第3回公式イベント 2
『お待たせ。あれ?待ってたのフレイだけじゃ無いんだな』
【noir】の工房ではフレイの他にカゲロウとアキラも待っていた。
『私は今ログインして来たところで………』
『俺はフレイの検証に付き合ってた』
カゲロウがフレイの検証?生産系統が全く違うんだが………まさか、カゲロウ印のイオン水か?ヤバイ、カゲロウの顔が見れない。
『シュン、これどうやって《合成》したんや?カゲロウに頼んでウチの武器を2種類《合成》してみたんやけど全く上手くいかへんで』
机の上に様々な種類の武器が複数置いてある。どうやら、これらを使って《合成》の検証していたみたいだな。
それ、本当に出来なかったのか?僕には普通に出来そうな気がするんだが…………なんせ、失敗した事無いからな。
『俺も聞きたい。アイテム類の《合成》は出来るのに武器は全然だ』
『えっと………僕は、普通に両手に持って《合成》したんだけど………これ、使ってみても良いのか?《合成》』
武器の中から2本の【ロングソード】を選んで《合成》してみる。
【ダブルソード】攻撃力35〈特殊効果:なし〉
一瞬だけ光り輝き、僕の右手に持ち手を中心に両方に【ロングソード】が付いた武器が現れる。やっぱり出来るよな。
『えっ!!何でや!!さっきは、カゲロウは、出来へんかったんやで。《合成》の反応すらもして無いのに………』
フレイが話出すのと同時に隣にいたカゲロウは、もう1度《合成》を試しているが、結果は変わらない。
『単純にLv不足って訳では………無さそうだよな。それでも、カゲロウが武器の《合成》出来なかったんだったとしたら………前にアキラが言ってた事が関係してるのかもな』
《見破》で確認したのだが《合成》のLvは若干カゲロウの方が上だった。
『私?何か言ったかな………?』
首を少し傾げて考えている様だが、思い出せないみたいだな。
『うん。僕は《合成》の検証とかしてるつもりは無かったんだけどな。前にトウリョウ達にも《合成》出来ない物や失敗する物が多いって話の時に、失敗したり合成出来ないアイテムって他の生産系スキルのLv不足が理由じゃないかって、複合スキルだったら、そう言うのも有り得そうだって言ってたんだよな。まぁ、その時は《合成》取得出来て無かったから深く考えなかったんだけどな』
『あっ!!私言ったかも………それ』
なんとか思い出せた様で、スッキリした表情を見せている。
『多分だが、あの時にアキラが言った様に《合成》の可能や不可能、成功や失敗は取得している生産系に関係が有るんじゃないかな?今のところ僕に《合成》出来なかった物は無いからな。カゲロウ、この杖2本を《合成》してみて』
《木工》のみで製作された木製の杖を2本手渡す。
【木杖】攻撃力10〈特殊効果:なし〉
『分かった。《合成》お~っ!!出来た』
カゲロウの両手に持った2本の杖が1本の杖になる。《合成》を成功させて喜んでいるカゲロウの杖はステータス的には+1と表示され性能も上がっている。
【木杖+1】攻撃力15〈特殊効果:なし〉
『《合成》』
僕もカゲロウと同じ杖を2本《合成》をするのだが、カゲロウとは全く違う結果になる。
【双頭の木杖】攻撃力18〈特殊効果:なし〉
『あれ?シュンの《合成》した杖ってカゲロウのと形が違う………よね?』
『みたいだな』
僕の《合成》した杖は名前も形状も変わっている。杖の頭の部分が2つに別れてY字の様な形状になっている。
『ギルマス、一体何したんだ?それ何か特別な事をしてないか?』
2つの杖を手に持ち、その両方を見比べながら訪ねてくる。
まぁ、カゲロウの杖より性能が良いから、結果だけ見ると後出しのジャンケンで勝ったみたいな感じで若干卑怯かもな。
『カゲロウ、多分だが《合成》する時に何も考えずに《合成》したんじゃないかな?僕は形状を想像して《合成》したんだよね。僕の持っている【雷光風】も【雷光】と【光風】を《合成》した銃なんだけど、何も考えずに《合成》したから双銃に………2丁で1つの武器になったんだよ。多分、色々と想像して《合成》したら1つの銃や全く別の形にも出来たと思うんだよね。さっきの【ロングソード】も想像しなかったら双剣になったんじゃないかな。まぁ、これは未検証で完全な想像なんだけど。そうだ!!まだ、杖の在庫有るから試してみなよ』
『おう、分かった。《合成》うぉっ!!出来た、出来たぞ。ギルマス』
今度は。カゲロウも僕と同じ様な杖を《合成》で作り出した。
カゲロウ本人は喜んでいる様だが、これくらいは出来て当たり前だと思う。それぐらい《合成》スキルは何でも有りだと僕は思っている。これがOOO内で自分のしたい事が何でも可能と謳い文句にしている理由の1つではないのかな?と内心思っているのだが皆には内緒だ。
『それやったらシュン、この刀を《合成》してみてや』
『やるのは良いけど、多分………《合成》。やっぱりね』
【ダブルソード】の様な形状を想像するが、2本の刀は何の変化もすることも無く《合成》は失敗する。
『それは、やっぱり《刀鍛冶》が無いからって事なんか?』
フレイは全く変化していない2本の刀をマジマジと見ながら聞いてくる。
『多分、そうだと思うよ。僕の場合は基本の生産系は、殆ど取得してるから《合成》の失敗や出来ない事が少ないんだろうね。普通の武器なら可能だと思うけど《刀鍜冶》は刀を作る専用の複合スキルだからね。まぁ、《合成》のLvが高くなったりスキルが進化したら他の事も可能かも知れないけどね』
もう1つ別の理由として〈自然の摂理に逆らう者〉の称号の可能性も有るんだけが、これは称号の名前が中2っぽいので秘密にしておきたい。
『了解や。それは分かったわ。次は、シュンに頼まれた試作品の件なんやけど………ウチの三節棍やアキラの扇みたいに可変するんやな』
『それは、可変出来る様に工夫したからな。ギミックの部分には《機械製作》で作ったギアとかも使って手作りして銃と一緒に《合成》したからな』
『なるぼどな。三節棍の時みたいにギミック部分は手作りなんやな。自分、本当に器用やわ』
長年の家事三昧のお陰で、手先は器用な方だからな。でも、それを言い出すと、1番最初に可変の扇を作ったフレイの方が器用だと思うんだがな。まぁ、それは別にしても………人に誉められるのは嬉しいよな。ましてや、自分が尊敬している人物だと尚更だよな。って言うか、今となって冷静に考えると《合成》無しで作った三節棍や扇の方が異常に感じるよな。
『でも三節棍や扇も作れたんだから、《合成》を使用しなくても一から順に作れば同じ様な武器も作れると思うぞ。形状を弄れない銃系は無理だと思うけどな』
前にも思った事だが、銃の作り方を説明して現実で作れる様になったら、暴走したバカの惨劇がお待ちしている。
最近では、3Dプリンターでどんな形でも製作可能になっているからな。そう言う理由なら、きっとOOOも停止になるだろうな。それは出来る限り避けたいしな。
『確かに、ギルマスが《合成》した【ダブルソード】に似た武器は見た事有る。何処で見たのかは忘れたけど………』
多分オークションの時だろうなな。僕もオークションで見ていたから想像できたからな。
僕は、姉や幼馴染み達とは違い普段ゲームに熱中しないので、武器の種類等は詳しくない。分かるのは、メジャーな物や漫画に出てくる物くらいだからな。
『あの手の武器は、攻撃力よりも攻撃範囲や攻撃速度を重視してるからね。他のMMOでも結構有るよね。私も使ってた事有るし』
『その分、扱いが難しいんやがな』
まぁ、確かに扱いをミスると自分で自分を斬りそうになるよな。OOOは他のMMOとは違い、混乱や魅了等のステータス異常になっていなくても自分で自分を攻撃する事が可能だ。
つまり、自虐………いや、自殺になるのかな?も可能だ。殆ど使う事の無い機能なのだが、ログアウトが出来ない場所でトラップやイベントで詰んだ時等には、評価が一転して使える能力になるらしい。勿論、現実と一緒で使わざるえない状況に成らない方が遥かに良いんだがな。
『まぁ、こればかりは、他の生産系を取得するか、頑張って成長させるしかないよな。それで、そろそろ、生産活動に入っても良いか?試作品をベースに完成品の製作しないとイベントに間に合わないからな』
皆に一言断りを入れて《鍛冶》の工房に移動し続きを始める。今の僕には、少しでも時間が欲しい。
【トライセス】は、すぐに製作出来るので《鍛冶》からだよな。少しずつ丁寧に水晶の加工作業を進める。試作品の時とは違い、青水晶と言う水晶の1ランク上の素材を使用する。これは他の大陸で採掘出来る素材らしく、クラーゴン討伐で開放された客船で他の大陸に出たプレイヤーが持ち込んだ新素材だ。当然、買値も高くなっており、かなり良い値段を支払っている。
僕らも公式イベントと2回目のオークションが終わり落ち着けば、少しずつ外の大陸を目指す予定になっている。何よりも新素材を求めて………ついでに、王様の依頼もな。
水晶よりも透き通ってて綺麗だな。青色が薄く入っている為、目標であった完全な透明は無理になったが、見た目が刃物には見えないので良しとしようかな。今の状態なら《合成》しても銃のデザインの1部に見えるだろうな。
【水晶短剣】攻撃力40〈特殊効果:可変〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
『試作品よりも質の良いものが出来たな。あっ、そうだ。ここで最後に焼きを入れた方が良いんだったよな』
つまりは、ついにカゲロウ印のイオン水の出番がやって来たと言うこと。
高温の魔高炉に【水晶短剣】を入れて熱して、イオン水の中に浸ける。ジュ~~と言う音と共に………刃が消えていく。
『えっ!?』
手の中に感触が有るので確実に持っているのだが、刃が見えない………いや、若干だが見えるのかな?良く目を凝らすと微かにだが見える。これは、最後の焼きの効果なのか?それともカゲロウ印のイオン水の実力なのか………分からないが、どっちにしろ凄いよな。
【クリアナイフ】攻撃力50〈特殊効果:可変〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
フレイの言う通りで輝きも性能も1ランク上って感じだな。あとは、これにギミック加工を施して、《銃製作》から薄い水色の【トライセス】を作り…………
『《合成》…………良し!!』
試作品よりも性能が段違いで上がっている。今までの銃の中でも最高品だよな。特に刃が見えにくいのが素敵だ。遠くから見た感じは普通の銃で全く目立たないからな。
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
※剣銃モード
『主よ、これは綺麗なのじゃ。これが主の作りたかった武器なのじゃな』
いつの間にか、雪ちゃんの部屋から白が戻って来ていた。どうやら白だけで、黒は居ない様だな。
『まぁな。それに、可変もするんだぞ』
【ソル・ルナ】を可変させて、銃剣モードの【ルナ・ソル】に変更させる。
【ルナ・ソル】攻撃力80/攻撃力100〈特殊効果:可変〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
※剣銃モード
『う~む………主よ、何が変わったのじゃ?』
首を傾げて腕を組ながら、僕の手の中にある銃を見つめている。
『白、お前………完全に見えてないだろ。近くで良く銃の周りを見て見ろよ』
『おぉ~~主よ、凄いのじゃ。銃に刃が付いておるのじゃ』
多分、最初の状態も見えて無かっただろう白の為に、もう1度【ソル・ルナ】に可変させる。
『おぉ~!!そう言う事じゃったのか』
『そう言う事だ。今日は、もう遅いから………明日ログイン後に、新入り達のテストするからな』
アクアも誘って、久しぶりに連携の練習も兼ねようかな。イベントでは、白と黒を武器としては使う予定は無いからな。連携くらいは出来た方が良いだろうな。アクアをまだ許す気にはならないがメールは入れておこうかな。どのみち、参加しなければならないのなら、出来るだけ最後まで生き残りたいからな。
翌日OOOにログインした僕は、ギルドの工房でアクアを待っている。昨日のギミック作りで《機械製作》Lvが15に上がったので、欲しかった音声認識装置を作ってみる事に………
『《機械製作》って、こう言うパターンも有るんだな』
《機械製作》の中でも、この音声認識装置って言うのは特殊で素材や《機械製作》で作ったギアを使って製作するのだが、全く形が残らない。何か他の機械系のアイテム等に付与する形の製作物だ。もしかしたら浮遊装置とか他の装置系も、そう言う仕様なのかも知れないよな。
テストを兼ねてホームのゲートに音声認識装置を付けてみる事に。試しに………
『蒼の洞窟』
何時もなら、タッチパネルで3回の操作が必要になるゲートが、僕の声に反応してゲートを繋いで行く。
これは、便利で良い感じだな。それに、音声を認証して識別と言うよりも、行動を音声入力で発動するって感じだよな。
それならと同じ物を【ルナ・ソル】にも付与してみる。こちらもゲートと同じ様に声に反応して可変が可能になった。武器ステータスの特殊効果の部分に音声認識が付け加えられている。ちなみに、こう言う場合は短く分かりやすい方が良いだろうと言う事で〈ソル〉で銃剣モード、〈ルナ〉で剣銃モードと登録している。初期段階なら音声認識の言葉を設定可能だった点が1番素敵だったな。
やはり、この音声認識装置は魅力的だよな。可変に必要だったワンタッチの1行程が無くなるだけで武器としてのランクが上がった気がするしな。って言うか、もしかして機械系じゃ無くても付与出来るんじゃないのか………
『なぁ、これって鞄にも付けれると思うか?』
『…………微妙』
黒にしては珍しく中途半端な反応だな。可も無く不可も無くってところかな。出来たらかなり便利だと思うんだけどな。やっぱり無理なのかな?
『主なら、可能かも知れないのじゃ』
《合成》の事を言っているなら無理だよな。アイテムとしての形が無い物の《合成》は無理だからな。まぁ、この件は気長に考えようかな。
『悪い、待たせたな。それとイベントの件は本気で謝るから、俺に飯を………いや、ご飯様を作って下さい。今回の件は、本当にすみませんでした』
会って早々に土下座が見れるとは思わなかったな。それも幼馴染みが、ジャンプから土下座までを流麗かつ綺麗に決めたところには10.0の評価をしたいが………はっきり言って高度な技術の無駄遣いだよな。
『まだダメだな。今日も我慢してろ。明日の夜からは、また作ってやるけど、次にこんな騙し討ちみたいな事をしたら、次は飢え死にだと思え』
改めて言葉に出すとそ僕は相当怒ってたみたいだな。まぁ、言葉に出した分少しスッキリしたけど。
『分かりました。2度としません。以後、気を付けます。それでだ、今日は何処に行くんだ?』
2度としませんと言うわりには、変わり身が早すぎないか?本当に反省しているのかと疑ってしまう。まぁ、ピリピリ、イライラしてるよりは断然良いんだけど。
『人目に付きたくないし、時間も多くは無いからな………』
『ならダンジョンか?森か?』
森も洞窟も、この前行ったからな。残すは………
『湖の反対側とかはどうだ?銃の新作テストも兼ねてるからな』
湖の反対側は広いので狩りの場所が他のプレイヤーと重なる事もなさそうだしな。それにテスト用の鞄も作りたいから、少し皮系の上質素材や精霊系の素材も入手しておきたい。
『OK、了解だ。連携の練習や武器のテストをするなら歩って行くか?』
たまには、歩いても良いんだが、【シュバルツランド】の周りの魔物はアクアなら手加減しても一撃だからな。明らかに連携の練習にはならないよな。
『いや、今日の夕方からイベントにヒナタ達が出るからな。狩りに行ける時間は多くないんだ。だから、ゲートで行こう。【ソルジェンテ】』
素早くアクアとのパーティー登録を済ませ、音声認識で転送先を指定し転送していく。まぁ、ゲートを使うのは音声認識を使かって驚かせたいってのも少しは有るんだがな。
『えっ!!ちょっ………』
『………と待て、えっ!?ここ【ソルジェンテ】か?って言うか………シュン、ゲートの操作したか?』
『あぁ、音声認識装置に【ソルジェンテ】って言ったからな』
『音声認識!?そんな機能有ったのか?』
『後付けだ。まぁ、さっき付けたから移動するのは始めてなんだけどな』
やっぱり、かなり驚いてるみたいだな。これで、少しは気分が晴れたかな。
『それよりも。連携の確認だ。忘れずに防具は初期の物を持ってきてるか?』
イベントと出来る限り同じ条件で連携の練習したい。実際に慣れておかなければ、いざと言う時に普段通りに防御してしまうだろうな。回避主体の僕はともかく、防御主体のアクアは特に………
『おう、ちゃんと持って来てるぞ。前衛が俺で、後衛がシュンで良いのか?』
『そうだな。最初はそれでいくか、どっちにしろ色々と試すぞ』
ソロ経験の少ないアクアは後衛や遊撃の経験が殆ど無いだろうから、練習は必要だろうな。2人パーティーなので奇襲や不意討ちを喰らう想定は必要だろうな。僕は【アルファガン】からテストさせて貰おうかな。
『了解だ。あそこのウルフとリザード引き付けるぞ』
湖の畔に群れるウルフ3匹とリザード2匹を見付け、駆け出してていく。相変わらず戦闘になると嬉しそうだよな。
まぁ、練習始めの相手としては無難なところかとな。今日は練習がメインなので《付与術》は使わない予定だ。辺りを警戒しながらアクアの後ろから【アルファガン】で援護していく。
『あれ!?でな…………おっそ!!いや、早い』
確かに、【アルファガン】はSF映画みたいに射線がレーザー光線みたいに延びていくが、発射までが極端に遅い。一瞬出ないと思って銃口を見ようとしたからな。アレは、気を付けないとな………トリガーを引いてから発射されるまでに約2秒程掛かっている。ただ、発射されてからは異様に早かったのだけどな。
これは、実戦で使うのは難しいな。実戦での2秒は致命的になりかねない。現に弱い魔物にすら余裕を持って回避される。トリガーを引いてから照準を合わせる方法も有るが………少しタイミングがずれると仲間を撃つ同士撃ちになりうる。どうやら、かなりピーキーな武器みたいだな。
………って言うか、アクアだけで5匹の魔物は倒し終わってるし。一応連携の練習と僕の武器のテストがメインなんだ。少しくらいは残しておいて欲しいよな。
『おい、シュン。今のはレーザーだよな?MOBには全く当たって無かったが威力はどうなんだ?』
『その為のテストだったが………使いどころが難しいようだな』
『なんなら、俺で試してみるか?俺も威力は見てみたいしな』
う~ん………ダメージのテスト出来るのは嬉しいんだが、レーザーだからな………
『それで、大丈夫なのか?』
『おう、一応俺はHPも防御もシュンより高いしな。銃の攻撃くらいは平気だろ』
確かに所詮は低攻撃力の代名詞の銃だからな、深く考え過ぎだったかもな。
『それなら頼むわ。行くぞ』
アクアが防御を固めた腕を目掛けて射撃する。1・2…………
ボトッ………
『………………………………うっ、うぎゃ~~~~~』
『ダメダメダメダメダメダメダメダメ…………』
これは、絶対に人に向かっては使えない。いや、使ってはいけない。絶対に使用禁止にしよう。
アクアに、ダメージは少ない様だが、射撃された右腕は肘から下が地面に落ちている。B級のホラー映画よりも遥かにホラーをしている。
『白、頼む、何とかしてくれ』
装備を持ち変えて、【白竜】でこれでもかと言うくらい射撃していく。
うっ、こっちはこっちでホラーだな………千切れた腕はHPの回復と共に元に戻っていく。流石は、身体回復って事なのか?それとも回復自体が、そう言う仕様なのか?どっちにしろ2度とゴメンだ。
アクアの腕が、くっついたのは確認しているのだが、お互い話す事が出来無かった。
『アクア、本当に済まなかった。それで、その、腕は大丈夫なのか?』
お互いが、少し落ち着く時間を置いたのでアクアに確認してみる。
『あぁ、アレは流石に驚いたけど………大丈夫だ。何ともない、完全に元に戻ってる。だからシュンも気にするな。今のは銃を甘く見ていた俺も悪かったんだからな。それよりも、練習を続けようぜ』
まぁ、2度と喰らうのはゴメンだけどなって笑いながら言う。
その笑顔に若干救われるよ。晩御飯は、アクアの好きな物を用意させて貰いたい。僕は罰の切り上げを心に誓った。
まぁ、称号の方に救いは無かったみたいだがな。
称号成長
〈トラウマプレゼンター〉
自分のトラウマだけでは飽きたらず他人にまでトラウマを植え付けた者への称号/成長称号☆
本来なら、凄く不本意と言いたいが、アクアにトラウマを植え付けたと思うと…………今回は、文句を言えないかな。我慢、我慢ってか、成長称号の後に付いている☆って何だ?《見破》で確認してみると………
『あまりにも、不本意だぁ~~~~』
全く我慢する事が出来なかった。あの☆は称号をマスターした証らしい。トラウマ称号のマスターだけでも不本意なのに、称号の成長自体は、まだまだ続くらしい。流石に特殊過ぎるぞ………
少し休憩を挟んだ事により、僕達の気分も少しはマシになり次の標的を見付けて狩りを続けていく。
次々と装備を変更してテストしていく。新入り達は、どれも威力は有るのだが使い勝手は魔銃の圧勝だった。まぁ、本命は【ソル・ルナ】だから、他はイマイチでも良いんだがな。
『アクア、前衛交代だ。アクアは予定通り遠距離からのアーツを頼む』
『了解だ。シュンは紙装甲なんだ、無理するなよ』
それについては、僕が1番分かってるんだ。むしろ自覚しか無いよ。
1匹のリザードマンを見付けて装備を【ルナ・ソル】右手に【黒竜】左手に変更して、一気に魔物に駆け寄る。
アクアの遠距離アーツ〈飛燕斬〉と射撃を牽制に使い、リザードマンの懐まで近寄り右手でボクシングのアッパーの様な感じで斬撃、殴撃、射撃の3連撃を繰り出していく。左では、アクアに魔力回復を施していく。これが、僕の思い描いていた剣銃モードの戦い方だ。
うん、良い感じだな。それに、あの距離ならオートでも発動するんだな。殴撃の後の射撃は、必然的に〈零距離射撃〉の距離になる、むしろ接射って感じになっているのからな。
『おい!!シュン、あのリザードの半身ぶっ飛んでたぞ………まさか使ったのか?レーザー』
『違う。アレは2度とゴメンだ。これは、新種の製作武器だ。使うのも初めてだからな。色々と検証中だ』
まぁ、今までよりも高性能になる分、威力は高くなるからな………流石に、この惨劇は、何時もの様に仕方ないで済ます訳には、いかないかな。
武器としては十分魅力的で素敵だが、イベントには使わない方が身の為だな。アクアやギルドメンバーには見せても平気なのだが、他のプレイヤーに見せるには少し悪目立ち過ぎるからな。
その後、銃剣モードの【ソル・ルナ】も試したのだが………予定通り倒れた魔物に剣を突き刺して射撃した結果、多少地形に影響が出てしまった。まぁ、影響が出たと言っても地面が少し掘れた程度なのだが………もう完全に使えないと言われていた銃の威力では無かった。
連携の面では、アクアの回避能力に問題が有った。回避行動に慣れてないのだろうな。イベントまでに特訓すると言っていたが………期待は、出来そうも無いよな。一応盾型の鞘を用意するように勧めておいたが………どうなる事かな。
『主よ、人の事よりも自分の事なのじゃ。武器はどうするのかの?』
そうなんだよな…………一応【ルナ・ソル】を持っては行こうと思うが、メインは、やっぱり【雷光風】になるんだろうな。それに【ルナ・ソル】は10発しか弾丸が入らないからな。使うとしても銃弾の開発も必要だからな。イベントでは短剣かショートソード扱いになるかな。
『…………主、鞄』
『黒、鞄がどうかしたか?』
『………身に付ける場所が無い』
『えっ…………あっ~!!しまった』
『一体どうしたのじゃ?』
『いや、今黒に言われて気付いたんだが、普段鞄を身に付ける場所って、銃のホルスターを新調した部分と重なるんだよ』
『主よ、今日は、どうしていたのじゃ?』
『今日は、【雷光風】使わなかったからな。ホルスターが余ってたんだよな。やっぱり【ソル・ルナ】は留守番になるかな』
ホルスター作る時に気が付けば良かったんだが、あの時は銃の抜き易さを優先してたからな。
『…………鞄作る』
いや、鞄も新調したばかりなんだけど………
待てよ。この際全く違う鞄を作っても良いかもな。製作ボーナスが異常だからな。形も鞄に拘らなくても良いかもな。それにさっきも思っていたが《機械製作》を組み合わせる事が出来るなら、より面白いかも知れないよな。
ヤバイな。また新たな創作意欲が湧いてきたぞ。
装備
武器
【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/2弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
【白竜Lv33】攻撃力0/回復力163〈特殊効果:身体回復/光属性〉
【黒竜Lv32】攻撃力0/回復力162〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
天狐族Lv41
《双銃士》Lv65
《魔銃》Lv64《双銃》Lv60※上限《短剣技》Lv11《拳》Lv37《速度強化》Lv90《回避強化》Lv91《魔力回復補助》Lv90《付与術》Lv59《付与銃》Lv66《見破》Lv96
サブ
《調合職人》Lv24《鍛冶職人》Lv39《上級革職人》Lv4《木工職人》Lv30《上級鞄職人》Lv5《細工職人》Lv31《錬金職人》Lv29《銃職人》Lv28《裁縫職人》Lv12《機械製作》Lv17《料理》Lv40※上限《造船》Lv15《家守護神》Lv23《合成》Lv28《楽器製作》Lv5
SP 68
newアーツ
〈乱れ撃ち・双銃〉攻撃力×ランダム /消費MP 50
銃弾の続く限り連射可能・実弾限定
習得条件/《双銃》スキルLv60
称号
〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉




