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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第4章
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第3回公式イベント 7

『………ュン………シュン、そろそろ起きろ』


『う、うぅん………ア、アクアか?ここは?』

気絶していたのか?池の渦に飛び込んだ後の記憶が無いな…………


『池の中………違うか、池の底だ。かなり綺麗だぞ』

どうやら、アクアも無事だったようだが、池の底が綺麗?ってどう言う事だ。


辺りを見回すと海底や湖底の様な砂地が広がっていて、遥か上空………まぁ、上空って言って良いのか微妙だが、水面越しに青空が見え幻想的な空間が広がっている。これは、ゲームじゃないと味わえない感覚だよな。


水の中に飛び込んだので、確実に全身がずぶ濡れになっているはずなのだが、ローブや鞄は全く濡れてないのは幸いだったな。まぁ、そのかわりと言うか髪や尻尾はビショビショなんだけどな。


『どれくらい気絶してたんだ?』

レクトパスに引きずり込まれたアクアが無事で、自ら飛び込んだ僕が気絶って言うのは割りに合わないんだが…………って言うかあそこから落ちてよく無事だったよな。


ある意味気絶していて正解だったような気もするな。アクアが言うにはレクトパスに引きづり込まれながらも水中で戦っていたらしい。倒した時には、もう池の底だったようだ。


〔『主よ、それが耐久力の差と言うものじゃ』〕

僕自身が紙装甲(ベラペラ)なのは自覚しているから、触れないで欲しかった。


『そうだな………だいたい15分くらいじゃないか?それと、俺を助けに来てくれたんだろ?ありがとな』


『それは、別に良いんだ………ここ空気が有るよな』

正確には水の中にも関わらず、底の部分には水が無くて、天井にあたる部分に分厚い水の層が出来ている。さらにはレクトパスや魚が周遊しているのも見える。まるで水族館のアクリルで出来た通路の様だな。


『俺にも何故かは解らないが、そうみたいだな。きっと特殊なエリアなんだろ。考えていても仕方ないから、たまに落ちてくるレクトパスを狩りながら、この辺りを調べてたんだがな………そうだ!!あっちに面白いものが有るぞ』

背後の岩場に向かって指を指しているが、そんな事よりも気になるのは…………


『ちょっと待て、上にいるレクトパス落ちてくるのか?』

その中で助けに来て気絶している僕を放置していくとか有り得ないぞ。


『まぁ、その、無事で良かったな。シュン』

何も詫びる事無く、落ちて来たのは2匹だけと言っているが、実際のところ15分で2匹は高確率だと思うぞ。


アクアの助けに2度と行くものかと密かに誓う。助けられる本人が、こんな調子なら身が幾つ有ってももたないからな。


『それで、面白いものって何だ?』


『着いたら分かる。行くぞ』

まぁ、いつまでもこの場所にいるわけにはいかないからな。ついていくが…………お前のその楽しそうな表情を見ると良い予感はしないんだがな。





『おい、これはどう言う事だ?』


『どう言う事だと言われてもな…………見たままなんだが』

アクアに連れられて来た場所、そこにはテレビのバラエティー番組等で見かける………○と×が書かれた扉(ただし取手(ドアノブ)は付いてない)が有った。


『さっきも軽く調べてみたが…………どうやら、お約束の様で飛び込まないとダメみたいだな』

アクアが言うには武器やアーツでの攻撃は無効化されるらしい。主だった手段として残っているのが…………飛び込む事らしい。


だが、扉の先には何が有るのだろうか?…………お約束なら泥や白い粉、正解用にスポンジ等が用意されているはずだが、今はOOOのイベント中だ。何が用意されていても、おかしくないよな。魔物の大群とか………


僕も触ってみたりしたのだが《見ない感じ》でも、流石にこの扉の先までは把握出来ない様だからな。


『それで、○×の問題は見付かってるのか?』


『さっき一通り調べたが見付からなかっ……………あれ!?有った。おっかしいな。さっきまでは、こんなの無かったんだが』

僕が気絶している間に確認した時は無かった場所に問題が書かれているらしい。


問題自体が白く発光して目立っているので、見損なったって事は無いだろうな。パーティー2人が揃ってないと出現しないとか、何か条件が有るんだろうな。取り敢えずは、池に飛び込んだ事は正解だったようだな。



問題

あなた達は、現在湖の湖底部分にいます。今まで獲得したポイントを放棄して一瞬で戻りますか?○か×でお答え下さい。



『『はっ!?』』

これって、もうクイズじゃないじゃん。ただの意思確認になってるよな。まぁ、クイズだと思ったのは僕らの勝手なんだが、なにか調子が狂うよな。それにしても、これで粉だらけとかシャレにならないな………


『ここにいても仕方ないからな。シュン、ポイント放棄して上に戻ろうぜ。いつまでも悩んでいても仕方ないし、まだ獲得したポイントも少ないし時間もかなり残ってるから取り返せるだろ』

まぁ、概ねアクアの言う通りなのだが…………


『いや、問題には、地上とは書いてないからな、リタイアの可能性も有るんじゃないか?』


『なるほど、いかにも有りそうだぜ』

まぁ、いつまでも悩んでられ無いのも確かなんだがな。もう少し考えて欲しいものだ………


『それなら、ここは×だな。ダメだったら、別の場所を探せばいいだけだ』

今の状況だとそれが妥当だろうな………最悪の場合は制限時間いっぱいレクトパスの落下を待てば良いしな。この場合レクトパスも得点になる魔物ってところが幸いだな。


僕とアクアは、覚悟を決めて×の扉に2人揃って飛び込んだ。




『…………くそっ!!騙された!!』

×の扉の先には何も無かった。そして、反対側の○の方にも………僕の覚悟を返して欲しい。


『俺もだ。泥くらいは覚悟してたんだが…………イテッ!!おい、シュン、ここ見えない壁が有るぞ』


『何!?』

全く見えないから仕方ないが、それにしても派手にぶつけたな。若干だがHPも減っているぞ。


確かにアクアの言う通り、○と×のエリアを隔てる見えない壁が有る。目で確認する事は出来ないが手や足で触れる事は出来た。これを知らない人が見たら、かなり上手いパントマイムに見えそうだな。まぁ、この場には僕とアクアしかいないから、それはそれで滑稽なんだがな。


そして、○の方の先には螺旋階段が見えている。確かに階段を昇れば、流石に一瞬は言い過ぎだと思うが地上には早く戻れそうだな。えっと、それで×の方は…………


『…………おい、シュン、こっちは先が見えないぞ』


『あぁ、見えている』

僕も気付いてはいたが、改めて声に出されるとキツいものが有るよな。念の為に確認してみたが、僕達が来た方にも見えない壁が出来ていて戻る事も出来くなっているしな。


『シュン、進むか』

まぁ、こうなったら前に進むしかないんだが、その前に…………


『少しだけ待ってくれ。この見えない壁からも素材が採掘出来そうだ』


『はっ!?ちょっと待て、この壁からも採掘出来るのか?それなら壁も壊せて向こう側に行けるんじゃないのか?』


『それは、無理だろうな。×のエリアと○のエリアが同じなら可能かも知れないが、一応今回は○と×で別々のダンジョン扱いになっているからな。一応試してみるが…………やっぱり無理だな』

念の為に試してはみたが、透明の壁が貫通する事は無かった。


喋りながらも、手は止めず採掘を進めていく。壁の強度が若干高く、専用の工具ではないので武器の刃が欠けそうになるがホルスターの効果のお陰で壊れずに済んでいるよな。銃剣作った時の副産物だが、結果的には最高だったな。


おっ!!この壁からは、今までに見た事の無い上位の水晶やクリスタルまで出るんだな。これだけでも、イベント参加の元が取れたかもな。フレイの分も含めて少し多目に回収させて貰おうかな。


『もしかして、これはクリスタルか!?少し譲ってくれ』

どうやら、鞄の共有化の部分に自動回収されて、どんどん貯まっていく素材に気付いた様だな。まぁ、ただ単にする事が無くて暇だったからだろうけど………


『当然だ。生き残れたらイベント後に半々にするぞ』

僕には、素材を独占する気は全く無いからな。まぁ、そのあとに起きる事までは保証出来ないけどな。当然、アキラから集金と言う名目の徴収が有ると思うけどな。


『サンキュ』

でも、この調子だとアクア絶対に忘れてそうだな。


〔『主よ、教えてあげれば良いのじゃ。あとでガッカリするぞ』〕

確かにそうなのだが、アクアのキャラ的には有っているだろうな。何よりも…………


〔『その方が面白そうだろ』〕


〔『…………黒も納得』〕





十分過ぎる程に素材を回収した僕らは×の扉の奥に有った洞窟を進んでいる。暫くは、魔物も出なくて採掘すらも出来ない一本道の洞窟だったのだが…………


『どうかしたのか?』

急に止まったアクアに声をかけると、無言のまま岩影に身を潜めて少し先に広がっている空間の中心部を指差す。


『アレは、ここのボスか?』


『その可能性が高いな。見た目は、かなりヤバそうだぞ。どうする?』

確かに、見た目は、筋骨隆々で攻撃力の高そうなフレイルを2本装備して強そうに見えるが………ステータス的には、攻撃力も防御力もHPも高くない。まぁ、あくまでボスMOBとしてはだけど………


これだけ聞くと見かけ倒しかと思いがちなのだが、問題はステータス上限に達している速度だよな。気付かれたら最後、これくらいの距離は一気に間合いを詰められそうだし、僕らの通常攻撃では当たる気がしないからな。


攻撃力と防御力が高くないのは、あの速度の異常さとイベント中は防具の防御力が無いのが原因かも知れないよな。そうなると………


『アクア、必中系のアーツは有るのか?』

質問と同時にアクアにも仮称ボス・ケイヴキングのステータスを教えていく。


『なるほど、残念だが必中系は近距離用のアーツは、俺の知る限りは今のところ存在しないはずだ』

そうなのか?始めて知ったぞ。


『…………アクア………お前、本当に今回はお荷物だな』


『うぐっ………』

池には引きずり込まれるし、サバイバル技術でも頼りにならないし、唯一期待していた戦闘でも使えなかったら………はっきり言ってお荷物だ。これに関しては自覚が有るだけマシかも知れないがな。


『どうする?無視して通るだけなら〈朧〉使えば終わるが、倒すとなると少しMPを使い過ぎるんだが………』

まぁ、竜の力が有るから問題は無いんだが、モニターで見られているからな。ハデなアーツの連発は出来るなら使いたくない。


『倒すに決まってるだろ。ケイヴキングにもポイントが有るんだぞ』

それは僕も分かっているから僕も提案しているからな。そうじゃ無かったら戦う気は無い。それに、ボスMOBで有るならば高ポイントも期待出来るからな。


でも、アクアでは攻撃が当たらないと思うんだよな。まぁ、囮くらいにはなるんだろうけども…………


『〈朧〉〈回避上昇〉〈速達上昇〉』


『おい、シュン…………』


『アクアはさ、先に行ってケイヴキングの背後を取って、出来るだけ何もするな。僕が仕止める』


『いや、俺も戦うぞ』


『ここは、アクアに向いてない。他で頑張って貰うから気にするな』

アクアを無理矢理納得させて先に行かせる、自分にも《付与術》と〈朧〉をかけてケイヴキングの様子を伺う。


〔『主よ、隙が無いのじゃ』〕


〔『そうだな』〕


〔『どうするのじゃ?』〕


〔『やった事は無いが【雷光風】の〈リング・イン〉〈必射〉で一気に倒そうと思う』〕

双銃での〈リング・イン〉は試した事が無いが、これと〈必射〉の組み合わせならケイヴキングが速くても戦えるはずだ。



〔『ふぅぅ~~~~行くぞ』〕

僕は呼吸を調えてケイヴキングに向かって駆け出した。


〔『…………気付かれた』〕

何故だ?アクアは素通り出来たのに………何故僕には気付いたんだ?


ケイヴキングは一気に僕の方を目指してくるが、だいたいの位置しか分かって無いようで無茶苦茶にフレイルを振り回している。速度上限まで達しているケイヴキングの動きには、全て残像が付いているので、より一層に速く無茶苦茶に感じる。


『〈リング・イン〉〈必射〉………えっ!!外れた?』

〈必射〉が外れるとか始めてなんだが………ゲームの仕様を越えた速度って有りなのか?いや、これも仕様になるのかな。


しかし、今は悠長に検証している場合では無いので射撃を続ける。まぁ、3発に1発くらいで当たってくれるのとケイヴキングに遠距離攻撃が無いのが幸いだな。


しかし、攻撃力が低いケイヴキングの振り回したフレイルは、当たった地面や側面の壁を抉っている。抉ったと同時に弾けとんでくる威力の低い礫が微妙に当たるのがマジでウザイ………


『くそっ~!!マジで速いな』

当然、ケイヴキングにも〈速度減少〉や〈回避減少〉の《付与術》は使っているのだが………だんだん回避にも余裕がなくなってる気がするな。〈朧〉が無かったらと思うとぞっとするよな…………多分、速攻でリタイアだな。


『こっちだ〈スラッシュ〉』


『助かった』

今のは使えたな。背後から放たれたアクアの一撃でケイヴキングの動きが鈍る。


〔『主よ、今ので分かったのじゃ』〕


〔『………黒も』〕


〔『大丈夫だ。これは僕にも分かったからな』〕


『アクア、僕が引き付けるから背後から確実に当てれる時だけ攻撃してくれ』

ケイヴキングは早いが攻撃対象を1人にしか絞れない様だ。ソロなら倒すのに時間がかかる面倒なボスMOBなのだろうが………1人が引き付けて、もう1人が隙を突く事が出来る2人なら問題無かったみたいだな。


アクアの速度が《付与術》込みでも普通程度だったので時間は掛かったが、隙を突く事に集中した僕らはケイヴキングをほぼ無傷で倒す事に成功した。レアなドロップと高ポイントもゲット出来たしアクアが倒す選択をしたのは正解だったようだな。


『シュンは、ドロップ何だったんだ?』

よほど良いドロップが手に入ったのか、満面の笑みを見せている。僕もレア物を入手しているが、はたしてどっちがレアなんだろうな………


『内緒だ。イベント後にゲット出来たら教える』

最後まで生き残れなければ無意味だからな。 それよりも、ここからの脱出が優先だ。






かなり時間を費やしたが無事に地上に出る事が出来た。着いた場所は、島の中心でひときわ存在感を放っていた山の麓。ケイヴキングとの戦闘以降はイベントも1つの戦闘すら発生しなかったが、この競技はポイントよりも生き残っている事が大事なんだろうな。


〔只今、半分の6時間を経過しました。現在の1位のコンビは263ポイント獲得されております。5時間経過時に起きた落雷で半分以上のプレイヤー様がリタイアされております。残っておられるプレイヤー様は残りの時間も頑張って下さい〕


『シュン、聞いたか?1位のポイント俺らの倍ぐらいだぞ』


『聞いてたぞ。まぁ、誰か(・・)が、池に引きづり込まれなければ僕らも頑張れたんじゃないか?残り半分も有るし生き残っていれば良いこと有るかもな』

獲得ポイントが倍も違うとはな………どうやら、凄いプレイヤーがいるようだな。ちなみに、現在の僕らはケイヴキングの100ポイントを加えても135ポイントしかない。


それにしても半分以上のプレイヤーをリタイアに追い込んだ落雷って一体何が有ったんだ?かなり気になるよな。


運良く僕らは地下にいたので落雷に遭遇しなかったが、この手のイベントが1回のみって事は無いだろうな。多分、時限系のイベント…………って事は、まだ有ると思ってた方が良さそうだよな。そして何かしらの対策は必要になるだろう。


〔『……………主には必要ない』〕


〔『竜の力が有るからだろ?僕は、最悪それでも良いけどな……………アクアがな』〕


〔『………主よ、次からは人選を考えた方が良いのじゃ』〕


〔『そう言うなよ。あんなのでも良いとこも有るんだぞ』〕

自分で言っておいてアレなんだが………アクアの良いとこって何処なんだろうな。咄嗟に聞かれたら、思い付かないかも知れないな。


〔『…………誰かいる』〕


〔『主よ、あそこの岩影にエルフが2人じゃ。隠れておるようじゃの………片方は瀕死のようじゃ』〕

瀕死?落雷でやられたのか?無視しても良いが………情報が得た方が今後が有利になるかも知れないな。


『アクア、少し待っててくれ』

なんだ?急にどうした?と言うアクアを残して岩影へと向かう。近付いてみても《見ない感じ》に反応が無いと言う事は知らないプレイヤーなんだろうな。



『お~い、大丈夫か?』

うん!?このプレイヤー達にもゴーグルが反応しているぞ………青なのでマイナス得点だがプレイヤーにも反応するんだな。嫌な予感しかしないが………


この鮮やかな青髪のエルフの2人からは、どう見えているんだろな………


『誰だ………それ以上、近付くな。近付くと攻撃する』

武器を身構えて構えてくる。


『分かった。これ以上は近付かないが、そっちの仲間は大丈夫なのか?』

僕は、両手を上げて武器を持っていない事をアピールするが、相手の警戒心は解けない様だな。


『………大丈夫だ。ほっておいてくれ』

いや、ステータスは把握出来てるから無事じゃないのは分かってるですが………って言うか、どうみても瀕死だよね。


『イベント中に採取した薬草だ。良かったら使ってくれ』


『………油断させる気だな』


『マイナス得点の君達を油断させても僕達にメリットが無い。完全な好意だ。まぁ、その代わりと言ってはなんだが情報が欲しい』

面倒な奴に関わったかも知れないな。失敗したか?


『情報?』


『あぁ、さっきアナウンスに有った落雷とか、そんなに瀕死になった理由…………とかな』


『…………分かった。その代わり、こいつ、サラを回復出来るか?』


『了解だ』

僕は、ホルスターから【白竜】を取り出して射撃する。


『お、お前、騙したな』

騙したも何も………僕らには、そんな関係性は無いんだがな。それに………


『待ってブレッド!!私………回復してる?』

既に、回復は終わっている。ブレッドはサラの声で僕に攻撃するのをギリギリのところで踏み留まった。踏み留まったと言っても正確には寸止め状態だ。まぁ、これくらいの速度ならいくらでも回避出来るので喰らう事は無いがな。


『こっちは約束を果たしたぞ』


『…………助かった、どうやったかは分からないがありがとう。そしてすまなかった。えっ~と………』


『シュンだ』


『OKシュン、俺はブレッドで』


『私は、サラです。先程は、ありがとうございました』


『ブレッドとサラだな。了解だ。それで、そろそろ情報を教えて貰っても良いか?それと僕の仲間も呼んで良いか?』

ブレッド達の了承を得て置き去りにしていたアクアを手招きして呼ぶ。アクアは知らなかったが、ブレッド達はアクアの事を知っているみたいだった。これなら最初からアクアに交渉させれば良かったな。


『まず落雷の事ですが、たまたま私達は木の影にいて難を逃れたんですが………空を飛ぶ黒い巨大な魔物からの攻撃でした』

空を飛ぶ巨大な魔物?これは、嫌な予感しかしないな。


『その魔物はプラス得点だったのか?』


『そうだ。ゴーグル越しに見ると赤く光っていた』

おいおい、嫌な予感が的中しそうだな………今回のメインイベントは空か………


『そうか………それは分かったが、落雷を喰らわなかったのにサラさんは何故瀕死だったんだ?』


『回復、休憩中にプレイヤー4人組に襲われたんだ。《探知》スキルのお陰で逃げ切る事だけは出来たけど、この有り様だ』

なるほどな。ブレッドとサラが青く光って見える様に赤く光って見えるプレイヤー達もいるって事と協力しているプレイヤーがいるって事だな。これは、かなり良い情報が収集出来た気がするな。


『ちなみに、ブレッドくんとサラさんは僕らが何色に見えてるんだ?』


『ブレッドでいいぞ。俺もシュンって呼ぶから』


『私もサラで大丈夫です。私達からは青に見えてます』

有ったばかりなので完全に信じる事は出来ないが………多分、嘘は言ってないだろうな。どちらか片方だけが一方的に狙えるみたいな不公平は公式イベントでは無いだろう。それに、僕にも人を見る目くらいはある。


『アクア』


『良いぞ。それで』

流石は幼馴染みだな。考えている事は伝わっている様だな。


『ブレッド、サラ、このイベント終わるまで共闘しないか?』

2人共エルフでLvはそんなに高くないが、ブレッドは前衛の《騎士》の上位ジョブの|《準騎士》《セカンドナイト》それも《探知》スキル持ち、サラは後衛、しかも《回復士》の上位ジョブで|《回復師》《ヒーラーツー》とバランスがとれているからな、共闘するにはベストだと思う。ちなみに【noir】のケイトも《回復師》にジョブチェンジしているし、アクアに至っては《準騎士》のさらに上位ジョブの|《戦騎士》《バトルナイト》になっている。


『私達としては、嬉しい誘いなんですが………私達はMPが切れてますので、お役に立てないと思います』


『これで、大丈夫だろ?』

【黒竜】を抜きブレッドとサラを射撃していく。


『さっきも思ったが何だ?これ』


『内緒だ』


〔『主よ、見せ過ぎではないかの?またモニターを忘れてないかの』〕


〔『まぁ、これは、クラーゴンの時にバレてるからな。時既に遅しってとこだろ』〕


〔『分かっておるなら良いのじゃ。くれぐれも………』〕


〔『分かってる。竜の力を使わざる得ない状況にはなるなだろ。もしそうなったら潔くリタイアするさ』〕

まぁ、そうならない為にも《回復師》は必須だよな。前衛の壁役が増えるのも安心出来るしな。


『ありがとうございます。シュン、アクア、足手まといになるかも知れませんが共闘ヨロシクお願いします』


『おう、ヨロシクな。取り敢えず、俺がチームリーダーやらしてもらうぞ』

これには僕は勿論、ブレッド達も異論は無いようだ。アクアが的確に隊列を決めていく。こう言う時は、経験が多いだけ役に立つよな。


〔『白、黒、アクアにも良いところ有っただろ』〕

返事無しかよ………まぁ、分かってくれたなら良いけどな。


結果、隊列はアクア、ブレッド、サラ、僕の順になる。僕が最後なのは女の子のサラを最後に出来ないと言う事と背後からの奇襲対策だ。まぁ、これが無難なところだな。ブレッドのスキルでアクアも安心して進めるだろうからな。


〔『白、黒、念の為《探索》ヨロシクな』〕


『それで、これからどうするシュン?』


『そうだな………多分、最後に落雷の魔物が出てくると思うからな、それまでは地道にポイント稼ぎと採取かな』


『そうだな。それが良さそうだな。それとブレッド、ポイントになるトドメは交互に刺そうぜ』


『ちょ、ちょっと待って下さい。そんな事よりも、最後に落雷の魔物と戦うのは確定なのですか?』

2人は驚いた表情で僕を見てくる。


『『それはOOOの運営だからな』』

アクアとハモってしまったがOOOの運営を甘くみてはダメだ。僕としては、今回は途中で落雷を放つ魔物を出現させたと言うヒントをくれただけマシだとも思っている。そう簡単に報酬が貰えるOOOではないからな。報酬と引き換えにトラウマを植え付けるくらいはしてくるだろう。


『それと………もし出会ったらだが、ブレッド達を倒そうとしたプレイヤーにリベンジも忘れてないぞ』

多分、相手からみて僕らもプラス得点になるだろうからな。当然、出会えば狙われるだろうし、逆を言えば僕らにもプラス得点のチャンスだからな。それに、手負いの《回復師》を不意討ちで倒せないプレイヤー4人組はLvが知れているからな。ここはアクアの意見に賛成だな。


『私達の事は、大丈夫ですから無理しないで下さい。それに4人組は強かったですよ』


『俺も、かなり強いから心配するな』

まぁ、普通に戦えばアクアに勝てるプレイヤーは少ないだろうな。あくまで普通に戦えばだがな………だが、アイツは今がイベント中で防御力0の装備だと覚えているのかな?









装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉

【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉

【白竜Lv44】攻撃力0/回復力184〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv44】攻撃力0/回復力184〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

【???】???

防具

【ボロボローブ】防御力0

アクセサリー

【レンタルゴーグル】



天狐族Lv49

《双銃士》Lv71

《魔銃》Lv70《操銃》Lv15《短剣技》Lv21《拳》Lv42《速度強化》Lv95《回避強化》Lv95《魔力回復補助》Lv96《付与術》Lv66《付与銃》Lv71《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv12


サブ

《調合職人》Lv27《鍛冶職人》Lv43《上級革職人》Lv4《木工職人》Lv33《上級鞄職人》Lv5《細工職人》Lv33《錬金職人》Lv32《銃職人》Lv28《裁縫職人》Lv12《機械製作》Lv27《調理師》Lv3《造船》Lv15《家守護神》Lv30《合成》Lv31《楽器製作》Lv5


SP 38


称号

〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉

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