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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第5章
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3人寄れば文殊の知恵………

『アキラ、依頼の弓出来たぞ。ちょっとした説明が有るんだが、少し時間良いか?』

《鍛冶工匠》を《上級鍛冶工匠》に進化させた事も有り、順調にアキラとリツの依頼品を製作し終わっている。あれ以降は特に呪われる事も新しい工匠ボーナスが現れる事も無く順調に製作出来た。


『大丈夫だよ。雪ちゃん、ちょっと待っててね』


『悪いな。少し時間が掛かると思うから、ちょっと白達と遊んでてくれ』


『うん。雪待ってるの』

慣れた感じで、白と黒を両肩に止めて中庭に出て行く。また特訓でもするのかもしれないな。まぁ、僕に街の外で狩りをする予定は無いから問題無いかな。


『それで、これが依頼の品だ』



【八重の弓】攻撃力120〈特殊効果:可変/分離/8属性選択/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中/重量軽減・大/速度上昇・中/攻撃力上昇〉



『わぁ~~!!この弓の色、綺麗~』


『気に入ってくれたみたいで良かったよ。これは【桜の弓】と【八重桜】って言う扇に分離出来る様になっているぞ。扇の方は属性を選択して属性アーツの強化も出来る様にしてあるから色々と試してみて、僕が思い付かなかった使い方も有るかも知れないからな』

僕が弓も扇も使えない為、テストが出来てない。実際に使ってみると分かる事も有りそうだからな。


『桜………だから、ピンクから白へのグラデーションになってたんだね。うん。この分離機能も素敵かも。シュン、ありがとね』

思っていた通りアキラには、ピンクと白のグラデーションも似合うな。この分なら大切に使ってくれそうで良かったな。


ちなみに【桜の弓】だが、《上級鍛冶職人》になった事も有り、射撃と同時に桜の花弁が1枚散るオシャレなエフェクトが出る様になっている。まさか、エフェクトの設定が、ここまで細かく選べる様になるとは思って無かったんだがな。


『お金の方はメール通りだから【noir】の金庫にでも入れといて』


『うん。分かった。じゃあ雪ちゃんを待たせてるから行くね』


『あっ!!ちょっと待って、もう1個有るんだよ。これ、なんて言うか、その………魔獣器では無いんだけど、アクセサリー。この前ヒナタに渡した時に欲しそうにしてたから作ってみた。個人的には上手く出来たと思ってるんだが…………まぁ、良かったら使ってくれ。これはプレゼントだから、お金は要らない』

魔獣器の時は、悪い事をしたからな。依頼以外の品をプレゼントしておきたい。



【水鏡の指環】魔法防御力10〈特殊効果:火属性無効〉〈製作ボーナス:回避上昇・中〉



『えっ!?指環!?私で良いの?ありがとう。シュンが填めてくれる?』

何回も失敗したかいが有ったな。本当は機能的にもブレスレットを作りたかったのだが…………僕がデザインするとブレスレットでは無く、アクセサリーと言うよりも無骨過ぎる腕輪と言った方がしっくりくる物が出来上がってしまったからな。


僕やアクアが装備するなら問題無いが、女の子だとな…………まぁ、指環を喜んでくれているみたいだから結果オーライかな。


それに火属性無効と言う、火属性の攻撃を全て無効化する新しい特殊効果も出来たからな。生産系の職人としては良い感じだな。暇をみて全属性分を作っておきたいところだ。


『おお、良いぞ。うん!?左手?利き手に付けるのは邪魔にならないか?右手の方が便利だと思うぞ』

アキラの場合は左手で扇を持つし、弓を引く時にも左手を使っている。小振りの指環とは言え、邪魔になると思うんだがな。やっぱりブレスレットの方が良かったかな…………


『大丈夫、左手で良いの。出来たら薬指が良いんだけど…………ダメかな?』

左手の薬指?何か意味が有るのだろうか…………アキラ自身は、耳の先まで顔を真っ赤にしている。そんなに恥ずかしいのだったら自分で填めた方が良いんじゃないのかな。まぁ、頼まれた限りは填めるんだがな。


『いや、別に良いぞ。薬指だな、了解だ。どうだ、填めてみてた感触は?』


『うん。ありがとう。どう?似合ってるかな?』

小振りの青いクリスタルを基調にした【水鏡の指環】はアキラの白く長い指を一層に引き立てている。


『お、おぅ。似合ってるな』

アキラの勢いに負ける形で答えてしまったが、話した内容は本心だ。製作者の僕が言うのも何だが本当に良く似合っているな。





『あの~お楽しみのところ申し訳有りませんが………』


『『うわっ!?』』


『リ、リツ。何時から、何時から来てたの?』

一体何時から居たのだろうか、僕の背後にいたリツの存在に全く気付かなかった。


『う~んと、指環!?良いの?ありがとう。のところからです』

かなり前から居たようだな。あの一連の流れを見られていたのは、少し恥ずかしい気がするな。


『リツ、忘れて。いや、今すぐに忘れなさい。お願いします』

ただし、僕以上にアキラの方が恥ずかしがっているようだな。若干、見ていられないかな…………僕も人の事は言えないけど。


アキラに、お願いされながらも追っかけ回されているリツが少し可愛そうに思えてもくるな。


『わ、私は、シュンに呼ばれて来ただけなのに…………』

そう言えば、確かに呼んでたな………まぁ、ドンマイ、僕。そしてリツ。


『依頼の品は出来てるぞ。ほら、これだ』


『ふむ、ふむ。今回も完璧ですね』

手渡した弓を色々な角度から吟味して答えてくる。持った感触も問題なさそうなので何よりだな。


『報酬は、いつも通りお店の方に渡しておきますね。ありがとうございました』


『ちょっと待て、リツ。それは預かっていた魔化石を組み込んだ成功品だ』


『成功品?合ってますよね』


『いや、合ってるんだが………たまたま出来た呪われた失敗品も有るんだがどうする?まぁ、当然こっちの方は魔弓では無いけどな』

僕は、呪われた装備と呪われた場合のメリット。デメリットも一緒にリツに説明していく。


『これが、本当に呪われた物ですか?見た目に違いは分からないんですけど…………』

ジト目で僕の方を見てくるが、これは間違い無く呪われた逸品だ。見た目は同じで、呪の事はステータスにも表示されていないのだ、疑うのも納得出来るけどな。


『でも、その効果ですと、2倍の攻撃力って言う効果の方は魅力ですが、結果的にはガイア達に迷惑をかけるので使えませんね』


『まぁ、そうだな。それで、この【精神の腕輪】だ。この腕輪には混乱対策が詰め込まれている』

呪い自体に対策を施す事も考えたが、出来れば呪いの効果で1つだけ………攻撃力2倍の効果は活用したかったからな。



【精神の腕輪】〈特殊効果:耐乱/防乱〉〈製作ボーナス:防乱/超耐乱〉



『なるほど、かなりメタってますね』


『メタ?そんなに金属は使って無いと思うけど………』

金属も少しは使っているが、この腕輪は御神木をメイン素材にしてクリスタルを装飾としてあしらっている。金属を使っているのはクリスタル周りだけのはずだ。


前回のイベントで採掘した僕の分のクリスタルは、アキラとリツの試作等の為に、ほぼ全てをダメにしてしまったからな。


『シュン、違うよ。リツの言ったメタるって言うのは、金属の事では無くて、簡単に言うと対策を練る事だよ』

それはゲーム用語か?それなら、確かに【精神の腕輪】は混乱に対してメタっているな。


ちなみに、この腕輪の基になっているのはアキラの為に作ろうとしたブレスレットだ。デザインが上手くいかなったので無骨な腕輪として再利用している。他の失敗作も様々な耐性を盛り込んで、この場合メタってと言うのか………ショップ【noir】の方で販売している。


『なるほどな。僕は弓を装備出来ないからテストはしていないが、これだけ混乱対策を詰め込んで有るから大丈夫だと思うぞ。使ってみるか?結果だけ教えてくれれば呪いの弓と腕輪はサービスするぞ』

僕は、これで得られる報酬よりも結果が知りたい。これが成功すれば製作物に呪いの利点だけを利用出来るからな。


『う~~ん。取り敢えず預からせて貰うね。テストする、しないはガイア達と相談して決めるよ』


『了解だ。色々と悪いが頼むな』


これで、3つ終わったか。王の依頼を兼ねた遠出まで残りは2つか………今のところ、ケイト達から加入の件の手伝いは頼まれてないからな。さて、次はどっちにするかな、正確に言うならどっちが暇かなだが………





『カゲロウ、今時間有るか?』


『ギルマスか………今はダメだ。う~ん、1時間後なら空いてるぞ』


『了解だ。1時間後に神殿の前で待ち合わせだ。種と苗買いに行くぞ』


『おう、分かった。ギルマス、遅刻するなよ』

カゲロウにコールを入れて、手短に予定を組んでいく。カゲロウ相手だと僕主体で決めれるからな、楽だな。


それにしても、忙しそうだったな。加入の件か?僕も手伝った方が良いかもな…………





この時間ならヒナタは造船所だよな。船の改造許可を頼むからな…………直接出向くとするか。幸い、カゲロウとの待ち合わせ迄には1時間も有るからな。時間つぶしにもなるだろう。


ゲートで造船所に転移してヒナタを探す。造船所には、停泊しているライトニング以外にもドック内に2隻の作りかけの船が有った。1隻は王の依頼だよな、もう1隻は………何処の依頼だ?ガイア達の船は、ちょっと前に進水式終わったはずだよな、案内状を兼ねたメールも届いてたしな。


『ヒナタいるのか?』

金槌の音がしているので、誰かが居るのは間違い無いだろう。だが………気配は1人じゃない?白と黒が居れば《探索》スキルを使って確認して貰うんだが、ホームに置いてきているので諦めるしかない。


『は~い、いますよ。赤い船の上です』

赤い船の上から声が聞こえてくる。金槌の音がする方向とは逆なので、ヒナタ以外にも誰か居るのは確定したな。


赤い船のサイズはライトニングの2倍くらい有る。ライトニングでもガイア達の36人以上乗れる船の1.5倍は有るので、いかに赤い船が大きいか分かる事だろう。まぁ、赤い船は王の依頼品で用途は国で使う物だからな、大きい方が便利なんだろうな。


『シュンさん、何か私に用ですか?』


『あぁ、ちょっとライトニングの改造許可が欲しくてな』


『………改造ですか?ちなみにどんな感じですか?』

勝手に《浮遊》スキルを《合成》した過去が有るからな………簡単に許可は出ないと思っていたが、かなり警戒されて居るようだな。


『ちょっと王の依頼を兼ねて海に出ようと思ってな、移動時間を利用して生産活動をする為に簡易の工房と《機械製作》等で作る便利なアイテムを《合成》させて貰おうかな………やっぱりダメか?』


『その程度でしたら大丈夫ですよ。シュンさんの事ですから、また変わった【アーツの書】を《合成》したり、《銃製作》で作った大砲とかを乗せるとか言うかと思いました。然り気無くゲートを登載していた時は驚きましたけどね』

先に釘を刺される形になってしまったな。当然、船に大砲等の武装を積み込むつもりは無かったがケイトから預かっている【アーツの書・潜水】位は《合成》するつもりだったんだが………


船に登載したゲートがバレているとは思わなかったな、本当に残念だ。


『その辺は、必要に応じておいおいだな。それと、ここ他にも誰か来ているのか?さっきから金槌の音がしてるんだが………』

今言った改造をやる気は有るのか?って言う驚いた目を向けられるが…………取り敢えず、完全否定はしないでおこうか。【アーツの書・潜水】を預かった時にも言われたがケイト自身が海の中の移動を楽しみにしているからな。この理由ならヒナタもダメとは言わないだろうし………


『はい。トウリョウさんのお弟子さん達が向こうで船を造っています。アキラさんには伝えてたんですが、少し前にトウリョウさんに頼まれまして、素材等の運搬を手伝って貰う代わりに空きスペースを貸してます。ダメだったでしょうか?』

確か………【カーペントリ】の造船所は1隻しか作れない小さな物だったからな、依頼の増加と共に場所が手狭になって来たんだろうな。


まぁ、いつも僕達が居れる訳では無いからな、ヒナタ1人で重い素材を運ぶ事を思ったら、空きスペースを貸すくらいは問題ないかな。だが、流石にこの大きさの船を1人で造るのには無理が無いか?


『気にしなくても大丈夫だぞ。それでヒナタの造っている船の方は順調なのか?空いてる時なら手伝うぞ。Lv上げにもなるしな』


『そうですね。もう少し先の工程に進んだら、私だけでは無理が有りますのでお願いしようと思ってました』


『そうか。いつでもメールしてくれ。予定は調節するから』

1人で無理をしていた訳では無さそうなので良かったかな。1人で造る楽しさは分からなくも無いからな。まぁ、これは【noir】のメンバー全員に言える事なんだがな。生産に没頭すると時間が経つのも、自分自身が疲れているのも忘れる。特にフレイとか、フレイとか、フレイとか………






『ギルマス、遅いぞ』


僕が、待ち合わせ場所の神殿前に着いた時には、既にカゲロウが待っていた。しかも、かなりのご立腹の様だが………僕は何かしたのだろうか?


『悪い。って言うか、まだ約束の時間までには10分あるぞ』


『ギルマスなら、早めに待ってると思って早く来てたんだよ。もう1回作業するには時間が微妙だったし』

うん!?それって完全に八つ当たりじゃないのか?しかも、生産が上手くいって無いようでイライラしているのも伝わってくる。気持ちは分からなくも無いが、人に当たるのはどうかと思うぞ。僕は気にしないから良いが………


『まぁ、種と苗代、その他必要経費は奢らせて貰うから許せ。それで、カゲロウは何を育てるんだ?』


『俺は、実験用にポーションの素材になる薬草類の種を数種と出来ればMPポーション系の素材や製作方法等の情報を手に入れたい』


『MPポーションって、魔力回復薬の事か?』


『そうだ。作り方は分からないが、最近は回復力の低い市販品以外でも高回復力のプレイヤー品が露天で売られ始めたからな。ネイルさんのところも研究してるみたいだが、俺と同じで結果が出てないんだ』

カゲロウの《調合》する薬品はショップ【noir】でも販売個数、リピート率共に上位だ。そのカゲロウが製作出来なくて、ほぼメンバー全員がカゲロウと同じ《上級調合職人》以上になっているネイルさんの【プレパレート】でも結果が出てないのか、それも市販の魔力回復薬すらも…………そのMPポーション作ったプレイヤーは凄いヤツだな。もしかしてイライラの原因はこれか?


ちなみに、カゲロウの薬品は試供品として売っている物が多い為、単価が安く優れている物が多い。個数的には売れているが、売り上げ金としては僕とフレイには大きく届いていない。


僕の鞄は販売個数を制限しているので数は売れて無いが、店舗に並べる度に消えていく。最近では店舗に並べる金曜の夜には列が出来ているくらいだ。


フレイの武器や防具はオーダーメイドの為、売りたくても数が作れないので販売個数が伸びていない現状だ。


1製品としての売り上げ1位はヒナタの作る船で、他の追随を許さないくらいの大差で君臨しているし、アキラの作る服には、コアなファンがいたりする。


現状でのショップ【noir】的には、ケイトの貢献は少ないのだが、牧場と《酪農》スキルを得たケイトがこれからどうするのかが見物だったりするよな。新鮮な牛乳とか製作されたら僕的にはミルクティーを作らずにはいられないからな。


『最近は、白と黒のお陰で回復アイテムを使ったり買ったりする事が無かったから、知らなかったな』


『ギルマスは異常だからな。それで、ギルマスが買うのは紅茶関係か?』

自覚は有るが、他人から言われるのは複雑だよな…………


『そうだな。ケイトの牛乳に負けないくらいの茶葉は作りたいからな。それと野菜や果物類の苗とかだな』


『野菜の苗?八百屋・生野菜の野菜に不満でも有るのか?ホームの冷蔵庫が簡単に埋まるくらいだから、俺はてっきりギルマス達は気に入っている物だとおもっていたぞ』

八百屋・生野菜は【noir】が贔屓にしている八百屋で店主NPCのサラダさんとも親しい。当然、この店以外で野菜を買わないくらいには品質も信頼している。


『勿論、不満は無いんだが、手作り野菜を料理するとか…………魅力的じゃないか?』


『またそれか、ギルマスは多趣味すぎるぞ。そんなに生産系を取得してるヤツは絶対他にいないぞ』

カゲロウに言われなくても、取得スキルを見れば言われた事にも納得出来る。


戦闘系のスキルよりも生産系のスキルが多いプレイヤーは少ないだろう。大抵の生産系のプレイヤーは数種を専門に扱っているので生産系のスキルが戦闘系のスキルを上回る事は無い。だが同じOOOと言う世界を楽しむなら僕は妥協をしたくないからな。


『そこは、無視してくれ。カゲロウは《農業》スキルは取得したのか?』

ただし、《農業》スキルの取得は躊躇っているのだがな………


『取得済だ。この感じだと、多分《家事》系のスキルでも育てる事は出来ると思うぞ、補正が有るかは分からないけど…………まさか、ギルマスも取得したのか?』


『いや、まだだ。検討中と言ったところだ』

カゲロウからの視線が痛いな………本当に取得していないのだが、あれはあきらかに疑っている目だがSPに余裕が無いんだよ。


《家事》系のスキルでも可能であれば、しばらくは《家守護神》で様子見が正解かもしれないな。最近ちょっとSPが心許なくなっているからな。現状では進化しそうなスキルが控え過ぎている。






カゲロウと多種多様の種と苗を買ってホームに帰ったのだが、残念な事にカゲロウの欲しがっていたMPポーションの作製情報だけは得られなかった。代わりにと言っは何だが、たまたま露店で噂のMPポーションの現物を見付けて確保する事だけは出来た。


『これが噂のMPポーションか………確かに市販の物よりは良さそうだな』

市販の物が回復力10%前後で、今手にしている物が20%前後と言ったところだろう。


ちなみに、今言った回復力に前後が付いている理由は、市販の物でもプレイヤーの製作品でも優劣が有り若干1~3%だが性能に誤差が有る。若干1~3%と言ってもボス戦などの緊急時には、大きな差になって現れたりもするのでバカには出来ないのだけどな。


『あぁ、実際のところ使う側からしたら10%の差はデカイと思うぞ』

確かに上位魔法1回分くらいの差は有るからな………


もしかして、これって………


『うん!?カゲロウ、今ポーション持っているか?』


『有るけど、どうかしたのか?』


『いや、このMPポーションの製造方法が分かったかも知れない…………』

工房に移動し、ただのポーションに自分の魔力を加えて《練金》してみる。


『出来みたいだな。これでどうだ?ほら』

アイテムのステータスはMP回復力15%………僕のMP消費も15%ってところだな。


《練金》のこう言う使い方は知らなかったな。僕の周りでは、粗悪な鉱石複数個を普通の鉱石に変えたり、複数の小さな宝石を集めて大きくしたり、加工に失敗した鉱石を元に戻す時に使う事が多い。僕の自身は銃弾を作成にも使ったりもするんだけどな。


《練金》スキルが練金術って意味なら、こう言う物質変換的な使い方が正解なのかも知れないよな。スキルLv自体が採掘で少しずつ上がっていたから特に気にもしてなかったよな。


『出来たって!?マジかよ?うぉぉ~~~、マジだ!!…………俺らが悩んでいた答えは《練金》だったって事か?』

カゲロウは僕が投げ渡したMPポーションを受け取り、アイテムのステータスを細かく確認しているみたいだな。


謎が解けて嬉しいのは分かるが、少しは製作に成功した僕を褒めてくれても良いんじゃないか?否定されるかも知れないが、僕は褒められて伸びるタイプだと思うぞ………


『みたいだな。僕は《見ない感じ》のお陰で触っていたら何となく分かったんだが…………この製作方法が正解なら《調合》系の職人が幾ら頑張っても作れない訳だよな。MP回復力とMPの消費量からみると、《練金》時に込めたMPの%分が回復力になるみたいだな』

白と黒が居たら竜の力の恩恵で回復してしまうからな、居なくて良かったかもな。お陰で、ある程度正確なデータが取れた気がするな。


実際のところ、このアイテムはMPポーションと言うよりも、MPを保存する簡易MPタンクって感じだな。


『…………違う。ちょっと待て、ギルマス。これはMPポーションと違うぞ、全く別のアイテムだ』


『はっ!?よくステータスを見たのか?MPは回復するだろ…………』

MPが回復するのにMPポーションじゃないなら、一体何だって言うんだ?


『あぁ、MPも回復するな。ギルマスこそ、ステータスを全部確認したのか?』

そう言われると全く自信は無い。MPが回復する事は確認したが、その他の事までは見てなかったかも知れない……………いや、はっきり言おう。見てなかったな。


『見てないかも知れないが、たいした問題では無いんだろ?』


『大有り。しかも、大問題だ。俺が渡したポーションのHP回復力は20%だったはすだ。だが、ギルマスが《練金》を加えたポーションはHP・MP回復力共に15%になってるだぞ。これはMPポーションじゃない、それ以上の万能系のポーションだ。名前は………そうだな、仮でカゲロウポーションEXとしておく』


『ちょっと待て!!それの名前は、あとで冷静かつ情熱的に考えよう。それよりもだ。そのポーションはHP・MP両方とも回復するって事か?』

カゲロウのネーミングセンスには僕以上の前科が有るからな。はい、そうですかと放って置く事は出来ない。


『あぁ、そうだ。これは試した方が早そうだぜ。先に謝っておくが、すまないギルマス。ちょっと我慢してくれよ』

カゲロウは武器、正確に言うなら鈍器を片手に持ち、僕を殴りつけてくる。【noir】のエリア内はメンバーのみ攻撃する事が可能な設定にして有る。作った武器の試し切りがしたいと言うフレイからのお願いなのだが、まさか僕自身が、またやられる側になるとは思ってなかったな。


『痛っ!!』

紙装甲に対しての一撃は、軽く殴られたとしても流石に効く。軽く殴られたにも関わらず、HPが1割減少。体力系の強化も必要になってくるかもな…………


普段通りに白と黒が居れば、気にならくらいの攻撃なのだが…………って言うか白、黒、いつもありがとう。


『悪いな。ギルマスはMP減ってたからな、テストに利用させて貰った。今のでHPも減ったから、丁度良いだろ。試しにカゲロウポーションEXを飲んでみろよ』

ギルマスに対する敬意が無さ過ぎる気もするが、丁度良いと思う事には納得出来る。僕自身が、いつもアクアに対してやっている事と大きく変わらないし、因果応報だろうな。これからは少しアクアにも優しくしてやろうか…………


ただ、それとは別に、ポーションの名前が決定事項になりつつ有るのが気になるところだ。皆と協力しても断固阻止させて貰うぞ。


『…………いただきます』

ゴクッ、ゴク、ゴク。


ポーションが一気に僕の体に吸収されていく。一気に飲んだ為に味わう暇も無かった。まぁ、ポーション自体を飲む事が久し振り過ぎて、元の味は思い出せないから比べられないんだけどな。


ちなみにポーション振り掛けて使用した場合も効果は有るのだが回復力が減少する。その為、緊急時を除いては飲む方法をオススメしている。


『………本当だな。HP・MP両方とも回復しているぞ』


『ステータスで理解してたが、これは凄いな。でも、これでMPポーションの謎は振り出しに戻ったって事か………』

嬉しいの半面、残念なの半面、何とも微妙な顔をしているカゲロウ。


《見ない感じ》を使っても、MPオンリーのポーションの製作方法やMPポーションの素材が分からない…………製作者が上手く隠蔽している可能性も有るな。この場合は手探りで製作を繰り返すしか無いんだよな。


案外、このMPポーション製作に成功したプレイヤーも偶然なのかも知れないよな。それか、気が付かないだけで、もの凄く単純なに製作出来るのかもな。


まぁ、乳鉢と乳棒でゴリゴリするのが………特にあの音が苦手な僕には縁の無い話なんだけどな。






装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉

【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉

【白竜Lv54】攻撃力0/回復力194〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv54】攻撃力0/回復力194〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



天狐族Lv57

《双銃士》Lv75

《魔銃》Lv74《操銃》Lv19《短剣技》Lv24《拳》Lv45《速度強化》Lv98《回避強化》Lv98《魔力回復補助》Lv99《付与術》Lv69《付与銃》Lv74《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv23


サブ

《調合工匠》Lv28《上級鍛冶工匠》Lv3《上級革工匠》Lv6《木工工匠》Lv34《上級鞄工匠》Lv8《細工工匠》Lv42《錬金工匠》Lv40《銃工匠》Lv28《裁縫工匠》Lv15《機械工匠》Lv12《調理師》Lv3《造船》Lv15《家守護神》Lv39《合成》Lv42《楽器製作》Lv5《バイリンガル》Lv2


SP 17


称号

〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈摂理への反逆者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉〈工匠〉〈呪われし者〉

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