレイ、ちょっと待って、決してアレはオチでは無…………』


『うん。この話しには、まだ続きが有るんだよ。シュンも言ってた事だけど、《蘇生》スキルだけではドラゴンゾンビを倒せなかったんだよ。そのあとにシュンが…………』

うわっ、軽く流されたし…………


『何かをしでかしたんやな?シュンの話を聞いてて、てっきり《蘇生》スキルを連発して終わったもんやと思ってたんやけど…………シュン、一体何をしたんや?このフレイ姉さんに包み隠さず全部話しや』

同じ年齢なんだから、姉さんは変だとは思うのだが…………何故かフレイには似合うよな。


フレイの一言で、アキラとフレイの2人に集まっていた視線が、やっと一斉に僕の方に向く。


『まぁ、最初から皆に隠す気は無いから、全部を話すつもりなんだけどな。あっ!!その前に白の《蘇生》スキルについてなんだけど、消費の関係で連発は出来ない。使えば僕の方が瀕死(ピンチ)になるからな。じゃあ、話を戻すけど、僕が使ったアイテムはコレだ』


僕は、鞄からカゲロウ印のイオン水を人数分を取り出して1人1人に渡していく。フレイと製作者のカゲロウは、僕が鞄から取り出した瞬間に、そのアイテムがカゲロウ印のイオン水だと気付いた様子だが、ひたすら沈黙を貫いている。


他の皆に気を使っているのか?それとも…………取り出した理由が分からないから、僕からの説明を待っているのか?あるいは、その両方かな?


『今、皆に渡したアイテムは、カゲロウ印のイオン水と言ってカゲロウが《調合》で製作したアイテムだ。これの効果は…………僕じゃなくて、製作者のカゲロウに説明して貰った方が良いかな?』

僕の予定していた流れよりもカゲロウの登場が若干早いのだが、確実にカゲロウを流れに巻き込めそうだから結果オーライだよな。


『…………それは、俺が作った物だから、ギルマスの鞄から出た瞬間に分かってはいた。だが、これの効果って言われても、コイツはちょっと変わっただけのアルカリ性のイオン水で、特別な作り方もしてない物だぞ。強いて言うなら…………準備段階で自作したポーションを煮沸消毒したくらいか?』


『そやで。カゲロウ印のイオン水は、ウチが《鍛冶》用に作って貰った《鍛冶》用のサポートアイテムのはずや。勿論、《鍛冶》用に使った時の出来は保証するで、焼き入れの出来が目に見て違うからな』

まぁ、製作者と依頼者が言うのなら、それもまた真実なんだろうけどな。


実際に僕も《鍛冶》で使った事も有るからなから。見た目の出来栄えだけでなく、強度の面でも1段階上になるので、今となっては《鍛冶》をする時には手放せないアイテムとなっているのは確かな話だ。


『まぁ、普通はそうだよな。でも、製作者とそれを実際に使用した事の有る者なら、このアイテムの属性は知ってるよな?』


『ただの光属性だぞ』


『おいおい、これをただの光属性と言うか?生産系の職人…………特に《鍛冶》や《裁縫》《木工》系の職人目線で言わせて貰えば、ただの光属性には極大の上昇効果は付かないと思うけどな』


『えっ!?シュン、これって光属性・極大の効果付きなの?』

アキラの言葉に無言で頷き返事をすると、皆がもう一度しっかりとカゲロウ印のイオン水の効果を自分の目で確認している。既に、カゲロウだけでなく、最初は興味が無かったケイトも興味津々と言った感じだな。


まぁ、基本的に職人しかいない僕達のギルドで、その効果の価値を知らない者はいない。まぁ、《調合》メインのカゲロウは除くのだが。


OOOの世界に存在する製作物単体(・・)の効果で極大の上昇効果を得ている物は数少ない。【noir】のメンバーが作った装備でも、そのほとんどがセットボーナスやシリーズボーナスを利用して極大の効果を得ているからな。


『カゲロウはともかく、フレイは気付いてたんだろう?』


『ウチか?勿論、効果の事は知ってたんやけどな…………これは、単なる消費アイテムの事やから、あまり気にしてなかったのが本音や。普通なら消費アイテムの効果とと装備品の効果って別口やんか』

まぁ、そうなんだろうな。普通なら消費アイテムの簡易効果と装備品の永続効果では価値が全く違うからな。他のゲームには詳しくない僕だが、他のゲームにも詳しい者達がウンウンと頷いているのを見るとな。そう言う物なんだろうな…………とは理解出来るよな。


『それで、シュン。これを使ったらどないなったんや?』

ここから先を聞くと、もっと驚くんだろうな。実際に見ていない3人は、特に…………


『まぁ、結論だけ言えば《蘇生》スキルに耐えて残っていた部分の骨が消失した。《蘇生》スキルと違って目で確認出来た分、インパクトが段違いだったけどな。あの時、一連の出来事を動画で撮影しておいたら、もっと分かりやすく説明出来て良かったんだけど、残念ながら撮ってない…………って、フレイ!?聞いてるのか?』


『……………』

返事は無い。再び現実逃避の様だな。


『シュン、実際に見てた私とヒナタも改めて驚いてるからね。見てないフレイ達は、すぐには戻って来ないと思うよ。それに、ほら!!サラとブレッドも、まだ【noir】って言うか、シュンの行動に慣れてないからかフリーズしてるしね』

【noir】に慣れてないと言うのは分かるが、僕の行動に慣れてないと言うのは、どうかと思うぞ。それに、運に関してはアキラの強運の方がどうかしてると思う。改めて口に出して言う勇気は無いけどな。


〔『…………日頃の行いの差』〕

黒よ、そんな簡単に身も蓋もない事は言わないで欲しいんだがな。まぁ、僕自身にも自覚は有るから否定はしないけど、最近僕に対して少し厳しくないかな。


『でも、シュンさん、これで書類配達のクエストは残り1ヵ所ですよね?』


『そうだな。あと1ヵ所、やっと終わりが見えてきたよ』


『ですよね。そこで、ちょっと相談が有るんですが、最後の1ヵ所は私達に任せて貰えませんか?』

うん!?別に最後の1ヵ所をヒナタ達に任せるくらいは問題無いし、クエスト自体は僕個人ではなく、【noir】が受け持っているからな。それに、以前から考えている進めたい計画を実行する時間が出来るので、出来る事ならお願いしたいところだけど………


『あっ!!え~っとですね。私達もたまには【noir】の役に立ちたいんです。それと、こっちが本音と言いますか…………サラちゃんとも話してたんですけど、私達も船での冒険がしてみたいんです』

なるほどな。そう言う事か…………確かに、ライトニングの完成後は僕が使い続けてたし、エクスライトに改良してからも僕しか使ってなかったからな。たまに気分転換するのも良いだろうな。だが…………


『分かった。ちょっと僕もやりたい事が有るからな。最後の1ヵ所はヒナタ達に任せるよ。一緒に連れていく人選を含めてね。それと、場所の方も街で確認して分かっているから、エクスライトも明日中に【サラベール】近郊の港に運んでおくから、明後日ゲートから転送してくれ。ただ1つだけ言わせて貰うと、ヒナタ達は今でも十分に【noir】には欠かせない人物なんだからな。そこは、絶対に間違えないでくれよ』

この部分だけは、絶対に否定しておかないとな。


『はい。ありがとうございます』


『じゃあ、ヒナタはしばらくの間は船旅なんだね。私は今日手に入ったれた素材で生産かな。丁度、部活が忙しくなるから合間をみながらになるけどね。レイドバトルでも色々手に入ったし、依頼もされたから頑張るね。ヒナタも完成を楽しみにしててね。そう言えば、動揺し過ぎて忘れてたけど、皆はレイドバトルで、どんな素材が手に入ったの?』

そう言われてみると、僕もバタバタして(紅茶を楽しんで)いてドロップと戦利品の確認はしてなかったよな。かなりの量が有るとは思っているけど…………


『うげっ!?』

これは、手を付けたくなくなるな。


〔『我が本気を出せば、これくらいは朝飯前なのだ』〕


〔『やっぱり、これは本当の事なんだな。出来れば妄想か夢であって欲しかったけど…………』〕

そうも言っていられないらしいいな。


『シュンさん、どうかしましたか?』


『あぁ、ちょっと気を失いそうだったな。もし良かったら共通倉庫を見てくれると、何が言いたいか伝わると思うんだけど』

百聞は一見に如かずって言う諺も有るからな。これは、見て貰った方が早いだろうな。


『凄く珍しい物でも有りますか?確かに、私の獲得した素材よりは、レア度も高いし数も多いとも思いますけど………』


『だよね~。シュンが改めて驚くほど珍しい物は無いと思うけど、あれだけ大暴れしたんだから、色とりどりのベビードラゴンのレア素材が有るのも…………えっ!?』


『アキラ、どうかしましたか?』


『うん。シュン、倉庫の中身が問題じゃなくて、もしかして問題なのは倉庫の表記の方なのかな?』


『表記ですか…………えっ!?MAX?えっ!?え~~~!!』

やっぱり、この結果には驚くよな。


僕が作った鞄は、戦利品や素材を回収したら倉庫に直接収納される倉庫直通の特殊効果が付いている。ある程度は、個人的な設定でアイテムを個人倉庫と共通倉庫で仕分ける事が出来る様にもしてあるのだが、この場合は全て共通倉庫に送る仕様にしてあるのが裏目に出たよな。まぁ、正確に言うなら、全部は送れて無いのだけど………


『うん。僕の鞄の方に獲得した素材や戦利品の少なくない量がオーバーフローしてる』


『オーバー………フロー………。いやいやいや、共通倉庫の容量は確か6桁まで、正確には999,999個まで保管出来る様に増築してましたよね、それが、いっぱいになるって…………』

本当そうだよな。僕も、まさかこの倉庫がいっぱいになるとは思ってなかったからな。


『まぁ、今回の戦利品だけで、いっぱいになった訳ではないけどな。共通倉庫は皆の製作したアイテムも保管しているし、普段から低Lvの初心者相手には、相場よりもお得な価格で素材の買い取りしてるだろう。アレが大きいんだと思う』

実際に、ほとんど価値の無い素材でも有る程度の価格で買い取る事の効果は大きく、初心者を卒業(成長)してからもクエスト等で依頼された素材以外の余った物を【by buy】で卸してくれるプレイヤーは多い。


まぁ、カゲロウの作る消耗品やフレイの武器を買うついでに売っていくってのも有るんだけとな。そして、ある意味で、OOOの中では最も価値の有るブランドの1つとして僕の鞄が有る。定期的に、そこそこの数を作って店に置いて有るのだが、次に確認した時には、ほぼ完売しているからな。新製品は特に売れ方が怪しい…………


〔『主よ、目の前の事実から目を背けてはダメなのじゃ。それらは大した理由では無いのじゃ』〕


〔『…………右に同じ』〕


〔『くっ!!それは、分かっているんだけど』〕

でも、実際のところは、白達の言う通りで《機械製作》で作った材料等が〈工匠〉の効果で大量生産時に、ほぼ倍に増殖しているのが最も大きな1つの要因だ。見た目が小さい分、実際に倉庫を見た時に空きが有る様に感じていたが、気付かない内に数と言う面からみると圧迫してたんだな。


『近い内に倉庫の中身を使う予定も有るし、暇をみて倉庫の改築もしておくよ』

まぁ、共通倉庫の大部分を占めているのは、その為に用意していた材料だからな。そろそろ使ってやらないとダメだろう。


『じゃあ、シュンもホームで生産がメインになるの?』


『ヒナタが書類配達を引き継いでくれるなら、そうなるかな。でも、サラベール山脈の中腹辺りでも魅力的な素材が有ったから、本格的な生産作業に入る前に一度サラベール山脈を頂上まで登る予定だけどな』

皆には内緒だが、本音を言うとエクスライトの限界高度よりも上の世界がどうなっているかが気になるだけなんだけど。まぁ、何処まで行けるかどうかは分からないけどな。


『1人で?私達も手伝おうか?』


『う~ん、そうだな。あの辺りは特に気を付けないといけない魔物もいなさそうだから、取り敢えずは1人で頑張ってみるよ。アキラは、皆の為にも生産と部活を頑張って!!あとは、いつも通り皆をまとめてくれると助かるかな』


『了解。毎日はログイン出来ないけど、人手が必要なら呼んでね』

ある程度話も纏まったからな。そろそろ、フレイ達も戻って来てくれると助かるんだがな。


『なぁ、ギルマス、1つ聞いても良いか?』

おっ!!カゲロウが1番か、なかなか良いタイミングで戻ってきたな。


『何でも良いぞ。分かるかどうかは分からないけどな』


『この倉庫の中に有るレシピ集・初級って何だ?』


『えっ!?そっち?聞きたい事って、カゲロウ印のイオン水の事ではないんだな…………って言うか、レシピ集・初級って何?』


『いや、それは、俺が聞いてるんだが…………取り敢えず、カゲロウ印のイオン水の事は置いておいてくれると助かる。色々と検証する必要が有るみたいだから。ギルマスが知らないなら………』


『でも、シュン、そのレシピ集・初級って、さっきは名前的に気付かなかったけど倉庫の並び的にはレイドバトルの報酬っぽいよ。見た感じとしてはマザードラゴンの討伐報酬ってところかな?』

今回のレイド報酬のほとんどがベビードラゴン(赤)の爪やドラゴンゾンビの骨と言った名前なので、名前にドラゴンと付かないレシピ集を、職人の僕達が見落としても仕方ないかも知れないな。


『あっ!!僕の鞄の中にもレシピ集・中級って言うのが有るな。こっちは順番的にドラゴンゾンビの討伐報酬かな?』


『そこで、悩んでても仕方ないやろ。結果的に中を見てみる方が早いで、この場合は』

何処から聞いてたかは分からないが、フレイ達も戻って来た様だな。


『まぁ、そうだよな…………サラ《執筆》取得してたよね。初級の方をお願いしても良いかな?僕は中級の方を開いて見てみるから』


『は、はい。分かりました…………これは、読めない部分も多く有りますが、《木工》と《調合》、それに《執筆》の簡単なレシピみたいですね。大体は皆さんに教えて貰った内容や技術と変わりませんよ。中級の方はどうですか?』

《木工》と《調合》と《執筆》?変な組み合わせだよな。内容が簡単なのは、レシピ集の種類が初級と言う事で納得出来るんだがな。


記載されている項目が謎だよな。《木工》と《調合》は複合スキル《合成》系で分からなくもないが、そこに《執筆》が加わると…………さっぱりだな。加工や製作に必要な素材関係か?


僕の方(中級)は、読めないところの方が少ないかな。大部分は読めるな。ほとんど生産スキルで使えるレシピや加工方が乗ってる。見た目は薄いけど、内容はかなり濃いみたいだな。おっ!!新種の金属の精製方法も載ってるみたいだな。ほら、フレイ見てみろよ』

僕がレシピ集の《鍛冶》のページを開いてフレイに渡すと、フレイは一瞬で目の色を変えてレシピ集に釘付けになり、パラパラとページを捲りだす。


『フレイ?』


『シュン、ちょっ待ち!!』

これは、ダメだな。完全にディープな職人(自分)の世界に入ってる。


『なるほど、なるほど。まだ、ちょっとしか読めてないけど価値の付けられない代物やわ。ウチの盲点がいっぱいやったわ』


『例えば?どんなのが有るの?』

内容に興味津々と言った感じで、僕の聞きたい事を代わりにアキラが聞いてくれる。まぁ、周りを見る限り、それを聞きたかったのは僕とアキラだけでは無さそうだけどな。


『そやな…………ウチは、今まで金属が硬くなるほど火の温度を上げれるだけ上げてたんやけど、中には低い方が効率の良いのも有るみたいやわ…………って言うか、シュン、これには《鍛冶》と《錬金》と《細工》しか載ってへんやん。どう見ても半分以上が白紙やで』


『えっ!?』

どう言う事だ?フレイが僕に白紙だと見せているページには、《裁縫》のレシピが載っている様に見える。いや、はっきりと見えている。


『主よ、どうやらこのレシピ集と言うものは、読み手を選ぶ類いの物なのじゃ』


『読み手を選ぶ?』


『シュン、私にはフレイが白紙と言って見せてるページに《裁縫》のレシピが見えるんだけど、気のせいかな?』

やっぱり、僕だけでは無かったみたいだな。と言う事は…………


『あぁ、なるほど、そう言う事か。読み手を選ぶって言うのは、所持してるスキル………多分だがLvにも依存してるってところかな』


『…………その通り』

やはりか、黒も分かっていたなら教えて欲しかったんだけど。でも、そうなるとレシピ集は生産系の職人専用アイテムって事だよな。生産系のスキルを取得してないと見えない訳だからな。


簡単に言うなら【アーツの書】や【スキルの書】系のアイテム職人バージョン。しかも、見る用のアイテムなので使っても無くならない永久仕様か、かなりお得だな。それに、初級や中級の種類訳が有るなら、上級やその上のレシピ集も有るかも知れないな。是非とも手に入れたいところだが…………まぁ、中級でレイドバトルの報酬なら、それ以上の種類となると、何をしたら貰えるのか考えるのも嫌なのだけどな。


『じゃあ、この2冊のレシピ集は、誰でも見れる様にリビングに置いておくから、自由に使ってよ。ギルド以外でも見たい知り合いの職人がいるなら見せても良からな』

基本的に【noir】のリビングは、1度でも入った事が有るプレイヤーは、自由に出入り出来る仕様だから、こう言う時は便利だよな。まぁ、逆に言うと1度目は、必ずギルドメンバー誰かしらの許可がいるって事だけどな。


『おい、シュン!!いくらなんでもこんな貴重品を誰もいないかも知れへんリビングに放置してギルドメンバー以外にも解放するとか、ウチは有りえへんと思うで』


『まぁ、そう言う考え方も有ると思うけど、レシピ集の中身は自分のスキルLvによって見る事の出来る範囲が変わるから、本当に自分の力で努力してるプレイヤー以外には使えないと思うからな。そう言うプレイヤーは、皆も好きだろ?それに、一応ホームからの持ち出し禁止とイタズラ防止にしておくから大丈夫じゃないかな』

生産系の職人以外が情報だけを持ち出すのは不可能だ。どんなに頑張って見ようとしても白紙にしか見えないからな。普通の戦闘系のプレイヤーには無用の産物だ。


『確かに、冷静に考えるとそれもそうやな。【noir】(ここ)に入れるプレイヤーなら、その点は大丈夫やろな。それに、ウチも頑張ってる職人は好きやからな』

実際には、他の職人にもレシピ集を解放したら、どんな凄いアイテムや変わったアイテムが産まれてくるのかを考えると、ワクワクが止められないし、僕以外に目立つ人物が現れるのは大歓迎なだけなんだけどな。まぁ、皆には絶対に秘密だがな。


〔『…………ぶれない』〕







装備

武器

【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉

【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉

【空気銃】攻撃力0〈特殊効果:風属性・バースト噴射〉×2丁

【火縄銃・短銃】攻撃力400〈特殊効果:なし〉

【アルファガン】攻撃力=魔力〈特殊効果:光属性/レイザー〉

【虹鯨(魔双銃剣ver.)】攻撃力500〈特殊効果:7属性〉

【白竜Lv90】攻撃力0/回復力280〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv88】攻撃力0/回復力268〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



天狐族Lv79

《錬想銃士》Lv22

《真魔銃》Lv23《操銃》Lv43《短剣技》Lv44《拳技》Lv10《緩急》Lv9《魔力支援》Lv10《付与術改》Lv30《付与練銃》Lv31《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv50《家守護神》Lv66


サブ

《調合工匠》Lv33《上級鍛冶工匠》Lv8《上級革工匠》Lv7《木工工匠》Lv42《上級鞄工匠》Lv10《細工工匠》Lv46《錬金工匠》Lv45《銃工匠》Lv36《裁縫工匠》Lv16《機械工匠》Lv24《調理師》Lv27《造船工匠》Lv2《合成》Lv53《楽器製作》Lv5《バイリンガル》Lv15


SP 38


称号

〈もたざる者〉〈トラウマニア〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈摂理への反逆者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉〈工匠〉〈呪われし者〉〈主演男優賞?〉〈食物連鎖の最下層〉〈パラサイト・キャリアー〉

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