珍客? 1
今日はログイン直後から、金属の精錬や加工に勤しんでいる。リツ依頼の魔化石を使った魔弓の製作の為だ。
今回依頼された弓は木製を含むのでは無く、銀と鉄等を組み合わせた合金をベースにする物だ。何故、今までと同じ様に木を含む弓にしないかと言うと現状で手に入る木材では、性能の面で上限が打ち止めに成っているからだ。御神木や御神巨木と言った良質な素材も有るがまともな加工法が分かっていないので良い物を作る為には、依頼された通りにアーチェリーの弓みたいにオール金属の弓が良いだろうな。
本来ならイベント後のこの時期は海に出て他の大陸や国、サーバーに遠征兼素材の採取や採掘を予定していたのだがギルドメンバー各々の予定が詰まっている為に延期になっている。
特に今はケイト達3人は色々と新メンバー加入の件で頑張っているようので、邪魔するのも悪いよな………まぁ、今の内に僕1人だけでも王の依頼を兼ねて海に出ても良いかも知れないな。久しくソロでのプレイをしてないから、たまには息抜きも必要だよな。
若干の抜け駆け感と言い訳感は否めないが、船にゲートを搭載しているので誰か1人が他のゲートが有る街の近くまで船で移動すればゲート登録も簡単だからな。それに、ちょっと《機械製作》等で船に細工すれば更に便利になりそうだしな。
そうと決まれば、さっさと依頼をこなすとするか。リツの依頼の弓はベースの形状は以前と同じだ。ただし、軽さを活かしながら持ち運びしやすい物にしたいよな………
『…………可変機能』
『可変かぁ………黒、ちなみにどんな感じ?』
持ち運びしやすいと言う点で僕も思っていた事だが、具体的な案は生まれてない。
『…………折り畳み式、ワンタッチ機能?音声変形機能?付き』
『なるほどな、その案は採用だな』
音声変形機能付きの折り畳み式は便利だと思う、依頼された弓はそれを採用しようかな。《機械製作》のLvも上がるだろうし、至れり尽くせりって感じだからな。別にもう1本、ただしリツがOKすればだが………ファミリアの卵を《合成》する用の弓も実験として作りたい。こちらは《合成》が成功した場合は魔獣器になるので折り畳み式にしなくても良いだろうな。
『主よ、その依頼をこなすのも良いのじゃが、手元に有るファミリアの卵はどうするのじゃ?』
『あれは、今のところはキープだな。ケイト達が落ち着いたら、ヒナタとカゲロウと相談って感じだな』
新しく加入するメンバー達に、ファミリアの卵を渡す予定は無いので、2人が拒否した場合は何とか言いくるめて渡すしかないよな。魔獣器に《合成》が可能なら話が早いんだがな。こればっかりはテストしてみる迄、結果が分からないからな。
【折り畳み式試作弓】攻撃力70〈特殊効果:可変/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中/重量軽減・中〉
形状確認の為に適当な素材で作ってみた割りには、中々の出来じゃないか?可変の方も問題無さそうだしな。ちなみに【折り畳み式試作弓】の折り畳んだ状態の見た目は、握力を測定する機械に似ている。リツが矢筒を腰のベルトに付けている為、それと合わせて付けても邪魔にならないような形状にした為だ。まぁ、完成品は魔弓になるので矢筒は必要なくなるかも知れないのだがな。
しかし、形状はともかくデザイン面での改良は必須だな。水晶の上位素材のクリスタルも手に入ったから、それを《細工》して使えば美しい弓には出来そうだな。
『アキラ、少し良いか?後でリツ依頼の試作弓の試し射ちを、お願いしても良いかな?アキラの鞄の共有部分に入れて有るから。裏庭で試し射ちしてみてくれ』
リビングでヒナタ達の相談に乗っていたアキラにお願いしてみる。取り込み中なので、若干気は引けるが【noir】の中で弓を使うのがアキラだけだからな、この場合は仕方無いと割り切らせてもらおうかな。
『了解したよ。後で試し射ちしておくね』
『ありがとう。お願いします』
試し射ちで問題無ければ、リツに見せて本番用だな。合金や《細工》用の素材は準備出来ているから。先に魔獣器テスト用の弓を作るか。魔獣器用の弓なので有る程度仕上げておけば、《成長》スキルによって変化するだろうからな。
『白、黒、普通の武器にファミリアの卵を《合成》して魔獣器にする事は可能だと思うか?』
『…………可能』
『うむ、実際にはやってみないと分からないのじゃが、元になる武器やスキルLv等によるとは思うが多分可能なのじゃ』
『元になる武器って言うのは…………もしかして、武器とファミリアの卵の相性が関係したりするのか?』
『そうじゃ。ワシら魔獣器には基本的な制限が有るのじゃ。例えばじゃ、鳥系なら弓、犬系は刀や剣、猿系ならナックルダスター等の打撃武器に該当したはずじゃ、主の持つ水妖石は精霊系なのでアクセサリー、銀狼石は犬系に含まれるので刀か剣、あとはアクセサリー等と相性が良かったはずじゃ。主の《目で見るんじゃない感じるんだ》では分からなかったのかの?』
『なるほどな…………流石にそこまでは分からなかったな。多分スキルLv不足か、仕様上の問題じゃないか?それと、お願いが有るんだが会話中に《目で見るんじゃない感じるんだ》はフルネームで言うのは止めてくれ。取得する時は気にならなかったが、会話で出てくるとキツいな、その名前は………』
1スキルが、あまりに他のスキルと違って万能過ぎるのも問題が有ると思うからな…………ただし、名前を除く訳だが、むしろ名前自体がちょっとした罰なのかも知れないな。
『…………って言うか、ちょっと待てよ。成長するとゴリラになる奏猿石は打撃武器になるんだな。リツの弓とは相性が良くないって事になるのか?』
『ゴリラ!?…………じゃとすれば、そう言う事になるかのう。稀にじゃが相性を無視出来るレアな物も有るのじゃ。一応ワシと黒もその例外になるしのう』
それならば、奏猿石魔獣器化計画は白紙に戻した方が良いかも知れないな。こうなると誰でも装備可能なアクセサリーと相性が良い水妖石でテストする方が良いかもな。
『…………竜なら基本は槍』
『確かに、竜って槍っぽい気がするな。竜騎士とか似合いそうだな』
僕自身、見た目では驚かない様に平静を装っているが、やっぱり白と黒ってかなりレアな存在なんだな。改めて思い知らされたな。と内心は穏やかでは無い。
『サンキュ。かなり参考になったぞ』
テストは水妖石を、少し大きめの5cm程のイヤリングを作って合成してみようかな。片耳用でも良いし、左右で形状と素材を変えて両耳用にしても良いからな。
数有るアクセサリーの中から何故イヤリングを選択したかと言うと、僕やジュネ、アクアは現実でもピアスやイヤリングは付けないが、僕達の母親は普段から身に付けているのでデザインに困らない事が大きな理由の1つだったりする。
『シュン、試作弓ってこれの事だよね。どう使うの?って言うか、これ本当に弓?』
『悪い、説明してなかったな。アキラ、試しに正射必中って言ってみて』
『正射必中。わっ!!これって可変式なの?』
『おう、一応魔弓を作る為の試作品だ。正射必中で弓形体に、待機で待機形体になるぞ。まだ試作弓だから魔化石は使って無いけど最終的に作る本番用には使う予定だ。それで、アキラに頼みたいのは試し射ちと可変のテストなんだ。使いにくいところや問題点等が有ったら教えて欲しい』
『……………シュン、私も可変式の弓を依頼します』
『はいっ!?』
『これ、かなり便利だから私も欲しいな。勿論、お金は払うから』
マジか!?魔獣器化計画を白紙にしたから合金等の素材は有るけど、アキラとリツの弓って形状も用途も違うからな、手間なんですけど……………って断れる雰囲気では無いな。また少し予定がくるったよな…………これは、今有る予定を終わらせたら本気で1人旅を考えないといけないかもな。
『分かった。あとで欲しい弓のスペックと音声認識用の言葉を決めてメールしてくれ』
この際、ついでだからアキラの扇も新しくしても良いかもな、《機械製作》スキル取得で新しいプランも思い浮かんでるいるし、ファミリアの卵を貰いっぱなしてのもな。正確に言うと貰っている訳では無いのだが、雰囲気的にはそうなるよな。
『了解。じゃあ、あとでね』
やらなければならない事が、また増えたな。えっ~と、今残っているのは…………
・リツの魔弓製作
・アキラの弓と扇の製作
・船の魔改造(ヒナタの許可が必須)
・魔獣器用のアクセサリー製作
・畑で茶葉の栽培(もしかして1番必要じゃないのか?)
・ケイト達の手伝い(必要が有れば………)
・王の依頼で海を渡って書類の運搬
etc.
ってところだよな。
『………オークション』
それも有ったな………オークションに出展する用の鞄は出来ているからな。今回は出展だけで参加自体は無理そうだな、出展の方もチャリさんに頼んでおけば大丈夫だろうな。
それで、今出来そうなのはアクセサリーか畑、船になるよな。種を売っている店にも行きたいが…………これは畑総責任者のカゲロウと相談だな。船の改造はヒナタに許可を貰うとして…………2人共、今はリビングにいるから声をかけても良いのだが、ケイトと一緒にミーティングをしているから、これ以上邪魔するのも野暮だしな。取り敢えずカゲロウとヒナタにはメールしておいて、先ずは今日中に終らせる事の出来そうなアクセサリーからだな。
『主よ、イヤリングにするのは良いのじゃが………水妖石の玉はイヤリングには大きいのじゃ、それはどうするのじゃ?』
『それはだな、ケイトの【七星杖】に煌馬石を嵌めた時もそうだったんだけど、嵌める時に微妙にサイズの調整が掛かっていたからな。別の宝石、今回は新しく手に入ったクリスタルになる訳だが………それに《合成》使えば大丈夫じゃ無いかな。あくまで勘だが、ダメならダメでその時に考える』
『………アバウト』
水妖石自体には加工が出来ないから仕方ないだろ。
それに、《合成》に失敗しても素材やアイテムの紛失等のペナルティーが無いから問題無いだろう。それに、水妖石を始めファミリアの卵の大きさは拳大の大きさも有るからな、この大きさならどのアクセサリーにも合わないと思うからな。
『主よ、ベースの形はどうするのじゃ?』
『そうだな………今イメージしているのは菱形を縦長にした感じに少し妖精を意識したデザインかな、菱形の部分にはクリスタルを青色に変えて使おうかなって思ってるぞ。片方だけ身に付けていてもお洒落な感じにしたい』
まぁ、僕が付ける訳じゃ無いので出来る限りははお洒落な物を作っておきたい。自分の分ならある程度の見栄えが悪く無ければ良いのだが、人の分となると色々悩ませられるからな。
全体を支える金属には銀を使おうかな、在庫量も多いし《細工》するにも向いているからな。
【水妖の雫】防御力15〈特殊効果:光属性〉〈製作ボーナス:詠唱短縮・小〉
クリスタルには上位属性の光属性が付くんだな。新しく付ける事の出来た製作ボーナスの詠唱短縮は魔法使い系のプレイヤーには有り難い性能だよな。
アクセサリーの名前には水妖石との《合成》が出来る事を信じてのネーミングになっている。もしダメだった場合は………いくら性能が良くても倉庫に封印される事になる噛ませ犬感の強いアクセサリーになる事だろう。
『物は試しだからな…………ふぅ~~~~《合成》』
大きく息を吐いて、左手に持つ【水妖の雫】と右手に持つ水妖石を《合成》する。今迄みたいに一瞬光り輝くのでは無く、僕の手元が光り続いている…………その間、約10秒。
『…………出来た、成功したのか?』
【水妖の雫】防御力15/魔法防御力15〈特殊効果:水属性/光属性〉〈製作ボーナス:詠唱短縮・小〉《成長進化》※女限定装備
『うむ。成功したようじゃ』
確かに水属性が加わっているし、嬉しい事に魔法防御力にも恩恵の有るアクセサリーになったようだな。嬉しい事は続き《合成》スキルLvの面でも、かなり美味しい経験値が入っている。レア素材様々だよな。
さらに武器自体に《成長進化》と言うスキルも増えている。この点はファミリアの卵の時と変わらないようだな、ステータスとして確認が出来る、出来ないは別にしてだが…………
『武器にスキルが増えているんだが、ケイトの【七星杖】の時には無かったことだよな?』
『…………能力と《合成》の違い』
『???能力と《合成》の違いって何だ?』
『主よ、黒の言いたい事は多分じゃが、主の場合は《合成》を使用したので武器に変化が起こっているのじゃ。反対にヒナタ嬢の場合は《合成》ではなく、ユニーク武器の能力として変化したのじゃと言う事かのう………』
『……………合ってる』
なるほどな、確かにアレは【七星杖】の能力に依存してるよな。【七星杖】は始めから宝石や魔石類を嵌め込む前提の武器だったはずだ。
『でも、これはユニークじゃ無いんだな………確か、白と黒の時はユニークって表示されてたよな』
『ワシらの場合は、主のオリジナルだから仕方無いのじゃ。【水妖の雫】は、あくまでアクセサリーに合成したファミリアの卵じゃ。ただしじゃ、《成長進化》した後の事までは分からんがのう』
確かに現時点では、ただのレアアクセサリーの域だよな。製作には《細工》による加工に手間が掛かるだけだからな。まぁ、今回の場合は素材の方に大きな問題が有って簡単には手に入らないんだがな………
『主よ、称号にも変化が有るようじゃ』
『えっ!?』
白に言われて、確認してみるが………
『何も変わって無い………って、これか!!』
今迄は確か〈自然の摂理に逆らう者〉だった筈の称号が………
称号変化
〈摂理への反逆者〉
様々な摂理を普通に無視し始めた不届き者への称号
取得条件/〈自然の摂理に逆らう者〉の取得後に普通では有りえない事を5回する
ただでさえ〈自然の摂理に逆らう者〉の段階で、不本意だった称号なのだが…………いや、ちょっと待てよ。トラウマ系や飼い主系の称号と違って成長称号では無かったはずだぞ等と思っていると《見ない感じ》の効果だろうか、理由が思い浮かんでくる。
『主よ、今回のは称号の成長では無く、称号の変化なのじゃ』
まぁ、白が喋りだすのとほぼ同時なので、あまり意味は無かったのだが。ただ、称号が変化するのも成長するのも感覚的には大きな違いが無いような気がする…………むしろ不意打ちなだけに変化の方が、たちが悪い気がするな。
『それで主よ、【水妖の雫】は誰にプレゼントするのじゃ?』
白のプレゼントと言う発言に若干困惑するのだが………
『これか?水妖石自体が【noir】内なら、ケイトかアキラかヒナタと相性が良いからな、アキラが断っているし…………取り敢えずヒナタに聞いてみるかな?』
『主よ、その形に問題が有ると思うのじゃが』
『そうか?僕個人的には、かなり可愛く出来てると思うぞ』
女限定の制限が無ければ、デザイン的には男が身に付けても違和感がない出来になっているはずだ。
『…………そうじゃ無い』
『取り敢えずじゃ、主よ、ヒナタ嬢だけでなく虎猫の姉さんにも聞いた方が良いと思うのじゃ』
白だけで無く、黒にも言われると言う事は…………身に覚えが無いが、僕はまた何か勘違いでもしているのかも知れないよな。
『分かった。えっ~と、今は2人共ホームに居るみたいだから、聞いてみるな』
2人にメールをしていく僕には、
『…………修羅場』
と呟いた、小さな黒の声は聞こえる事は無かった。
『ちょうど良かったよ。弓のテスト終わったところだったから、本当にシュンってタイミングは良いね』
ヒナタにメールを打ち終わると同時に工房に入って来たアキラから弓を手渡される。
『その弓、私が使うなら問題無いんだけど、前にリツの弓を使わして貰った経験から言うと、もう少し金属が柔らかい方が良いと思うよ。それと欲を言うなら、もう少し照準が合わせやすい方が良いかな』
照準は盲点だったよな。実際に僕自身は銃を使用する為、対象との距離は近い。意識して無かったところだよな。
普段、僕が銃や魔銃を使う場合には牽制以外では〈必射〉のアーツを併用している事が多い、照準を特に意識した事は無かった。牽制の場合でも当てる事よりも動きの制限をメインにしている。さらに言うと命中力に装備や《付与術》で補整を重ね掛けしているし、魔物の動きは《見ない感じ》で捕らえている。まぁ、こんな状況なのでアーツを使わなくても殆ど外さないんだがな…………
『ありがとう。助かったよ。参考にさせて貰うぞ』
弓の機能としては問題が無かった様なので、後はリツ本人に聞いてみか、残っているのは持ち手等微妙なバランスの問題等だからな、これは本人にしか分からないだろうしな。
『それで用って?』
『水妖石を《合成》した【水妖の雫】って魔獣器アクセサリーを作ったんだが、本当にアキラは良いのか?』
『えっ!?魔獣器ってアクセサリーなの!?それをヒナタに…………』
『お、おう。片耳用のイヤリングなんだけどな。昨日、アキラは要らないって言っていたけど、白がだな、ヒナタに渡す前に念の為にアキラにも聞いた方が良いって言うからな、それでだ』
それをの後は聞こえなかったが聞き直さない方が身の為だろうな。よく鈍感と言われるが流石にこれは伝わってくる………
さりげなく【水妖の雫】を手渡したが、久しぶりに迫力の有るアキラを見ている気がするな………
『白ちゃん、ありがとう。シュンの手作りアクセサリーって言うのは魅力的だけど、やっぱり私は雪ちゃんがいるから遠慮するよ』
気のせいか?手作りアクセサリーの部分が強調されていたような………
『虎猫の姉さん、良いのかの?』
『うん。ヒナタに渡してあげて』
アキラは残念そうに頷く。
『それと、メールしておいたから私の弓もヨロシクね』
アキラ用にもアクセサリー作った方が良さそうだな。素材も有るので、そんなに手間も掛からないからな。アキラには何が似合うかな?このイヤリングも似合いそうだが、ブレスレットや指輪とかも良いかもな。弓や扇と同時製作になるけど、まぁ、これくらいなら大丈夫だろう。
『お待たせしました』
アキラが工房から出ていくと入れ替わりでヒナタが入って来た。流石にタイミングが良すぎるからな、さっきの話を聞かれていたかも知れないな。
『ヒナタ、もしかして話聞こえてた?』
『ごめんなさい。立ち聞きするつもりは無かったのですが…………本当にごめんなさい』
別に僕とアキラが話をしていても気にせずに入って来てくれたら良かったんだがな。
『別に聞かれて困る内容でもないからな、気にしなくても大丈夫だぞ。それに説明が省けて助かったからな。まぁ、と言う事で【水妖の雫】を受け取って欲しい』
【noir】のメンバーに聞かれて困る内容等は、僕には無い。仮に有ったとしたらメンバーが集まるリビングや工房で話す事は無いだろうな…………
『……………本当に私で良いのでしょうか?』
『アキラには念の為に確認しただけだからな、事前にアキラとフレイとで話し合い済みだ。一応これも、ファミリアの卵を含んだ魔獣器だぞ。ケイトと一緒だ、変身する種族は違うんだけどな。それに僕には白と黒いるし、フレイは自分で造りたいそうだ。だからもし良かったら使ってくれ』
ヒナタの返事を待たずに、ヒナタの耳に【水妖の雫】を付ける。
『えっ!?えっ!?えっ~~~~~』
ヒナタは耳の先まで真っ赤になって、顔から熱気を醸し出している。
『ヒナタ、大丈夫か?』
『だ、大丈夫でし、き、気にしないでくだたい』
滅茶苦茶カミカミなんだが、本当に大丈夫なんだろうか………
『おう、大丈夫なら良いんだがな。そのまま装備を続けていたら進化するはずだから、進化したら皆に紹介してくれよな』
『分かりますた。頑張りまつ』
しばらく正常になるのは無理そうだな…………そんなに緊張しなくても魔獣器は身に付けているだけで成長してくれるんだがな。
えっ~と、リツからの返事は無いから、先にアキラの装備製作だな。弓はリツの分と同時の方が効率が良いので、扇を先に作ろうかな。
僕の考えているアキラの新しい扇は、中骨が8枚有る金属製の扇だ。各中骨には、下級6属性と光と闇の上級2属性、計8属性の宝石を散りばめる予定にしている。カゲロウに作った盾の応用だが、あの時よりもスキルLvも経験も上がっているので良い物が出来るだろうな。
アキラが扇で使えるアーツが、今挙げた8属性に対応している為、相乗効果を狙えるんじゃないかと思っているからだ。まぁ、思っていると言っても《見ない感じ》のお陰で既に結果は分かってはいるんだがな。これ本当に便利だよな。
『主よ、しかしじゃ、アーツの属性と扇の属性が反発したらどうするのじゃ?』
『そこで《機械製作》を使って可変機能と音声認識機能で形を変えるんだ』
中骨自体に引き出せる機能を加えて、引き出せれた中骨の属性が使える様にする。それに音声認識を加えれば使いやすさも向上するだろうな。
形はドラキュラの棺の様な六角形、フレイが作った扇みたいに短剣には可変させる事が出来ないのは少し残念かもな。まぁ、短剣はフレイに性能の良い物を頼めば良いだけだからな。それにほっておいてもフレイの事だ、そのうち加工が可能になったらオリハルコン製の短剣でも作るだろうからな。
【八重桜】攻撃力60〈特殊効果:可変/8属性選択/音声認識〉〈製作ボーナス:攻撃力上昇・中〉
白とピンクのグラデーションに散りばめられた8色の宝石が綺麗だよな、属性の数と色合いから桜の名前を取り入れてみたが、なかなか良い感じだよな。それに見た目だけじゃなく性能面でも十分使えそうだな。
『…………この扇と弓を合体させる』
『弓と合体?…………黒、ナイス。それ採用!!』
リツの弓みたいに魔弓は作れないが、今作った扇を合体させて、属性を活かせる弓を作れれば、持ち運びも便利で攻撃面でも魔弓代わりにはなりそうだな。
そうと決まれば次は、アキラの弓のデザインだな。弓の持ち手の部分より少し上に扇が合体出来る様な細工、もしくはギミックを取り入れたデザインだな。
『シュン、大変。雪ちゃんが、雪ちゃんが………』
『マスター、大変なのです。牧場が、牧場が…………』
弓のデザインを考えながら、アイスティーで一服していたところに2人が飛び込んで来た。まぁ、2つ共ただ事では無さそうなのだが、残念ながら僕の体は1つしかない。
ちなみに大変なのはヒシヒシと伝わったのだが、ケイトの口調のせいで緊張感は若干欠けていたりもする。
『2人共、大変なのは分かったから、アキラもケイトもこれでも飲んで少し落ち着け』
ティーカップに僕特製のアイスティー(ストレート)を注ぐと、2人同時にカップに口をつける。どうやら少しは落ち着けた様だな。
『それで何が有ったんだ?先ずはアキラから………雪ちゃんがどうしたって?』
『ふぅ~~、雪ちゃんが進化した!!』
『はっ?』
空耳か?雪ちゃんが進化?一体何に?
『だから、雪ちゃんが進化した』
『いや、ちょっと待て…………言葉は分かるが内容が分からない。雪ちゃん連れてこれるか?』
僕の質問と同時にアキラは頷き工房を飛び出していく。《見ない感じ》のスキルが有るので、聞くよりも直接見た方が早いだろうからな。
『今の内に、ケイト、牧場がどうかしたのか?』
『はいです。牧場の中に魔物がいるのです』
『はっ!?………それ、ヤバイだろ。直ぐに向かうぞ』
失敗したな、落ち着かせる為とは言え悠長にアイスティーを飲んでる場合では無かったな。それにしても魔物だと…………街の中に魔物が入ってくる事など今迄に無かったはすだぞ。一体どう言う事だ?
『はいです。こっちです。私に付いて来て下さいです』
普段は【noir】の中で1番落ち着いているケイトが焦るくらいだからな…………
『アキラ、緊急事態だ。悪いが雪ちゃんとリビングで少し待っていてくれ』
急いでアキラにコールを入れる。
『えっ!?そっちも、ヤバイ系?分かった。待ってるから何か有ったら呼んで』
『分かった。アキラ、助かる』
コールを切り、先行するケイトを追いかけた。
装備
武器
【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉
【白竜Lv52】攻撃力0/回復力192〈特殊効果:身体回復/光属性〉
【黒竜Lv52】攻撃力0/回復力192〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
天狐族Lv55
《双銃士》Lv75
《魔銃》Lv74《操銃》Lv19《短剣技》Lv24《拳》Lv45《速度強化》Lv98《回避強化》Lv98《魔力回復補助》Lv99《付与術》Lv69《付与銃》Lv74《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv18
サブ
《調合職人》Lv28《鍛冶職人》Lv46《上級革職人》Lv6《木工職人》Lv34《上級鞄職人》Lv8《細工職人》Lv36《錬金職人》Lv35《銃職人》Lv28《裁縫職人》Lv15《機械製作》Lv30※上限《調理師》Lv3《造船》Lv15《家守護神》Lv37《合成》Lv39《楽器製作》Lv5
SP 51
称号
〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈摂理への反逆者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉




