………と思っていたが間違いだったようだ
今週は2話連続投稿です。お間違えの無いようにお願いします
僕とカゲロウは、完成どころか開発の糸口すら見えないMPポーションの事を一端置いておき畑作業に掛かる事にした。
《農業》スキルを取得しているカゲロウが、種を蒔くのと同時に芽が出てくる。これは《農業》スキルには栽培促進と言う効果が有るらしい。僕が同じ様に植えても、カゲロウみたいに瞬間的に発芽してこない。
しかし、スキルの取得に関係無く種を植えと同時に収穫時期が分かるのは便利だよな。
《農業》スキルの取得者と非取得者の最も大きな違いは、成長の違いだ。非取得者は種を植えて採取する前に最短72時間掛かるが、取得者は最短24時間と3分の1に短縮される様だ。生産効率から考えると大きな差だよな。
こんな違いを見せられると、ますます《農業》スキルが欲しくなるよな。
【noir】の畑は3分の2がカゲロウの薬草園で薬草の他にも多くの毒草が植えられている。これは状態異常回復薬の作成に必要になる。畑での薬草類の栽培は【プレパラート】も既に始めているらしく、ネイルさんに勧められた結果の様だ。
そして、残りの3分の1は…………
『なぁ、ギルマス。ギルマスは一体そこで何がしたいんだ?』
『うん!?何って、植物園かな』
僕の植物園だ。ここには紅茶用の茶葉数種類だけで無く、コーヒーやバナナ、カカオの木等も植えられている、まるで南国の様だな。その為に植物園の一部分をカゲロウに頼んでビニールハウスに設置して貰っている。
それに、カゲロウにも秘密にしている事だが、ビニールハウスの端の方で僕の大好きな苺も栽培している。ケイトが牛乳やチーズ等の乳製品を作ったらケーキでも作って素敵なティータイムも良いかもな。あぁ、練乳をかけてそのまんまでも良いな。ヤバイな、妄想が止まらない。
あと、クリスマス時期にはケーキを作って売っても面白いかな。
ちなみにビニールハウスの設置も《農業》スキル取得者だけの権利らしい。本当に《農業》スキル欲しくなってきたよな。
『植物園?それは良く言い過ぎだろ。どう見てもカオス的な何かだろ………季節感も栽培出来る土地も全てバラバラになっているぞ。成長に悪影響が出るぞ』
『そうなのか?ちなみにどんな風に?』
成長せずに枯れるとか、味に悪影響が出る様なら、考え直す必要がある。
『成長が遅くなる感じだな。ざっと見たところ、スキル無しのギルマスだと…………予定日よりも5日~7日後ってところだ』
『それだけか?』
『それだけか?って十分に悪影響だろ。生産効率が下がるんだぞ』
あぁ~~~生産効率って…………カゲロウも、どっぷりと生産にハマってるよな。
『味に影響が出ないなら問題無いぞ。植物園は趣味の延長だからな。あと、畑の拡張とかは自由にやってくれて良いからな。必要なら【noir】の資金を使ってくれ』
この調子でホームを大きくしていくと街1つ分位にはなるかもな。まだ買っただけで使っていない土地が余っているので、今直ぐにと言う訳では無いがな。でも、そうなると移転が必要になってくるから、流石に無理かな。
『分かった。一応、ギルマスの植物園の管理もまとめて俺がする。雑草とかも適当に処分するからな』
『マジか!?サンキュ。助かるぞ』
流石に毎日はログイン出来ないから有り難いな。
ベストな収穫時期が多少ずれても、収穫物が枯れる事は無い。ただし、収穫物の性能や収穫量が多少減少する。味に全く影響が無いので、僕的には問題無いんだけどな。
『ギルマス、収穫は自分でしろよ』
『勿論だ。僕の収穫を楽しみにしてろよ』
お礼の代わりと言ってはなんだが、最初の苺はカゲロウにも食べさせてやろうかな。
でも、これでやり残しは船の改造だけだな。許可も有るし、自由にやらせて貰おうかな。まずは《機械製作》でパーツ造り兼Lv 上げだな。今回は大量に使うから素材の回収も必要になるか…………予定には無かったが久々に鉱山でも行くか、そう言えば鉱山の奧に居るのボスは倒した事無いよな。中ボスみたいなのは倒した事が有るんだけど…………ボスはソロでも狩れるのか?1人か、死ぬ事は無いだろうけど若干の不安はよぎるな…………
まぁ、明日だな、明日。今日はもう遅いからな。アクア達にも聞けば何か分かるだろうしな。
「蒼真、鉱山のボスはソロでも倒せるのか?」
翌日の昼休み、弁当を広げる前に蒼真に聞いてみた。丁度2人しか居ないのでタイミングも良いだろう。
ちなみに純は日直で遅れているし、晶とレイカちゃんはジャンケンに負けた為、5人分のジュースを買いに食堂まで行っている。
余談だが、現在僕はジュース買い出しジャンケン3連勝中だ。普段の運の悪さからみると凄く良く感じるが、3連勝の前に悪夢の15連敗を記録している。同時に、これはワースト記録だったりもするんだよな。
「急にどうした?」
「鉱山で採掘ついでにボスでも狩ろうかなって思ったから聞いてみた」
「まぁ、ビークィーンをソロで狩れるなら大丈夫だろ。ソロで倒す動画も情報サイトにアップされてるぞ。参考になるんじゃないか?それにしても普通と目的が逆なんだな、お前は…………」
そんな動画も有るんだな。動画に良い思い出が無いから敬遠していたが参考程度に見ても良いかもな。
「あくまでも、僕のシュンは生産系の職人だ。間違えるなよ」
「あんな狂暴な職人が居てたまるか」
刀を持ったフレイはもっと凶暴だと思うんだがな。
「そうだ。動画見るなら、ついでに再生回数ランキング1位の動画も見てみろ。驚くぞ」
ニヤニヤとこっちを見ながら笑っている。
「…………気が向いたらな」
どうせ、黒の職人さん関係の動画だろう、わざわざ確認するまでも無いだろうな。
「おぉ~~~!!」
OOOにログインする前に蒼真に言われた通り、鉱山ボスのソロ討伐動画を見ている。ボスも岩系の巨大MOBだった。内心はボスの大きさに驚くよりも、ボスMOBからも採掘出来そうな事の方が驚きだよな。
アップされている動画は、はっきり言って参考にならない。どれもガチの前衛系で遠距離プレイヤーのソロ討伐動画は全く無かったからな。まぁ、どれも凄い動きや見た事の無いアーツも使っているんで見ているだけでも楽しい訳だけどな。
それにしても、倒される前に物理で倒せ。と言う言葉が聞こえてきそうなくらいの脳筋プレイだな。まぁ、ボスの動きだけは参考になるかな。
一通り動画を確認して僕なりの対処法を考えている。その作戦と言うのは、いつも通り回避主体での戦いでは無く…………白と黒に頼りきった完全な脳筋プレイ。あんなに男らしい動画を見たら気持ちが高ぶっても仕方ないよな。
「ランキング、ランキング………これか。はっ!?」
蒼真に言われた事も有り、動画再生ランキングを確認していたのだが………1・2位はジュネの動画だった。4位に黒の職人さん、7位にアクアの動画になっている。
驚くべきは、4位の黒の職人さん動画以外のベスト10は、ソロでの小規模レイドバトル用ボスの討伐動画だった。イベント以外でもレイドバトルが有るのは知っていたのだが、ソロで討伐しようとするプレイヤーがいるとは思わなかったよな。
この場合、ソロで討伐したプレイヤーの数を驚いた方が正しいのか、ただのPVP動画でランクインしている僕自身を驚く方が正しいのか分からないよな。
「うぁ~~~………」
取り敢えず1位の動画だけ見てみたが…………これは、全くいたたまれない結果だよな。
ジュネが《魔術師》系のジョブで、どうやってレイドバトル用のボスを倒しているかと言うと、戦闘開始と同時にボスの攻撃を回避しながら、弱点に当たる属性の上位魔法を唱えてトラップの様に設置しているのだ。MPが尽きるまで数十発の魔法を設置出来たら、コンボが繋がる様にボスを誘導して着火用の魔法を放つ……………打ち上げ花火の様に魔法が次々と連発で放たれて、コンボが繋がり、ボスは光となり消えていく。準備に30分以上掛かっている超長い動画だが、戦闘での非ダメージは0でレイドボスを倒しているし、最初は地味だが最後が凄く派手なので人気が有るのも分かるよな。
それにしても我が姉ながら、本当にろくでもない結果だよな。また魔法の威力やスキルランクが上がっている気もするしな。
結局、ジュネの動画だけでお腹がいっぱいになってしまった僕は、かなり時間も使った事も有り、OOO にログイン直後、鉱山に突入している。
他の動画までは見る気にならなかったよな。他も相当凄いんだろうな…………やや、テンションは下がり気味だが採掘の手は休む事無く進んでいる。今回は、ボスの討伐も兼ねているのでループ採掘は程々にしているので進行具合も悪く無い。
『主よ、普段もこれくらいにして欲しいものじゃ』
『フレイが居たら無理だな。今後ソロの時は考えるな』
魔物から採掘しているので、自然素材は枯渇こそしないが、他のプレイヤーに迷惑をかけているのは分かっているからな。何事も程々が1番だろう………
『それと、そろそろボス部屋か?』
殆んどマップは埋まっているので、埋まっていない場所がボス部屋だろうな。
『うむ、その先じゃ』
『……………先客』
『先客?マジか!?』
タイミングが悪いな。乱入は当然有り得ないので復活するまで待たなければならないな。まぁ、適当に狩り、もとい採掘でもするかな…………
『主よ、先客が死にそうなのじゃ…………』
『……………助ける?』
いや、助けても良いのだが、マナー違反じゃ無いのかな。
『取り敢えず、様子を見てみるか………』
うん!?戦ってるのもソロか?かなり分が悪そうだな。って言うか動画で見たボスと違うんだが………ボスじゃ無いのか?
『そこ、誰かいるのか?いるんだったら手伝ってくれないか?』
今にも倒れそうなくらいに苦戦中の太い棒を持つプレイヤーから声が掛かる。棍棒系の武器か?
『いるが、参加しても良いのか?』
『頼む。トラップでパーティーが壊滅した』
トラップ?そんな情報も無かったよな。やっぱり事前に情報を得て対処法を知っていると、そればかりに集中して、ちょっとの事でも動揺するよな……………
〔『主よ、どうするのじゃ?』〕
〔『予定と変わったからな、ループ採掘は諦めて以前に覚えていたが全く使って無かった《双銃》のアーツ〈奥義セブンスター〉の試し撃ちでもするかな。だから【雷光風】を使う。その前に、白、黒、あのプレイヤー回復させるのに力を貸してもらうぞ』〕
『了解だ。援護する。取り敢えず回復を受け取れ』
【白竜】と【黒竜】でプレイヤーを射撃して、武器を持ち変える。
『な、何!?おっ、お~~』
他のプレイヤーが始めて白達の能力を見た時の驚き方も飽きてきたな。
瀕死だったHPが一気に全回復した事に驚いているな。回復方法の無い前衛1人だけでよく持ってたよな、それなりに上位プレイヤーなのだろう。ついでに…………
『オッサン。これは、オマケだ〈攻撃力上昇〉〈防御力上昇〉』
『助かった。恩にきる。だが、俺はこれでも20歳だ』
実年齢は、僕の知った事ではない。キャラの見た目が、かなりのオッサンなのだ、呼び方はオッサンで十分だろう。
『礼はいい。状況を教えてくれ。コイツはボスなのか?』
『分からない。俺達がボス部屋に入ったら、ボスはコイツ、オーガロックックに食べられている最中だった』
おいおい、ボスを食べるってどう言う了見だ。見た感じはボスよりも1周りは小さいぞ。オーガロックックか、名前も違う…………今度、アクアに教えてやるかな。
良し、話している間に《見ない感じ》でオーガロックックの把握が完了したぞ。
『了解だ。オーガロックックの弱点属性は水だ。対応策は有るか?』
『お前は何者なんだ?回復系だけで無く《探索》系まで持っているのか?』
【白竜】と【黒竜】を使った時点で正体がバレたと思っていたが、自意識過剰だったようだな。気付いていないなら正体は隠させて貰おうかな。
『名前やスキル構成は秘密だ。基本ソロプレイヤーだからな。1人で何でも出来ないとな。僕から行くぞ、続け。〈奥義セブンスター〉』
7発の弾道の軌跡が北斗七星を描き着弾すると同時に輝きを増していく。弱点属性とは違うが流石は奥義の名が付くアーツだな。何よりも綺麗で魔銃向きだ。
『すまない。威力は低いが………喰らえ〈水流打ち上げ〉〈打ち下ろし〉』
地面から水が吹き出しオーガロックックを持ち上げ、続けて空中から地面に叩き付けられる。
属性が対応していた事も有り、僕のアーツ以上のダメージが出る。これでも威力が低いとか…………悲しくなるんだけどな。
『OKだ。僕が戦況をコントロールする、気にせずに攻めてくれ』
これが得策だろう。オッサンが攻めて、僕が牽制する。慣れ親しんだ戦闘だ。戦局が安定した今、負ける事は無いだろう。
程なくして、オーガロックックは土に返って行く。フォローに回った為に、予定よりは素材が手に入らなかったが、状況が状況なだけに、それも仕方ないだろうな。
『オッサン、お疲れ様。じゃあな』
『ちょっと待ってくれ。お礼がしたい、せめて名前だけでも教えてくれ』
名前を教えて、パーティーに誘われたりしても面倒くさいからな………
『気にするな。こう言う場合は、お互い様だろ。ボスドロップも有るし、これで十分だ。それに、僕は少し急いでいるからな、また何処かで会ったらヨロシクな。じゃあな』
実際にオッサンよりも遥かに多い戦利品を手に入れているし、一応ダンジョンもクリア扱いになっているので僕的には問題は無いからな。
それに、この後には手に入った《機械製作》用の素材でLv上げが待っている。もう少しで浮遊装置が作れそうなのだ。オッサンに時間を使っている暇は無いな。ただでさえ、今日は出だしで遅れているので、少しの時間も無駄にしたくないからな。
ようやく《機械製作》に入れるな。まぁ、これも《造船》の為の第一歩なんだけどな。
先ずは、ビスやナットを小さい物から大きな物まで増産していく。《機械製作》では、素材を部品に加工する事が大事だ。幾ら素材が有っても部品が無いと何も作る事が出来ない。高ランク品になるにつれて必要な部品も多くなるので、こまめな補充が必要になる。Lvも上がるから一石二鳥………いや、工匠ボーナスの増殖の恩恵も有るから一石三鳥かな。
かなりのアイテムを生産して分かった事だが、工匠ボーナスの増殖は低ランクの物程発生しやすい様だ。まぁ、高ランク品が増殖しまくればゲームバランスが崩れるんだけどな。
さて部品も揃ったし必要な物を作っていくか…………と思った矢先にコールだ。
しかも、フレイからだ。フレイからメールでは無くコールが来るとは………嫌な予感しかしないんだが。
『シュン、今何処?』
『工房の奥で《機械製作》中だ』
『丁度良かったわ。何も聞かずに、ちょっとリビングおいで?ちょっとお姉さん達と話しよか、大事な大事な会議が有るんよ』
普段のフレイからは想像も出来ない甘い声…………逆に怖い。
『今は立て込んでるからな、後ではダメか?』
あわよくば、このまま関わらずに逃げたいものだ。もし可能なら、アクアかカゲロウを身代わりに立てる。
〔『白、黒、頼む様子を見て来てくれ』〕
〔『了解じゃ』〕
持つべきものは、やっぱり白と黒だな。感謝するぞ。
『そんな事言わずにや、ウチだけちゃうんやでヒナタとケイトもおるんよ。お菓子も有るで。何ならウチらが迎えに行こか?』
『い、いや、大丈夫だ。僕から向かう』
事実上の死刑宣告と包囲完了宣告………リビングを固められては外にも出れない…………当然ログアウトも。僕は何処かで死亡フラグでも立てたのだろうか?
『ほな、待ってるから早く来るんやで』
『り、了解だ』
選択肢は2つ。1つは、素直に出頭し謝り倒す。この場合は何が原因かが分からないので更に地雷を踏む可能性が有るよな。
もう1つは、お客を呼びまくって撹乱する、木を隠すなら森の中作戦。この場合は次に合う時が怖い。
どっちにしても、選択を誤ると無事では済まない気がするよな。それならば…………前者の作戦が吉かな?
『主よ、天狐の姉様方は優しそうに微笑んでおったのじゃ。これ以上待たせるのは、天狐の姉様に悪いのじゃ』
『…………急いで行く。早く』
2匹ともの反応が普段と違うよな。白がフレイを天狐の姉様と呼んだ事は今まで無いんだけどな。
やっぱり約束を破って《見ない感じ》を使うか?いや、それが1番悪手だろうな。万が一、本当に万が一だが何も無かったのなら必要の無い罪を犯す事になるのだからな。
罪の自覚が無い事が、僕の1番の罪なのかもな…………
参ったな………本当にギブアップだ。然り気無く原因を探りつつ、前者の作戦で謝り倒すとするか。
『悪いな。待たせたか?』
『いやいや、大丈夫やで。夜は長いからな~~』
夜は長いって、一体何時までやるつもりだ?僕はそろそろログアウトでも良いんだがな。
『そうです。マスター、ここに座ってお菓子でも食べて下さいです。私が焼きましたので遠慮は要りませんです』
『シュンさんが好きな紅茶も有りますよ』
美味しそうなクッキーお紅茶を勧めてくるが、喉を通りそうも無いな。
3人とも、口調や、態度は優しいが目が笑ってらっしゃらない。
一緒にリビングに入った白と黒は、いつの間にかフレイの肩に待機している。僕の相棒達は、既に買収されていたようだな。美味しそうにクッキーを食べている。僕の価値少し安くないですか?
そして、然り気無く指定された位置はゲートから1番遠い席。やっぱり、3人は僕を逃がす気は無いのか、やっと覚悟が決まったよ…………
『色々と覚悟は出来たんだが、最初に僕から質問していいか?』
『そやな~、ウチらも聞きたい事ようさん有るからな。最初に質問してもええで』
『なら、お言葉に甘えさせて貰う。すいません。僕は一体何をしたんでしょうか?』
これを知らなければ対策が取れない。ドツボに填まるのだけは避けなければならないからな。
『なんや、早速今回の本命の方かいな。ケイト』
本命の方?1つじゃ無いのか?
『はいです。単刀直入に聞きますです。マスターはアキラと付き合っているのですか?です』
『???はい?…………ええ~~そうなのか?僕とアキラは、いつから付き合ってたんだ?』
うん!?今の僕の発言は何か変だったよな…………
『じれったいの~。指環や、指環。アレはシュンがプレゼントしたんやろ?』
『あぁ、そうだぞ。ヒナタにイヤリングをプレゼントしたらアキラも欲しそうにしてたからな。本当はアキラの装備的にはブレスレットが良かったんだけど、ちょっとデザインで失敗したからな。それで素材が足りなくて仕方なく指環にしたんだよ。イベントの時にクリスタルをもう少し採掘しておけば、素敵なブレスレットが作れたと思うんだよな。それが関係有るのか?』
僕の発言と共に3人が1ヶ所に集まって何かを話している。
『アカンわ。そう言えば、アイツはシュンやったわ』
『鈍感・無関心大王でしたです』
『冷静になると、私もアクセサリー貰ってましたね』
と3人の話す声が、ところどころ聞こえてくる。不本意な事も聞こえているが、嵐は過ぎ去った気がするのでワザワザ蒸し返す事はしたくない。ツッコンだら負ける気もするしな。
『シュン、待たせたな。最終確認なんやが、アキラとは付き合って無いんやな?』
『あぁ、付き合って無いぞ。まぁ、アキラは好きだけど、それを言うならフレイやヒナタ、ケイト、カゲロウも好きだぞ。それ、アキラが言ったのか?』
アキラを好きだと言った瞬間に一瞬空気が凍り付いたが………その後の言葉で、場の空気が変わった。
『いや、ネタの出所はリツや。シュンがアキラの指に指環を填めてたって教えてくれたんや』
あぁ、リツか………あの時見られてたからな。変な噂を流すとは、今度お説教が必要な様だ。
『マスター、お願いが有るです。私にも指環プレゼントして下さいです』
『ウチもや』
『私もお願い出来ますか?』
『それくらいなら構わないが………あっ、ダメだ。クリスタルが無いから火属性無効の特殊効果が付けれない』
また新しい予定が増えたな………まぁ、普段からお世話になっているから良いかな。
『はっ!?ちょっと待てシュン。クリスタルならウチの分を使ったらええけど。火属性無効ってなんや?』
『生産スキルが工匠にランクアップして、新しく付けれる様になった特殊効果だけど………あっ、工匠の事言って無かったっけ?』
そう言えば、話して無かったかもな。火属性無効の特殊効果と一緒に工匠の事も説明していく。工匠ボーナスで倉庫の在庫が充実している事もな。
『それでか、倉庫の在庫と素材の残量が合わんかったんわ…………それにしても呪のアイテムも作ったんかいな。ほんまに自分、話題に困らんな』
『それで、3人はどんな指環が良いんだ?クリスタルが有るなら、火属性以外にも水、風、地、氷、雷属性無効は作れるぞ。光と闇は出来ないけどな』
流石に上位属性無効はまだ付けれない。これはスキルの進化待ちだな。
『では、私は雷属性無効をお願い出来ますか?』
『ウチは、そやな。アキラと同じで火属性無効や』
『マスター、私は地属性無効をお願いしますです』
『デザインは僕任せで良いのか?』
3人が同時に頷いてくる。属性やキャラの見た目に合ったデザインが出来たらいいよな。
それにしても何とかなって良かったな。
『マスター、ギルドの新メンバーの件ですが、3種類のクエストをする事になりましたです。協力をお願いしますです』
3種類もクエストをするのか………頑張って考えたんだろうな。
『ウチやアキラも協力するんやで』
他への根回しも十分みたいだな。
『おう、良いぞ。どんなクエストにするんだ?』
『1つ目は、私主体のクエストで《木工》《造船》職人を募集します。初心者プレイヤー限定で、あっクエスト3つ共に初心者プレイヤー限定なんですけどね。制限時間内に木彫りの彫刻を彫るクエストです。アキラさんに手伝って貰います』
これはヒナタが考えたクエストで、完成品だけで無く木彫りの彫刻を彫る時の姿勢や技術も評価対象になるらしい。
なかなか面白そうだよな。時間が合ったら見に行きたいな。
『2つ目は私が考えましたです、お手伝い系のクエストを期間内に複数件クリアした時の報酬で貰える記念品を持って来たプレイヤーが合格になりますです』
『これは、ウチが手伝うんやで』
この記念品は月毎に変わるので、月が変わった時を開始日にすれば公平な審査が出来る様らしい。
ルールも運営が管理しているので、ズルイ事が出来ない。記念品獲得までに手間が掛かるクエストだな。ちなみにケイトは既に3個の記念品を持っている強者だ。
『じゃあ、最後は………』
『俺だ。俺のクエストは鬼ごっこだ』
いつの間にかリビングに、カゲロウが入って来ていた。誰かがメールしたんだろうな。ヒナタかな?それにしても鬼ごっことは、ぶっ飛んだクエストだな。
『鬼ごっこか…………これを僕が手伝ったら良いのかな?それで、ルールは?』
『ルールは簡単。【シュバルツランド】の街中を逃げるギルマスを最初に捕まえたプレイヤーが勝利だ。題して〔黒の職人さんVS初心者プレイヤー 捕まえれるなら捕まえてみろ、捕まえたプレイヤーあなたの勝ちだ鬼ごっこ〕だ』
『ちょっと待て、俺が追っかけられるのか?カゲロウは何をするんだ?カゲロウが逃げれば良いだろ?』
これでは手伝うんじゃ無くて、どう考えても僕がメインのクエストだろ………これ以上、悪目立ちはしたくないぞ。
『俺は審判だから、競技に参加出来ないのも有るんだが、1番大きな理由は、俺自身が有名なプレイヤーじゃ無いからだ。ギルマスなら知らないプレイヤーの方が少ないだろ』
最もな理由………最もな理由なのだが全く納得出来ない。
『ちなみに、既にクエスト申請済みだからキャンセル不可だぞ。ギルマスの代わりに畑の面倒を見るんだからな、これくらいはやって貰わないとな』
もう根回し済みか………本当に根回しが十分過ぎるな。
3人寄れば文殊の知恵って言うが……………間違いだったようだな。
装備
武器
【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉
【白竜Lv58】攻撃力0/回復力198〈特殊効果:身体回復/光属性〉
【黒竜Lv58】攻撃力0/回復力198〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
天狐族Lv58
《双銃士》Lv78
《魔銃》Lv75※上限《操銃》Lv22《短剣技》Lv25《拳》Lv48《速度強化》Lv100※上限《回避強化》Lv100※上限《魔力回復補助》Lv100※上限《付与術》Lv70※上限《付与銃》Lv75※上限《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv26
サブ
《調合工匠》Lv28《上級鍛冶工匠》Lv3《上級革工匠》Lv6《木工工匠》Lv34《上級鞄工匠》Lv8《細工工匠》Lv42《錬金工匠》Lv40《銃工匠》Lv28《裁縫工匠》Lv15《機械工匠》Lv18《調理師》Lv4《造船》Lv15《家守護神》Lv42《合成》Lv43《楽器製作》Lv5《バイリンガル》Lv2
SP 38
称号
〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈摂理への反逆者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉〈工匠〉〈呪われし者〉