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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第5章
52/65

鬼ごっこ

いよいよ、今日か。良く寝れたからか?目覚めと体調が、すこぶる良いな。出来るだけ頑張ってみるかな。


時間は、朝10時過ぎ。クエスト(鬼ごっこ)の開始までには少し早い気もするが、早めにログインする事に。少しは、ヒナタのクエスト(コンテスト)も、少しは見たいからな。





『うわっ!!かなり減ってるな』

時間的には開始直後のはずだが、参加者が激減している。えっ~と、20人前後かな?どうやら、選別は無事に成功したようだな。


〔『主よ、残りは21人じゃ』〕

うわっ!!いきなり280人くらい失格になったんだな。御愁傷様です。自己意識の低さだと思うけど、ちょっと減り過ぎではないのか?とも思うな。まぁ、逆に審査をしやすくなって良かったかもな。


今日は、ヒナタのクエストの会場用に、オークション会場をレンタルしている。予定では約300人の参加者がいるので、街の工房では全員を1回で審査出来ないからだ。基本的には、専用の工房以外で生産する事は出来ないのだが、簡易工具等を持つ事によって工房以外の場所でも作業が可能になっている。当然、今回のクエストのルールの1つとして道具の持ち込み可能とも記載している。


この事に気付くかどうかが、隠されたコンテストの第1課題なんだよな。


工具は、生産系職人の命と言っても過言ではない物だ。この事に気付かないで、自分で工具を用意せずに会場に集まってくるプレイヤーには、既に用が無い。事前に課題を知らされて無ければ、仕方無いと同情出来る余地も有るのだが、今回は《木工》《造船》スキル取得者が対象だからな。ある程度厳しくなるのも仕方無いだろう。


生産を真面目にやっているプレイヤーには、ある意味で常識的な事なので大人数の選別には向いているし、自分で製作しなくても簡易道具なら、どの街でも安く買えるからな。思い付いたヒナタは、凄いよな。


ちなみに、【noir】では、挑戦したり頑張る為への投資は幾らでも厭わないのだが、最初の選別から漏れたプレイヤーの様に最初から与えられるのを待っている時点で【noir】には向いてないし、【noir】(僕達)の事を理解してないので、最後まで残ったとしても、どのみち合格する事無いだろうな。ヒナタとアキラも、それくらいの評価は下すだろう。


あとは、完全な技術力勝負。まぁ、この中に残ったプレイヤーなら誰が仲間に加わっても問題無いだろうな。遠目から見ていても、技術力に劣る者は少なそうだからな。


残っているメンバーの中には、イベント(ハーフマラソン)で知り合ったサラもいる。ここは、是非とも頑張って欲しいな。まぁ、いかに知り合いと言っても審査に手心が加わる事(プラスα)は無いんだけどな。


『ヒナタ、アキラ、頑張れよ』

ステージ上の2人に向かって手を振り、その場を離れる事に。2人も軽く手を挙げて返事をしてくれるが、審査に集中しているのだろうな。いつもと違って無言だった。


僕の声に反応して、僕のいるギャラリーの方へ振り返るプレイヤーもいたが、ヒナタ達に厳しくチェックされている。


生産に対する姿勢(集中力)等も(チェック)していたのか?残念だが、今振り返ったプレイヤーは、落ちた(不合格)かも知れないな。少し悪い事をしたか………いや、試験の手助けが出来たと前向き(ポジティブ)に考えようか。そうでもしないと、今からの鬼ごっこに耐えれそうもないからな。


マナさん達が、会場に見当たらなかったので、裏方かな?2人にもサポートを頑張って貰いたいな。






鬼ごっこ開始まで、残すところ1時間。既に、【シュバルツランド】中に設置されている観客席は満席になっていて、観客席以外でも立ち見のプレイヤーが場所取りを繰り広げているらしい。立ち見のプレイヤーが増えると言う事は、僕にとって不利になるんだよな。


そうも言ってられないので、スキルとステータスの最終チェックだ。白と黒が使えないので、いつも以上にシビアに装備スキルを選ばなくてはならないからな。


今の時間を使って、1人旅で貯まったSPを全て注ぎ込んで《双銃士》を|《錬想銃士》《マルチガンナー》に進化させている。身体強化系のスキルの進化が遅れるが、ジョブの名前的にも今の僕にはピッタリだと思う。


ちなみに、進化条件は中級銃スキル3種取得だ。僕の場合は、《真魔銃》《操銃》《付与練銃》の3つが該当している。《付与練銃》が、銃スキルに分類されているのは少し違う気もするが、進化出来るなら問題無い。


それに、《銃士》系をここまで育ててるプレイヤーは、圧倒的に少なくて珍しいから僕専用(オリジナル)みたい感じだよな。まぁ、《銃士》や《双銃士》の段階でも、かなり珍しかったんだけどな………


まぁ、《銃士》のまま成長を続けたたのは、少しだけ人よりも、様々な(出合い)が良かっただけなんだけどな。


『黒の職人さん、今日はヨロシクっす。準備の方は、進んでるっすか?』

チャリさん?確か、イベントの司会だったよな。まだ、開始までに時間が有るが、準備に余念が無いよな。こう言う姿勢は、見習いたい。


『そうですね。それなりに………って言ったところでしょうか?』


『僕も、今日は、バッチリ中継と解説をさせて貰うっすよ』


『???』

中継?解説?カゲロウからは、司会だと聞いていたが…………


『あれ?聞いてないっすか?黒の職人さんが、制限時間いっぱい(ギリギリ)まで1ヶ所の場所に隠れられない様に、僕のギルド(【サイク=リング】)から《探索》系のスキル持ちが何人かで、黒の職人さんを追うんっすよ。僕は、その情報を元に解説と中継(位置解析)をやるっす』

全くもって迷惑な話だ。カゲロウは、直前に発表して驚かせるつもりだったんだろうけど…………正直なところ、かなり迷惑なルールが追加されているよな。


事前に聞いていた個人での《探索》系スキルの使用禁止は、正直に言うと、かなり助かったと思っていたけど、全体で《探索》を使われるとなると、逆にキツくなるんだよな。《探索》系のスキル所持者は全体の20%くらいなので、単純に驚異が80%アップだからな。


昨日、考えていた対策が、全て無駄になったな。


ちなみに、昨日考えていた対策とは、神殿内(共有エリア)を利用して逃げたり隠れたりする予定だった。街中を探し回るプレイヤーの盲点発見と内心喜んでいたんだが、無駄になった………と言うか、ほぼ使えなくなったな。付き合いが長いだけあって、僕の行動パターンが見破られてるな。本当に迷惑な話だな。


2000対1の段階で、かなりのハンデ戦だと思っていたのだが、それより上のルールが有ったんだな。本当に良く考えたと思うよ。そこだけは、尊敬しようかな。


そう言えば………カゲロウは、昨日の会議の時にルールの説明してなかったよな。事前に聞いていたから、敢えて確認しなかったのが裏目に出たかもな………


『教えてくれて、ありがとうございます。他にも知ってる事は有りますか?』

こんなに親切なチャリさんを、カゲロウと同じ悪ふざけ組だと思っていた過去の自分を怒りたい。


『他に………っすか?あぁ、確か、黒の職人さんにも救済措置が有ったはずっすよ』

救済措置?それが、本当なら少しは助かるのかな?





『お待たせしたっす。そろそろ、【noir】加入クエスト第2弾〔黒の職人さんVS初心者プレイヤー 捕まえれるなら捕まえてみろ、捕まえたプレイヤーあなたの勝ちだ鬼ごっこ〕を開催するっすよ』

あの名前を、そのまま使ったんだ…………めちゃくちゃ嫌すぎる。ただ、僕の気分とは裏腹に、周りにいる参加プレイヤー?と観覧者は、やけに盛り上がってるけどな。


『ここで、追加ルールを発表するっす。このイベントの発案者【noir】のカゲロウくん、ヨロシクっす』


『俺が、今紹介された責任者のカゲロウです。追加ルールを説明させて貰います。このままだと、1人で逃げる黒の職人さんが圧倒的に不利です。そう言うクエスト(ゲーム)なので良いと言えば良いのですが、開始と同時に捕まってしまう可能性も有ります。それでは、参加してくれたプレイヤーと見に来てくれたプレイヤーの皆様に悪いですからね』

確かに、今のままだと限界を感じたら(疲れたら)適当に捕まる(諦める)事も考える可能性が有るからな。


『そこで、【水鉄砲】(これ)【ローブ】(これ)を使用します』

あれは、僕の作った【水鉄砲】と市販されている緑の【ローブ】だよな。


『この【水鉄砲】には、赤い液体が入っています。これを、黒の職人さんに使って貰います。この液体が、(ローブ)に当たったプレイヤーは一発退場(即失格)になります』

それは、かなり助かるよな。緑一色で統一された【ローブ】は遠くからでも目立つし、一般のプレイヤーとの区別もつく。捕まりそうなら水鉄砲で逃げる事が出来るからな。それに、【水鉄砲】が当たれば、速攻で分かるから便利だな。だけど、これって………


『それは、逆に黒の職人さん(そっち)が有利過ぎるだろ』


『『『そうだ、そうだ』』』

スタート会場となる広場から一斉に意見(クレーム)が巻き起こる。まぁ、そうなるよな。追われる立場の僕でも、そう思うからな。


『静かにして下さい。大丈夫。それも、想定内です。黒の職人さんにも天狐族の固有アーツ〈乱〉や〈朧〉等の撹乱系のアーツ、スキルは使用禁止にします。黒の職人さんの場所を発見する為に、【サイク=リング】の皆さんが《探索》系のスキルを使って協力してくれます。コールを使わなければ見ている観客者から情報を得るのも自由です。見失った参加者には、この場所で最新の位置情報を随時提供致します』


『お、おぉ………それなら』

納得したのか?クレームの声が少なくなっている。僕は納得出来ないが多勢に無勢なんだろうな。


『最後に、この2丁の【水鉄砲】に入るのは各300発分。計600発しか入りません。各ゲーム間には補充出来ますが、ゲーム中の補充は出来ないルールです。この赤い液体は、俺の作ったステータス減少薬なので、魔法防御系のアーツで防げます。同様に盾で防いだ場合も失格になりません。失格になるのは、あくまでも【ローブ】に当てられた場合です。【ローブ】の使用ですが、他の人に迷惑を掛けない為と一般のプレイヤーに紛れ込むのを防ぐ為ですので、ご了承下さい』

なるほどな。これが、救済措置か。少しだけ僕に有利になったのか?いや、それよりも〈朧〉が、使えない方が痛いな。ピンチの時に〈朧〉を使って一時的に、やり過ごす事も最終手段として考えていたんだが…………まだまだ、研鑽が必要と言う事かな。


でも、【水鉄砲】(失格)を恐れて開始と同時に襲ってくるプレイヤーは、減るかも知れないから五分五分なのか?


『それでは、そろそろ、鬼ごっこを始めるっす。皆さん、くれぐれも攻撃魔法や街の人に迷惑掛けるのは無しっすからね。迷惑わ掛けた時点で失格っすよ。まずは、黒の職人さん、スタートして下さいっす。一生懸命逃げるっすよ。5分後に鬼の皆さんが追い掛けるっすからね。頑張れっす。鬼の皆さんは、こちらに【ローブ】を受け取りに来て下さいっす』

いよいよ、僕の番か。精一杯逃げさせて貰おうか。たとえ、新人プレイヤーと言えど油断は出来ない。新人プレイヤー相手に、あっさり捕まるのは恥ずかしいからな。捕まるにしても、それなりに善戦したい。


〔『主よ、頑張るのじゃ』〕


〔『…………頑張れ』〕


〔『ありがとな。行ってくる』〕 


カゲロウから【水鉄砲】を受け取り、白と黒を手渡して鬼ごっこのエリアに駆け出した。






そろそろ、アレから5分が経つか?落ち着け、落ち着け、俺。


ブレット()シュン(あの人)を捕まえようと思ったら、普通に追いかけていたら絶対にダメだ。あの人達に、教えられた通り、常に冷静でいて一歩先を読まないと…………


『それでは、鬼の皆さん。第1ゲームのスタートまで10秒前っす……………5秒前…………3…………2…………1…………スタートっす。黒の職人さんを追い掛けて下さいっす。早い者勝ちっすよ。こっちも頑張れっす』


チャリさんの合図と共に、緑一色の鬼達(ライバル)が一斉にエリアに解き放たれる。


いよいよだ。これをクリアすれば、憧れの【noir】に入れるぞ。午前中は、サラも頑張っていたから、俺も負けられない。2人一緒(サラと共)に【noir】に入るんだ。絶対に………な。


だけど、単純に正面から行っても、返り討ちに遇うだけだ。2重、出来れば3重の仕掛けが必要だぞ。上手く状況を利用出来れば…………チャンスも有るはずだ






そろそろ、5分(開始)だな。取り敢えずは、《付与術》で大幅に補強(ドーピング)させて貰おうかな。【白竜】と【黒竜】(切り札)が無い僕は、手帳の無い警察官(一般人)と同じだからな。


それと、早い内に【水鉄砲】のテストは必要だな。テストをしておかないと、いざと言う時に使えないだろうからな。最初に、見掛けたプレイヤー()にでも試してみるか。


待てよ。最初に、有る程度の数が減るまで僕から一気に攻めれば、【水鉄砲】を警戒するプレイヤーも増えるんじゃないか?


事前に【水鉄砲】の使用の事が分かっていたら、もう少しマシな戦略も練れたんだけどな。まぁ、戦略(それ)を、防ぐ為に教えてくれなかったんだと思うけど、結局は行き当たりばったりで対処するしかないんだろうな。


【水鉄砲】の射程は10m。念の為に、もう少し近付いて射撃したいところだが、どうやって近付くのかが問題だな。攻撃系のアーツは、使えないから〈必射〉と〈曲射〉(得意技)も使えないんだよな。


こう言う時、普段なら白か黒がアドバイスしてくれるのだけど…………改めて、白達の有り難みを感じられるな。この点だけは、カゲロウに感謝だな。


おっ!!一気に3人か。まだ、僕を見付けれて無いみたいだ。それなら、カモに(テスト)させて貰おうか。


僕は、一気に接近して、左右の【水鉄砲】で3連射を繰り出す。相手に言葉を発する暇さえ与えず、左肩、胸、腹と3人の鬼を順に仕留めた。


『お疲れ様。次が、有ったら頑張って』

射程は、通常の【水鉄砲】と変わらないな。それに、《付与術》と防具のシリーズボーナス(俊敏)の相性が良過ぎる。普通に逃げるだけなら捕まる(触れられる)気がしないな。


それと、数人が纏まってくると、お互いがお互いを牽制し合って隙が有り過ぎる。と言う事は、複数の鬼よりも鬼1人(ソロ)の方を気を付けた方が良いかもな。


まぁ、どっちにしても、背後には細心の注意が必要だな。なるべく、逃げる時も壁を背に忍者みたいに逃げたいところだな。


『『『あぁぁぁぁ』』』

遥か後方で、悲鳴が聞こえてくる。クエストが発表されてから、かなり時間が経つっているのだが、何の作戦も無しに捕まえれると思ってたのかな?





開始7分…………既に、300人近いプレイヤーを仕留めている。狭くて逃げ道の多い裏通りを移動しているので、一度に大人数に襲われる事も無い。襲ってきた中には、魔法防御系のアーツで防いでいるのにも関わらず、当たったふりをして近付いてくる姑息(演技派)なプレイヤーや曲がり角で隠れて(ひたすら待つ)プレイヤーもいたが、僕も油断せずに警戒心が全開なので、捕まる事は無く逆に退場して貰っている。


『やっと、半分くらい過ぎたか?』

思ってあいた以上に体力の減少は無いよな。普通なら、短距離を走るペースで7分も走り続けれないからな。ゲームの中とはいえ、貴重な体験をしてるよな。この世界(OOO)なら長距離の世界新記録も夢じゃ無いよな。


それと【水鉄砲】の効果か?捕まえにくるプレイヤーが明らかに減ったよな。建物の上から監視している【サイク=リング】のメンバーによって、僕の居場所は、完全にバレているはずなんだがな。


さて、これから、どうするかな?


まだ、700人近くは残っているはずだ。僕から攻め込んで失格者を増やすか?いや、僕から攻めるのは難しいよな。逆に、僕の隙が生まれる可能性が高い。かと言って、残り時間が減れば、全員てで一斉に攻められる可能性が多いに有る。一気に攻められれば、(赤い水)切れになって、絶対に数で追い込まれるからな。


悩みどころだな。考える時間が有れば、最適な対処も思い付くのだろうけど………数秒毎に、鬼に襲われていたら頭も回らないよな。


僕は、移動し続けながらも、出会った鬼は出来る限り仕留めている。気付かれてい時も有るので無視しても良いのだが、路地裏をさまよう鬼は、本気で逃げる(ピンチの)時に障害(邪魔)になりそうなので排除しておいた方が良いからな。


さて、もう一踏ん張り頑張りますかね。






かなり、失格者が出てるな。流石は、シュンだ。


今のところ、俺が見ている限りでは射撃に無駄が全く無い。たまに、魔法や盾で弾かれる事も有るが、それも、本当に微々たる数だ。やっぱり、あの人は凄い。建物の上から全体を見ていると良く分かる。


でも、あの人の本当の凄さは、こう言うところでは無いけどな。


鬼の方(ライバル達)数人(即席チーム)で作戦を考えてるみたいだが、所詮は即席のチーム(寄せ集め)だ。ここぞと言う時に裏切りの方が、真っ先に頭を過って連携が上手くいってない。やはり、ここは不意討ち狙いのチームを囮として利用させて貰うしかないのか?


刻々と時間が迫ってくる…………焦るな、落ち着け。絶対に、何か有るはずだ。


うん!?今のは何だ!?…………そう言えば、さっきも…………これは、チャンスか?俺に残された唯一のチャンスかも知れないぞ。





【水鉄砲】の残り(水量)が、心許なくなってきたな。倒した鬼の数も400人は越えていると思うが、この残量だと、あと100人倒せるか微妙なところだな。


残り時間は5分を切っている。この1分くらいは、鬼に会って無い。残り時間と残っている鬼の数の比率を考えると、それが、逆に怖いんだよな。体力は十分なのだが、神経の磨り減り具合がなんとも言えないよな。これを、あと3ゲームなんて、僕に耐えれるのだろうか?


それに、冷静になって考えると、僕が鬼から逃げる(苦しむ)のを見てて楽しいのだろうか?





『第1ゲームも残り3分っす。現在、黒の職人さんは、広場近く南側の路地裏を疾走中っす。おっと、また5人………6人が失格になったっす。今のところ、黒の職人さんの射撃と回避と作戦が1歩リードと言ったところっすかね。でも、表情からの見ると精神面はヘロヘロかも知れないらしいっす。鬼の皆さん頑張れっす。あとの3ゲームに参加申請をした皆さんは気が気で無いっすね。おや?また黒の職人さんが、移動したみたいっすね。現在は、広場の裏(この辺り)に潜伏中っすよ。皆さん、黒の職人さんを応援してあげて下さいっす』


『『『『オォ~~~~!!』』』』


『黒の職人さん、今は頑張れ』


『黒の職人さん、今は負けるな』


『黒の職人さん、次の次まで頑張って』


実況中継って、こんな感じになってたんだな。次のゲームに参加する鬼達(参加者)なんだろうけど、応援されるのは悪く無いのだが、若干私利私欲が混じってるよな


僕は、逃げ易かった路地裏を捨てて、広場まで来ている。1つは、あとのゲームの為に実況中継を聞いて、どんな感じで情報を流しているかが知りたかったからだ。思っていたよりも、かなり細かく位置を把握して中継してるよな。どおりで、休む暇が無い訳だな。


もう1つは、別の場所に1回逃げておいて、最後に1番逃げ易い路地裏で時間を潰す作戦を考えたからだ。路地裏を逃げ回った事で、注意するポイントや隠れていそうなポイントが把握出来ている。今なら、路地裏が1番不意討ちを喰らわない自信が有るからな。鬼の戦力を分散させる事が出来れば捕まる事は無いだろう。


1000人参加の第1ゲームを耐え切れば、僕の完全勝利(パーフェクト)が見えてくるからな。


それにしても、チャリさんは、実況(トーク)が上手いな。観客の心をガッチリ掴んでたからな。


さて、残り時間も減って来たし、周りに注意して、通って無い道を通り、大通りを避けて最初の場所(路地裏)に戻ろうかな。チャリさんからの実況中継で、この場所に鬼が来るのも時間の問題だからな。


ちなみに、大通りを避けているのは、鬼にとっては隠れる場所が多く有るので隠れ易くて、僕にとっては簡単に見付かり易いので、不利でしか無いからだ。まぁ、カゲロウ達も分かっていたから大通りには観客席が少ないのだろうけどな。


『『『『オォ~~~~!!』』』』

広場を横切って逃げる僕の姿が見えただけで歓声が挙がる。位置がバレるので止めて欲しいよな。まぁ、せっかく楽しんでくれているなら声援には応えておくか。


右手を高々と空に掲げると、


『『『『オォ~~~~!!』』』』

今日1番の歓声が挙がった。横切ったのが一瞬だったので、直接見る事は出来なかったが、盛り上がったのなら幸いだな。カゲロウも喜んでいるだろう。




残り時間が少なくなったからか、僕の進行方向には、うじゃうじゃと緑一色の鬼達がいる。今まで、どこに居たんだって聞きたいくらい多いよな。若干気持ち悪い。


まぁ、同然、待ち構えている方には逃げずに、どんどん路地裏を曲がって逃げる。今日だけで何回も通った道なので、勝手が知れ過ぎているな。


曲がり角の誰も居ない場所に、射撃しながら近付くと、タイミング良く鬼が現れてくる。さっきから、何度もこの繰り返しだ。この鬼達は、本当に考えて行動しているのだろうか?疑問だな。どこかで全体を見ているカゲロウ達も、|人の悪い笑みを浮かべて《笑って》いそうだな。


『うぉっと!!あぶなっ』

余計な事を考える余裕は無さそうだな。身体強化系のスキルと《拳》や《蹴脚》系のスキルの組み合わせて取得しているプレイヤーの動きは異常だな。なんとか、寸前で【水鉄砲】で、撃退する事が出来たから良いけど、まさか、壁を蹴りながら立体的(3D)に移動してくるとは思わなかったぞ。そんな移動方法も有りなんだな。


それに、僕が油断するタイミングと普通の鬼に馴れる頃を、ひたすら待っていたって感じたよな。かなり、作戦を練っていたのが伝わってくる。


『惜しかったな。僕が、審査するなら合格にしたいぐらいだぞ』


『ほ、本当ですか?それなら、合格に…………』


『それは、カゲロウの判断に任せて有るからな。僕には分からない。じゃあな』

それだけを言い残して、その場を去る。残り時間が少ないので、同じ場所に留まる訳には、いかないからな。


それにしても、本当に危なかった。警戒するポイントに上が増えたな。まぁ、このタイミングで、知る事が出来たのは良かったのかも知れないな。



残り1分…………


あと少しだ。この()の波を抜ければ、安全地帯(優位)に逃げれるかな。このままなら【水鉄砲】の残量も、もちそうだな。出会った鬼に片っ端から【水鉄砲】を射撃しながら、鬼が伸ばしてくる手を掻い潜っていく。



残り30秒…………


早く、早く、早く、時間よ、過ぎてくれ。この15分間、全く心が休まる時が無い。これは、疑心暗鬼(誰も信じれなく)になるぞ。次のゲームまでに絶対に休憩時間を貰おう。誰が、何を言おうともな。



残り10秒…………


良し(射撃)良し(射撃)良し(射撃)大丈夫(オールグリーン)だ。この角を曲がる事が出来れば、隠れられる場所も追い付かれる場所も無い。絶対にクリア出来る。


良し!!右は異常()無し。


…………4、左も大丈夫だ。


…………3、もう1度右も大丈夫だな。


…………2、上にも居ないし、背後も|追い付いて来れる距離ではないな《OK》。


…………1、終わったな。


『えっ!?』

……終了の寸前に、僕の肩は叩かれた。






残り1分…………


もう時間が無いぞ。本当に大丈夫か?本当に、あの人は、ここを通るのか?いや、自分()自身の観察力、観察に8割以上の時間を費やした自分を信じろ。あの人は、絶対に最後まで油断しないはずだ。


だからこそ…………だからこそ、もう1度絶対にここ通る。必ず通る。



残り30秒…………


き、来た。本当に来た。あれは、間違いなくシュンだ。


自分を信じて、このY字路で待っていて良かった。ほぼ予想通りだ。予想と違ったのは、待っていたのは俺以外にもいるって事か。潜んでいる場所は違うがな。


しかし、待ち伏せをしていた他の鬼達(ライバル)は、Y字路の入口で一気にシュンさんに襲い掛かる。しかし、完璧に各々が1発ずつの【水鉄砲】(射撃)で撃退される。違う、それでは、ダメなんだ。



残り10秒…………


シュンさんが、Y字路の右を確認したぞ。いよいよだ。一瞬が勝負だ。シュンさんが左(俺のいる方向)の確認も終えた。


今だ、行け、躊躇するな。今が千載一遇の(やっときた)チャンスなんだ…………


シュンさんが、もう1度右を確認している。頼むから、こっちを向くなよ。


シュンさんが、上を確認している。うん!?今までと違うぞ。大丈夫か?


『えっ!?』

シュンさんが、通って来た道(背後)を確認している間に、僕の右手がシュンさんの右肩を捕らえた。本当に制限時間ギリギリで、でも…………


『やっと、捕まえれました。シュン、俺の勝ちだ』








装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉

【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉

【空気銃】攻撃力0〈特殊効果:風属性・バースト噴射〉×2丁

【火縄銃・短銃】攻撃力400〈特殊効果:なし〉

【アルファガン】攻撃力=魔力〈特殊効果:光属性/レイザー〉

【白竜Lv68】攻撃力0/回復力218〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv68】攻撃力0/回復力218〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



天狐族Lv63

《錬想銃士》Lv2

《真魔銃》Lv8《操銃》Lv30《短剣技》Lv33《拳》Lv54《速度強化》Lv100※上限《回避強化》Lv100※上限《魔力回復補助》Lv100※上限《付与術改》Lv11《付与練銃》Lv12《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv35


サブ

《調合工匠》Lv28《上級鍛冶工匠》Lv6《上級革工匠》Lv6《木工工匠》Lv34《上級鞄工匠》Lv8《細工工匠》Lv46《錬金工匠》Lv45《銃工匠》Lv36《裁縫工匠》Lv15《機械工匠》Lv21《調理師》Lv23《造船》Lv17《家守護神》Lv55《合成》Lv50《楽器製作》Lv5《バイリンガル》Lv8


SP 9


称号

〈もたざる者〉〈トラウマニア〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈摂理への反逆者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉〈工匠〉〈呪われし者〉〈主演男優賞?〉

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