珍客 サラブレッド
「おはよっ。なんだ?どうした?今日は早いな」
昨日のイベントで疲れていたのか、何時もよりも起きる時間が遅い。遅いと言っても普段の蒼真よりは早いはずなのだが…………今日は、蒼真の方が早く起きて僕の家のリビングに来ている。これは、かなり珍しい事で年に2回は無いはずだ。
「たまには、そう言う日が有っても良いだろ。朝飯出来てるぞ」
「おぅ、サンキュ!!それで、何処に朝食は有るんだ?」
今日は、珍しく気が利くな。イベント後から、ずっと寝ていた為、妙にお腹が減っている。このサプライズは嬉しいよな。
テーブルを見渡すが、僕の視界には朝食どころか食べ物らしき物が見当たらない。絶対に視界に入れたく無い暗黒物質的な何かは目の前に有るが…………
「そこに、ほら、目の前に有るだろ。せっかく純が早起きしてトーストと目玉焼きを作ってくれたんだぞ」
やはり目の前に有る暗黒物質もとい炭の塊が、僕の朝食だったらしいな。どう見ても食べ物には見えないのだが………って言うか、どうやったら作れるんだ?トーストはパンをトースターに入れれば自動で焼き上がる。どう考えても失敗しようが無いはずだぞ。
トーストは、ミミの部分だけを綺麗に残して真っ黒に焦げている、その上に乗っている目玉焼きらしい物?は原型を留めて無いだけでなく存在自体が分からない。
「悪い、僕には食べ物には見えない。百歩譲っても食べられる炭だろ、これ。…………蒼真は食べたのか?」
「俺は、今日は体調が悪くてな。食欲が無いんだ。良かったら俺の分も食べてくれ」
僕に押し付ける気満々だったみたいだな。まぁ、食べないから良いんだが…………
「僕は自分で作る。それで純は?」
でも、せっかく純が作った物だからな。勿体無いし蒼真の弁当のおかずにさせて貰おうか。料理の出来ない純をキッチンに立たせた罰は必要だろう………何故なら、僕は朝食を作るよりも先にキッチンの掃除が必要になったからだ。何故、あのメニューで、こんなにも汚れるんだ?1回問い質したいよな。
「今は、OOOの中だ」
「はぁ~!?今日は月曜日だよな。学校は?」
「大丈夫だ。PVPの結果だけを確認しに行っただけだ。俺も早起きして、さっきまでログインしてたからな。あっ!!そうだ。ハーフマラソンの結果出てて、俺達が4位、ブレッド達も7位に入ってたぞ。9位以内の入った報酬は、9パーティー18人が1人1個早い者勝ちで18個のアイテムから好きな物を選べる様になっていた。勿論、俺は1番でゲットしてきたぜ」
何をもってして勿論なのかは分からないが…………嬉しそうだから良しとするか。
蒼真も僕と同じ様にイベント後は速攻で寝たらしいのだが、早く寝過ぎた為に夜中に起きてしまい、たまたまOOOにログインしたらタイミング良くハーフマラソンとPVPの結果が出たので1番でゲット出来たみたいだ。
まぁ、共闘していたブレッド達も報酬が貰えたみたいで良かったよな。僕も学校が終わったらログインして報酬を貰うとするか。自分で選べるとかテンションが上がるからな。ちょっと楽しみが増えたな。
それに、やらなければならない事も溜まってるので、今週の平日は生産がメインになるだろうな等と思いながら朝食のスクランブルエッグを作り終えた。
その日、ログイン出来たのは予定よりも遅く午後9時。予定より遅くなったのは、学校が終わって家に帰ってみるとOOOの中だけで無く現実世界でもやらなければならない事が溜まっていたからだ。まぁ、殆どが僕関係の物では無かったんだが………
『主よ、今日は何をするのじゃ?』
ログイン直後、ホームのゲートの前では、竜の姿の白と黒が待っていた。
『今日か………まずはイベントの報酬を受け取りに行って、そのあとは溜まってる依頼を片付ける。だから、白も黒も自由にしていて良いぞ。何か有ったら呼ぶからな』
ここのところ忙しかったからな。暫くは生産活動中心の予定だから、自由に過ごして貰っても良いかもな。僕は白と黒をホームに置いて、ゲートで神殿に転送していく。
『…………黒は付いてく』
そう言って僕の転送前に銃の姿に戻り、ちゃっかりとホルスターに収まった。その場に残った白の方は………多分、雪ちゃんの所に行くんだろうな。
『シュン様ですね…………はい。確認出来ました。4位入賞おめでとうございます。報酬の方は、あちらからお好きな物をお選び下さい』
『はい。ありがとうございます』
係りのNPCに教えて貰った部屋へと向かう。
1歩1歩近付くに連れてテンションが上がっていたのだが、その場所にはアイテムが1つしか残っていない。それも残っていると言っても良いのか分からないのだがな………
『すいません。教えて貰った場所に行ったのですが、残っていた剣が折れていたんですけど…………』
折れた剣には、名前以外のステータス表記が無い………僕は部屋を間違えたのだろうか?
『申し訳ございません。直ぐに確認致します。少々お待ち下さい…………お待たせ致しました。確認致しましたが、シュン様以外の方は既に報酬の受け取りに来られておりまして、その折れた剣ですが、最初からその状態だったそうです』
『はいっ!?』
折れた状態で報酬って…………報酬の中にハズレが有ったって事か?OOOの運営なら、やりかねないと納得してしまう僕自身が怖いな。
『本当に申し訳ございません』
係りのNPCは本当に申し訳ないと言った感じで何度も頭を下げてくれる。別に、この人は悪く無いんだけど………仕方ないな。取り敢えずは貰って帰ろうか。よく残り物には福が有ると言うが、僕には縁の無い話だった様だな。
もう1度報酬の置かれている部屋に戻り、折れた剣を鞄に放り込んだ。まぁ、イベントの入賞記念に倉庫の隅にでも置いといても良いかな。
『…………福は有った』
既に次の予定に取り掛かる僕には、さりげない黒の呟きは残念ながら届かなかった。
『すいません。施設の拡張をお願いしたいのですが………』
同じ神殿内に有る施設関係の受付に来ている。以前からケイトとカゲロウに畑と牧場の追加を頼まれていたのだが、イベントを優先していたからな。
2人との約束を果たす為にも、時間が出来た今の内に作っておきたい。まぁ、個人的にオリジナル紅茶用の茶葉の栽培もしたいからってのも大きな割合で有るんだがな。
『こちらのリストからお選び頂けますが、どれになさいますか?』
『これとこれをお願いします。場所は………このスペースで』
受付のNPCにリストを見せて貰い、大き過ぎない程度の施設を追加する。ただし、両方共に大きさは普通程度だが、機能だけは現時点での最高の物にしてある。性能が良い方が、絶対的に使いやすい。まぁ、面倒な拡張は1回で済ませられるなら済ませたいと言う本音も有るんだけどな。
牧場と畑を作った場所は、以前にオークション会場が有った場所だ。
1回目のオークションが好評だった為、現在のオークション会場は生産系6大ギルド+【noir】でお金を出しあって別の場所に移転、拡張しており、権利の方も7ギルド共有の資産になっている。新しいオークション会場は広場の側で、7ギルドの中では【サイク=リング】のギルドホームの近くだ。
以前から皆に言われていた事だが、1ギルド単独でのオークション会場の取得は流石にやり過ぎだったからな。ちなみに、オークション会場の横には、事前に出展するアイテムを直接触って確認する事の出来る場所も併設しており、その場所で近日中に第2回のオークションも開催される予定だ。今回は、司会も免除されているので気が楽だったりもしている。
僕自身は、前回の事をふまえて特殊な鞄を出展する予定だ。これなら売れ残る事は無いだろう…………多分。本当に頼むよ、切実に………
そう言う事も有り、スペースが余っていたこの場所に建設した。この場所ならホームのリビングからも近いので何かと便利だと思うからな、2人も喜んでくれるだろうな。ちなみに以前建てた塔もこの場所を利用していたりする。
ホームに戻り、イベントでお世話になった2人組の為に鞄を製作している。オークションに出展する物と性能は同じで、形状だけを彼等が使っていた物と同じにしている。まぁ、オークション用の物と違って性能以外の面で若干のサービスは施してあるけど、この違いは分かる人にしか分からない程度のサービスなんだけどな。
鞄は、完成したのだが連絡先が分からない為に直接渡す事は出来ない。彼等は、よくショップ【noir】を利用しているみたいだし、マナさん達に預けておけば大丈夫だろうな。
『シュンいる?お客さん来たよ。昨日のイベントで一緒に闘った人達みたい』
噂をすれば、ベストなタイミングで現れたな。個人的には、なかなかナイスタイミングだと思うぞ。
『分かった。すぐに行くから待ってて貰って』
渡す鞄は出来ているからな、あとは料金の設定だが………
普段の店売りの高品質鞄が100,000フォルム~200,000フォルムだから、定価は300,000フォルムぐらいか?オマケする約束も有るからな、う~~ん、250,000フォルムで良いかな。
『お待たせ。この前のお礼なん………』
そこに居たのは依頼人達ではなく、見覚えの有る鮮やかな青髪のエルフが2人………
『お邪魔してます。この前は、お世話になりました』
ブレッドとサラ、それにケイトだった。
『あっ…………あぁ』
この先の展開が見えたな。
〔『…………黒も』〕
『マスター、お願いが有りますです』
『大丈夫。ケイト、だいたい理解出来たから………悪いんだけど、もう少しだけ紅茶でも飲みながら待ってて。アキラ、工房の中にいるフレイを裏庭に呼んで来てくれるかな?』
接客してくれていたアキラを呼び止めて、お願いする。まぁ、アキラにも関係する事なんだけどな。
『フレイ?あっ!!そう言う事ね。ちょっと待っててね』
アキラは、それだけで僕の考えを理解したようだ。以前アキラと考えていたプランを実行しようとするかな。今ギルドにいないカゲロウとヒナタには事後報告になるが…………こっちの方は、大きな問題にはなら無いだろうからな。
暫く、1人で中庭で待っているが、なかなかフレイ達は現れない。
『シュン、どないしたんや?ウチ、今依頼で忙しいんやわ』
意外に時間が掛かったな。まぁ、急に呼んだから仕方ないんだがな。
『すまん、悪かったな。じゃあ、単刀直入にフレイも【noir】のギルドマスターになってくれ』
『断る………』
マジか!?流石に最速で断られるとは思って無かったぞ。そんなに【noir】のギルマスになるの嫌だったのか?もし、そうなら結構凹むぞ。
『………と普段のウチなら言うんやけど、OKしたるわ。さっきアキラから、ちらっと先に要件は聞いててん』
なるほど、時間がかかった理由は先にアキラが事情を説明しててくれたんだな。ここは、良きパートナーに感謝だな。
ちなみにと言うか、当然の事なんだが、ギルドマスターの数を増やさなくてもギルドメンバーは増やせるのだが、古参のフレイと新しく入るプレイヤーが同じ平メンバーと言うのはギルド的には良くない気がするので、フレイのギルドマスター就任に至っている。それを言うとカゲロウ達もなのだが、カゲロウ達には〈大商人〉の称号が無い為、今のところ2人目以降のギルドマスターになる権利がない。
『フレイ、助かる。アキラもありがとな。それでなんだが、前にネイルさん達にも言われてると言うのも有るんだが、カゲロウ達の成長の為にもメンバーを少し増やそうと思うんだ』
『そうやな。そろそろ、メンバーを増やしても良い時期かも知れへんな………ただ、あんまり増えるのはゴメンやわ』
『私も、その点はフレイに賛成かな。1人につき3人までとか、制限を設けたらどうかな?』
1人につき3人と言う事は、今いる6人に最大18人増えて24人になると言う事か…………僕に新たな仲間を勧誘する気は無いから、そこまでは増えないだろうけど、十数人居れば小規模なレイドイベントはこなせそうだな。
『それくらいで、ええんちゃうか?全員が上限まで勧誘しないやろし。それに、ウチは暫くは勧誘する気は無いしな』
『それは私も………』
アキラは、軽く手を挙げてそっと僕の方を見てくる。
『実は僕もだ。それなら現状はカゲロウ達、新人組だけに勧誘の権利を出すか?』
ギルドマスター3人が3人共、直接勧誘する気は無かったらしい、本当にこう言う時は気が合うよな。
『ウチは、それでええで。それと生産系の取得と成長は最低条件や』
それは、そうだよな。僕も加入する為だけに生産系を取得して、スキルを成長させない仲間は嫌だからな。
『だね』
どうやらアキラも同じだったようだな。
『じゃあ、そう言う事でヨロシクな。フレイ時間取らして悪かったな。それとあとで見て欲しい素材が山の様に有るから楽しみにしててくれ。勿論、フレイの分も採取して有るからな』
イベントでゲットした素材をお裾分けしておきたいからな。結構量も有るし、何よりも今の僕が加工出来ない素材も有る。クリスタルとか…………まぁ、その前にアクアと山分けしないといけないんだけどな。
『シュン、それを早く言わんかいな。ハーフマラソンの時のか?楽しみにしてるわ』
フレイは、若干のスキップ混じりで工房の奥へと引っ込んで行った。
『じゃあ、僕はケイトに説明するから、アキラはフレイの新規ギルドマスター申請お願い出来るかな?』
『外に行く予定が有ったら良いよ。じゃあ、ちょっと行って来るね』
僕も急ぐとするか、リビングにいる3人を余り待たせても悪いからな………
『ケイト少し良いか?ブレッドとサラ、悪いんだがもう少しだけ待っててくれ。ごめんな』
今度はケイトだけを裏庭に呼び出す。残された2人は不安そうな顔をしているが、今は気にしていられない。
『それで、今日の話って言うのは、あの2人がギルドに加入したいって事で良いんだよな?』
イベント終盤で僕の正体がバレたから、こう言う事になるのは想像付いてた。この場合は遅いか、早いかの違いだろうな。
『そうなのです。マスター』
『イベント中に2人から、その件について少しだけ話を聞いてたからな。まぁ、あの2人、話してる時は僕がギルドマスターって事には気付いて無かったけどな。それと、話は代わるがフレイにもギルドマスターになって貰う事になった。その件と直接関係は無いんだが、カゲロウ、ヒナタ、ケイトの成長の為に各3人までギルドメンバー勧誘する権利を渡そうと思ってるんだ』
『Oh~!!ありがとうございますです。マスター』
『ただし、最低条件として生産系の取得と常に成長させる事は必要だぞ。それと分かっていて欲しいのは【noir】の特異性だ。色々と秘密にしている技術やスキル、あと………雪ちゃんとかファミリア関係な。ケイト達が加入した時もクエスト形式にして他の落選したプレイヤーも納得させてるから大きな問題にはならなかったが、知り合いだから、友達だから加入させるとかは後々に問題が起きると思う。皆、各々に友達も知り合いもいるだろうからな。それに、なるべく皆が平等な方が良いだろ』
『なるほどなのです。マスター達は良く考えていますです。と言う事はです。やっぱり、クエストにした方が良いですか?です』
僕の拙い説明だが、ケイトには伝わった様で良かったな。
『それは、カゲロウ達とも話合って3人で決めたらどうだ?仮にどんな方法を選んでも僕らは協力出来るからな』
『分かりましたです』
ケイトから今まで以上にやる気が感じられるな。
『まぁ、イベント中の短い間しか関わってないけども、ブレッドもサラも良いヤツなのは分かったから加入するのに反対はしてないんだけどな』
『はいです。良い子達なのです』
『うん!?良い子達?』
何かニュアンスが子供を対称にしているような気がするんだが………
『はいです。2人は、えっ~と小学4年生をしてますです』
『マジか!?』
と言う事は10才くらいか?それには、全く気付かなかったぞ。てっきり同じ年齢、もしくはカゲロウ達と同じだと思っていた。まさか、小学生だとは寸分も思わなかったな。
『それなら、早くログアウトさせないとダメだぞ。もう、10時を過ぎてるぞ。それとヒナタ達に会う事が有ったら、牧場と畑が出来てる事を伝えておいてくれ』
小学生に遅くまでログインさせるのは、倫理的にダメな気がする。まぁ、僕が思ってるだけかも知れないが…………
『そうでしたです、忘れていましたです。マスター、色々とありがとうございましたです。伝言の方も承りましたです』
ケイトは急いで2人を待たせているリビングに戻って行く。もし、あの2人がギルドメンバーになった場合は、その辺も気にかけないとダメそうだな。
『ただいま。フレイの登録は終了したよ。あれ!?あの2人はもう帰ったの?』
帰ってきたアキラに、いなかった時の経緯を説明していく。
『そっか………小学生だったんだね。2人共、全く小学生には見えなかったよ。それと神殿で会ったアクアからの伝言で、あとで…………』
『シュン、いるか?』
アクアがゲートから転送してくる。ゲートで直接ホームに来るなら、その確認は必要無いんじゃないか?
『………もう来たみたいだね』
アキラとほぼ同時にホームに現れる。これにはアキラも呆れている様だな。まぁ、こんなに早く来るのなら伝言を頼む必要が無いからな。
アクアよ、もう少しだけで良いから空気を読んで欲しいのな。幼馴染みとして切に願うよ。
『ここにいるぞ。イベントの戦利品の分配の件か?』
『そうだ。それが、楽しみで仕方なくてな』
言葉に出さなくても、その表情だけで全てが伝わって来るよ。僕も呼ぼうとしてたからな手間が省けたから良いけどな。リビングのテーブルに僕が採取や採掘、通常戦闘で入手した素材やアイテムを並べていく。
『これで全部だな。採取、採掘した素材の半分はアクアの取り分だぞ。戦闘での戦利品は………』
『おぉ~~!!こんなに有ったんだな、凄いな。俺の戦利品は、これだ』
アクアの戦利品を見るが、お互い戦闘で得た物には大差が無いようだ。これならわざわざ分ける必要は無いな。
『取り敢えず、素材類は置いといてだな。問題はこの2つ、イベントの報酬とケイヴキングのドロップだ』
アクアが、新たに鞄から2つのレアアイテムを取り出してくる。完全に忘れていたが、あとで鞄も確実に回収しなければならないな。レアアイテムよりも、そっちの方が重要だ。
『それが、どうかしたのか?』
『良いから、確認してみろ』
そう言って、僕にアイテムを手渡してくる。どうやらケイヴキングのドロップは僕と同じでファミリアの卵みたいだな。アクアは銀狼石、僕は水妖石と名前に違いは有るけど。
アクアと僕の2人ともがファミリアの卵と言う事は、種類は別としてもファミリアの卵が確定ドロップだったのかも知れないな。まぁ、今となっては分からない事なんだがな。
問題は、イベント報酬の方だな…………
【聖犬クラウ・ソラス】攻撃力180〈特殊効果:聖属性〉※譲渡不可
スキル《魔剣化》《魔獣化》《成長》《心話》※ユニーク
これって、どう見ても………
『主よ、主の思った通り魔獣器なのじゃ』
振り返ると、そこには竜の姿をした白!?さっきまで居なかったはずなのに、いつ現れたんだ?もしかして、ファミリアの気配を感じたのか?まぁ、雪ちゃんだけを1人残して来ずに、一緒に来てるから良いんだけど………
『主よ、それはたまたまなのじゃ』
僕の思いはバレバレだった様だが、そんな事よりも、イベントの報酬には魔獣器とかもあったんだな、それにも関わらず僕のは折れた剣って物凄く不公平を感じるんだが………
『俺も始めに見た時はビックリしだが、すぐにこれを選んだって訳だ。見てろよ、出てこいラウ!!』
『ヴァウ~~』
剣が姿を変えていく…………このシルエットは、ブルドックか?
『これが、俺のパートナーのラウだ。シュンのファミリアみたいに言葉を話せないが、俺とだけは意思疏通は出来るぞ』
アクアが、ラウを見るともう1度ヴァウと吠える。確かに意思疏通は出来ているみたいだな。
『アクア、触っても良いの?』
最初は我慢していたが、アクアとラウがじゃれているのを見てアキラも我慢の限界の様だな。まぁ、気持ちは分かるがな。
『…………違う。残念』
『やはりか。主よ、ラウはワシらの探しているファミリアでは無かったのじゃ』
『以前からファミリアに会いたがっていたが、探し人………違うな、探しファミリアがいたのか?』
『うむ…………』
2匹が同時に口を閉ざす、何か言いにくそうだな。まぁ、無理には聞かないでおくかな。白達の事だ、話したくなったら自分から話すだろうからな。
『それで、相談なんだが、この銀狼石と山分けする予定だった今回のイベントの戦利品で、この前の借金ってチャラにならないかな?』
アクアにしては珍しく以前の約束だけでなく、借金の事も覚えていた様だな…………
『ちょっと待て、それは出来ない。アクアは知らないかも知れないが、その銀狼石は成長させるとファミリアになる。簡単に言えばファミリアの卵だ。借金の額とは価値が釣り合わないレアアイテムだぞ』
『ファミリアの卵!?だと』
アクアが驚きの表情を見せてくる。やっぱり、知らなかった様だな。まぁ、見た目が素材にしか見えないからな仕方無い事だが、僕らも成長したファミリアの卵には出会ってないので完全に説明は出来ないが、分かる範囲で説明していく。
『なるほど、そう言う事か……………でも、俺のラウは、もう装備しちっまったから譲渡出来無いんだよ。それにだ、ファミリアの契約は1人に1匹までみたいなんだよな』
『はっ!?』
アクアの言っている意味が全く分からないんだが………
『そうなんだよ。だから、俺はシュンが白と黒の2匹と契約している方が不思議なんだよ………一応ラウと契約する時に確認項目が出てきたから、間違い無いと思うぞ』
アクアには、雪ちゃんの事を説明してないから知らないのだろうけど………僕は、実質的に1人と2匹の3つのファミリアと契約している事になっている。まぁ、雪ちゃんは雪ちゃん自身の意思で【noir】と再契約しているみたいだから、少し違うかも知れないがな。
それに、僕の場合は雪ちゃんの時は勿論、白と黒の時にも契約等の確認項目は無かったはずだ。もしも、その契約が有ったのなら白はともかく、黒とは契約出来てないはずだからな。
『ワシと黒の場合は少し特殊じゃ。主自身が〈創造主〉としてワシらを造ったからのう。主自身、造る以外にも1つだけ別のファミリアと契約出来るのじゃ』
白の話す内容を素直に納得する事は出来ないが理解は出来た。つまりは、水妖石と契約も可能って事だよな。まぁ、僕には1人動物園を開く気は、さらさら無いのだが…………
『そう言う事だ。どのみち俺には使えないみたいだからな。借金がチャラになるなら俺的には願ったり叶ったりだ』
『アキラはどう?』
実際にお金を貸しているのはアキラだから、僕には判断出来ないからな。
『う~ん。私も、それは貰えないかな』
『そこを何とか、アキラ頼む。これ以外で借金返そうと思ったら。銀狼石を売って金に変えるしかないんだよな。だったら俺の知ってるヤツに貰って欲しい』
どうしようと言った感じでアキラが僕を見てくる。そのアキラの視線に気付いたアクアも僕の方を見てくる。
アキラとアクア、2人共の言い分は理解出来るのだけに…………そんな目で見られてのは困るんだがな。
『分かった。銀狼石だけ貰う。最初に言った様に素材は半分ずつだ。それとその鞄は、そのまま使ってくれ。あと欲しい物が有ったらサービスするぞ。2人共それで良いか?』
『良いのか?俺は、それで十分過ぎるぞ』
『私も、アクアが良いならそれで良いよ』
これでギルド内にファミリアの卵が3つか…………ケイトとアキラが1つずつ、もう1つは、フレイに使って貰おうかな。
『そう言えば、シュンは報酬何を貰ったんだ』
相変わらず、ストレートに痛い所を突いてくれるよな。
『折れた剣だ。僕が報酬の受け取り最後だったみたいで、これしか残って無かったからな』
折れた剣を鞄から取り出して2人に見せる。
『…………そんなのも有ったのか?それってハズレ………になるのか』
アクアは辛うじて声に出せた様だが、アキラに至っては居たたまれないのか、折れた剣から視線を外している。
『2人とも、そんなに気にしなくても良いぞ。イベント記念品だと思えば幾分かマシだしな。それに素材で使えるなら使っても良いしな』
それくらいなら利用価値も有るだろう。寧ろ、それくらいは有って欲しい。切実に……………な。
『フレイ、少し良いか?』
僕とアキラは工房で鍛冶に勤しんでいるフレイに声をかけた。
『おっ!!イベントの戦利品の話やろ。待っとったで』
『まぁ、そんなところだ。手に入った素材は倉庫に入れて有るから半分は使ってくれて大丈夫だからな。問題はこの2つだ』
銀狼石と水妖石を見せて簡単に説明する。
『へ~!!そんなアイテムも有るんやな』
『僕のスキルで分かるんだが、銀狼石は名前の通り銀色の狼ファミリアで、水妖石は水属性の妖精ファミリアになる。1つはアキラの物なんだが、もう1つはフレイ使わないか?』
『それは、なんぼ何でも貰われへんな』
速攻で拒否を示してくる。
『まぁ、そう言うと思ったんだがな。【noir】の中だったら水妖石はケイトかアキラかヒナタと、銀狼石は僕かフレイかカゲロウと相性が良さそうなんだよな。ケイト自身は、すでに煌魔石を持ってるし、僕には白と黒がいるからな………水妖石をアキラに、銀狼石をフレイに使って貰いたいんだよね』
『いや、そう言うんやなくてな。いや、それも有るんやがな。ウチもシュンみたいに魔獣器を作りたいんよ。特に最初のファミリアはウチ自身でな』
〈創造主〉の事を知ってる生産系の職人としては当然かも知れないな。
『シュン、私は雪ちゃんいるし………遠慮したいかな』
確かに雪ちゃんは、ギルドの誰よりもアキラと仲が良いからな。
『アキラも要らないんやったら、ヒナタとカゲロウにプレゼントでどないや?』
『僕は2人がそれで良いなら、問題無いぞ』
アキラとフレイは同時に頷いてくる。こうなったら説得は無理そうだからな…………端から無理強いする気は無いのだが、少し残念に思うな。
装備
武器
【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉
【白竜Lv50】攻撃力0/回復力200〈特殊効果:身体回復/光属性〉
【黒竜Lv50】攻撃力0/回復力200〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
天狐族Lv54
《双銃士》Lv75
《魔銃》Lv74《操銃》Lv19《短剣技》Lv24《拳》Lv45《速度強化》Lv98《回避強化》Lv98《魔力回復補助》Lv99《付与術》Lv69《付与銃》Lv74《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv16
サブ
《調合職人》Lv28《鍛冶職人》Lv44《上級革職人》Lv6《木工職人》Lv34《上級鞄職人》Lv8《細工職人》Lv33《錬金職人》Lv33《銃職人》Lv28《裁縫職人》Lv15《機械製作》Lv27《調理師》Lv3《造船》Lv15《家守護神》Lv35《合成》Lv31《楽器製作》Lv5
SP 46
称号
〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉




