EXライトニング
確かに、シヴァの|《幸運》《ラッキー》を使えば、ヘビーウッド(ライト)の採取は楽になるんだろうけど…………24時間で1分間しか使えないから、そんなに多くは倒せないだろうな。
1分間で倒せるとしたら、発見する時間を含めると、2~3匹が限界か?
〔『…………上手く《結界》使う』〕
『あっ!!そうだ。そうだった。白と黒は、いつ《結界》のスキルなんか覚えたんだ?』
あの時は、バタバタしていたからな。完全に存在を忘れていたな。
〔『Lv60に上がった時じゃ。ワシらが覚えたのは、同じ《結界》スキルなのじゃが、扱えるアーツは別じゃ。ワシが扱えるのは〈部分結界〉のアーツじゃ』〕
〔『…………黒は〈簡易結界〉』〕
同じ《結界》でも違いが有るのか?
白と黒が言うには、〈部分結界〉は見えない盾の様なもので、物理攻撃を1回だけ完全に防ぐ事は出来るらしい。マジックシールド系魔法の物理攻撃バージョンってところだな。〈簡易結界〉の方は時間制限付きだが、指定した範囲への侵入を防ぐ事が出来るらしい。どちらも一長一短ってところかな。
ちなみに、【noir】のホームに有る露天風呂に使った【アーツの書・結界】は、〈完全結界〉と言うアーツだった様で、1度発動すれば解除しない限り範囲内は無敵状態になる。まぁ、《合成》した事で多少マイナス方面に性能も変化をしたみたいなんだけど。
今思うと、かなり勿体無い事をしたのかも知れないよな。
それは、置いておくとして…………白が《探索》《吸収》《結界》、黒が《探索》《相殺》《結界》を使えると言う事になるんだよな。お互いに《探索》と《結界》は被っているが、かなり便利なんじゃないのか?【白竜】自体には、HPだけでなく軽い状態異常の治療効果も有るからな。
〔『主よ、まだまだ甘いのじゃ。ワシと黒は、今の狩りでLvが80に上がっておのじゃ』〕
『そうだな。目標の《聖獣》だったか?までは、もう少しだな』
今の白と黒からは、大人の姿を全く想像出来ないが、なんと言っても竜だからな。ファンタジーの世界で竜と言えば最強種の一角、多分相当格好良いんだろうな。
〔『主よ、ワシらが言いたい事は、全く違うのじゃ』〕
〔『…………黒は《魔力吸収》』〕
〔『えっ!?黒、ついに《魔力吸収》を覚えたのか?』〕
黒がコクリと頷く。
魔法を使ってくる魔物を上手く相手にする為に、欲しかったスキルなんだよな。白が《吸収》を覚えたので、期待はしていたのたが、その時に覚えたのは《相殺》だったからな。内心、覚えない物だと思っていたよな。
勿論、《相殺》スキルが使えないスキルでは無く、攻撃魔法を同等の魔力で消し去る事の出来るので使い勝手は、かなり良い。
一方《魔力吸収》は、僕の想像していた通りのスキルで、相手のMPを吸収して僕自身に還元してくれるスキルらしい。ちなみに、吸収したMPを蓄えておく事も可能で、その蓄えた魔力を仲間の回復に利用する事も出来る。
僕自身には、竜の力が有るので普段は必要としないが、ピンチの時には必要になるスキルだろうな…………それにしても、習得までに時間が掛かったな。その分、強力なんだろうけど。
〔『ワシは《蘇生》じゃ』〕
『はぁぁぁぁぁ!?』
僕の聞き間違いだよな。今、白は《蘇生》と言わなかったか?
〔『主よ、落ち着くのじゃ。外に声が漏れておるのじゃ。ワシが覚えたのは《蘇生》じゃ。死んで間もない者ならば、蘇らせる事が出来る様になったのじゃ』〕
うん。僕の聞き間違いでは無かった様だな。
死んで間もないと言うのは、死に戻りで発生するタイムラグの事だ。魔物に殺されたり、トラップで死んでも、すぐに神殿に飛ばされる訳ではなく、神殿で復活するまでに若干の時差が発生している。その間約1分。この事は、検証好きのプレイヤー達が何回も死に戻りをして調べたらしいからな。これに関しては、本当にお疲れ様でしたと言いたいものだ。
僕自身、死に戻りは経験者だが、目の前で死んだプレイヤーをじっくりと監察した事は無い。それなので正確には分からないが、多分意識が無いだけで、死んだ場所に魂みたいな物が、暫くの間待機しているんだろうな。見える、見えないは別にしてだが…………個人的に言わせて貰うなら見えないで欲しいけどな。
OOOでは、現時点で生き返らせる薬も魔法も発見されていない。生き返らせる為の蘇生薬等のアイテム開発は、MP回復薬と同様に《調合》系の職人達の悲願の1つだ。生き返らせる為の魔法は《回復士》系のプレイヤー達の目標でも有るからな。
僕は、【白竜】を通してだが、その境地に立った初めてのプレイヤーになるんだよな。ちょっとだけ誇らしいが…………使えば目立つよな。
少し《蘇生》を試してみたい気もするが、その為に誰かに死んで貰ったり、殺すのは問題外だからな。
〔『主よ、目的を忘れておるのじゃ』〕
〔『そうだったな。このままサボリ気味だと、カゲロウに怒られそうだからな』〕
白達と話している間も、魔物の回復や牽制は忘れてはいないので、厳密に言うとサボリとは違うのだが、反応は確実に遅れている。多分、カゲロウにも《心話》で何かしらの話をしているのはバレているのだろう。
さて、問題は、どうやったら効率良く【虹鯨】を使えるのかだな。
〔『主よ、それならば、《結界》で魔物を閉じ込めて纏めて倒すのじゃ』〕
なるほど…………それで《結界》だったんだな。《結界》と聞くと守る事ばかりが先行していたので、中に閉じ込めると言う発想は全く無かったよな。
確かに、魔物を集めて閉じ込めて纏めて倒すのならば、1分有れば十分にお釣りがくるか。そうと決まれば実践有るのみだ。
ちなみに、多くのヘビーツリーを集める理由は、いくら《付与術》で〈攻撃力激減〉を使っても、【虹鯨】の攻撃力だとクリティカルに頼らなくても1撃で倒せてしまうので、ループ採掘が使えないからだ。
こう言う場合の為に、手加減する為のスキルを探しておいた方が良いのかもな。普通なら絶対にゴミスキル扱いなんだろうけど…………
『カゲロウ、計画変更だ。シヴァを試してみる』
『???良く分からないが了解だ。それで、俺は何をすれば良いんだ?』
そうだな。この場合、カゲロウの出番は無いよな。いや、待てよ………
『まずは、全員でヘビーツリーを探して黒の《結界》で閉じ込める。カゲロウは白とペアを組んでくれ。集めたあとの事は、僕に任せてくれ』
魔物を探して集めるのは、手分けした方が効率が良いからな。
『???何を考えているか分からないが、了解だ』
この場合は、説明するよりも実践して見せた方が早そうだからな。
《探索》スキルの恩恵も有り20分程で、30匹のヘビーツリーを見付けて、黒が作った〈簡易結界〉に閉じ込めている。当然、ヘビーツリー捜索中には他の魔物も出現したが、邪魔にならない様に各自で処理させて貰っている。サーバータウンに近い場所なので経験値的には微妙だったんだけどな。
『カゲロウ、僕が〈簡易結界〉の中に入って魔物を狩り始めたら鞄の中身を確認指定したおいてくれ。それと、中に入って30秒経ったら10秒毎に教えてくれ』
制限時間が有るから、残り時間は常に把握しておいた方が良いよな。
『ギルマス、本当に何をするんだ?』
『多分、鞄を見てたら分かる。まぁ、僕も実行するのは初めてだから、正直なところ上手くいくか分からないがな』
〔『我の力を信じるのだ』〕
全く信じて無い訳ではないが、能力が凄過ぎるからな。信憑性が薄いんだよな。
『行くぞ!!』
黒に〈簡易結界〉への侵入許可を出して貰い、両手に【虹鯨】を持ち中に入る。
入ると同時に近くにいるヘビーウッドから射撃していくのだが、明らかに短銃の威力ではない。〈簡易結界〉の外にいる、カゲロウの驚く声が聞こえてもくるからな。まぁ、カゲロウの場合は鞄の中身に対してかも知れないけどな。
【虹鯨】の射撃は、1撃で1匹を確実に仕留めていく。これなら〈攻撃力増大〉は、全く必要無かったよな。それくらいの威力だ。【虹鯨】は使える機会が限られているからか。今の内に、ちょっとしたテストも兼ねておくか…………
『喰らえ〈リング・イン〉。これは、オマケだ〈奥義セブンスター〉…………うわっ!?』
大量の魔物を巻き込んだ〈リング・イン〉も強力なアーツなのだが、〈奥義セブンスター〉と【虹鯨】の相性が良過ぎたな。
通常の〈奥義セブンスター〉は1体の魔物を7つの弾丸が狙うアーツなのだが、【虹鯨】で放つ〈奥義セブンスター〉は、放たれた7発の弾が7色の属性を纏って別々の7体の魔物を葬っていた。まるで、放たれた弾丸に意思でも有るかの様に…………こうなると、名前は同じでも全く別ランクのアーツって感じがするな。
『なぁ、ギルマス、俺にカウントダウンを頼む必要は本当に有ったのか?』
カゲロウの言う通りで、カウントダウンは必要無かった。〈簡易結界〉に入って20秒後に放った2つのアーツで、残っていたヘビーツリーは瞬殺された。つまり、30秒も必要無かったと言う事だ。
『必要無かったかも…………な。カゲロウ、鞄の中身は?』
『あっ!!そうだった…………』
確認するのを忘れてたな。と言う事は、さっきの驚く声は【虹鯨】の攻撃力に対してだったみたいだな。
『シヴァ、お疲れ様』
『うむ。威力が微妙だが、役に立てて何よりなのだ』
オーバーキルだったのに、まだ威力を求めるんだな。
『えっと、ヘビーウッド(ライト)が8本…………』
あれ!?たったの8本?まぁ、全然集まらなかったレア素材に対して、たったの8本と言うのは変なのだが、シヴァの話では確実に貴重なアイテムを落とさせるスキルだったはずだ。それが8本は少ないんじゃないのかとも思う
『…………それと木核が22個だ』
『その木核って言うのは?』
『これは、ヘビーツリーの本当のレア素材みたいだな。どうやら、俺とヒナタがレア素材だと思っていたヘビーウッド(ライト)の方は、通常のドロップ素材の変異種だったみたいだぞ』
通常のドロップの変異種?分類的には通常のドロップなのに、あんなに落とさなかったのか?その時点で十分にレアな部類だと思うけど………と言う事は、他にもレア素材だと思っていた物の中にも変異種が混ざっているのかも知れないな。まぁ、どっちにしても、改めて検証する気は無いのだけど。
『木核は木材の芯材、または核材と言ったら良いのか?木材自体の強度を増す素材らしいぞ。これなら、ヘビーウッド(ライト)と合わせることで、よりマストに向いてるかも知れない』
『そうなのか?』
『あぁ、一応ヒナタに確認してみないと分からないけど、これなら大丈夫だと思う…………それでだが、ギルマスは何をしたんだ?』
目的の素材よりも良い物を回収出来たんだから、良かったんだよな。
『この【虹鯨】は、ホームでも話したけどシヴァの《魔武器化》した状態なんだけど、白達と同じ様にスキルを持っているんだよな。その1つに《幸運》と言うのが有ってだな…………』
『《幸運》か…………なるほど、それで、レア素材ばかりドロップしたのか………何となく能力は分かったぞ』
カゲロウは、身に付けている【銀狼の誓い】を見ながら答えた。多分、自分のファミリアのスキルにも期待しているんだろうな。銀狼石が、どんな成長をして、どんなスキルを覚えるかまでは分からないが、期待する気持ちは分かるからな。1つ言えるのは、姿が格好良いのだけは保証するぞ。
まぁ、《幸運》の能力の方は、今のドロップ結果とスキルの名前、事前に有った僕の自信から想像したら難しくないかさ。
〔『シヴァ、ありがとな。かなり助かった』〕
〔『うむ。これからも、我に任せておけば間違い無いのだ』〕
まだまだ、白達の足下には及ばないが、少しは信頼が上がったよな。
ホームを経由して、さらに【蒼の洞窟】へと転送して行く。ホームに着いた時に、《鍜冶》の音が聞こえていたのでフレイも頑張っているだろうな。何を頼まれたのか分からないが、あの軽快な金槌の音なら大丈夫だろうな。
『ヒナタ、採ってきたぞ』
『えっ!?思ったよりも、早かったです………ね。そんなに、簡単でしたか?』
その顔を見ると、ヒナタも狙った時は、なかなかドロップしなかったんだろうな。
『まぁ、色々な協力が有ったからな。あと、カゲロウから伝言だが、今日の残りはケイトの手伝いをすると伝えてくれって。それと、素材なんだが鞄の共有部分に入れて有るから、あとで確認してくれ。頼まれてたヘビーウッド(ライト)も数は足りるし、それ以外にも木核と言う素材も有るから試してみて。じゃあ、僕はライトニングの周りに足場を組み立てに行ってくる』
ケイトとブレッドが、2人きりなのが気になるんだろうな。思えば、【ペンタグラス】に着いた頃から、そわそわしてたからな。相手は小学生だから気にしなくても良いと思うけど…………あれ!?カゲロウはブレッドが小学生って知ってるのか?今度確認してみるかな。
『…………はい。素材は確認出来ました。ありがとうございます。足場も、お願いしますね』
『おう。了解だ。それと、ヒナタの【水妖の雫】の成長は、どんな感じだ?ケイトとヒナタの分は、そろそろ産まれても良い頃だと思うんだが』
さっき、カゲロウが【銀狼の誓い】を見てたから思い出したけど、白達の成長から推測するなら、ファミリアが産まれてもおかしくないはずだ。
『ずっと身に付けていますが、私では成長度合いが分かりませんから………』
それもそうだよな。僕は《見ない感じ》でヒナタの耳に集中する。
『…………Lv13。今の感じなら、あと5日ぐらいかな』
『ありがとうございます。あと5日ですか………産まれたら見せに行きますね』
ヒナタの方は、順調の様だな。ケイトの方は武器だから、成長は少し遅いのかもな。あとで確認しておくか。今は足場作りが先だからな。
『主よ、これはもう《木工》の範囲では無いのじゃ』
『まぁ、やってる事は、大工と変わらないからな』
【ペンタグラス】から戻って3日、カゲロウと2人での足場作りが続いている。ライトニングの大きさが大きさなので、僕達のやっている作業は大工に近い。《造船職人》の事を船大工とも言うので、あながち間違っては無いのかも知れないけど。
この足場作りの作業のお陰で、《造船》が《造船職人》に進化している。まぁ、僕の場合は《造船工匠》なのだが………ライトニングの製作を手伝った時よりも、この足場作りの方が経験値が大きいのは悲しいんだけどな。
『………確かに、俺も大工と言われた方がしっくりくるけど』
『カゲロウもか?でも、造船所の有り難みが分かるよな。それで、この木材は?』
『それは、もう少し左だ。あぁ、逆、逆、俺から見て左。ギルマスから見ると右だ』
ようやく形になって来ている足場だが、その指示の殆どがカゲロウによる物だ。ヒナタの作業を間近で見ていただけ有って、判断が的確で早い。スキルLvが、僕より高い事も有るのだろうけど、姉弟揃って優秀なんだよな。
『了解だ。少し休憩しないか?』
『そうだな。じゃあ、俺は少しホームに戻ってくる。ギルマス、再開は15分後くらいで良いか?』
紅茶も飲みたいからな…………それくらいの時間が有った方が良いかな。
『了解だ』
その返事を聞くや否や、作業を中断してホームに転移していく、カゲロウ。
さて、僕も昨日の続きをしようかな。5種類の紅茶(各々、好みが違う)の準備をしながら、3匹のファミリアに《探索》をお願いする。シヴァは、白や黒みたいに《探索》スキルこそ持っていないが、流石は海の支配者と言うだけ有って集めてくる情報の量は1番多い。
『主よ、昨日までと違いが無いのじゃ。ワシと黒の《探索》では位置が分からないのじゃ』
『そうか、ありがとな』
戻ってきた2匹に紅茶を渡す。ちなみに、紅茶を楽しむ為の休憩スペースは、初日の早い段階で準備されている。紅茶自体は船のキッチンで作れるから問題は無いからな。
あとは、シヴァだけだが………改めて思うと、ファミリアの王に、こんな雑用を頼んで良かったのかな?
『…………手遅れ』
紅茶を飲みながらも、ツッコミだけは手を抜かないんだよな。
『主よ、このクッキーは今まで食べたクッキーの中で1番美味しいのじゃ』
『そうか?気に入ってくれたなら良かったよ』
『この茶色のは何なのじゃ?』
『それは、紅茶の茶葉の出涸らしを煎った物だ。微かに紅茶の薫りがするだろ?』
『するのじゃ。紅茶に合うのじゃ』
ちょっとしたアクセントに出涸らしを煎った物を混ぜたが、気付くとは思わなかったな。味覚は鋭いのかも知れないな。ジュネとアクアにも作った事がアルが気付いた事は無いからな。
『シュン、我らにも、紅茶を頼む』
『おかえり、どうだった?』
シヴァとアーちゃんにも、準備して有った紅茶は出した。
余談だが、白はハチミツ入りの甘い紅茶、黒はレモンティー、シヴァは甘いミルクティー、アーちゃんはストレートのアイスティーと茶葉を好む。他の紅茶も美味しく飲むには飲むが、好みの物を出した時とは笑顔が明らかに違うからな。
『うむ。やっと場所が分かったのだ。地図が有ると便利なのだが………』
『ほぼ白地図で良いなら有るぞ』
鞄から白地図を取り出してテーブルに広げていく。
『十分なのだ…………今我らが居るのは、ここなのだ』
シヴァが指し示した場所は、【サラベール】よりも遥かに北………むしろ、【ガリンペイロ】の遥か南と言った方が若干近いかも知れない小さな島だ。地図上で見るなら、有るのか無いのか分からないぐらいの小さな点でしかない。
当然、近くには何も無い。ここからだと、【サラベール】近くの岸辺まで、どんなに飛ばしても5日は掛かりそうだよな。それにしても、あの場所から3時間足らずで、よくこの場所までと来れたよな。巨大化していたアーちゃんのスピード恐るべし…………
『主よ、どうするのじゃ?』
どうすると言われても、ライトニングの修理が終われば進むしか選択肢は無いと思うんだけどな。1度【シュバルツランド】に戻るとしても近くを通るなら、多少寄り道をしても【サラベール】と【チメリア】には寄るべきだろう。
『まぁ、なるようになるかな』
2学期の期末テストまでには【シュバルツランド】に帰りたいから、多少の無理は必要になるのかも知れないけどな。
『シュンさん、カゲロウ、次はメインマストをお願いします』
『了解だ。この辺りで良いのか?』
いよいよ、これで最後だな。もうすぐ修理が終わるからな。あと少しだけ待っててくれよ。
あれから5日、すでに足場は組み上がり、船の改良の方も残すはメインマストと帆の装着だけになっており、新しいメインマストとサブマストのメイン素材には木核を用いている。そこに、前回の経験を踏まえて《木工》と《機械製作》と《合成》を組み合わせて音声認識で簡単に折り畳めるマストに変更している。
最近は、どんな事にでも音声認識を《合成》している様に思えるが、有るのと無いのでは便利さが格段に違うので仕方無い事だろう。余談だが、ホームのキッチンでは、音声認識のみでお湯が沸く程度には改良されてたりもするからな。
折り畳んだあとのマストが、甲板上に邪魔にならない様に収納される仕様だ。ヒナタが書き上げた設計図を見た時は、本当に出来るのかと軽く疑っていたが、その疑いもサブマストで実験した時に晴れている。ヒナタの収縮の一言で1本の柱に見えていたマストに、複数の切れ目が入り、上から順に華麗に折れ曲がり、まるで、元から有る船のデザインの一部の様に綺麗に収納されてしまったから、疑いの余地は無い。これなら、メインマストでも問題は無いのだろうな。
ちなみに、このギミックだが、殆どのパーツは木製で製作されている為、非常に軽い。まぁ、接続部分には流石に《機械製作》で作ったビスやネジ等が使われているが、それも微々たる物だろうな。
素材も強度が必要な軸の部分には丈夫なヘビーウッド(ライト)を使い、それ以外にの部分には木核をこれでもかと言うぐらいふんだんに使っている。
もともと、この為に集めてきた素材なので、どんなに使ってくれても問題無いが、まさか1本も残らないとは思ってもみなかったのは、ここだけの話だ。まぁ、マスト以外にも、この際だからと言うことで、様々な場所を改良するのに使っているらしいので仕方の無いことかも知れないのだが。
『はい。位置は、そのままで大丈夫です。角度は………少し時計周りに回転して下さい。はい。大丈夫です。シュンさん、カゲロウ、少し離れて下さい』
『了解だ』
僕達が離れた事を確認して…………
『それでは、行きますね。展開』
ヒナタの展開と言う言葉を認識して折り畳まれていたマスト達がカチャカチャ、カチャカチャと音を立てながら一気に開いた。そのマストの全長は、以前の2倍近く有り、風も受け易くなっている様だ。何よりも、ライトニングの風格が今までと比べ物にならない。
『凄いな。何て言って良いのか分からないが、ドシッと言うか、ドーンと言うか、豪華な風格が出てる気がするぞ』
『分かりましたか?マストの布には、アキラに縫って貰ったティアウルフの皮とシルバタイガの皮を合皮にして薄く鞣して使わせて貰ってます。色合いも綺麗ですが、かなり薄く鞣していますので向こう側が透けて見えます。勿論、強度の方も強化してますので、今度は簡単に破れたりしませんよ。それと、マストと帆の接続部分にはフレイに作って貰った金属製のワイヤーを使っています。こちらもフレイ特性の合金の為、簡単に切れたりしませんからね』
ティアウルフとシルバタイガって最近追加された魔物だよな。聞いた話によると【ヴェール】近くの森で2匹がペア限定で出現する変わった魔物らしい。比較的に近場でも狩れるとは言え、出現率が低いらしいからな。この量を集めて加工するのは大変だったんじゃないのか?
それに、このワイヤーは、鞭としても使えるくらいの強度があるよな?キラキラと光に反射していて綺麗なロープだと思っていたが、金属製のワイヤーになってたんだな。この長さを加工するとか…………信じられないな。
『あっ!!ちなみに、ライトニングに使っていたロープは全てワイヤーに変わってますよ。強く引っ張っても手が切れる心配も有りませんので、安心して下さいね』
『ちょっと待って、素材集めもそうなんだが、加工は物凄く大変だったんじゃないのか?』
『加工は、そうですね。それなりに大変でしたね。素材の方は、シュンさんが船旅している時に、空き時間で皆で狩り行ったりしてましたし。特に、アキラが変わった魔物や素材の場所を見付けるのが得意でしたからね。それに、最近は【by buy】の買い取りの方でも、その手の素材が集まってましたからね』
なるほど、アキラの運に関しては思い当たるところが多々有るよな。運の悪い僕とペアを組んでいても運が良いくらいだからな。
『何となくだが、理解出来たよ』
その言葉に、ヒナタが微妙な笑顔で返してくれる。やっぱり、僕の思った通りなんだな。あの理不尽な運の良さをヒナタも経験したらしいな。多分、シヴァの《幸運》と良い勝負になるだろうな。
『なぁ、ギルマス、俺には全く分からないんだが………』
『アキラと2人で狩りや採取に行ったら分かるぞ』
それ以上は、自らが体験して貰いたいものだからな。
『それで、ライトニングも生まれ変わった事ですし、名前もパワーアップさせようと思うんですが、どうでしょうか?』
名前のパワーアップか…………今までのライトニングと区別する意味では良いかも知れないな。だが………
『でも、良いのか?ライトニングは憧れの船なんだろ?』
ヒナタのOOOでの目標だったはずだからな。
『はい。確かに、ライトニングは私の憧れでしたが、このライトニングは【noir】の仲間です。既に、全く違う船ですからね。ライトニングの名前を押し付けるのは違うと思うんですよ。だから、新しい名前が、【noir】だけの名前が、この子には必要なんです』
そう言う考え方は、全然無かったよな。確かに、固有名詞は必要だよな。
『それなら、僕はOKだぞ』
『俺もだ。ヒナタ、名前は決めているのか?』
『うん。EXライトニングでエクスライトと言うのは、どう?』
『ヒナタ、エクスライトは良い名前だな』
僕のセンスなら、ライトニング2とかライトニングネオとかしか思い付かないからな。こんなに格好良い名前は思い付かないだろうな。
『はい。いっぱい考えましたからね』
『じゃあ、改めてよろしくな。エクスライト』
装備
武器
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉
【空気銃】攻撃力0〈特殊効果:風属性・バースト噴射〉×2丁
【火縄銃・短銃】攻撃力400〈特殊効果:なし〉
【アルファガン】攻撃力=魔力〈特殊効果:光属性/レイザー〉
【虹鯨(魔双銃剣ver.)】攻撃力500〈特殊効果:7属性〉
【白竜Lv82】攻撃力0/回復力262〈特殊効果:身体回復/光属性〉
【黒竜Lv82】攻撃力0/回復力262〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
天狐族Lv71
《錬想銃士》Lv14
《真魔銃》Lv18《操銃》Lv38《短剣技》Lv41《拳》Lv60※上限《速度強化》Lv100※上限《回避強化》Lv100※上限《魔力回復補助》Lv100※上限《付与術改》Lv21《付与練銃》Lv22《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv46
サブ
《調合工匠》Lv33《上級鍛冶工匠》Lv6《上級革工匠》Lv6《木工工匠》Lv40《上級鞄工匠》Lv8《細工工匠》Lv46《錬金工匠》Lv45《銃工匠》Lv36《裁縫工匠》Lv15《機械工匠》Lv24《調理師》Lv25《造船工匠》Lv2《家守護神》Lv62《合成》Lv52《楽器製作》Lv5《バイリンガル》Lv10
SP 48
称号
〈もたざる者〉〈トラウマニア〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈摂理への反逆者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉〈工匠〉〈呪われし者〉〈主演男優賞?〉〈食物連鎖の最下層〉〈パラサイト・キャリアー〉




