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OOO ~Original Objective Online~ 称号に振りまわされる者  作者: 1048
第1部 第4章
38/65

第3回公式イベント 6

時間は、午後8時過ぎ。ハーフマラソン開始まで4時間を切っている。眠りから覚めた僕は、既に射撃競技の報酬と【霧氷】を基に新型の銃剣を作り終えていた。



【氷牙・氷希】攻撃力90/攻撃力90〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/音声認識〉

※剣銃モード



『黒は、どう思う?』

白は、いつもの様に雪ちゃんの面倒を見ている為、この場には黒と僕しかいない。まぁ、こう言う事を確認するなら白よりも黒が頼りになるから良いんだがな。ちなみに、他のギルドメンバーはイベント会場でPVPの観戦中だったりする。


『…………魔化石使っても良い』


『黒も、そう思うか。僕もなんだよな』

この性能なら魔化石で魔銃にしても良いと思うよな。何よりも冷気のエフェクトが付いているのがカッコイイ。【ソル・ルナ】も悪い装備では無いし素敵なのだが、実際のところ射撃競技ではマガジンの詰め替えに苦労したし…………斬撃を利用しての補助的な使い方か、もしくは〈零距離射撃〉を利用しての止めの一撃用に使った方が良さそうだよな。



【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉

※剣銃モード



『おぉ、ラッキー!!これ攻撃力も上昇してるぞ。魔化石恐るべしって感じだな』

現時点での一級品の武器が出来てしまったな。普通の銃は、他の武器に比べて攻撃力は低いが、これは、それらに比べても十分高い方だと思う。〈氷牙〉で銃剣モードの【魔氷牙】〈氷希〉で剣銃モードの【魔氷希】に可変するように音声認識装置に登録も済ませて有る。


なるほどな。これは、魔弓のベースを作る時にも攻撃力の上昇とネーミングの変化の事は頭に入れて置かなければならないな。只でさえ僕のセンスは良くないのに、それに輪をかけてセンスの無い名前になったら嫌だからな。


あと、気になるのは、他の魔銃とは違って魔銃の能力が特殊効果に入っているところだよな。多分、純粋な魔銃とは違って、魔化石を使ったからだよな。


〔『…………お客さん』〕

お客さんって事はフレイのだよな………今、居ないからな………困ったな。


『こんにちは。シュン、いますか?』

この声はリツか?僕宛なら問題無さそうだな。


『いるぞ、工房の中だ』


『お邪魔しま~す』


『おう、いらっしゃい。でも、まだ弓は作って無いぞ』


『今日は、別件で来ました。昨日………今朝の事の謝罪と以前お約束していた件です。今日は、朝早くにすみませんでした』

朝の件か…………


『まぁ、もう済んだ事だからな。いつまでも、気にしなくても良いんだが………以前、約束していた件って何だっけ?』

リツと何か約束していたっけ?基本的に人との約束は忘れた事は無いんだが、全く思い出せない。


『ファミリアの情報ですよ』


『何!?ファミリア!!いるのか?』


『今回の射撃競技1位の報酬が奏猿石って言うアイテム、それが、これなんですけど』

鞄から黄色の玉を取り出して見せてくれる。今となっては、どうでも良い事なんだが射撃競技のパーフェクト達成者ってリツだったんだな。弓で達成するのは至難な事だと思ってたんだが凄いな。


『これが…………ファミリアなのか?』

どう見ても、ただの黄色い石にしか見えない。


『…………まだ違う』

黒は竜の姿になり、僕の頭に泊まって喋りだす。


『まだ?ってどう言う事だ』


『はい。黒ちゃんの言う通りで、まだファミリアでは有りません…………ファミリアの卵って言うと分かり易いですか?』

ファミリアの卵………なるほどな。それで、まだ(・・)なんだな。条件は分からないが進化?この場合は、孵化になるのかな?をすればファミリアになるって事だな。


『条件は、分かっているのか?』


『いえ、進化条件は未定ですが、常に持って無いとダメみたいですね』

リツが教えてくれたアイテムの説明によれば、倉庫に保管とかはダメらしい。常に鞄の中や手の中に持っていなければ進化しないらしい。もしかしたら、ケイトの手に入れた煌馬石も名前が似ているからファミリアの卵かも知れないな。てとで確認してみようかな。


『でも、どうして分かったんだ?』


『《分析》《解析》スキル持ちがギルドにいますので。それでも全ては分かりませんでしたが………』

そんな特殊なスキルも有るんだな。《見破》の類似スキルかな?そう言えば《見破》上限まで成長してたよな………


『リツ、少し待っててくれ。《見破》スキルを進化させてみる』


えっ~と、これは、どう言う事だ。《見破》の進化先が異様に多い気がするな。5種類ってのは僕が知る限りは最多だよな。それに1つだけ異彩を放っているスキルも有るよな………


《心眼》??? 必要SP20

《神眼》??? 必要SP20

《真眼》??? 必要SP25

《診眼》??? 必要SP15

《目で見るんじゃない感じるんだ》??? 必要SP50



5つが5つ共にスキル内容、条件共に不明か。4つは【しんがん】って読むんだよな。どれも素敵なスキルだよな。どれにしようかな………ダメだ。何とか無視しようとしてみたが、最後の1つが気になり過ぎる。なんて言うか………心を鷲掴みにされている。


『リツ、黒、すまない。今からステータス表示するからスキルについてアドバイスをくれないか?ちょっと判断がつけられない感じなんだよな』


『……………了解』


『私も、大丈夫で……………何でふか、何ですか?このスキルは………』

今、噛んだよな。まぁ、動揺するのは分からなくも無いけどな。


〔『…………噛んだ』〕


〔『黒、そこは、流してあげるのが大人の優しさだ』〕


『だろ?僕的には《目で見るんじゃない感じるんだ》が気になり過ぎててな』


『そのスキルは、ネタスキルじゃないですか?きっとそうですよ』

リツの焦り方が半端ないな。まだ噛んだ事を気にしてるみたいだな。


『……………主向き』


『黒、そうなのか?』

黒がコクンと頷いたので、50SPを消費して《見破》を《目で見るんじゃない感じるんだ》に進化させる。まぁ、心を鷲掴みされている僕も取得しないと後悔しそうだったからな。隣でリツがちょっと待ってと言っているが、もう進化済みなので手遅れだな。


なるほどな、取得してみて分かったが黒の言う通りで僕向きのスキルかも知れないな。


《目で見るんじゃない感じるんだ》の効果は簡単に言うと状況の把握だ。直接見たりしなくても、触ったり存在を確認(・・・・・)する事が出来れば、必要な情報が頭に伝わってくる。ある程度の範囲内なら誰が何処にいるかも分かるようで…………今、ケイトとヒナタがホームに帰って来た事も分かった。色んな意味でタイミングが良いな。


取り敢えず、《目で見るんじゃない感じるんだ》は名前が長いから省略して《見ない感じ》とでも呼ぼうかな。


『リツ、その奏猿石の事だが鞄に入れていても進化しないぞ。その情報は間違い(ガセ)だな。正確に言うなら正しく無いぞ。出来るだけ直接手に持っていた方が良いみたいだな。そうだな…………普段手に持てない狩りの時等は奏猿石用に首から下げる袋でも作って、肌身離さず(・・・・・)持っていた方が進化まで早そうだぞ。今はLv2ってところだな。Lv15でファミリアに進化するみたいだな』

奏猿石の進化方法や進化後の姿まで手に取る様に感じる事が出来る。まぁ、《見破》みたいにプレイヤーの心の中までは分からない様だが、補助的なプレイがメインの僕には《見ない感じ》の方が向いてるかも知れないな。


『えっ!?そんな事まで分かるんですか?』


『みたいだな。名前が冗談みたいに変わってるだけで能力は一級品みたいだぞ』

実際に、取得したばかりなので範囲等の細かい事までは分からないんだが、それは使っていけば分かる事だからな。


『ありがとう。ファミリア、また進化したら見せに来るね』


『おう、楽しみにしてる。弓の方も出来たら連絡するからな』

まぁ、奏猿石の進化後も把握出来ているので、リツが直接【noir】のホームまで見せに来れない事も分かってるんだけどな…………


僕には必要無いが、実際にファミリアに会いたがっているのは白と黒だからな。進化したら僕から会いに行かなければならないだろうな。


先に進化後を教えても良かったのだが、本人的に楽しみが減るだろうし、僕的にも《見ない感じ》スキルの全容までは話したくないしな。





『ケイト、ヒナタ、お帰り』

スキルのお陰で、振り向かなくてもヒナタ達が工房に入って来た事と僕に声をかけられて少し驚いている事まで分かる。やっぱりこのスキルは便利そうだな。


『『………ただいま戻りました』です』


『それと………入賞おめでとうございます。応援には行けませんでしたけど、結果と動画は確認してきましたよ』


『おめでとうございますです』

アレが動画で流れてた?情報系のサイト、いやイベントだから公式サイトだな。これだとアーツや可変武器の情報も流れてると思った方が良さそうだな。唯一の救いは【白竜】と【黒竜】を使わなかった事か………ハーフマラソンでは気を付けなければならない事が増えたな。


『ありがとな。ケイト、少しだけ時間良いか?それと良かったら、イベント報酬の煌馬石を少し見せてくれないか?』


『分かりましたです。これになりますです』

僕は、ケイトが取り出した煌馬石を《見ない感じ》を使って確認する。実際のところ《見ない感じ》はオート発動スキルなので使って言うのは変かも知れないけどな。


なるほどな。ちょっと意外な部分も有ったが、ほぼ僕の思った通りだったな。


『ケイト、ヒナタ、それがどんなアイテムか分かるか?』


『分かりませんです。レア素材だとは思ってるんですが、私やヒナタ、フレイにも用途が全く分かりませんです』

ケイトとヒナタは顔を見合わせてケイトが代表して答える。


『僕も、さっきリツに聞いて存在を知ったんだが、これは素材では無くて、ファミリアの卵らしい。進化したらファミリアになるぞ』


『『えっ!?』』


『それって雪ちゃんや白ちゃん、黒ちゃんと同じですか?』

驚きながらもヒナタは羨ましそうにケイトの手の中を見ている。


『そうなるかな。直接手に持っていると成長が早いようだぞ』


『やりましたです。これでマスターと同じなのです。出来るだけ手に持ってますです』

ケイトは、煌馬石を握り締めて頑張りますですとやる気を見せている。


『やる気を見せているところ申し訳ないんだが、ケイトの場合、もう1つ選択肢が有ってだな…………』

この言葉に、2人は、もう1段階上の驚きの表情を見せてくる。


『ケイトは、あまり使って無いようだが、以前にイベントの特別報酬でユニーク武器の【七星杖】手に入れただろ?ほら、僕と2人で参加した夏のイベントで』


『はいです。これですねです』

そう言いながらケイトは鞄から【七星杖】を取り出してみせる。


『うん。それそれ、まだ2ヶ所しか魔石嵌まって無いんだな。まぁ、ちょうど良いんだけど、ここに煌馬石も嵌めることが出来るみたいだな』

まぁ、これが、さっき僕が思った意外な部分に繋がるのだが………


『Why?』


『やってみないと、正確には分からないが、多分………魔獣器に出来るんだと思う』

まぁ、これが出来るのは【七星杖】がユニーク武器だからなんだろうけどな。リツには出来ない事だよな………


うん!?ちょっと待てよ、〈創造主〉の称号を持つ僕が製作する弓なら出来るんじゃ無いのか?出来る気がする………いや、流石に無理かな。


『『えっ~~~~!?』』

まぁ、僕もここまで《見ない感じ》で把握する事が出来るとは思ってなかったけんだけどな。


『シュンさんは何で知ってるんですか?リツさんから教えて貰ったんですか?』


『いや、《見破》スキルを進化させて《目で見るんじゃない感じるんだ》って言う冗談みたいな名前のスキルを取得したんだよな。それの効果が名前以上に冗談みたいでな。見なくても触れる事で、おおよそ把握出来るみたいなんだよな………さっき2人が帰って来たの見ていないのに分かったのも、このスキルのお陰だ』

僕の説明を聞いて2人共に目が点になっている。動揺の仕方がリツとは違うな。僕としては驚かす気は無いんだがな………


『それで、ケイトはどうする?』


『折角ですので、やってみますです』

ケイトは煌馬石を【七星杖】の空いていた7番目の穴に嵌め込む……………一瞬光ったのだが【七星杖】のステータスには全く変化が無い。アレ?失敗だったかな?成功したと感じたんだが………


『マスター………』


『シュンさん、何も変わらないようですが………』

ケイトも不安そうに【七星杖】を見ている。


『そうだよな………』

煌馬石のLvも1のまま変わってないようだしな…………本当に失敗したか?


『…………大丈夫。成功』


『主よ、成功して魔獣器になっておるのじゃ。ただのう、所詮は卵だからのう成長が必要なのじゃ。今の状態は魔獣器の卵、もしくは魔獣器・仮と言うところじゃ』

なるほどな。魔獣器になっても成長は必要なんだな。それは、分からなかったな。どうやら《見ない感じ》も万能では無いようだな。


『………だそうだ。今のLvは僕が分かるからな。何時でも聞いてくれ。ちなみに今はLv1でLv15でファミリアになるぞ』


『分かりましたです。頑張りますです』

煌馬石単体では成長後の姿も分かっていたのだが、【七星杖】を加えた事で成長後の姿が分からなくなった。これは、楽しみが増えたよな。ケイト頑張れよ。







『シュン、待たせたな。準備は出来てるか?』

競技開始まで、あと1時間ってところか?アクアが準備万端と言った感じでホームに現れた。


『大丈夫だ。それに持ち込み可能な物は少ないだろ』

持ち込める物は武器、武器の器、鞄くらいだったはずだ。


『それもそうだな…………って、おい、その銃も持って行くのか?』


『まぁ………な。念の為、保険みたいなものだな。今回は6種で参加するぞ』

アクアが良い思いをしないのは分かるが、保険は無いよりは有った方が良いからな。


『それと、アクア…………イベント中は、それを使え』

テーブルの上に置かれている鞄を指差す。


『この鞄がどうかしたのか?…………おい、これって』

共有化の特殊効果に気付いたみたいだな、そう言うところは相変わらず目敏いな。


『新作だ。あとで必ず返せよ』

やっぱり驚いて固まったな………リアクションだけはお前が1番だよ。親友。


『シュン、これは幾らだ?売って………


『借金』

借金の事情等は、アキラから既に聞いている。ご利用は計画的にして貰いたいものだな。


………すまん』


『まぁ、取り敢えず、広場に行くぞ。防具の選択が有るからな』

なるべく目立たない物を選らばなけらばならないからな。それに失敗すると死活問題になる事は請け負いだ。







『シュン、防具決まったか?』


『あぁ、僕はこれにした』

着替え終わった状態でアクアの前に姿を現す。


『そんなので良いのか?』

僕が選んだ防具は、頭から足まで体全体をすっぽりと覆う黒いローブだ。普段よりも少し動き難いが、機能美よりも正体がバレない事を優先したい。まぁ、防御力はどれを選んでも0だから、たいした問題では無いしな。


『僕は、これが良いんだよ』

射撃競技の動画が流れている事も有るからな、念には念を押しておかなければならないだろうな。


『俺は、これを選んだぞ』

ファッションショーの様にクルッと回って、青色に輝くいかにも高価な鎧と言う防具全体を見せてくるが、僕の感想としてはハデな鎧を選んだなとしか言い様がない………幼馴染みと言うフィルターを通して贔屓目に見ても、かなり動き難そうなんだがな。


『まぁ、頑張れ』

今は、アクアの格好よりも事前の準備が大事だ。ゴーグルの方も視界に問題無さそうだな、右手に作ったばかりの【魔氷牙・魔氷希】も持っている。【魔氷牙・魔氷希】はデビュー戦になるが期待してるぞ。ホルスターにも上限いっぱいの6丁の銃が収納されている。


『よし、準備はOKだな』

後は、開始を待つだけだな。







12時間魔裸存(ハーフマラソン)ルール


これは制限時間内にイベント特設エリアで無制限に出現する魔物を狩り続け、獲得した得点を競う競技になります

イベント専用のゴーグルを装備してもらい、ゴーグル越しに見て赤く反応が有る標的はプラス得点で、青く反応が有る標的はマイナス得点になります

12時間以内に倒されたパーティーの得点も有効になります

なお、この競技は特別報酬として12時間生き残ったプレイヤーは競技中に獲得した全アイテムも獲得出来ます




〔皆様、大変長らくお待たせ致しました。これより第3回公式イベントのメインイベント12時間魔裸存を開始致します。出場者の皆様は、制限時間12時間の中で如何に多くの得点を狙えるか?そして生き残る事が出来るのか?楽しみに見させて頂きます。最後に、公表していたルールに1つ追加させて頂きます。今回は2人パーティーですが、どちらか1人でも退場に成りますと残っておられるプレイヤー様も退場とさせて頂きます。今回のエリアは、かなり大きな無人島をご用意しております。狂暴な魔物も多数配置しておりますので存分にお楽しみ下さい。それでは皆様、準備は宜しいですか?3・2・1・レディーゴー!!〕





アナウンスの終了と共にイベント用のエリアに転送される。転送された場所の周りには、他のプレイヤーも魔物の気配も無い。


『アクア、最低でも最後までは生き残るぞ』

2人共が生き残りさえすれば、獲得したアイテムが特別報酬として手に入るからな。同じ参加するなら最低でも、そこは目指したい。


『当たり前だ。俺は、初めから1位を目指してる。シュン、今回は防御面が不安だからな。念の為に〈ウィンドシールド〉かけてくれないか?』


『悪いが、僕は《旋風魔法》を《短剣》にチェンジしたからな、魔法は使えなくなった』


『何!?それ聞いてないぞ』


『言ってないからな、って言うか最初から人のスキルに期待するな。誘って来たのは、お前なんだぞ。それと回復も自分で頑張れよ』

僕自身ここぞと言う時以外は【白竜】での回復も使う予定は無いしな。


『それで、どうする?』

どうするんって言われてもな………


『取り敢えずは、アクアを先頭に得点になる魔物を探しながら素材の採取と採掘からだな』


『おい、ちょっと待て。いきなり採取するのか?』


『当たり前だ。回復出来るアイテムや食糧になる物、それに水が無いと、僕はともかくアクアがもたないだろ』

12時間は普通に過ごすと空腹やイライラからの機嫌度の低下が1番問題になる…………と言う事は、耐える以外にも対処する方法が有るはずだ。それを優先的に探さないとクリアは難しいだろうな。まぁ、新しい素材が取れれば最高だと言うのも有るけどな。


『俺がもたない………なるほどな。シュンは、何時から気付いてたんだ?』


『ルールを見た時からだな。今回はアイテムが持ち込め無いルールにも関わらず鞄の持ち込みは可能だったから、ある程度確信は有ったな。採取や採掘が出来る様に短剣も用意している』

新しく作った【魔氷牙・魔氷希】も見せる。


ちなみに、テスト済みの【ソル・ルナ】を装備しなかったのは、予備のマガジンを持ち込め無かったので銃弾の節約の為だったりする。


『それでか、いつもと違って銃を常時装備状態だから気にはなってたんだ。俺は、今回シュンを誘って正解だったな』

僕はパートナーがアクアと言う事が1番の失敗だよ。こう言う時はギルドの仲間、特に万能系のアキラかケイト、生産系のフレイが望ましいな。


『それは、どうも。そろそろ移動するぞ』

僕らは、採取するために森の方に移動を始める。


イベントエリアに用意された無人島は、無人島と言うだけ有って周囲を海に囲まれている。僕らが転送された場所が少し小高い丘だった為に、ある程度は地理的な物を得れている。僕にとっては珍しい事だがラッキーだったのかも知れないな。


『アクア、ストップだ。右前方、見えるか?2、いや3』

兎に似たウササギと言う魔物だ。兎に似たと言っても兎の特徴である耳が有るだけで、感じ的にはオラウータンに近い。名前通り詐欺だな。


『OKだ。確認出来た。赤だからプラス得点だな』


『〈攻撃力上昇〉〈防御力上昇〉』


『サンキュ。〈スラッシュ〉シュン追撃は任せたぞ』

ここは任されておくか、アクアのアーツが命中した魔物に【魔氷牙・魔氷希】の射撃で追撃をしていく。


『えっ!?……凍った?』

【魔氷牙・魔氷希】の射撃を受けた魔物は、一瞬で凍り付き、アーツを放って接近していたアクアの1撃でに砕かれる。


いや、確かに特殊効果で凍結って有ったが………1回目で出るとは思わなかったな。


『シュン、まだ2匹いるんだぞ。ボーっとするな』


『すまん。それとアクアそれ以上近付くな。爪に毒を持っている、出来るだけ遠距離で攻撃するぞ。それと大き方のメスを先に倒すな、メスを先に倒すとオスが狂暴化する。気を付けろ』

1匹倒した事で、ウササギのステータスが把握出来る。状態異常の回復方法が無い現状での毒を喰らうのは悪手だろう。それと運良く最初に倒したのがオスで良かったな。


アクアに手早く指示を飛ばし、僕も援護と牽制にまわる。2・3匹目は、すぐにとはいかなかったが、2匹共数発で凍らせる事が出来た。凍らせてしまえば俺の番だ。みたいな感じで意気揚々とアクアが止めを刺していく。なんか美味しいところを取られた気がするよな。


まぁ、紙装甲の僕は、いちいち近付く気はしないから良いんだけどな。万が一、大きなダメージを受け、竜の力が発動して瞬間回復等を見られたら厄介だからな。


『これで終了っと………この辺に素材有りそうか?』


『まぁな。レア度の低い薬草や状態異常回復系の薬草が数種ってところだな。採取するから、警戒ヨロシク』

普通の価値としてなら必要無いが、イベント中限定でアクアに持たせる分には十分だろうな。流石に倉庫直通の効果までは使えなかったが共有化が使えたのは大きいな。


〔『白、黒、《探索》ヨロシク。アクアじゃ頼りにならない』〕

白と黒にも警戒を頼んで、僕は採取に専念する。


〔『了解じゃ』〕


〔『…………近くに池、飲める水』〕


〔『黒、ナイスだ。サンキュ!!』〕

いきなり水源の確保は大きいよな。木材も少し採取しておいて木製の水筒でも作ろうかな。これは、かなりのアドバンテージだと思うぞ。





『…………本当に有ったな。シュン、何で分かったんだ?』

想像よりも澄んでいて綺麗だな。黒からは池って聞いていたが意外にデカイよな。魚も生息しているようなので飲み水としても使えそうだな。釣具が有れば、ここで食糧も確保出来て一石二鳥なんだがな。


〔『…………主、ごめん』〕


〔『どうした?黒』〕


『秘密だ。取り敢えず、ほら。さっき水筒作ったから、これに水を汲んでくれ』


『了解だ』

アクアに竹製の水筒を渡して、僕は岩場で採掘をしていく。森同様に取れる物に珍しい物は無かったのが残念だな。


〔『…………魔物がいる』〕


〔『何!?魔物………』〕


『くそっ!!シュン、レクトパス………』

黒、もう少し早く教えて欲しかったな。よりにもよってレクトパスか………まぁ、知らない魔物よりはマシってところだな。


『………が3匹だ』


『マジか!?』

前言撤回、全然マシじゃない。むしろピンチだ。


『アクア、取り敢えず、2匹は任せた。回避と牽制で耐えろ。〈速度上昇〉〈回避上昇〉その間に僕が1匹ずつ確実に仕止める〈ルナ〉』

アクアに《付与術》をかけて、1番近くにいるレクトパスに射撃をしていく。更に、左手に【ルナ・ソル】を持ち、斬撃を繰り出して脚の数を減らしていく。以前なら3匹現れた時点で手こずった、いや、ここでリタイアになったんだろうな。だが、今は………


『くっ!!俺が2匹なのか…………〈ライジングブレイド〉』

当たり前だろ。僕は後衛だぞ、普通に考えるとそうなる。ってか雷系のアーツ有るなら十分だろう、それに………


〔『白、アクアのHPが3割を切ったら教えてくれ』〕

念の為に保険だけかけておけば、なんとかなるだろうな。


〔『了解じゃ』〕


『〈リング・イン〉』

僕は【魔氷牙・魔氷希】でアーツを放ち連射していく。魔銃から放たれる連射の檻は、レクトパスの動きを制限し、その場に固定してしまう。


やっぱり、このアーツは魔銃+竜の力(・・・)との相性が良いな。レクトパスの方も射撃の隙を突いて、僕に墨や脚で反撃を試みてくるが…………単発の墨は余裕を持って回避して、脚での攻撃は【ルナ・ソル】の斬撃で対処する。成す統べなくドロップだけを残して1匹目のレクトパスは消滅していく。


『1匹目終了だ』


『そっちも終わったのか?こっちも〈スラッシュ〉今1匹仕止めたぞ』


『おい、バカアクア、油断する…………


『ぐわぁぁぁぁぁ~~~~』


ざぁばぁ~~~~ん


…………あっ!!待て、くそっ!!』

1匹仕止めた事で油断したアクアが、最後のレクトパスに池の中に引きずり込まれた。アクアが引きずり込まれたあとには渦だけが残されている。


ルール上では、パーティーメンバーがリタイアしたので、僕も転送されて終了……………になるはずなのだが、僕1人が池の周りに残されている。


『あれ!?どう言う事だ?…………アクアまだ生きてるみたいだな』

《見ない感じ》のお陰で存在だけは感じられるが、やはり何処にも姿は見えないし、コールやパーティーチヤットも繋がらない。と言う事は………


『あの中か?』


〔『主よ、鞄の中じゃ』〕


〔『鞄!?鞄の中がどうかしたか?』〕

いかに、鞄に共有化が付いていてもゲートの様に出入り出来るのは白と黒だけで、アクアは入れないはずだぞ。


〔『違うのじゃ。ドロップが増えておるのじゃ』〕

そう言う事か………確認してみると、確さっきまでは2匹分だったレクトパスのドロップが3匹分有る。と言う事は最後の1匹もアクアに倒されたって事だよな。


『…………やっぱり、あの渦の中か………』

僕は、少し躊躇したが…………渦の中へ飛び込んだ。







装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉

【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉

【白竜Lv41】攻撃力0/回復力181〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv40】攻撃力0/回復力180〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

【???】???

防具

【ボロボローブ】防御力0

アクセサリー

【レンタルゴーグル】



天狐族Lv46

《双銃士》Lv69

《魔銃》Lv68《操銃》Lv11《短剣技》Lv18《拳》Lv40《速度強化》Lv93《回避強化》Lv94《魔力回復補助》Lv94《付与術》Lv64《付与銃》Lv69《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv8


サブ

《調合職人》Lv25《鍛冶職人》Lv41《上級革職人》Lv4《木工職人》Lv32《上級鞄職人》Lv5《細工職人》Lv33《錬金職人》Lv31《銃職人》Lv28《裁縫職人》Lv12《機械製作》Lv27《調理師》Lv3《造船》Lv15《家守護神》Lv29《合成》Lv31《楽器製作》Lv5


SP 24


称号

〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉

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