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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第1章
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第1回公式イベント 1

中間テストとOOOのバージョンアップ期間も終わり、やっとログインできるようになった。


さて、どんな違いが有るのか?楽しみであるよな。公式イベントの方も楽しみなのだよな。詳細は神殿前の広場に掲示されているらしいのでログイン直後に目指す事にする。


『あれっ!?』

ログインしたら神殿に着くはずなのだか………ホームに着いた。ゲートが出来ているぞ。


そう言えば、バージョンアップの情報に「ホームにゲート機能追加」が有ったよな。これの事か?かなり便利だな。


『えっ!?』

タイミング良くアキラもログインして来たみたいだな。


僕に驚かせるつもりは全く無かったのだが、結果的には驚かせる事になってしまったな。


このホームのゲートを使えるのは、今のところ僕ら2人だけの様だ。ホーム内に入る事の出来るゲスト認証されている人は、露店の時の仲間内だけ。


『イベント内容、確認しに行く?』


『そうだね。それが今日の目的だったし』


アキラを誘って広場へ向かう。かなりの人がいる、まぁ、露店の時程ではないが、新しく掲示板が出来ていて、皆が見ていた。




第1回公式イベント詳細

6月1日より15日間の期間限定イベント

1組は1人~6人のパーティーで事前登録必要

全300マスのすごろく大会※難易度による分岐有

マスには……


・○○の討伐

・●●の入手

・すごろく的な内容


等の大小様々な課題がございます。なお、イベント参加者は期間中はスキルLvが上がりやすくなっております。

参加者相手には、期間限定レアMOBやレアアイテムも出現します。

実際にマスの上を歩くような事はなく、イベント専用アイテム〈タブレット型端末〉を参加パーティーに支給します。

すごろくのクリア報酬は、1回に付き1パーティーに1つとなっております。難易度によって報酬の内容も変化致します。

なお、期間中は何度でも参加可能です。

イベント報酬は、期間中に起こしたレアな依頼の内容、すごろく内容での活躍具合で運営側が判断しまして、20パーティーにレアなアイテムを1つ贈らして頂きます。


『すごろく……これって運の要素が強すぎない?ってか運営の意地の悪さが、ここでも発揮されてるよな……』

掲示板を見て、独り言を呟いていた。


『そうだのね。どうしようか?』

独り言のつもりだったが、しっかりと聞かれてたようだ。


問題はそこだよな。パーティーの人数が多いほど、もめる可能性が高いのだが、人数を減らすと討伐系の依頼が難しい。●●の入手と有るが魔物のレアドロップならまだ良い方なんだが、レアな自然素材系の採取等なら、はっきり言ってクリア前に詰む可能性が高いのだ。アキラの発言には、その辺も含まれている。


周りのプレイヤー達を見回すと、報酬に目が繰らんでいるのが大半で、その辺を思い付いているプレイヤーは少なそうだ。アキラは非常に優秀な友人だな。


『どうしようかな?参加はしてみたいけど報酬は……そこまでして欲しくは無いかなって感じ……かな。1回ホームに戻らない』

と周りを気遣い小声で話した。




『この前の鞄の件といい、本当に意地悪だな運営側は……』

ホームに戻って本音を漏らす。付き合いは短いが、本音を話せるくらいにはアキラと仲良くなっているからな。


先程、思いついたイベントの盲点という名の本質をアキラに話す。やはりアキラも同じ事を思っていたようで、生産系のを取得しているプレイヤーの方が、本質に気付きやすい内容でもあるのだが………


『今回は別にソロでも良いんだが………アキラ、良かったら僕とパーティー組んでくれないか?2人の方がクリア出来そうだ。報酬は、さっきも言ったが僕は要らない。クリアできたらアキラが貰ってほしい』

考えながら話す。アキラは黙って聞いていた。


『私は、最初からシュンとパーティー組むつもり。シュンが嫌だって言ってもね。報酬の方は私も要らないかな………報酬の内容によって必要な方が貰うで良いんじゃない?』

笑いながら話す。確かにそうだな、一理有る。アキラに短銃は要らないし、僕に短剣は必要ないからな。




そんな会話をしているとアクアからコールが来た。


『シュン、掲示板見たか?イベントの報酬楽しみだな。今ホームいるのか?行って良い?』


『あぁ』

コイツは全く気付いて無さそうだな………


アキラにも、アクアが本質に気付かず浮かれている事を伝えた。


『本当にアクアのパーティー抜けて正解だったかも……』

溜め息をつきながら呟いていた。僕もそう思うよ。幼馴染みで無かったら助けないくらいにはな。


『そうだ、話しは変わるけどシュンは、情報系サイトの動画見た?』

急に話しが変わり、戸惑いつつも……


『いや、あまりサイトは、見ないからな。何が載ってたんだ?』


『この前のPVPでシュンが相手を吹き飛したヤツ、顔はフードとゴーグルで隠れていたんだけど。見てた人も多いから、映ってるのプレイヤーは鞄を作っていた【黒の職人さん】って話題になってる』

僕が陰で【黒の職人さん】と呼ばれているのを知っていたので【黒の職人さん】ネタが有ったサイトを見てないのだが……やっぱり〈零距離射撃〉は、インパクト有るのか?


『目立ってるのか?装備品をイベント迄に新調して外見を変えなければ……』

只でさえ黒髪黒目の天狐族は見た事ない。と言うか、黒髪黒目が圧倒的に少ないからな。


『スキル上がってるから、私達の使う皮製の装備は作れるよね。製作品の方が品質が良いし』

アキラも乗り気のようで良かったな。素材は余りまくっているし……


『シュン、いるか?』

アクアが着いたようだ。アキラが迎え入れてくれる。


『どうでも良いけど、お前ら………最近いつも一緒だな』

そんな事は無いと思うけどな。アキラも顔を紅くして全力で否定してるし。


『それで、イベント何だがシュン達はどんな報酬だと思う?』

楽しそうに話してくるが、逆に可哀想に思えて仕方がないんだよな。


『『…………』』


『何で2人共、無言なんだ?俺、変な事言ったか?』

アクアに問われて、僕がアキラと考えていた事を話し、取り敢えず今回のイベントは2人で参加する事を告げる。この前の通称・鞄事件が有ったのでアクアも否定は出来ないようだ。


『確かに、あの掲示板の書き方なら、その可能性を否定できないな。そうなると即席パーティーは危険すぎるぞ』

やっと冷静に戻ったな。浮かれていなければ、βからのプレイヤーの経験は伊達じゃ無いはずだ。


『どうするんだ?良かったら、一緒に………』

ホームを去ろうとするアクアの去り際に聞いてみる。


『いや、まずはドームとレナに声かけてみるわ』

まぁ、それが無難だよね。ドーム達は安定感が僕とは全然違うし。



『まずは、イベントの登録だな。今日から暫くは装備の強化やイベントの準備しようか』


『了解。各自、分担して早く終わらせよう』

申請方法が不明なギルドや店舗、工房の設置や改修はイベント後に回す事になった。





広場で少し並んでイベント登録を済まして、イベント専用アイテムを受け取る。どうやら、このアイテムはイベントまでは使えないみたいだな。


ここでアキラと別れて《鍛冶》の工房を目指す。


僕は《調合》《鍛冶》の依頼品の回収と仮で試作品鞄を渡していた2人にオリジナルの鞄を渡しに行く必要が有るからな。アキラは、アキラで足りない素材等の買い出しが有るらしい。


『フレイさんいますか?』


『おるで、おっ!?シュン君、君か。この前は大変やったな。お疲れさん。依頼の品できてるで持ってき』


『ありがとうございます。取りに来るのが遅くなって、すみませんでした。これ鞄を作り直したので使って下さい』

鉄塊等を受け取り、鞄を渡す。


『またまた、えげつない性能やな。これなら倉庫要らずや。職人的には大助かりや。ありがとうな』

満足してくれたみたいで良かったな。


『それと、ホームを買ったんで近いうちに店舗も開きますから良かったら遊びに来て下さい』


『ホーム買ったんか。それならアレはどうだい?』

工房入り口のNPCを背中越しに親指で指差す。どうやら各工房のNPCに話すとホームに工房を設置したり改修出来るらしい。


当然、取得しているランク相当にしか設備の設置は出来ないみたいだがな。


どうせ、工房を回るのなら………僕はアキラにコールを入れる。



『アキラ、今大丈夫?工房のNPCに話すとホームに工房の設置や改修出が来るみたいなんだけど、工房回るついでに色々設置しても良い?かな』


『そうなんだ。前から決めてた事だから良いんじゃない。それなら《革製作》の工房は私が回ろうか?』


『じゃあ、そっちはお願いして良い?僕は《鍛冶》《錬金》《調合》の工房に寄ってくから』

短いコールが終わる。アキラは、話が早くて助かるよな。




『それでシュン君、君はどんなホームを買ったんだい?』

フレイさんに聞かれて、ホームの規模を説明する。


流石はフレイさんだな。内容を聞いて、


『シュン君、君は面白い』

で済ませてしまった。人の器がデカさが並みじゃ無い。


僕はNPCに工房の設置を頼み、次を目指す。


《錬金》の工房では足りない素材を大量に購入して、ここでも工房の設置を頼み、《調合》の工房を目指す。




『シュン君いらっしゃい』

工房には、ネイルさんがいた。


『遅くなってすみませんが、これが依頼されていた鞄です。あと依頼してた薬品を頂きに来ました』


『丁度良かったよ。僕達、ここにいる皆なんだが《調合》ギルド【プレパレート】を作ったんだよ。一応、僕がギルドマスターなんだ。それで今日は、お引っ越しなんだ。次からはギルドホームの方に来てね。場所は………』

うん?この場所はご近所さんではなかろうか?


『ここって近くに広い土地付きの大きなプレイヤー用のホームが有りませんか?』


『うん、有るよ。僕達のギルドは、アレの斜め前だよ』


『それ、僕達のホームなんですよ。近い内にギルドの申請とするので、またヨロシクお願いします』


『シュン君、僕はかなり驚いたよ。でも近くなのは、嬉しいかな。あっ!!そうた。ギルドの申請は、OOO内でのある程度の実績とお金があれば神殿で簡単に登録出来るよ』

なるほどな。それは良い事を教えて貰ったな。僕の知り合いのプレイヤーさんは優しく親切な人が多いな。


去り際に、ここでも工房の設置を依頼する。




『シュン』

本当にタイミングが良く現れるな。


『『ギルドの………』』


『『あははっ』』

イベントの後にしようと言っていたギルドの申請を、2人が同時に同じ事を言ったのが妙におかしく2人で吹き出した。お互い気が合うのが楽しい。


お互いに、確認するまでもなく2人で神殿に向かった。




ギルド申請証


ギルド【noir】よみ【ノワール】

ギルドマスター【アキラ】・【シュン】

ギルドメンバー【なし】

ギルド登録【支援系ギルド・生産系ギルド】

ホーム【あり】




僕らのギルドが承認された。僕達は2人共が〈大商人〉の称号持ちだったので、2人共をギルドマスターとして登録する事も出来たのは良かったな。



ここまで来たら、ついでと言うことで店舗の開設も終わらせてしまう事に。当初の予定が狂いはしたが、神殿で開設可能な為、一石二鳥となる筈なのだったのだが…………




店舗開設クエスト

クエスト詳細:露店で1,000,000フォルム売り上げろ

クリア済み



クエストが発生して、同時完了してしまった。過去の実績も採用されるみたいで助かったな。


まぁ、結局は一石二鳥だったんだけどな。




店舗登録証


店舗名【noir】よみ【ノワール】

オーナー【アキラ】・【シュン】

営業時間【不定期】




ここでも〈大商人〉称号が大活躍である。NPCを雇えるそうだ。まぁ、今は商品が無いので登録は後日になるけどな。


かなりの時間を使ったが、アキラへの報酬もこれで完了だな。まぁ、実際のところ半分くらいは、僕の目標でも有ったので、これとは別に個人的にプレゼントを贈らして貰おうかな。


ホームに戻ったら、そこはもうログインしてきた時とは別の建物だった。


本当にここか?原型が全く無いんですけど…………


『ホームここで合ってるよね?』

アキラに聞かれるが答える事が出来ない。


取り敢えず、中に入れたら【noir】のホームだと自分自身な言い聞かせて入ってみる事に………


『あっ!!入れた。ただいま』

中は………更に変わっていた。


工房部分は《革製作》系の設備が中級で、他は初級の設備なんだが……かなり豪華だ。上級の工房増設は条件を満たしてからのクエストになるらしいが、ここまでくると《木工》《細工》《裁縫》《料理》も取得して工房を増設したくなる。


まぁ、男のロマンだよね。今のところはアキラには内緒だがな。


『店舗部分、ちょっと豪華過ぎないか?』


『〈大商人〉の称号は凄く便利なんだけど、私達では少しもて余しちゃうよね』


次はギルドホームに入る。2人だけのギルド【noir】のホームには、30人以上がゆったり入れるスペースと来客用の接客スペースがある。まずは、ゆっくりお茶がしたいな。


『アキラに改めてお願いがある』


『えっ!!何?』


『僕は《家事》のスキルあるから、休憩っていうか、お茶にしたいんだが………』

アキラが目を輝かせる。OOOでは、基本的に食事をする必要が無いのだが、料理にはちゃんとした味がある。食材も売っていて《料理》スキルで調理も可能だ。


《料理》のメリットは、食べたら一時的に多少ステータスが上がる程度しかないので、完全な趣味スキル扱いなんだよな。


『じゃあ、お茶請けに何か買ってくるね』

アキラは、勢いよくホームを飛び出して行った。


アキラが楽しそうなので、僕も益々楽しくなる。今度は家具や食器を買いに行きたいな。さしあたって、今は美味しい紅茶を淹れさせて貰おうかな。



『あ~ぁ』

紅茶の準備して庭に出てたのだが、これはドン引きだな。そこには小さな公園が2つは入るくらいの綺麗な芝の庭がある。ついでにと思って《木工》の工房で庭を拡張してきたのだが、やり過ぎたかな。


まぁ、やってしまったものは仕方ないけど。気持ち良く紅茶を飲めるから良しとするかな。




クッキーを買って帰ってきたアキラとお茶にする。アキラも庭を見た時は若干引いていたが、紅茶の良い香りには勝てなかったみたいだ。


『今、外に出てみて思ったんだけど、ギルドや店舗の看板を作った方が良いかも』

確かに、大きくなり過ぎたホームは分かりにくい。場所を知ってる僕らでさえ分からなかったのだから、初めての人には絶対に分からないだろう。


『作るとなると《鍛冶》は僕が持ってるから………後は《木工》がいるかな?まぁ、SP余ってるから僕が取得するよ』


『えっ!!良いの?』


『大丈夫。あと《料理》も取得する予定。こんなに凄いホームだし、キッチンもそれなりに良い物を増設したいし』


『じゃあ《料理》は私も取るよ。お茶菓子くらい作れた方が良いかなって思うし』


『それと、スキル系でシュンに相談があるんだけど、私も遠距離攻撃スキル取得した方が良いと思うんだ。《短剣》スキルだけどだとね……』

現状、ギルドのメンバーが2人だけなので、有った方が良いかもな………そうなると、僕も近距離スキルを取るか?もともとサブ武器は欲しいと思っていたからな。


『それの方が良いかもね。それなら僕も近距離攻撃スキル取得するよ。何か良いの有る?』

近距離が得意なアキラの意見を参考にする。


『銃士で《短銃》スキルと併用になると難しいよね。武器スキルなら防御もできる《爪》、武器無しなら《拳》か《蹴脚》かな』


『《拳》って、MP使って攻撃力上げる系かな?』


『それは、どうなんだろう?多分、アーツによるとは思うけど、ごめん。詳しくは分からないかな』

《拳》に決まりかなと思う。銃を持つので手は出来るだけ空けておきたいしな。


『それで、私の遠距離攻撃スキルなんだけど《盗賊》と相性の良い《弓》スキルと《投擲》スキルと組み合わせられて、近距離・遠距離攻撃も出来る《扇》スキルにしようと思うの。属性攻撃も出来るみたいだし、どうかな?』

属性攻撃という意味では、僕の《風魔法》しかない現状、反対する理由がないかな。


『良いと思うよ。僕は《拳》にするよ。多分MP使った攻撃で防御も可能だと思うし』

これで、前衛と後衛の入れ替えも可能になったな。


『今日の残りはスキル取得と装備を整えて、スキル取得で増えた分の設備を増やそうか、後は時間あったらだけど家具や食器を買いに行かない?』


『それは素敵。後はギルドの加入条件決めてた方が良いかも…………揉めるのは、ちょっとね』


2人で話合って、生産スキル持ちで他人を支援するの事が負担にならなく威張らない人に決まった。当然、2人共が認めなければ加入不可だ。


スキルと装備を整えて、ホームの空きスペースに《木工》の設備と《料理》のキッチンを増設した。2人で買いに行ったのだが家具や食器の選択はアキラに任せた。ここは、アキラのセンスに期待だな。





次の日からイベント前日までは、狩りを中心に新しいスキルのLv上げやパーティーでの連繋を練習していた。イベントまでに出来る限りの事はやっていた。


今は、アクアからコールが有り、ホームで紅茶を飲みながら待っている。


『すまん、シュン、ホームの位置が分からなくなった、この辺だったと思うんだが………』


『あぁ………やっぱりか、すまない。金属板に【noir】って木の文字で書かれている看板が有るところだ。斜め前に《調合》ギルド【プレパレート】も有る。その辺りで見た目が一番凄い建物だ』


『………ここなのか』

アクアが、なんとも言えない顔で入ってくる。


『シュン、これはやり過ぎだ。流石に、これは………無しだろ』


『そうか?工房も設置出来るから便利だぞ』

入って来ていきなり酷い事を言うアクアにも紅茶をだす。


『言っても無駄だったか、もうそれはいい。俺は、シュン達はどんな準備したか気になって来たんだ。どんな対策が必要なのか聞きたくてな』


『一応、何が出ても良い様にしてるが………多分、強MOB討伐とか出たら僕らだけだと詰むな。生産系はスキルは大体が揃ってるから何とかなると思ってる。僕らは、報酬は興味ないからな楽しむだけだ』

まぁ、出目しだいだろうけどな。


その後は、余り実の無い話しをして時間を潰していた。取り敢えず1日やって見て情報を交換しようという事になった。






6月1日午前11時、イベント開始1時間前だが、かなりのプレイヤーがログインして広場で開始を待っていた。


当然、その中にはアキラと僕もいる。それと、今回のイベントに関しては意外では無いかも知れないが、ソロプレイヤーもちらほら見られる。ちょっと無謀じゃ無いのかな?


僕とアキラは事前に話合って難易度の低いモノを1回クリアしてみようと決めている。僕らが喋りながら待っていると………



〔お待たせ致しました。第1回OOO公式イベントを開始致します、皆様、お手元のタブレットをご用意下さい〕

アナウンスが入った。


〔開始時間に成りましたら、ダイスが表示されます。ダイスに触れて頂ければ、後は自動で進んで行きます。出目の課題をクリアすれば、またダイスが表示されます。ダイスが表示されない限りはクリア条件が達成されていない。もしくは課題に対する理解や解釈が間違っていると思って下さい。分岐点にあたるマス目の場合は難易度等の解説が入ります。皆様の(パワー)勇気(ブレイブ)知恵(インテリジェンス)を駆使して頑張って下さい。では、時間まで5分を切りましたね、暫くお待ち下さい〕

さらりと、とんでも無い事を聞いた気がするよな。クリア条件の部分がかなり曖昧に思える。




『あっ!!ダイス表示されたよ』

どうやら10面体ダイスのようだ。案外、早く攻略出来るのか?


『アキラ、最初に振っていいよ』

緊張の第1投。ちょっとドキドキしている……7が出た。5マス目の分岐点で低難度を選んで更に前進する。


・北の森で薬草を10本採集せよ


『最初は、無難なとこだな』

北の森を目指す。他にも多くのパーティーが北を目指している。他人の依頼も気になるところだが、普段から採集に使っているポイントで採集を始める。


《調合》スキルのお陰で薬草がどれなのか直ぐに分かる。周りには手当たり次第に採集しているプレイヤー達もいるな。やっぱりスキルの種類で詰む可能性が有るな。


薬草は直ぐ採集出来た。次は僕がダイスを振る……


『2か……悪い』

大丈夫と言ってくれるが、何故か申し訳なく思えてしまう。


・湖畔の街を目指せ


『新しい街か、確か【ソルジェンテ】だったかな』

僕もアキラも、まだ行った事がない。1度行った街は、ゲートで行ったり来たり出来る。イベント後に行く予定だったのでちょうど良かったな。


森からは結構な距離は有るが、徒歩で目指さなければならない。トラウマがある為、極力湖の側には近づかないようにするけどな。


湖からは離れていたが、近くの森で多くの虎型のMOBに見使ってしまった。湖ばかり警戒していたので気付くのが遅れたな。


『視認で6、気配のみ7、ホワイトタイガだと思う。弓と銃で削ってから接近しよう』

僕の言葉でアキラは、弓をかまえて矢を放って行く。


『〈フレイムアロー〉』

近くにいたホワイトタイガは生き耐える。バージョンアップで増えた魔物らしく、初期の魔物に比べては強いが、所詮は雑魚MOBだからな。何回か増援を喰らったが2人の新しいスキルやアーツの餌食になった。


昨日までの狩りで、この類いの魔物は狩りまくっている。アキラと僕が入れ替わりで前衛をしており、連繋を常に心掛けている。僕が左腕に装備している籠手は合金製の【メタルバングル】と言いフレイさんに素材を渡して作って貰った。防具だが若干の攻撃力も有るし、何よりも丈夫で軽いのが最高だな。



【メタルバングル】攻撃力+5/防御力+15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:軽量化〉



アキラの《弓》は《暗殺》スキルと相性が良いらしく急所に良く当たる。


属性攻撃の恩恵も大き様で、意外な活躍を見せるのか《扇》スキルだ。これも【メタルバングル】同様にフレイさんに特注で作って貰っている。開いた状態は普通の扇だが、閉じた状態でナイフのような形状になり《短剣》と《暗殺》スキルが使える。戦闘の補助的には十分に魅力的だった。



結局、2人して狩りに夢中になっていた。単純に連繋が繋がると楽しいのだ。そのせいで結果街に着くのに余計な時間が掛かってしまったのだがな。


街に着き、ゲートの登録を済まして、アキラが次のダイスを振る……6が出た。出目はラッキーな事に………


・ホワイトタイガの討伐※ドロップ3種の回収


だった。先程の戦闘でホワイトタイガのドロップは、レアを含めて6種全て回収していた。その為、直ぐにダイスが表示される……僕の番で出目は1………泣きたくなるな。


『かなり、足を引っ張ってるな。ごめん』


『大丈夫、大丈夫。そんな時もあるよ』

若干、凹んでいたのだがマスの内容を確認をしてテンションが上がる。すごろくっぽいのが出たな。なんと……


・1マス戻る


1マス戻っても先程の課題はクリア済みなので、またダイスが振れる。今度はアキラが振り………8がでる。


『う~ん、ダイスはアキラが振った方が良いかもな……』

2人共、自然と苦笑いにしかならない。


・宝石を3種類採掘せよ


『宝石か………2種類アクアマリンとアメジストの場所は分かるんだが、後1種類が分からないな。アキラは何か知ってる?』


『トパーズは南の門を出て、すぐの東の絶壁で採掘できるみたいだよ、前に情報系サイトで見た気がする』

そんな場所に採掘ポイントが有ったのか?わざわざ川まで行かなくても良かったじゃないか。これから少しはサイトを見ようかな。


ゲートで戻り、すぐに東の絶壁を目指す。何人か採掘しているので僕も採掘始める……鉄鋼石しか出ない。何人かは宝石を掘り出しているので無くは無いはずだ。


単純に僕の運が悪いのだ。今日ほど〈もたざる者〉の称号を疎ましく思う事はない。最近、とんでもない事に巻き込まれているのは、この称号のせいだと内心思っている。


『アキラ、何処に宝石有らそう?』

試しにアキラに聞いてみる。ここは、ビギナーズラックに期待だな。


『何?急に……分からないけどココとかココ?』

言われたところを掘って見る………やってられない、トパーズ、水晶、何故2種類も出る。


しかも1つは、情報に無いやつだぞ。アキラにやったねとか凄いねとか言われると……逆に辛いな。まぁ、開き直って川でのポイントも選んで貰おうか。


川ではアメジスト、アクアマリン、翡翠がでる。運営さん、これはやり過ぎではないですか?僕は心が潰れますよ。


ここまでに23マス進んでいる。なかなか良いペースかもしれない。低難度は50マスなので約半分くらいは進んでいる。


ちなみに中難度は100マス、高難度は150マスになっているみたいだ。


『アキラ振ってくれ、僕には運がない』

多分ステータスに運の表記が有れば限りなく0に近いだろう。ある意味で呪われている。アキラがダイスを振りまた7をだす。


・最大MP半減※すごろくをクリアするまで


また、すごろくっぽいのきたね。でも地味にきつくないかな?低難度で半減とか。まぁ、後20マスだし、ダイスを連続で振れるのはラッキーだと割りきろうかな。


また、アキラに振って貰い、今度は9が出た。これは僕の運が悪いのでは無くて、5以下出してないアキラが凄いのでは無いのだろうか?


・南の川でレアMOBを討伐


お約束の様にステータス減少後の戦闘。しかも、見た事ないレアMOB。運営さん、本当にダイスの操作してませんか?


しかし、川のレアMOBは以前にアクア達とアキラが倒していた首長亀と言う魔物で、以前は川亀を倒していれば出てきたらしい。強くもないが首しかダメージが出ないから、面倒なところは有るみたいだ。


川で狩りをしながら、アキラに選んで貰った場所を採掘していく。水精霊ばかりが出て来て、亀に会えてない。


水系の魔物には《扇》の雷属性アーツ〈紫雷扇〉が良く効いた。スキルLvが上がって分かったのだが、どうやら《拳》にも属性攻撃が無いみたいだ。まぁ、属性攻撃と言うよりもアーツが無いのだがな。


だが、攻撃にMPを使の事も出来るのでダメージの通りは良い。暫く戦っていたが川亀が出てこない。少し休憩しようとアキラに提案する。アキラも〈紫雷扇〉の多用でMPが枯渇して来ている。


『アキラお疲れさま』

アイスティを差し出す。僕の作ったMP回復促進・小の食事アイテムだ、回復よりも気持ちの問題だけどな。


『ありがとう』

美味しそうに飲んでくれた。今のうちにステータス確認をしようとしたら……



《短銃》《付与魔法》スキルが共にLv30を越えましたので派生スキル《付与銃》が発生しています。


《付与銃》《付与魔法》を銃で打ち出す。ただし銃弾が必要。攻撃力なし/SP 15必要



どうやら、新しくスキルが派生したらしいな。遠距離で《付与魔法》が使えるのは、かなり大きいよな。迷わず《付与銃》を取得する。


《付与魔法》のアーツも幾つか増えていた。一気に戦力アップだなと嬉しく思う。少しの休憩を挟み、また狩りを始める……相変わらず水精霊しか出て来ないな。


『また視認で水精霊10……それと、かなり大きい水精霊?が1匹来るよ』

何か不確定な魔物が出たらしい。こんな時は2人が《探索》スキル持ちなので助かる。ギルド加入条件に《探索》スキルを増やそしても良いかもな。


大きい水精霊は、かなり速度が速かった。僕はアキラに〈速度上昇〉〈回避上昇〉を掛けて、大きい水精霊には新しく覚えていた〈速度減少〉〈防御力減少〉を掛ける。


『アキラ、水精霊の数を減らして。大きいヤツは僕が引き付ける』


『分かった、気を付けてね』

アキラの方は〈紫雷扇〉で無双していく。


アキラに水精霊を任せて、僕は銃で牽制しながら〈ウィンドカッター〉を放っていく。相手の攻撃はMPを使った〈拳〉で防御、十分に捌けるな。しかし、今まで頼りにしていた切り札の〈零距離射撃〉はダメージが通らないのが辛いな。近距離で殴り続けてはるが……はっきり言って詰んでいる……勿論、1人だったらだがな。


『〈紫雷扇〉シュン大丈夫?』


『助かったよ、水精霊は………倒したみたいだね』

周りを確認して水精霊がいない事に気付く。アキラと《扇》は本当に相性が良いようだ。2人になれば大きい水精霊も敵ではない《付与魔法》をかけて、アキラの〈紫雷扇〉などで削り倒す。


ドロップで名前の確認も出来た。水晶霊、水精霊系のレアMOBだったみたいだ。ダイスがタブレットに表示されている。


次は6が出て、


・北の森でベリツリーの樹木の回収


採集系の課題だな。《木工》を取得したので、木材の鑑定が出来る為、久々に役に立てるな。


北の森で採集しに来たのだか、それらしい木が見当たらない。適当に採集してみても、やっぱり違うな……


『もっと奥の方か?』


『私は鑑定出来ないから、ごめんね』

アキラはその分、警戒して周りの観察をしてくれているので楽に調べて行けるからな。それにスキルに関しては補い合うのが仲間だ。


『シュン、50mくらい先に木系の魔物がいる、どうする?』

木系と聞いて、ある考えが浮かぶ。

……今回の課題って採集では無く、回収と書いて有ったよな?タブレットを確認してアキラにも見せる。


『もしかしてドロップ?とりあえず狩ってみようか』

アキラも僕の言いたい内容を把握したようだ。


『じゃあ、私が牽制していくから《風魔法》お願い』

木系の魔物は、弱点属性の火や雷を使うと燃える。つまり回収しても素材が炭になっている。今では、風系が効果的な倒し方になっている。確実に1本1本枝を落としていき絶命させる。


《風魔法》を使う事で、ドロップもたんまり回収出来た。思った通りこの魔物がベリツリーだった様だ。ドロップを見て判明する。


これから、この手の課題には注意していこうかな。あそこで気付かずに闘わずにいたら確実に詰んでいた。


『あと5マスだし最後かも知れないから、シュンがダイスを振って』

アキラに言われるが1か2しかでる気がしないな。


ダイスを振る………2。分かってた事ですが、涙は止まりません。マスを確認したアキラはニコニコしている。


『やっと、ゴールだね』

何を言ってるのかが分からない……マスを見ると、


・3マス進む


『あぁ、そう言う事か』

納得出来た。3マス進むとゴールに止まれるのだ。最後の最後でラッキーだったらしい。嬉しくなってきたな。ゴールのマスは……


・広場に戻り、報酬を選ぶ


『初日で1回ゴール出来たのは良かったね。報酬貰ったら今日はログアウトかな』

アキラの意見に納得。賛成。反対無し。2人ともが疲れている。


広場に着くと、既に数パーティーが列を作っていた。ランキングが出ており、1番速かったパーティーは2時間でクリアしていた。おいおい、とんでもなく神がかったプレイヤーがいるな。



低難度の報酬は、


・レア素材3個

・限定武器

・限定アクセサリー

・生産道具初級3種セット



上記の中から1つらしい。アキラはレア素材3個を選んだ。まぁ、僕でもそれを選ぶよな。僕らで使えない素材だったとしても依頼して作って貰えば良いからな。


武器やアクセサリーは装備出来るか分からないし、生産道具は殆ど持っているからな、アキラ的には消去法だったみたいだけどな。


ただ、報酬の方はイベント後にまとめて支給されるらしい。


今日は、それでアキラと別れる。アキラは直ぐにログアウトしたみたいだ。明日は日曜日で朝からログインして、中難度の攻略を目指す予定だ。


少し情報が欲しいので、今日採集や回収した素材を加工しながら、アクアからの連絡を待つ。


木材関連は使いどころが、今まで看板だけと少なかったのでかなりの量が倉庫にある。作りたいものが出来たので、試作品を作っていく。


縫う工程とは違い、《木工》で使う技術はリアルでもやった事がない。試作品は形にすらならない。まぁ、地道にいこうと思う。


どうやら、かなり集中していたみたいだな。あれから2時間も経過していた。一息ついて紅茶を飲んでいるとアクア達3人がやって来た。


『ホームが変わったとアクアに聞いてだが、これは凄いな』


『だよね~』

ドームとレナに言われるが、もう馴れたよ………


『そっちは、どうだったんだ?こっちは低難度で1回クリアした………まぁ、結局はアキラの幸運のおかげだけどな』

出目や課題の内容、報酬等の情報を出していった。


『1回クリアしたのか、凄いな。俺達は他に生産を取っているプレイヤー3人と6人パーティーを組んで、中難度を目指したが、全然ダメだった』

ドームが言うには、素材の採集系で詰まったらしい。30マス目には、高難度との分岐点も有ったらしい。


『どんな課題か聞いていいか?』

皆にも紅茶を出していく。


『あぁ、課題は〈東の絶壁でロックボーン原石の回収〉だ。採掘できるプレイヤーが頑張ったが全然出なかった』

やっぱりか……


『その課題、回収って書いてあるんだよな……それ多分、魔物のドロップだぞ。本当に採掘なら採掘って課題になるはずだ。僕らも樹木だったが似た課題があったからな。バージョンアップで増えた魔物かイベント限定の魔物じゃないか?』

マジで!?って顔されても困るんだが、僕としては気付いて欲しい部類の課題だ。


『他に出た課題を教えてくれ。僕らも明日は中難度を目指す予定だからな。それで、討伐系の魔物の強さはどうだった?』

38マス現在、まだ強MOBの討伐は出てきてないらしい。ロックバードを50体討伐等は有ったらしい。それはちょっとキツいかな。


他のパーティーの話しらしいが、ふりだしに戻るが有ったらしい。まぁ、すごろくならお約束だよね。やっぱり地道にいこうか。まだ日は有るからな。





装備

武器

【デルタシーク】攻撃力30〈特殊効果:なし〉×2丁

【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉×2丁

【銃弾Lv2】攻撃力+10〈特殊効果:なし〉

防具

【ゴーグル】防御力3〈特殊効果:命中補正・微〉

【レザーブレスト】防御力15〈特殊効果:なし〉

【冒険者の服】防御力10〈特殊効果:なし〉

【メタルバングル】攻撃力+5/防御力+15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:軽量化〉

【レザーブーツ】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ローブマント】防御力10〈特殊効果:なし〉

アクセサリー

【ウルフダブルホルスター】防御力5〈特殊効果:速度上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉

【左狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉

【右狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉



《銃士》Lv41

《短銃》Lv51《拳》Lv15《速度強化》Lv35《回避強化》Lv32《風魔法》Lv34《魔力回復補助》Lv35《付与魔法》Lv33《付与銃》Lv5《錬金》Lv11《探索》Lv42


サブ

《調合》Lv9《鍛冶》Lv10《家事》Lv25《革職人》Lv32《木工》Lv8《料理》Lv3《鞄職人》Lv39


SP 25


new魔法

〈攻撃力減少〉

習得条件/《付与魔法》スキルLv30


〈魔法攻撃力減少〉

習得条件/《付与魔法》スキルLv30


〈速度減少〉

習得条件/《付与魔法》スキルLv30




称号

〈もたざる者〉〈改めてトラウマを得た者〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉

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